赤岳最難関ルート!!と、言われている真教寺尾根と県界尾根。難易度はさておき、周回ルートが取れる事に目を付けた私。久しぶりの晴れ予報の日にグルっと一周して来ました!!まずは前編、真教寺尾根編!!(文・コータロー)

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赤岳周回ルート

皆さんもそうだと思いますが、今年は本当に雨が多い。

私の休みもほとんど雨。

高山に行けないまま夏が終わりました。

 

ですが、9月の後半!!

一日だけ休みと晴天が重なる日が出現!!

 

ずっと行ってみたかった赤岳の真教寺尾根・県界尾根の周回ルートに行ってみる事にしました!!

 

噂では赤岳への一般登山道としては最難関なんだとか。

実際のところどうなんでしょう?

高尾から清里へ

この日は4時に起きてバイクで高尾駅へ移動。

始発に乗ってまずは小淵沢駅へ向かう。

早朝の高尾駅は肌寒く、短パンで来た事を後悔。

この時は、日中に30度以上になるとは思わなかった。

小淵沢駅に到着。

乗り換えで階段を上ると、漫画「スーパーカブ」のキャラクターが。

いわゆる「おっさん趣味を女子高生にやらせる系」なんですが笑

 

アニメはホンダが全面協力したんです。

痺れました。

 

物語の舞台になった北杜市も協力してたみたい。

バイク好きには「あるある」が沢山あって楽しい作品でした。

 

小淵沢からは小海線に乗り換え。

小淵沢から小諸までの78.9kmを繋ぐ高原列車。

本日のスタート地点である清里駅へ向かいます。

出発まで時間があったのでローカル線好きの私は記念撮影。

初対面の車両とはなるべくツーショットを撮るようにしています笑

実はこの小海線、日本で最も標高の高い所を走る電車としても有名。

小淵沢駅の時点で標高881mなので高尾山(599m)よりも全然高い。

車内はどことなく品があって、まるで喫茶店のよう。

色褪せたシートが懐かしい雰囲気を醸し出します。

まだ時間が早いからか、車内はほぼ貸切状態。

車窓からは南アルプスの山並みが堪能できる。

カメラ好きの若者が車内を移動しながら撮りまくっていた。

車内からこの景色は確かに凄い!

私はなぜか車内設備を撮りまくっていた笑

車内に金属製のゴミ箱があるなんて…!!

雰囲気の良い車内で一人震えていた。

私はこういう手書き風の沿線案内が好きで笑

観光地の駅前とかにもあるじゃないですか。

口をあけてボーっと見てしまいます。

100%ピュアな不審者。

清里駅に到着。

あっという間でした。

小さな踏切を渡って駅舎へ。

ちなみに清里駅の標高は1274m。

男塾フォントのイカつい看板がお出迎え。

そう、この時は男塾になるとは思っていなかった。

駅舎の外には機関車が展示されてました。

小海線は1970年代初頭まで蒸気機関車だったんですって…!!

青い空をバックに真っ白な駅舎が映えます。

地中海風とでも言いましょうか。

素敵な駅舎です。

清里といえば界隈ではファンシーな廃墟が見れるスポットとしても有名です。

バブル期は「高原の原宿」と呼ばれるほど人がごった返していたそうです。

この日の駅前は人がゼロ。

YouTubeで検索すると昔の清里の映像が出てくるんですが、マジで原宿です。

清里周辺が雑誌や漫画のロケ地に使われたのがきっかけで人が来るようになったんだとか。

バブルの崩壊と共に徐々にその賑わいが無くなったのですが、むしろあの頃が異常だったというのが現在の見解みたいです。

ファンシーショップがあった場所も今は都市型サバゲーフィールドに笑

シュールな現実に痺れます。

美し森

踏切を渡ると八ヶ岳が見えてきました。

まずは登山口がある「美し森」まで30分ほど移動します。

平日の早朝に歩いている人は皆無。

清里は東京の水源を確保するため、昭和13年に小河内ダム建設により移住してきた人々により開拓されました。

「山梨県の北海道」と言われるほど厳しい土地だったんだそうです。

戦後の清里は酪農で発展していくのですが、その辺りのストーリーにご興味がある方はこちらをどうぞ。

スコーンと晴れた空に映える八ヶ岳連峰。

今からあそこに登って帰ってくるのかと思うと「大丈夫かな?」という思いが頭をよぎります。

 

そう、この日は日帰り。

コースタイムは約9時間。

久しぶりにガッツリ歩きそうです。

 

そもそも悪天候に悩まされた今年の夏。

2000mクラスの山は本当に久しぶり。

清里駅から30分程で美し森の駐車場に到着。

ここが真教寺尾根の登山口になります。

時間は9時ちょうど。

駐車場には車が数台。

展望台に向かう観光客もいるので登山者の車なのかはわかりません。

人気の赤岳でも真教寺尾根ルートはあまり人気が無いのかな?

