20,000円もするベースレイヤーの機能が素晴らしいのは当たり前。だって高いんだもの。でもそれと大きな機能差がないのに1万円以下のものがあったら…?そんなコスパ重視派の心を鷲掴みにして来たのはいつだってニッポンのモンベルだ!ベースレイヤー特集第5弾!これから秋冬の山を気軽に楽しみたい人に最適なベースレイヤーはじめの一歩!いや、一歩とは言わず二歩も三歩も着続けられるベースレイヤーがここにある!
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Mont-bell(モンベル)「スーパーメリノウール EXP. ハイネックシャツ」
モンベル最強説
山屋の間で密かに囁かれる「モンベル最強説」。
BBGもこれまでいろんなウェアやギアを選定してきたが、機能や値段を総合的に判断すると「う〜ん…やっぱモンベルすげえな…」って言葉が出て来てしまう。
だって兎にも角にもコストパフォーマンスが圧倒的なんだもの。
そんなモンベルの中でも、秋冬のベースレイヤーとしてコスパが素晴らしいと高評価なのが「スーパーメリノウールEXP.」シリーズだ。
異例だけど、まず先に値段を言っとくとハイエンドモデルのこのタイプで8,500円+税。
他のブランドの同様のベースレイヤーが15,000〜20,000円することを考えると、相当なお手頃価格。
じゃあ値段相応に機能は劣るのかい?っていえば、そうじゃないところがモンベル伝説。
今回は「この価格なのにここまで優秀なんだ。へ〜。」ってな目線で、各種特徴を見て行って欲しいのであります。
素材
今回はメリノウールと化繊の混紡ベースレイヤー特集の第5弾なんだが、今までのものと比べたらかなりメリノ寄りの製品。
混紡率は「スーパーメリノウール79%+ポリエステル18%+ナイロン2%+ポリウレタン1%」と、化繊は全体の約2割ほど。
感覚的には「メリノと化繊のいいとこ取り」って言うよりは、「メリノメインでちょっとだけ化繊が吸汗速乾サポート」ってなイメージだ。
まずこのベースレイヤーは表面と裏面(肌面)の2層構造になっているのが特徴。
表面はスーパーメリノウール100%。
そして肌面が、メリノに化繊がプラスされた素材になっている。
これによって全体でメリノの保温性としなやかさなどを維持しつつも、肌面側は汗を吸いやすく、そして乾きやすい仕様となっているのだ。
そして、後述するけど、この2枚構造が保温性のアップに大きく貢献してくるんですよ。
では実際の使用感とともに、各特徴を見て行ってみよう。
着心地
まず初めて着た時の第一印象として、やはりメリノ率が高いだけあってしなやかで非常にいい感じ。
…なんだけど、さっき言った通り肌面の方の素材に化繊が使われてるため、当然メリノ100%のような着心地ではない。
むしろ着心地だけで言えば、実は裏返して着た方がメリノ100%なんで気持ちよかったりする。
とは言え、他のメリノ+化繊混紡のやつと比べたら、かなり着心地は良いと感じた。
当然メリノウールなのでチクチク感もナッシング。
しかもこいつは縫い糸に自然放電するカーボン繊維を使用してるんで、さらに静電気が起きにくい仕様となっている。
お仕事が細かいね、モンベルさん!
フィット感
モンベルのウェアに全体的に言えることだが、このスーパーメリノウールEXP.もわりかしゆったり目のフィット感。
とは言え、生地自体にストレッチ性があるんで、締め付けない程度でしっかり体にフィットしてくれる。
ちなみに僕よりシュッとしてて、かつて水泳で「豊田のトビウオ」と恐れられた逆三角形体型のアツシオガワだとこんな感じ。
まあ何気に二人とも腹に力入れて引っ込めて撮影してますが、サイズ感のご参考までに。
そしてさっき書いたけど、この「スーパーメリノウール」ってのが普通のメリノウールよりも縮れの多い繊維を使われているからとってもよく伸びるんです。
さらに本来あるはずの脇部分の縫い目がないため、ごろつき感もないし手を上げたりねじったりの動きでもノンストレス。
とにかく全体のストレッチ性が高いため、激しい動きをしてもしっかり追従してきてくれる。
さらに細かいところで言えば、袖の部分もよく出来ている。
本来袖の縫い目って、下の画像で言えば○で始まったら○に帰ってくるもんだが、
このようにスパイラル状に縫われてて、縫い目が△に帰って来てるのがお分かりだろうか?(ちょっと見えにくいけど)
おかげでこの部分も縫い目がつっぱらずにこんなによく伸びる。
これならピタッとしてても圧迫感もないし、単体で着てる時には袖をまくっても腕にもウェアにもストレスがかからない。
こういう細かいところまで手を抜かないあたりが、コスパ最強とも言われる所以。
じゃあ肝心の吸汗性、速乾性、保温性はどうだろうか?
