今回は、山で実際に出会った不思議な人、変わった人を短編オムニバス形式でご紹介。山って変わった人多いよね笑 ぎゃーーーーす!!!!(文・アツシオガワ)

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泣き叫ぶ女

南岳を出発した私は、大キレット「長谷川ピーク」にさしかかろうとしていた。

前方に男2、女1のパーティがいるのを確認。

前日に槍ヶ岳のピークで出会った大学生のパーティだ。

彼らも今日は奥穂高まで行くと話していた。

 

長谷川ピークで彼らに追いつくと何やら様子がおかしい。

 

んん!?

よく見ると…

 

長谷川ピークに取り付いている大学生の女の子がワンワンと号泣しているのだ。

しかもブチ切れている。

 

同じパーティーの男子2人に対し

 

「こんな危ねーとこ連れてきてんじゃねー!!」

「ふざけんなボケ!」

「何かあったら責任取れるんか!」

 

などなど、泣きながらブッチブチにブチ切れているのである。

 

えぇ!?

北斗晶も顔負けのブチ切れ様。

槍ヶ岳の山頂で「写真お願いできますか?」って恥ずかしそうに話しかけてきたあの女の子が!?

歌手の絢香に似た可愛らしいあの女の子が!?

えぇ!?

 

恐怖のあまり理性を失い、ブチ切れ、泣き叫んでいるのである!!

 

「怖いよー 怖いよー うぇーん。ふざけんなボケ!」

完全に絢香が壊れてしまっている…。

 

………うぉっ

 

どうしたらいいか分からず、しばらく静観していると最後尾にいた男の子が私に気付き

「すみません…」

とバツが悪そうに謝ってきた。

 

オガワ「大丈夫?」

男子A「すみません、、、大丈夫です。お先にどうぞ」

 

その言葉にハッとした彼女。

私がいることに気付くとブチ切れモードを一旦解除し、下を向いてその場に立ち尽くした。

 

謎に申し訳ない気持ちになった私は、とにかくこの3人から離れてあげる事が先決だと考え、なる早で通過しようとHピークに取り付く・・・

ってバカ!!

バカバカバカ!

 

こんな落ちたら死んじゃうポイントで先に行けってバカバカ!!

女の子が立ち止まってる所を通過したいのに、その下の危ない所を通らざるを得ないじゃないか!!

 

「怖いよー 怖いよー うぇーん。ふざけんなボケ!」

 

オガワも恐怖のあまり壊れかけたが、なんとか平静を保ち長谷川ピークを通過した。

男子AB「絢香、大キレットいこーぜ。」

絢香「やだー、こわいもーん」

 

男子AB「俺らがいれば大丈夫っしょ」

絢香「えー、じゃあ危ない所は助けてよー」

 

彼らがどういういきさつで大キレットに来ることになったかは不明だ。

 

だが、軽い気持ちやその場のノリだけで、いきなりデンジャールートに行くことは北斗晶を召喚させることになるので注意していただきたい。

 

 

六甲おろし

泣き叫ぶ女をクリアしたオガワは大キレットの核心部「飛騨泣き」にさしかかっていた。

グリベルのヘルメットをかぶり直し、集中を高めるオガワ。

 

「よし、行くぞ!」

 

気合いを入れ直し、核心部に突入しようとすると前方からソロの男性が下りてきた。

 

通過するまで待つことにしたオガワ。

目の前に現れたその男の姿に私は目を疑った。

 

ぬ!ぬおっ!!

 

なんと、阪神のユニフォームを着て飛騨泣きに取り付いているではないか!!

 

ヘルメットの下にはもちろん阪神の帽子。

昔のキスリングのようなザックのサイドにはコンビニのビニール傘がささっている。

 

ぽっこり出たお腹にぎょろっとした目。

阪神のユニフォームを着た「裸の大将」が軽やかなステップで飛騨泣きを危なげなく通過してくる。

 

「で、できる!!」

 

足元は、かなり履き込まれたザンバランのレザーシューズだ。

 

ただ者じゃないオーラをプンプン漂わせながら近づいてくる「芦屋 雁之助」

 

オガワ「こんにちは。」

 

すれ違いざまに挨拶をすると、しゃがれた渋い声でひと言

 

「まいど」

 

本場大阪の「まいど」を大キレットで聞けるなんて感無量だった。

 

阪神おじさんは今でも「飛騨泣きの虎」として僕の記憶に深く刻み込まれている。

 

 

親子

赤牛岳から温泉沢ノ頭まで戻り、ザレザレの急登を下って高天原温泉に向かっていた私。

14:00 高天原温泉に到着。

土曜日だったにも関わらず、露天風呂は貸し切り。

日やけした肌がヒリヒリして痛かったが、山奥で風呂に入れる極上の贅沢を満喫していた。

 

ここにビールがあったら最高だなーなんて思いながらボーッとしていると、事件は起きた。

 

突然、手ぬぐい程度のペライチで前を隠した女性2人が湯船に入ってきたのである!

 

ぎゃーーーーす!!!!

 

あまりに突然の出来事にオガワはパニック。

 

あ、へ?はい?

へ?へ?はい?

 

間違えて女風呂に入ってしまったのか!?

 

いやいや、囲いのある方が女性専用なはず!

状況が飲み込めないオガワ。

 

「ここここココっておおおお男風呂じゃなかったですか?」

 

女性達の方を直視できないチキンオガワは、日が少し傾きはじめた空を眺めながら訪ねた。

 

マダム「ココは混浴なのよ。女性専用は囲いがあって景色が見れないからこっちに来たの。ご迷惑だったかしら?」

 

オガワ「いやいやいやいや、迷惑だなんて滅相もございません!ただ男湯だとばかり思ってたのでちょっとビックリしてしまって・・・アハハハ」

 

マダム「私たち気にしませんので、お兄さんも気にしないでね。」

 

その後もガンガン話しかけてくるマダム。

東の空を眺めながら聞くオガワ。

 

娘さんと2人で念願だった高天原に来たそうだ。

 

。。。。

。。

む、娘さん…と?

 

直視できなかったので気がつかなかったが、なんと隣にいるのは若い娘さんだったのだ!

 

ぎゃーーーーす!!!!

 

娘さん!断りなさいよ!

いくら景色がいいからってオッサンが入ってるとこに来ちゃダメー!

 

ますます見ちゃいけないセンサーが発動し、むちうち確定の角度まで首をねじり上げていた。

 

どこから来たのかを訪ねられ、温泉沢ノ頭から下りてきた事を伝えようと、歩いてきた方角を指さした時…。

 

ついに娘さんの顔をハッキリと拝んでしまった。

 

う、ウソだろ…

か、可愛い…

 

そこには、少し日やけした「本田翼」がいたのである。

 

ま、まずい…

縦走二日目の山男には刺激が強すぎる。

 

このままでは、おれの高尾山が赤牛岳になりかねない。

これ以上は むちうちも悪化しそうだったので、隙を見て先にあがった。

 

BBGユーザーの全スケベ男子に告ぐ。

このようなラッキースケベは非常にレアケースである。

 

FANZA(旧DMM)でも「温泉 親子モノ」作品を探すのは非常に困難である。

 

変な期待をして高天原に入り浸ることだけは避けていただきたい。

 

以上、アツシオガワでした。

夏山登山楽しんで!

押忍!!