今回は真教寺尾根を登り赤岳へ。

その後、県界尾根を使って下山。

当初は清里駅へ戻る周回ルートを考えていましたが、隣の野辺山駅をゴールにする事にしました。

さあ行くぞ!

と、言うタイミングで最短ルートは工事中。

迂回ルートを進みます。

迂回ルートの木製の階段。

腐っているのか私が重すぎるのか、ガタガタ浮いて不安定。

振り返ると素晴らしい天気。

いやー、最高だ。

夏の終わりにやっと私の夏山シーズンが始まった笑

しばらく歩くと「美し森」に到着。

ここは展望台のような場所でした。

観光客の方がちらほら。

謎の現代アートを発見…。

窓?

椅子に座ると…。

何という事でしょう…!!

廃墟のラブホにありそうな額縁と赤岳のコラボレーション!!

何という事でしょう…!!

戦争遺跡のような展望台は休業中…!!

八ヶ岳という人気エリアなのに寂れっぷりが凄い…!!笑

つげ義春の漫画に出てきそうな風景ばかりで痺れます。

熊笹地獄

真教寺尾根へ向かう一本道を進みます。

この道を行けば、どうなるものか。

危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。

踏み出せば

その一足が道となり

その一足が道となる

迷わずいけよ

行けばわかるさ

 

猪木ーーーー!!!!

ストロングスタイルで進んでいると、なんとも歩きにくい木の階段が出現。

階段状になっているものの、絶妙に歩きにくい間隔でイライラしてくる。

だが、猪木さんは新人時代、ヒンズースクワットを3000回やっていたそうだ。

それに比べればこんな階段で弱音を吐いてはいけない…!!

気温も体温もグングン上がり、Tシャツはビッチャビチャ…!!

だが、猪木さんは馬場さんとヒンズースクワットをして汗が床上に1cm溜まったらしい。

(プロレススーパースター列伝で読んだ笑)

それに比べればこんな量の汗で弱音を吐いてはいけない…!!

己に闘魂を注入しながらガッツで登ると

「羽衣の池」に到着。

池…?

どこが…?

ここでも寂れた風景をブッ込んでくる真教寺尾根。

次のポイントである「賽の河原」へ向かう。

あ…!!あった…!!

水があった…!!

羽衣の池と言う美しい名前なのにボッサボサである。

そんな羽衣Disをしていた私に天誅が下る。

熊笹地獄である…!!

モリモリに茂った熊笹の中を短パンで突っ込んで行く。

しかもこのルート、蜘蛛の巣地獄…!!!!

3歩進む度に、まとわりついてくる蜘蛛の巣…!!

今ままで色々な山を歩いたが、ここまで蜘蛛の巣が多いルートは初めてだ…!!

少し開けた場所に出ても全く状況は変わらない。

全方向から蜘蛛の巣が襲いかかってくる。

汗と蜘蛛の巣でぐちゃぐちゃになりながら進む。

不快指数は今世紀最高。

顔の周りは蜘蛛の巣だらけ。

厄介なのは手で払っても取れないのだ。

いったいどこについてるんだ…!?

サングラスも知らぬ間に蜘蛛の巣だらけ。

これも拭いても拭いてもなかなか取れない…!!

イライラも限界を超えている…!!

いつまでこんな道が続くんだ…!?

 

ずーーーーーっとです笑

帰りてぇ!

どこまで行っても、わさわさわさわさ

美し森からたっぷり2時間近く熊笹と蜘蛛の巣だらけの急登を登るのです…!!笑

腰まで埋まるなんて当たり前!!

視界ゼロの足元では湿った木の根がソールのグリップ力をゼロに変換。

小太郎山の地獄がフラッシュバック。

やっと熊笹地獄から抜けた…!!

と、思うのはまだ早い。

ちゃーんと上部で熊笹が待っててくれてます。

地獄…!!!!

目がうつろ

もちろん蜘蛛の巣も特盛で召し上がれ。

この辺りで僕の中の何かが死んだ。

ここから先はハイライトでどうぞ…。

真教寺尾根の看板。10-2は2合目って事です。
わさわさわさわさわさわさ

笹と蜘蛛の巣で気が狂いそうになりながら登っていると、何やら機械音が聞こえてくる。

人の話し声も聞こえるぞ…!?

朝から全然人に会わないのでマジで幻聴かと思った笑

なんと、リフト乗り場ではないか…!!

このリフトは美し森の少し先にあるスキー場のもの。

そう、これに乗れば真教寺尾根序盤の熊笹地獄をショートカットできるのだ…!!

 

今だから言えますが、120%これに乗ることを推奨いたします笑

ストレス度が全く違います笑

展望デッキから聞こえるキャッキャ、ウフフのリア充サウンド…!!

