何かとふかふかなマットがもてはやされる昨今。しかし今こそ私は声を大にして言いたい。君たちは欧米か!と。畳&せんべい布団で寝てきたジャパニーズ魂を忘れてやしないか!と。──さあ、もう重く嵩張る欧米マットにはグッバイだ。ニッポンのこだわり山好き集団エバニューによる“これでええじゃないか精神”が詰まった超軽量「FPmat」。『薄くて硬い、だからいい。』これぞ日本人のマットなのである!
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EVERNEW(エバニュー)「FPmat」
FPmatへの道!
長年ずっと感じていた違和感。
それはエアマットに対する超個人的見解である「ふかふかはなんだか寝づらい問題」だ。
まずこの時点で「ええ〜俺はふかふか派だよ」という人は、さっさとこの記事を閉じてハンバーガーでも食いに行くといい。
おそらくふかふかベッド文化の欧米人ならあれでいいのかもしれないが、小さい頃から畳の上でせんべい布団で寝てきた僕には居心地が悪いのだ。
なんかいつのまにかその高いマットから落ちて直寝してることもしばしばだし、テント内で膝立ちするような時は地面の凹凸がダイレクトに膝にきて痛いわ、パンクには気を使うわで、「あーもう!」ってなってここ数年はめっきりクローズドセルのマットを愛用するようになっていた。
現状ではやっぱり王道であるサーマレストの「リッジレストソーライト」が、寝心地的にも暖かさ的にも(R値2.8)使い勝手がよかった。【楽天/Amazon/yahoo!で見る】
ただご覧の通りクローズドセルマットはスーパー嵩張って、バッックパックの外付けでの存在感が半端ないのだ。
おかげで何度も岩に当てては体勢を崩されるし、ハイマツの枝攻撃にさらされてボロボロに。
あと川原で寝るような時は、素材が柔らかいから石ころなどの突き上げで寝心地の悪い時もあった。
この「スーパー嵩張り外付け問題」と「石の突き上げ柔らか問題」だけが、このマットに対する不満点だった。
リッジレストはこれはこれでいいから、もっと別に割り切ったマットが欲しいなあ…。
厚みと長さは最低限でいいから、超軽量で嵩張らなくて硬いマットが欲しいなあ…。
そんな時だった!
ここでついにあの「こだわりが細かすぎて伝わらない」でお馴染みのエバニューさんが、「わいに任しときィ!軽くて嵩張らんくて硬ったいマット作ったるきィ!」と立ち上がったのだ。
そして出来上がったのが、2017年7月の展示会でユーコンカワイを感動死に追いやった一品。
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それがこの別名「ユーコン殺し」とも言われる、エバニューの「FPmat」なのである。
幅は50cmで、高さのサイズ展開は「4つ折り100cm」と「5つ折り125cm」の二つ。
今回は「まあ長かったら切って残った分は座布団にでもすりゃいいかシステム」を発動させて125cmをチョイス。
ちなみに125cmのサイズ感はこんな感じね。
枕とバックパックがある分はマットいらないから、125cmあれば十分なサイズ。
100cmは折り目一つ分(25cm)なくなる感じなんで、上の写真見てわかるように100cmでも寝るには必要十分です。
そしてそんなFPmat125の実測重量はわずか188g。
メーカー公称値の200gよりも実測値のが全然軽いってのがまた、奥ゆかしきエバニューさんらしい誤差だ。
それではそんなユーコン殺しのジャパニーズマット、じっくり検証して行ってみよう。
お硬いのがお好き!
兎にも角にも「必要最低限」を目指しつつ、マットとしての快適性も「ギリライン」で目指したFPmat。
その厚みはわずか「5mm」。
ペラい!iPhoneよりペラい!
