今年初めてのトレランレース!!塾長と向かったのは千葉・鋸山!!見た目ゆるふわ、中は鬼。見た目ぶよぶよ、中は肉。長身コンビのトレラン参戦記。(文・コータロー)

舞台は千葉

去年からトレイルランニングのレースに参戦し始めた。

ただ走っているだけだが、知り合いや友人も増えるから不思議である。

「房総鋸山トレイルラン」

22kmのレースを提案して来たのは、ラン仲間のカエデ塾長。

YouTuberとしてゆるふわな発信をしているが、超体育会系野郎である。

彼女は無尽蔵の体力のせいで、普通の登山では満足しなくなっているそうだ。

昔からBBGを読んでいた時点で、頭のネジが外れているのは間違いない。

(BBGの女性読者は10%しかいない)

マイメンの玉ちゃんも誘って3人でレースにエントリー。

フリーランスの仕事をしながら空いた時間は走っている玉ちゃん。

山が近く、傾斜が多い多摩エリアに引っ越して気合いも十分である。

いざ!!BBGトレラン塾として千葉に出陣である!!

久里浜港〜金谷港

当日は信じられないくらいの快晴。

つまり玉ちゃんはDNSである。(仕事が入ったらしい)

彼がいない大会は晴れ、彼がいる大会は雨なのだ。

こうなると、問題は塾長と「サシ」になる事だ。

塾長ファンの人達は羨ましいと思うかもしれない。

それは何も知らないからだ。

アツシオガワと私は知っている。

これがどれだけ恐ろしい事なのかを…。

アツシオガワは温厚な人である。

キレたり、声を荒げるような事はまずない。

山で困っている人がいれば、積極的に声を掛けるナイスガイである。

だが、そんなアツシオガワを日光のレースで追い込み

「頼むから先に行ってくれ!!」

と、キレさせたのが塾長なのである。

これはなかなか凄いことである。

ゴリゴリの体育会系

しかも、そんな状況でも塾長はケラケラと笑っていたそうだ。

まさに鬼。

今回は私が「追い込み」のターゲットである。

私は憂鬱な気持ちで塾長を迎えに行った。

会場には東京湾を横断するフェリーで向かう。

久里浜港から約40分、対岸の金谷港はスタート地点の目と鼻の先である。

「今日は暑くなるぞ!」

「だからワシは防寒着を持って来なかった!」

なんと、塾長は2月なのにウインドシェルしか着て来なかった。

だが、フェリー乗り場に到着すると

「寒い!!」

「ぬぁぁ!!」

と、騒ぎ出す。

やかましいので車内にあったブランケットを奉納。

「あったけぇ!!」

と、ニヤニヤしながらフェリー受付へ消えて行った。

三半規管がバグっている私は酔い止めを服用。

走る事を考慮し、ザコそうな酔い止めを購入した。

いちご味と優しいイラストで緊張がほぐれる。

そうだ、今日は楽しい遠足だ。

楽しまないと損なのだ。

船内は二階建て、想像よりも広かった。

平成レトロな内装が素晴らしい。

今にもカラオケが始まりそうなスナック風のボックス席が痺れる。

船内には売店もあり、軽食が購入可能だ。

塾長は電光石火でカレーパンを購入。

私もタマゴサンドを購入した。

フェリーのデッキに出ると、登り始めた朝日が眩しい。

今日の最高気温は2月なのに18度まで上がるらしい。

「フェリー楽しみだぞ!!」

前日、そう言っていた塾長はカレーパンを食べると、速攻で寝た。

…楽しみじゃなかったのか…?

私は塾長を残してデッキで記念撮影。

普通、フェリーを楽しみにしていた人はこういう動きをするはずである。

あっという間に金谷港に到着。

結局、塾長は珍妙な姿で到着まで寝ていた。

スタート前

港からは本日のバトルフィールド、鋸山が見える。

鋸の名に恥じないギザギザ具合。

ここから会場までは徒歩10分。

スタート会場は小学校。

ローカル感満載で良い雰囲気だ。

受け付けを済ませ、ジェルを何個か購入。

日光の反省を生かし、今回は早めに会場入りした。

レースまではたっぷり1時間半ある。

塾長は暇潰しに本を持参していた。

さくらももこの名エッセイ。

なるほど、この作品なら待ち時間もリラックスして過ごせるだろう。

と、思っていたら寝た。

…本は…?

