その保温性と優しい着心地、そして快適な透湿性がウケて大ヒットをかましたパタゴニアの「ナノエア」シリーズ。その中で去年、行動中の保温ミッドレイヤーとしての機能を研ぎ澄まし、満を辞して発表されたのが「ナノエア・ライト・ハイブリッド・ジャケット」だった。
暑くなって汗が出るハイクアップ時にも脱がずに居られる透湿性を維持しながら、肝となる体幹部分は最適な保温性がキープされるスグレモノ!そんな夢のような中間着を長年待ち焦がれていたユーコンカワイが「その実力やいかに?」とレッツ現場テストレビュー!今日から3回に渡ってお送りする「冬のパタゴニア特集」第1回目です!
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patagonia「Nano Air Light Hybrid Jacket」
以前BBGで、“恋人目線”という画期的な視点でレビューお送りした「ナノエアシリーズ」。
この時、ナノエアフーディの快適性とともに浮き彫りになったのは、「ずっと着続けられるって謳い文句だったけど結局行動中は暑くて着てらんないよね。」って部分だった。
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実際に樹林帯などのハイクアップ時は、透湿が追いつかずにクソ暑くなって早々に脱いでベースレイヤーになっちゃう始末。
そしてこのオーバーヒート問題に対してパタゴニアが出した答えは、ナノエアよりも保温性を33%下げて透湿性を75%アップさせた「ナノエア・ライト・フーディ」だった。
しかし僕の感覚だと、恐らくこれでもハイクアップ時は暑いように感じて手が出なかった。
かと言ってこの中間着の部分を同社の「R1」などの通気性抜群のフリースにすると、風に対して無防備になって僕の場合は汗冷えでお腹を冷やすこともしばしば。
じゃあ防風性をってことで上にハードシェルをまとえば、それはそれで内部に熱がこもって暑苦しい。
そこで渇望し続けていたのが、「体の前面だけナノエアライトで適度な防風&保温、体の後ろは透湿性バリバリ素材」という夢の中間着だったのだ。
で、そんなわがままな想いが通じたのか、そういう需要が多かったのか、見事にパタゴニアがその要望通りのものを発表してきた。
それが去年末に登場した、この「ナノエア・ライト・ハイブリッド・ジャケット」なのである。
これが出た時は「キター!これこれ、これが欲しかったのよ!」と小躍りしてしまったほど。
ではまず、そんなナノエア・ライト・ハイブリッド・ジャケットの仕様を簡単に見て行ってみよう。
仕様と特徴
このジャケットの一番の特徴が、名前の通り「ハイブリッド」な構造になっている点だ。
適度な防風・撥水・保温性が求められる前身頃が「ナノエア・ライト」で構成されていて…
背面・脇下・腕下部が、通気性と吸湿発散性に優れた「ワッフルニット」になっている。
このハイブリッド構造が、アクティブ時の保温中間着として「最適な動作温度を維持する」という特性を生んでいるのだ。
前後の通気性の差に関しては、CFM(一分間に何立方フィートの体積の通気があるか)が、前身頃40CFMで後身頃130CFMと歴然の差。
前面「適度にあったかい&防風&撥水」+背面「ガンガンの通気&吸湿発散性」=アクティブ中間着の決定版!ってなイメージ。
しかも両素材ともにストレッチが効いていて、動きを妨げることもない。
そして袖口はサムホール付きで、手の甲をしっかり保護&保温。
ハンドウォーマーポケットは、ジッパーが目立たないようになっていてスッキリとしてて良い感じ。
位置的にもハーネスやバックパックの邪魔にならない箇所に配置されている。
では雪山シーズンを前に、実際にここまでの秋冬で着てみた感想はどうだったか?
レッツレビュータイム!