「おいおい、こんなペラくて大丈夫なのかい?」と思わず突っ込みたくなるが、ここからがそんじょそこらのペラい奴らとは違うところ。
こいつは「ペラい」くせに「硬派」というとんでもない矛盾を抱えた“ハイブリッドペラ夫”なのである。
なんせ硬いもんだから、ペラいくせに石による突き上げを感じにくい。
例えばこの指差してるところの下にはそこそこの小石がいるんだが、ご覧の通り見た目はフラット。
もちろんその硬さと適度な反発力のおかげで、体の下に小石や木の根が来てもさほど気にならない。
テント内で着替える時とか、膝をついてもエアマットみたいに凹まず快適そのもの。
これがさらに「石の突き上げパーティー会場」と言われる川原とかだと、その効果はよりありがたく感じることができる。
今までだったら、煩わしい石の突き上げに対して「ふふ…寝ながら背中のコリも解消されて一石二鳥だぜ」なんて言い聞かせていたが、もうこれで自分に嘘をつかなくてもいいのである!
とかく「重量は抑えたい」「でも川原で快適に寝たい」なんて矛盾には、やはりこのハイブリッドペラ夫こそがふさわしいのだ。
しかしこれを見て、欧米かぶれのふかふかマット派は「でもそんな硬いんじゃ寝られないじゃないか!」なーんてハンバーガー食べながら言うのかもしれない。
しかしこいつはこのペラさのくせに、絶妙なラインの反発度を誇る。
それはまさに「畳」と言ってもいい感覚。
日本人なら誰もが味わったことのある、あの「畳の上でごろ寝する快感」が、なんと山や川原で味わえてしまうのである!
その秘密は、開発時にあらゆる配合と検証を重ねたこの絶妙な発泡倍率(硬さ具合)にある!
相変わらず「こだわりすぎて伝わらない」というエバニューらしさ全開のわかりにくいこの感じ。
とにかく真の山好き山男が何回も実験と失敗を経て獲得した、「硬度・耐久性・反発度」のベストギリラインがこの硬さと薄さだったわけ。
まさに薄くて軽くて硬い、「持ち運べる畳」なのである。
寝心地と遮熱性!
寝心地は前述の通り、畳の上でごろ寝できる“侍たち”には全然行けるレベル。
軽さと薄さを考えれば、思いっきり「アリ」な寝心地だ。
ただ、やはりその薄さゆえの問題はある。
遮熱性や保温性という面で、やっぱ夏場以外の使用は厳しいかもしれない。
外気温が10℃以下になってくると、若干地面の冷気を感じてしまうのだ。
僕自身は8℃くらいの時から、腰などの深く圧がかかる部分に若干の寒さを感じた。
で、試しに前回の北ア五竜岳テン場(5℃)で、我が奴隷にそれを味わってもらったところ、
彼は朝方に「底冷えが…底冷えが…」と唸っていたので、やはり快適限界ラインは8℃くらいの状況下だろう。
ただこれも考えようで、5℃くらいの状況下でもFPmatを二つ折りにして、腰の部分に座布団とか持って来てやればまだまだ頑張れる。
ふかふか派のみなさんは「HA!ストイックが過ぎるぜ!これだからジャパニーズはよ!」なーんて七面鳥とか食いながら言うんだろう。
しかし侍である以上、畳の質感を維持しながらどこまで己の限界に挑戦できるかはやはり追求していきたいじゃない。
で、この「二つ折りwith座布団システム」で5℃まで乗り切ったら、そこでお役御免にならないのもFPmatのいいところ。
そっから先は、既存のマットの下に敷いて「保温性&硬度アップ」を担う縁の下の力持ちに早変わり。
これで寒さ厳しい秋冬も活躍間違いなし!
エアマットの場合は突き上げによるパンク防止にも持ってこい!
テントの下に敷いて、テントの汚れ防止&傷つき防止にも!
若干後半は畳み掛けるように無理やりメリットを挙げた感があるが、要するに「夏場利用のみ」の人も「ストイックに使い倒したい」って人も「秋冬をもっと快適にしたい」って人など、その人の用途に沿って年中使えるのがこのFPmatなのである。
スッキリ収納&背面パッド兼業!
ではクローズドセルマット最大のデメリットである「嵩張り」に関してはどうか?
