2019年S/S新作!!すいません!ノーマークでした!TMEに遊びに行った時に目に付いたウルトラスパイアのエピックXT!!トレランのイメージが強いウルトラスパイアがリリースしたファストパッキング用バックパック!TJAR2018優勝の垣内選手も使用!CEOの私物をお借りして美濃の里山で背負ってみました。(文・コータロー)
[toc]
知ってはいたけれど
ウルトラスパイアを知っていますか?
トレランをやる方にはお馴染みのブランドですが
登山メインの方だと知らなかったり、ジャンル違いだと敬遠していた方も多いかと思います。
でも、先日TMEに遊びに行った時に目に付いたのがEPIC XT(エピックXT)という25Lのバックパック。
あれ?何だかトレラン専用ってわけでもなさそうだぞ?
実はアドベンチャーレース用に開発されたザックなんだそう。
今回は簡単にではありますが
美濃の低山で使用した感想も含めてファーストインプレッションします!
全体像
背面の特徴
背面から見るとフロントポケットもある小型のザック。
ちょっとグラナイトギアとかのザックに似ている顔です。
グレー&ブルーのコンビネーションカラーがカッコイイ!!
メーカー値で737gのザックになります。
グレーの生地部分は
Extrema 100 denier nylon ripstopという生地。
ファストパッキング用にしては厚手の生地だなぁという印象。
実はこの生地はウルトラスパイアが新開発した素材なんです。
こちらの動画の4:00辺りから始まるハサミを使ったテストを見てみて下さい!!
いかがでしょうか!?ビックリしましたよね!!
ちなみに説明してくれているマラドーナみたいなおじさんはブライス・サッチャーさん。
ウルトラスパイアの創設者でありハイドレーションパックの開発者でもあります。
え?ハイドレーションパックを開発したのはアルティメイト・ディレクションじゃないの?
そうなんです、そのアルティメイトディレクションを80年代に立ち上げたのがブライスさん。
その後、UDを売却。ネイサンに移籍してデザイナーを10年程したのち2011年にウルトラスパイアを設立しました。
つまり、アメリカの主要トレランザックメーカー3社の全部に関わってきたレジェンドなんです。
昔のUDのザックはとても独創的でファストパッキング用バックパックのご先祖様みたいなバックパックを作っていました。
今のウルトラスパイアのザックの原型になったようなザックもありました。
今でもごくたまにリサイクルショップや古着屋さんで見かける時があるので見つけたら是非、注目してみて下さい。
さて、紹介に戻ります。
動画で見た通り、岩場の多い場所、ハイマツ帯でも安心感がある生地です。
雨蓋に鎮座するロゴ。
等高線のデザインがカッコイイ!!
ココだけ見ると普通のアルパインザックです。
背面には伸縮性がある大型メッシュポケットを装備。
なんとヘルメットも入るんですって!!
上下に2本並ぶコンプレッションベルトにはアイデア次第でなんでも取り付けられそうです。
このザック全体のメッシュポケットもかなりしっかりした生地だな、という印象です。
エピックXTのXTは「エクストリーム」のXT
全ては過酷な状況を想定してのチョイスなんだと思います。
ゴムもしっかりしていて伸びにくそう。
両サイドのボトルポケットも深めでボトル以外の物も入れられます。
個人的には口を絞れるドローコードがあれば100点でした!
ちなみに背負いながら取るのは僕は無理でした!
肩が痙って悶絶!笑
スリムで柔軟性がある方は可能かもしれません笑
ボトムも全体と同じ生地を使用しているのは生地強度に自信がある証拠。
下に付いている2本のバンジーコードにはトレッキングポールやマットを固定可能。
トレッキングポールを固定してみました。
慣れればザックを背負ったままで固定&取り外しが可能。
カチャカチャ音はするけど走ってもしっかり固定されている感じがありました。
ちなみにサイドにも固定できるゴムがあるので下のアックスループと合わせる事でピッケル等も固定可能です。
一年を通してファスト&ライトに山岳地帯を攻める事を想定しているんです。
各種ゴムコードも非常にしっかりしている質感です。
経年劣化していなければ強めに引っ張っても切れる心配はまずないでしょう。
さて、サイドのコンプレッションベルトに注目して頂きたいんです。
実はこれ、雨蓋のストラップでもあるんです。
サイドと連動させることでワンアクションで固定&コンプレッション
パーツ数も減らせるので軽量化にも繋がります。これは唸りました。
メカにお詳しいテズリンさんに聞いた話では
「少ないパーツで合理的に作る」
と、いう思想はアウトドアギアに限らず海外製品には多く見られるんだそうです。
その辺の国民性もギアに反映されていると思うと見ていて本当に楽しいですよね。
これなんかもそうなんです。
ほら、最後までキチンと締まらないんですよ笑
メインボディが固い生地だから途中で止まっちゃう笑
ただ、これはエピックXTだけの話じゃないんです。