基本的に塾長は

「食う→ひたすら喋る→寝る」

このルーティンで生きている。

またしても1人残された私は、準備運動をする人達をボーッと眺めていた。

みんなシュッとしていて速そうだ。

私と同じような体格の人はいないだろうか…?

結果的に、3名ほど「レスラー体型」のランナーを見つける事ができた。

よし、あの3人には負けないぞ…!!

えぬさんいただきます

大変失礼だが、仮想敵を作るとモチベーションが上がるのだ。

静かに燃える私の横で、塾長は死んだように眠っていた。

スタート

「スタート30分遅れます!!」

なんと、出場者の遅刻連絡が相次ぎ、スタート時間が変更になった。

大会の参加賞Tシャツで走るらしい

むくりと起きた塾長。

「おう!近くの肉屋にうまいコロッケあるぞ!!」

スタート前である。

油は胃もたれの原因になる。

袖に鋸山

数日前から腸内環境を整えて来た私には、飲めない提案だった。

だが、塾長の

「は?ビビってんの?」

と、訴える眼光に私も火がついた

「食うに決まってんだろ!!」

心の中で「バカバカ」と、自分を責めながら肉屋へと向かう。

結論、ここのコロッケはとても美味しかった!

胃もたれも無く、食べて良かったです。オススメ!

さあ、いよいよスタート!

会場の気温はグングン上がり、短パンノースリーブでも寒さは感じなかった。

最初はジョグペースで鋸山への登山口へ向かう。

待っていたのは壁のような階段と、それを登るランナーの渋滞である。

鋸山は人気登山スポット、三連休という条件も相まって一般ハイカーも多い。

狭いトレイルを譲り合いながら進むので、鋸山セクションは走れる所が少なかった。

だが、すでに疲れていた私は渋滞で止まると、内心ホッとしていた。

江戸時代から昭和後期まで採石されていた鋸山。

なかなか見る事が出来ない風景に驚く。

まだ序盤だが、ドカンと標高を上げる急登に私の体力は削られていた。

「ニシパ!海が見えますよ!!」

塾長はゴールデンカムイのキャラクター

「谷垣ニシパ」に似ている私をこう呼ぶ。

私はそれどころではない。

ゼェゼェ言いながら石の階段を登る。

思わず「キツい…!!」と、声を上げる。

すると「キツいは禁句!!」と、塾長から激が飛ぶ。

この階段は壁である

朦朧とする意識の中、辛い状況を表現する言葉を探す。

「帰りたい!!」叫ぶ私。

「それも禁句!!楽しめ!!」

容赦なく降り注ぐ塾長からの激。

その後も「言葉狩り」は続き、遂に辛さを表現する言語を発せなくなってしまった。

どうする?どうすればいい!?

気がつくと私は、過去に出会った界隈のクソ野郎の悪口を叫んでいた。

「◯◯のクソが!!」

「舐めやがって!!」

「スケベ野郎が!!」

さすがに塾長も誰の何の事だかわからずにスルーしていた。

怒りだ、時には辛さを怒りで乗り越えろ…!!

ある程度登り切ると、木の根だらけのトレイルになる。

テクニカルな路面でサクサクとは進めない。

転倒に気をつけながら走っている間も

「ニシパ、ドライマンゴー食うか?」

「ニシパ、いい天気っすね!!」

「ニシパ、◯◯な時ってどう走るのがいいんすかねー?」

と、後ろから延々と話し掛けてくる塾長。

いつもピースしている鬼

私は心の中で叫んだ

「マジでうるせぇ…」

マンゴーいらねぇ!!暑すぎ!!走り方とか好きにしろ!!

普段は余裕がある。

山遊びの先輩として、後輩と良好な関係を築けている。

だが、悲しいかな人間は余裕が無くなると本性が出るものだ。

私は心の底から「1人にして欲しい」と願った。

日光のアツシオガワの気持ちが手に取るようにわかったのである。

「あー!ニシパ!!ここアレっすよ!!」

「SNSで見る千葉のグランドキャニオンっす!!」

マジでどうでもいい、早く帰りたい。

「あそこは何で水溜まってるんすかね!?」

知らん、雨が降ったからだ。

とは言え、実に不思議な景色である。

千葉は低山しかないが、想像以上に楽しめそうな山が多い。

その後もトレイルを進むとエイドが出現!!