リッジレストと比べたら、当たり前だけど一目瞭然の違い。
なんつってもロールタイプじゃない「折々タイプ」ってのがミソだ。
ロールタイプだと嵩張る上にバックパックに外付けしなくてはいけない。
これは邪魔だし、場所によっては岩などに当たって滑落の原因ともなって非常に危険だ。
しかし折々タイプだと、バックパック内にサクッと入れることが可能!
リザーバーポケットの後ろとかに忍び込ませられるレベルなので、テン場に着いた時にはその存在すら忘れてしまうほどだ。
しかも背面パッドがなかったり、背面ステーが取り外せるタイプのUL系バックパックなら、こいつがそのまま「背面パッド」として見事に機能してくれるのである。
サイジングといい硬さといいパーフェクト。
制作過程からこの仕様を意識して作られてるだけに、当たり前といえば当たり前。
この「嵩張り問題をなくした上で+α一つ上の有効利用も貪欲に」って言う姿勢が実に良いじゃない。
実際に10kg程度の荷物なら、超絶快適に背負うことができた。
FPmat一つ持ってれば、今後のULバックパックの選び方も変わるだろう。
あとはロールタイプだと「巻きグセ」がついてるからセッティングの時鬱陶しかったりするが、こいつなら「パタパタパタ」で完了ってのもいい。
折り目のところもがっつり潰れてるわけじゃないんで、コールドスポットもありまへん。
吸水しない素材による恩恵!
FPmatは水を含まない素材からできている。
なので、水辺での使用や、雨でテント内ずぶ濡れってな状況にも強い。
湿った地面上に寝るフロアレスシェルターにも相性がいいだろう。
そこで個人的にイチオシしたいのが、「パックラフトのフロアシート」としての利用だ。
パックラフトのフロアは市販のエアマットなどを使用することが多いが、全然こいつで十分だ。
そもそもこのフロア部分は保温と石の突き上げ防止の役目が大きく、まさに硬いFPmatがもってこい。
濡れても保水しないからすぐ乾くし、エアマットみたいにパンクの気を使わなくても済む(しかもエアマット高いからこういうとこに使いにくいのよね)。
特に冒険的なパックトランピングの際はアホみたいに大荷物になるんで、嵩張るマットがバックパックの中に入るのは大きい。
あと、寝る時に使うからマットは濡らしたくないってな沢泊の場面でも、濡れた服のまま堂々と座布団として使えるのもグッド。
これであとはFPmatが座椅子になるような超UL座椅子早変わりセット(よくエアマットのオプションであるやつ)なんて出た日には最強だ。
エバニューさんならいつかやってくれるんじゃないだろうか…なーんて期待をしてしまう所である。
まとめだ!
一見ストイックに寄りがちに見えながらも意外と快適ってなギリラインマット。
比較対象としてはOMMのDuomatなどが挙げられるが、Duomatがストイックなマウンテンレーサー寄りのアイテムだとしたら、FPmatはもう少しハイカー寄りの汎用性の高いマットなのかなと感じた。
山好きの人が「俺が欲しいから理論」で突き詰めて作ってるだけあって、そこには無駄なものも一切の妥協も存在していない。
さすがはユーコンを感動死に追いやったマットである。
また嬉しいのがお値段もお安いこと。
そこもまたエアマットにはない魅力の一つとも言えるだろう。
EVERNEW(エバニュー)「FPmat」
アイテム名 | FPmat 100 | FPmat125 | ||
アイテム画像 | ||||
サイズ | 100cm×25cm×厚み0.5mm | 125cm×25cm×厚み0.5mm | ||
重量 | 160g | 200g(実測188g) | ||
メーカ価格 | 2,600円+税 | 3,000円+税 | ||
BUY NOW |
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さあ、畳&硬い布団派の侍たちよ。
今こそFPmatを持って立ち上がれ。
「あいつはペラい」と言われようとも構わないじゃないか。
心に一本「硬派」がいれば、意外と快適に過ごせるものなのさ!
それではまたお会いしましょう。
ペラカワイでした。