海外メーカーの雨蓋があるザックにたまーに見られる構造なんです。
要は「上から雨蓋するんだから完全に締まらなくても落ちないでしょ?」ってことなんでしょうね笑
結果的に余計な生地や糸を使わないから軽量化につながるんです。
これ、日本のメーカーや世界規模の大きなメーカーだったら
口の部分だけ薄く柔らかい素材に変えて完全に締まるように作るはずですよね。
ここはザックの国民性だと思って楽しんで下さい笑
さて、開口部はこんな感じです。
素直に作ったボックス型の超シンプル構造。
正直、最近は開口部を広く作ってくれるザックが多いので少し残念です。
もう一つ言えばファストパッキング系のザックなので開閉にはクイックに開閉可能なシンチクロージャ―を使って欲しかったです。
メイン気室内には小ポケットを装備
幅広&浅めのポケットで使い勝手が良さそうです。
貴重品はもちろん、色も赤なのでファーストエイドキットをこのポケット内で完成させるのもいいかもしれません。
背面には取り外し可能な下敷きみたいな素材のフレームが入っています。
軽量化したい人は外してもいいし、違う物を入れてもいいですね。
ただ、このフレームはただのフレームじゃないんです。
背中側には適度な柔らかさのフォームが入っているんです。
パンチングされているので汗への対応もバッチリ。
OMMのDUOマットみたいに就寝時に使うのは幅が厳しいですが、座布団の変わりにはなります。
続いては雨蓋の内部。
マチは薄いですが広めのポケットは地図、行動食、ウインドシェルぐらいだったら余裕の容量。
キーフックも付いているので帰宅ラン等の日常使いにも便利です。
ココにエマージェンシー用ホイッスルや小型ライトを付けておいてもいいかもしれません。
ショルダーにはスタビライザーがあるのでザックを身体にググッと引き寄せられます。
身体に触れる部分には動画でも紹介されていた目が大きいメッシュを使用しています。
ノースフェイスなんかも大きなメッシュを使いますが
エピックXTはそれ以上に大きいメッシュです。
この手のメッシュを使った方なご存知かと思いますが非常に汗抜けがいいんです。
大汗をかいても毛細血管の様なメッシュはイヤな張り付きが無いんです。
手触りは見た目以上に柔らかく優しい肌当たりです。
アメリカンスタイルの方は是非、上半身裸で背負ってみて下さい笑
背中の裏にはハイドレーション用のスリーブがあります。
引っ掛けるフックがあり、掴みやすいナイロンテープ付きなのでスムーズに装着可能。
裏側はアルミ素材なので一定時間は冷たい水を楽しめます。
何だかこのザックは気が利いてますね…笑
はい、ガチムチが背負うと前面はこんな感じ。チャーシューかな?
600mlのペットボトルを入れていますが、フィット感を考えるとソフトフラスクの方がベターです。
マチが薄めなのでショルダーの生地が湾曲して浮いてしまうんです。
チェストストラップはゴム素材です。
個人的にラン系ザックのチェストストラップはナイロンテープの時代は終わったのかな?
と、思っているのでこれは時代に合わせたベストチョイスだと思っています。
25Lサイズのザックで全てゴムのチェストストラップは珍しいです。
先述したゴムはもちろん、掴みやすい形状のプラパーツもしっかりとしています。
多少荒く使っても大丈夫そうな安心感があります。
ラン系のザックは瞬間的に大きな力が加わる事も多いのでこれはとても大事な事です。
プラパーツやゴムの大きさ、太さ、形状を見ればそのブランドの真価がわかります。
あまりよろしくないザックはゴムが細かったりプラパーツが使いにくい、もしくは貧弱な事が多い印象です。
一度使うとゴムのチェストストラップは病みつきになりますね。フィット感も全然違います。
残念なのはチェストストラップの位置が上下できずに固定されている事です。
今回、特に私は息苦しさを感じませんでしたが人によってベストポジションは違いますし、
長時間行動になった時に位置を上下にずらせるのは肌トラブルを避けれたりとメリットは大きいはずです。
軽量化を狙ってか、チェストストラップを固定しているメーカーもあると思いますが私にはイマイチ理解ができません。
多少重くなろうとも、ジャストフィットこそ荷物を軽く感じられると思うのです。
このバックルもメス側の幅が狭くて合わせづらく、少し慣れが必要です。
最近この手のバックルが増えていますが流行りなんですかね?笑
ただ、このへんは使っていればすぐ慣れますし
このバックルは取り外しが非常に少ない力でスピーディーに行えます。
ボトルポケット下のポケットにはジェルやトレイルバター、手袋等の小物を収納可能です。
反対側にも同じサイズのポケットがあります。
右側にはボトルポケットでは無く四角いポケットがあります。
動画にもありましたがウォータープルーフの裏地が付いています。
もちろん完全防水ではありませんが、ある程度汗の影響も受けにくかと思います。
このポケットにはスマホが綺麗に収まります。
私の6.2インチのスマホも問題なく収納出来ました。