様子を見に行こうか迷ったが、蜘蛛の巣だらけの汗だらけ。

腐敗臭のする私が行っても辛い思いをするだけである。

スルーして先へ進む。

賽の河原

目の前のピークに登ります

しばらく進むと「賽の河原」という開けた場所に出た。

ここはテン場にしたら流行りそう。

リフトで一気に上がってこれるし。

ダメですね。はい、すいません。

ここで小休憩。

知らない間に謎の虫に刺されていたのでリップクリームで応急処置。

最近はコレを使ってます。ミント味。

 

なおも進む。

変わり映えしない景色だと思うじゃないですか?

よく見てください。

熊笹が刈られているのです…!!

どなたか知りませんが、ありがとー!!!!

この辺りまで来ると景色も抜群。

富士山に見守られながら、グングンと高度を上げていく。

10-3…。

まだ3合目ですか…!?

安心してください。

この後から急激に間隔が狭くなります笑

設営者も苦笑いしていると思います。

壁かな?

そんな急登に思わず足が止まってしまう。

何より死ぬほど暑い…!!

このルートは真夏だと蒸し風呂でしょうね…。

「牛首山」に到着。

樹林帯に囲まれた眺望のないピークです。

ポツンとベンチがあるだけ。

長居は無用なので行動食を食べたらすぐに歩き始めました。

せっかく登ったのに下るのか…!!

その後に待ち受ける登り返しを想像すると吐きそうである。

遠くに赤岳が見える。

まだまだかかりそうだな…。

この辺りまで来ると、やっと八ヶ岳らしい森を歩ける。

最初からこういう場所を歩けると予想してたんだけどなー笑

なんだかガスが出てきて怪しい雰囲気。

アレか、山頂に着いた途端にホワイトなパターンか笑

嫌な予感がしつつも、ここまで来たら行くしか無い。

壁のような急登をゆっくりと進む。

鎖場

ついに鎖が出てきた…!!

ここからが真教寺尾根の本番といった所か…!?

ここからは鎖&急登のミックスルート。

暑い…

稜線出れば涼しいと思ってたら大間違い。

急登&暑さでノックダウン。

もう少し涼しいと思ってたんだけどなー。

あう…。

あう…。

と、口をパクパクさせながら鎖を掴む。

せめてハシゴならよかったのに…。

こんなとこや…。

こんなとこを登り…。

まだまだ続く鎖場…。

真教寺尾根の印象は「鎖場が長い」です笑

 

あぁ、まだ終わんないんだ…。

もうお腹いっぱいなんだけどな…。

 

そんな事を考えながら登りました笑

ガスは出たり晴れたり。

振り返ればとんでもねー景色が目に飛び込んできます。

気が付けば8合目に到着していました。

この辺りから岩場はさらに険しくなるので気合入れましょう。

風が吹くと汗冷えしそうだったので、岩場に取り付く前にジャケットを着ました。

先週レビューしたサラマンダー2.0を被って準備は万全。

頭デカい人の救世主!!GRIVEL (グリベル) salamander2.0(サラマンダー2.0)

 

先程も言いましたが真教寺尾根の鎖場はとにかく長い。

雨の日は絶対に通りたくないし、やめた方が良さそうです。

岩自体は大きくて安定してるんですが、ガシッと掴むと微妙に動いたりする岩もあって気が抜けません。

8合目以降は高度感もなかなか。

そこで、必殺コマンド「下を見ない」を発動。

これを使えば恐怖の半分は無効になります。

高い所って普通に怖いですよね笑

いやー本当に長い。

もっとサクッと終わると思ってました。

一人だし、誰もいないし、シンプルに心細い。

卑猥な妄想で気分を盛り上げよう思ったけど何も思い浮かばない笑

なんて事を考えてたら9合目に到着!!

もう少しだと思うと足取りも軽くなる!!

景色は本当に最高でした

と、言うのは嘘で笑

正解は「まだ鎖場あんのかよ…」でした笑

こういう危なっかしいルートを歩く時にいつも思うのが、最初に登った人のこと。

日本のデカい山を初登したのはお坊さんだったり、猟師さんが多いのかな?

 

修行の一環だと思うと、こんなルートも納得。

食い物や生活の為だと思うと、こんなルートも納得。

 

じゃあ、我々は何の為に…!?笑

わざわざ休みの日にこんなとこ歩かなくてもいいのにね笑

山頂へ

はい!

そんなこんなで真教寺尾根は終了!

権現岳方面からの登山道に合流しました!!

この道は以前、「八ヶ岳直進行軍男塾」で行った時に通ったルート!!

八ヶ岳直進行軍男塾 前編

 

ここまで来れば山頂はすぐそこです。

ガスもスッキリ晴れて最高の天気。

おっかないハシゴを登って先へ進みます。

山頂が見えた!

赤岳山頂はそこそこ人がいます。

みんな美濃戸の方から来たのかな?

PM13:40

山頂は混んでいたのでスルーしました笑

北峰にて記念撮影。

この日は北アルプスも丸見えでした。

真教寺尾根の感想は普通におっかなかったです笑

下りでは使いたくないなぁ…。

 

そんなこんなで本日はここまで!!

後編は県界尾根で下山した模様をお届けします!!

押忍!!