吸汗性と速乾性
さあここでキモとなってくるのが、肌面の化繊混紡素材だ。
まず吸汗性に関してわかりやすい簡単なテストをしてみます。
表面のメリノ100%の方に、汗に見立てた人肌に温めた水をピピピッとかけてみます。
ご覧のように、すぐには吸水されずに、しばし表面に水玉が残るような感じに。
メリノは湿気は吸収しやすけど、水は弾きがちなんです。
一方、肌面の化繊混紡の方に同様に振りかけてみると、
水玉になることなく即座に吸水されていきました。
実にわかりやすい結果ね。
当然化繊が入ってる分、メリノ100%よりは速乾性(というより拡散性)が優れている。
こんな感じで汗を素早く吸い取って拡散させ、表のメリノに暖かい湿気が溜まるってな感覚。
この辺りが最初に言った「メリノメインでちょっとだけ化繊が吸汗速乾サポート」っていう特徴に繋がるわけね。
じゃあ実際にはどうだったか?
激しめなハイクアップ時、そこそこの汗をかいたが、
…そんなには吸ってくれなかったかな。
いや、正確に言えば、今回他のベースレイヤーが化繊が50%くらい混紡されてるやつだったから、それと比べたらちょっと物足りなかったってことね。
化繊少なめってことを考えても正直必要十分な吸汗性で、メリノ100%に比べたら全然吸ってくれるレベル。
アツシオガワも結構肌がドライな感じだったと言ってるし、メリノが多い割にはそこそこ乾きも早かった。
ただやはりあくまでもメリノ寄りのベースレイヤーってことで、単体使用よりも冬期に上に何かを羽織ってこそ真価を発揮しそうな印象を受けた。
保温性
それでは要の保温性はどうか?
まず良質なメリノウールを使ってる時点で当然十分な保温性はあるんだが、ウェアの構造的にも保温性を上げる工夫がなされている点に注目。
最初に表面と肌面の2層構造になっているのは触れたが、その2層を繋ぐこのシマシマのナイロン糸の部分が重要なんです。
これが「ボックス構造」っていうモンベル独自の技術なんだけど、これが表と裏の2層の間に空気の層を作ってるんですよ。
この部分が体温だったり、拡散された蒸気を溜め込んで暖かさをキープするんです。
拡散された汗がメリノに達するまでの「蒸気控え室」みたいな感じにもなるから、表面のメリノウールの機能も十分に発揮されやすいのね。
で、その空気の層もボックス状になってるから、空気が対流することなく暖かい空気が持続されるってなわけですよ。
さらに!
肌面の方は「クレープ加工」っていう凸凹した感じになってるから、肌に接触しない凹部分に暖かい空気が溜まるようになってるんです。
この「ボックス&クレープ」によって、メリノウールの保温性にプラスアルファな保温力をアドオンしてるわけですね。
芸がこまかいねえ。
で、改めて言いますよ。
これで8,500円!
どうですかお客さん!
チャンスです!
今なら布団圧縮袋1枚とプリンターもつけます!
金利手数料もいりません!
なーんてノリになってしまうのも無理のないコストパフォーマンスなのですよ。
じゃあこれも実際にどうだったか。
気温3度くらいで肌寒い中、汗もかいて汗冷えしそうな段階で、
それなりにあったかかったよ。
そりゃ所詮ベースレイヤーなんでそこそこ風が吹けば寒いんだけど、風が少ない状況だと汗冷えもなくて快適な保温性だった。
前述したように、冬期に上に何か羽織った時には安心十分な保温性が得られるなって感じる。
メリノメインなだけに、保温性は他の20,000円クラスのメリノ+化繊混紡ベースレイヤーにも全然負けず劣らずってな感じだ。
これで8,500円かあ…。
やっぱすげえな、モンベル…。
まとめ
たまに高校野球とかでいるよね。
スター選手はいないんだけど全体の能力が平均して優秀で、結局スター選手がいる強豪校を倒しちゃうところ。
このベースレイヤーはまさにそんな感じで、各機能にずば抜けたものがあるわけじゃない。
シルエットだって決してかっこいいわけでもない。
でもトータルで考えると、とても優秀。
そこに8,500円+税ってコスパが乗ってくると、結局のところ「モンベル最強説」は今後も揺るぎないものとなるんですよ。
とりあえず秋冬のベースレイヤーをお探しで、ある程度予算を抑えたい人には断然お勧めできる一品でございます。
Mont-bell(モンベル)「スーパーメリノウール EXP.」Men’s
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Mont-bell(モンベル)「スーパーメリノウール EXP.」Women’s
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この価格帯なら、日常使いから厳冬期の雪山まで幅広く対応できてガンガン使い倒せますね。
はじめの一歩って書いたけど、ほんとその先も長く支えてくれること間違いなし。
噂通り「なかなかやりおる」というベースレイヤーなのでありました。
それではまたお会いしましょう。
山に行くたびにいろんな私物をなくしたり壊したりする男。
ロストパフォーマンス高めのユーコンカワイがお送りしました。