小型のGPSも収納可能だと思います、コンデジは厳しいです。
両サイドの肩の上にはジッパー付きのポケットがあります。
立体的なポケットでマチもあるので、少しかさばる行動食を入れたりすることが可能です。
ウエストベルトの両サイドにもマチ付きのポケットがあります。
少し取りにくいんですが私の腹周りのせいの気もします笑
とにかくポケットが沢山あるので行動中に取り出す物は外側のポケットだけで十分収納可能です。
フィールドテスト
TMEの近くの低山、誕生山(502m)でテストしてきました。
サクッと登れるとても素敵な山ですが二カ所ほど悶絶急登エリアがあります。
シャクレるキツさです。
この時のザックの総重量はおそらく3.5kg程です。
この程度の荷物はもはや何も感じません。
まさにザックを「着ている」感覚です。素晴らしかった。
ちなみにチェストストラップは一本でも十分に安定していました。
こうして見ると背面から見た印象は完全に小型のアルパインザックですね。
しかし、ベスト型なのです。
下山後に改めて2Lペットボトル2本、その他もろもろで5kg程度をパッキング。
TMEの前を飛んだり跳ねたりダッシュしながら周辺を一周しましたが揺れない揺れない。
特に感じたのは肩への負担が非常に少なかった事です。
胸側と背中側で荷重が上手く分散されている印象でした。
まとめ
ちなみに誕生山の頂上では美濃を一望できる絶景テラスがございます。
TMEに行く前にサクッとモーニング登山なんていかがでしょうか?
秋の松茸の時期は入山禁止になりますのでお気をつけ下さい。
さて、非常にバランスの良いエピックXT。
品名 | EPIC XT(エピック XT) | |||
メーカー | UltrAspire(ウルトラスパイア) | |||
写真 | ||||
サイズ | ワンサイズ(66cm~120cm)※胸部の目安 | |||
バッグサイズ | 58cm×28cm×12cm | |||
容量 | 25L | |||
重量 | 737g | |||
フレーム重量 | 227g | |||
価格 | 23,000円+税 | |||
BUY NOW |
*画像クリックでメーカーHPへ
良かった点はコチラ
- 剛性のある生地とゴム
- 汗抜けの良い大きなメッシュ
- 充実した数のポケット類
- ザックを着ているようなフィット感
- 機能満載のわりに適正価格(税込み¥24840円)
- 人とかぶらない、たぶん笑
気になった点はコチラ
- 開口部がもう少し大きいと良かった
- クイックに開閉できる構造だと良かった
- サイドのボトルポケットにドローコードが欲しかった
- チェストストラップが固定式
- アメリカンなカラーは好みが分かれそう?
良い&気になった点は以上になります。
ちなみにオススメしたいのはこんな方です
こんな方にオススメ
- ファストにライトに山を楽しみたい。
- アルプスや岩場に強い軽量ザックを探している。
- 25Lクラスのベスト型ザックを探している。
- 軽さも大事だがある程度強度も欲しい。
- 日帰りで使えるポケットが多くて便利なザックを探している。
- 人と同じザックはイヤだ!!
あえてライバルを上げるとすればOMMのファントム25辺りでしょうか。
ファントムはかなりストイックでレーシーな作りなので使うシチュエーションがある程度限定されている印象です。
その点、エピックXTは生地強度やポケット数等、非常に扱い易く、幅広いユーザーに自信を持ってオススメ出来る作りとなっています。
走らない方にもオススメしたい使いやすさなんです。
一泊二日程度のファストパッキングに挑戦したい方にも、もちろんオススメです。
この生地でしたら夏のアルプス等、ザックを岩肌に擦り付けるシチュエーションでも安心感を感じます。
ただ、容量はあくまで25Lですので、まずはTMEに置いてあるCEOの私物で是非、お持ちのギアが収まるかパッキングしてみて下さい!笑
最後にマラドーナ…ではなくブライスさんの商品紹介動画をどうぞ!
再生回数が少なすぎる!!笑(記事書いてる時で150程度でした)
ウルトラスパイアは職人気質のブランドです。
正直、派手さはありません。
オフィスの前に広がるフィールドでトライ&エラーを繰り返しながら製品造りに励んでいます。
ブライスさんは今でも現役のランナーです。
ブライスさんが1983年に叩き出したグランドティートン(4197m)の往復記録(3時間6分)は29年間破られませんでした。
グランドティートンの上部はほとんど岩登りなんだそうです。
2012年にその記録を破ったのは何と生きる伝説、キリアン・ジョルネでした(2時間54分01秒)
そうなんです、昔のブライスさんはキリアンみたいなレジェンドクラスのランナーしか破れない記録を作ったランナーなんです。
アメリカの元祖ファストパッカー、そしてハイドレーションパックの生みの親、ブライス・サッチャーが率いるウルトラスパイアが手掛けた最新作。
是非、一度手にとってみて下さい!