ありがてぇ…!!

トレランレースにおけるエイドは砂漠のオアシスである。

ここからは下りメインの林道セクションだ。

グラベルバイクなら最高に楽しそうな道だが、ランでは修行でしかない。

みんなバンバン飛ばしてダウンヒル。

塾長もテンションが上がったのか、とんでもないスピードで走り出す。

「アイツ、マジではえーな…」

塾長の体力はハンパではない。

「ちょっと体力に自信がある」程度の男ではまず敵わないだろう。

アスリートと呼んで良いレベルだ。

よし!!塾長スイッチ入ったな!!

やっとマイペースで走れる!!

あばよ塾長!!表彰台狙えよ!!

だが、そうは問屋が卸さない。

遥か遠くでスピードを落とした塾長が

「早く来いよ!!」

と、手招きしている。

流石の私も「先行けばいいのに!!」と言ってしまった。

「いや、私いつも走る時に◯◯して走るクセがあるんで◯◯筋を使う走り方を試してたんすよ」

あの走りは本気でも何でもなかったのだ。

ただ、ランニングフォームをチェックしてただけ。

もうダメだ、塾長には勝てないし、1人にもしてくれないし、追い込まれて死ぬんだ…。

ガシガシとなが〜い下りを走り、トンネルを抜けてスタート地点へ戻って来た。

このレース、シングル(11km)の人はここで終了。

我々がエントリーしたダブル(22km)は同じコースをもう一周走るのだ…!!

「ニシパ!食い物がありますよ!!」

塾長はとにかく食う事しか考えていない。

バナナと梅干しを食べて2周目に備える。

梅干しは良いですね!!シャキッとして気合いが入りました。

2周目

疲れてはいるけど、まだ大丈夫。

さあ、2周目からが本当の勝負だ。

リスタートして鋸山への激階段を登り始める。

あれ…?

全然登れない…。

そう、激下りで足が消耗していたのだ!!

足が全然上がらない…!!

鬼の塾長はサクサクと登り、あっという間に遥か彼方へ。

振り向いてもくれない。

米粒サイズになった塾長を眺めながら私は思った。

「もうトレラン辞めたい」

目の前で圧倒的な力の差を見せつけられ、心が折れてしまったのだ。

みるみる心がBADモードに入って行く。

遥か下にいるのが私

なんで?なんでこんな事してるの?

山なんて登らないで、普通の人生を過ごすチャンスはあったはずなのに。

僕はどこで間違えたの?

「ニシパ!箱に入ったお菓子はこうやると汗で濡れなくていいんすよー」

コロシテ…

「ニシパウケる!!もっと笑って下さいよー」

モウ…コロシテ…

鬼にどうでもいい話を聞かされ、追い込まれ、僕の心は限界だった。

なんでコイツはYouTubeだとゆるふわぶってんだよ…。

みんな騙されてんだよ…!!

鬼に負けるな、BADモードでも前へ、進んでいればレースは終わる。

BBGを週一更新していた頃、とにかく文字を打ち込んでいれば終わりが来る事を学んだ。

諦めるな!!思い出せ!!

目の前の事だけに集中!!

前へ、前へ、一歩前へ…!!

「ニシパ!!ドライマンゴー食う!?」

くっ…!!

いらねぇよ!!!!

危なかった。

塾長が男だったらストレスに耐えきれずに殴っていただろう。

2周目は絶景の感動も薄い

心を無にし、塾長の雑談を聞き流し、足元だけ集中した。

エイドだ!!コーラだ!!

デブのガソリンはコーラなのだ!!

ガソリンのおかげでリフレッシュできた。

エイドに感謝

ここまで来ればあと少し。

激下りを走れば終わりである。

塾長はノーダメージ

1周目で走って登った坂は、もう歩いてしか登れない。

夏のような日差しに体力も削られている。

長い…。

まだ終わらない…。

1周目より2周目の方が長く感じるものなのか…?