使用感
行動時気温0℃〜8℃くらい、ハイクアップやアップダウンが多い樹林帯で何度か使用。
陽が出てないうす曇りで、肌寒い風が吹き続けるような状況下が多く、ベースレイヤーだけでは汗冷えして体温が低下して来るような場面が多かった。
寒さを感じてナノエアハイブリッドジャケットを羽織った瞬間、まずナノエア特有のフワッとした気持ちよさと温かさが冷えかけた体を包み込む。
そしてここから運動量の多い登りが続いても、背面のワッフルパネルからどんどん蒸気が放出されてオーバーヒートすることがなかった。
今までのナノエアフーディだったら、とても暑くて着てられないような状況でも平気で着続けることができた。
しかも蒸気が放出されるからって体温が奪われていくわけではなく、前身頃の保温性が安定しているから「ちょうど良い運動体温」を長く維持できるのだ。
今まで風による肌寒さや汗冷えを何となーく我慢してハイクアップしてたけど、それが無くなって行動し続けられたのは想像以上に快適だと知った。
風を完全にシャットアウトしてしまうハードシェルより、適度に通気性がありつつ適所で通気性が違うこのハイブリッド構造の方が冬場は安定して着続けることができるんですね。
樹林帯を抜けてより風が吹くようなシチュエーションでも、動き続けている限り涼しさと温かさが絶妙な位置でキープされるというちょうど良さ。
当然これが厳冬期の森林限界以上だったりしたらそこからハードシェルの出番となって来るわけだが、それ以外はかなり広範囲にこいつだけでどうにかなってしまう気がする。
一方、上にシェルを羽織ってこいつをインナーインサレーションとして使った場合、これまた行動中に蒸れてオーバーヒートすることはなかった(シェルの透湿性にもよるけど)。
背面のワッフルの吸湿拡散性が高いからか、何と無くベースレイヤーの乾きも良かった気がする。
特に、保熱しすぎず速乾性の高いハイブリッドベースレイヤーとの相性は抜群だと感じた。
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ただ、このジャケットは「保温着ではなくあくまでも行動着」という考え方をした方がいい。
当たり前だけど、休憩時やテント設営時などやっぱどうしても背中がスースーで寒いのです。
この辺はもうフリース中間着と同じ領域で、停滞時は別で上にインサレーションジャケットを羽織った方がいい感じ。
その場合、今度は逆に前後の保温差を感じて「何だか背中が寒ぃなあ…」と感じることもあった。
でも、そこはもう「行動着に特化したナノエアだからしょうがない」と割り切るべきポイント。
それが嫌なら、オールラウンダーのナノエア・ライト・フーディの方を選ぶべき(そうすると行動中はそう長く着続けられないけどね)。
どっちを選ぶかは、その人のスタイル次第ってとこですね。
他に感じた部分では、前後の両素材ともにストレッチが効いていて、動きを妨げられずにスムーズに行動ができた点。
全体のシルエット的にも従来の“ぼってり”としたナノエアと違い、シュッとなって見た目も良いっすね。
まとめ
やっぱり目論見通り、これはハイクアップ中に汗冷えしやすい人間にとっては「寒い時期の行動中における最適な中間着」だった。
今までフリースの中間着で、肌寒さやお腹の冷えを感じていた人にはもってこいのミッドレイヤーだ。
これで僕も、もう「前面防風腹巻」で恥ずかしい思いしながらお腹冷えを予防しなくてもいいのである!
ただ一方で、アツシオガワ(基礎体温が高く特にお腹冷えない人)は、「背面だけ違う素材でスースーするのが居心地悪くて逆に寒さを感じる」という感想を持つこともあるようだ。
そういう人は、普通にR1などのフリース系を中間着として使用した方が快適かもしれないね。
兎にも角にも、パタゴニアが「需要あり!」と判断して踏み切ったアクティブ系ナノエア。
「保温着ではなくあくまで中間着」と理解した上で、その需要にズバリハマる僕のような人には是非試してほしい一品でありました!
パタゴニア(patagonia)「ナノエア・ライト・ハイブリッド・ジャケット(Nano Air Light Hybrid Jacket)」
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アイテム名 | メンズ・ナノエア・ライト・ハイブリッド・ジャケット | メンズ・ナノエア・ライト・ハイブリッド・ベスト | ウィメンズ・ナノエア・ライト・ハイブリッド・ジャケット | ウィメンズ・ナノエア・ライト・ハイブリッド・ベスト | ||||
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画像出典:patagonia ※画像クリックでメーカーサイトへ
それではまた、雪の樹林帯でお会いしましょう。
今年は快適な運動温度をキープして楽しい冬のハイクアップを!
腹冷やしゲリ夫こと、ユーコンカワイがお送りしました。