暑い、辛い、帰りたい…。

真夏のレースにしか見えない笑

飲んでも飲んでも喉が渇く、だがもう水は無い。

ダメだ、またBADモードに入ってきた…。

妄想でハイにするしかない…!!

気がつくと私は

「こうありたかった未来」

をブツブツと喋り始めていた。

「パパ…!!今夜はハンバーグだよ!!早く帰って来て!!」

ははは、お前はホントにハンバーグが好きだなぁ。

「アナタ、この子ったら将来はアナタのお嫁さんになるって言ってたのよ」

ははは、こいつぅ、ママに怒られるぞぅ…。

あぁ…幸せだ。

俺は…幸せだ…。

この温度差w

「ニシパ!!それは幻覚だ!!戻ってこい!!」

そうだった。

僕にそんな未来は無かった。

これまでも、これからも、永遠に…。

…シテ。

…コロシテ…。

ヤサシク…コロシテ…。

闇に取り込まれる寸前、後ろから何かが迫る気配を感じた。

そう、あれは私がスタート前に仮想ライバルとして設定した1人

「のこぎり太郎」

である…!!

いつの間に距離を詰めていたんだ…!?

その瞬間!!塾長の顔色が変わる!!

「ニシパーーーー!!」

「のこぎり太郎じゃ!!行くぞ!!」

塾長はグングンとスピードを上げ、我に続けと激を飛ばす。

「ニシパ!!早く!!もっと早く!!」

速すぎるって、無理だって。

足はもう残っていないんだ。

でも、ここまで来たらやるしかないんだ。

「頑張らなくてもいいよ」

「無理しなくて良いよ」

時代がそう囁いても、俺は気合いと根性を信じたい。

これ以上、負け癖つけたくないんだ。

負け癖に効く薬は、勝つ事だけなんだ。

勝て、自分に。

倒れるのはジジイになってからでいい!!

レースは終盤、ゴールした人達はもう帰路につき始めていた。

すれ違うタイミングで

「頑張れ!!」

「ナイスラン!!」

と、声を掛けてくれる。

大人になってから、こんなに応援された事ってあったっけ?

声援を受けた事ってあったっけ?

スタート前はみんな他人でみんなライバル。

だが、レースが終わればノーサイド、みんな仲間なのである。

スポーツっていいな、トレランっていいな。

ヘロヘロでゴール!!

最後の一滴まで絞り出したのはいつぶりだろう?

塾長と握手をし、健闘を讃える。

今回、限界を突破できたのは塾長のおかげである。

「お腹すいたっすね!!」

塾長はとにかく、いつだって腹が減っているのである。

エピローグ

レース後に着替えていたら、足が攣って悶絶。

筋肉痛で歩くのもぎこちない。

階段は登りたくない。

塾長は金谷港近くの土産物屋でビールを購入。

コレ、美味しいんだそうです。

午後からは風が強くなり、海は大荒れ。

ぐわんぐわんと揺れるフェリーで久里浜港へ戻った。

(あと15分乗ってたら吐いてた)

久里浜港近くの海鮮料理屋で飯を食って家路についた。

バカうまだった

いやー、レースってキツいけど達成感ありますね。

なんとも言えない充実感があります。

次は6月のスリーピークス八ヶ岳に出る予定です!!

松岡修造?

皆様も是非!!対決しましょう!!

押忍!!

PRコーナー

商品やメーカーのPRは全て断りますが、友人のPRは喜んでするのが私です。

来週、3/13(金)〜3/15(日)まで

塾長が高校時代の親友と運営するYouTubeチャンネル「山歩きJP」がポップアップをするそうです。

場所は富ヶ谷。ざっくり言うと原宿と渋谷の間です。

NHKとかフグレンの近く。

「奥渋」なんて言われてるエリアです。

オリジナル商品各種はもちろん、今回は新作のシャツを作ったそうなので、ご趣味の合う人は是非。

他にもお友達のブランドが一緒に出展するそうです。

色々な山に行っている2人なので、オススメの山を聞くのも良いかもしれません。

是非、塾長に「押忍!!」と言って来て下さい。

押忍!!