時は来た!人は新しいアイテムを買った時は良い所にばかり目が行きがち。しかし実際に何度か使い込んでから初めて色々な問題点を見い出す事ができるってなもの。BBGが2017年注目のファストハイク用シューズとして絞り込んだこの2足のシューズ。散々そいつらを履き込んだ上で、今雌雄を決する比較総括が始まるのである!
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ホカオネオネ「Tor Speed 2 mid wp」 VS アルトラ「LONE PEAK 3.0 MID」
おさらいとして今回の対決の基準項目を書いておこう。
今回BBGがシューズ選出に際してこの2足を選出したのは、以下の項目をクリアしていたからだ。
- トレラン用ではなくあくまでスピードハイク用
- 足首の保護を考慮したミッドカットのもの
- 悪天候を考慮に入れて防水のもの
- だけど透湿性の高いもの
- 軽量なのは大前提
- 評価も高く注目度のあるもの
その上でそれぞれのシューズのファーストインプレッションは、以前がっつり書かせてもらっている。
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今回はこの時以降、ハイキング使用だけじゃなく積極的に山でも使えるのか?という観点で二人がこの2足のシューズを各地で履きまくった上で、改めて感じたことを各カテゴリーごとに対決形式でお送りする。
そして最後にそれを表にまとめて雌雄を決します。
ただもちろん「靴」っていうジャンルは、その人の足型によって合う合わないが変わってくる分野。
今回の結果は、あくまで資料として購入の参考にしてもらい、実際に店頭で履いて検討して欲しいのであります。
ちなみにアツシオガワは甲高・幅細め(ワイズE・ギリシャ型)で普段26〜26.5cmの靴。
ユーコンカワイは甲低・幅細め(ワイズE・ギリシャ型)の足型設定で、普段27〜27.5cmの間の靴を使用しています。
自分の足型を知りたい人はこの記事↓を読んでみてね。
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第1ラウンド 防水性対決
ホカオネオネ(eVent)vsアルトラ(ネオシェル)
ホカオネオネ Tor Speed 2 mid wp
【Good】
通常使用なら必要十分の防水性!
渡渉を繰り返したり雨の中でも浸水なく無問題。
あえて水たまりの中をじゃぶじゃぶ行ってみたが大丈夫だった。
【No Good】
とはいえ当然全くしみて来ないわけじゃない。
土砂降りの中で5時間ほど行動した後に多少染み出した。
防水性は高いが完全防水ではないため、土砂降りが続いたりヘビーな渡渉が多い場合は浸水の可能性はある。
アルトラ LONE PEAK 3.0 MID
【Good】
小雨程度なら全然OK。
晴れしか狙わないハイカーには必要最低限の防水性。
【No Good】
正直何度も渡渉が続いたり、数時間雨の中で行動してるとじわじわと浸水してくる。
そもそも100%シーム処理されてないから、当たり前といえば当たり前。
防水性に関しては「小雨が凌げる程度」と割り切って、あまり過度な期待はしないほうがいい。
第2ラウンド 透湿性対決
ホカオネオネ(eVent)vsアルトラ(ネオシェル)
ホカオネオネ Tor Speed 2 mid wp
【Good】
悪くはない…ってな印象で概ね満足。
汗かきで靴下ビチャ夫になりがちなアツシオガワでも、長時間ハイクアップしてもビチャ夫になることはなかった。
【No Good】
もちろん中が常時サラサラってわけじゃなく、靴下もしっとりはする。
暑い日は蒸れる..ってのは当たり前で、それはどの防水シューズにも言えることだ。
アルトラ LONE PEAK 3.0 MID
【Good】
防水が弱くても透湿重視のネオシェル素材なので、他のシューズに比べたら汗抜けは間違いなく良い。
前述した通り防水性はあまりないが、逆に浸水した靴内の乾きは早かったので、やはりそこは汗抜けの良さにも繋がることだろう。
【No Good】
ネオシェル素材なんだが、シューズの場合ウェアほど恩恵は感じにくい。
防水が弱かった分、正直ネオシェルである必要性を感じず、だったら非防水生地で透湿性バリバリ素材を使ってくれた方が良かったかもしれない。
ローカットのローンピークは防水と非防水を選べるので、ミッドも選べるとユーザーとしての選択肢は増えるだろう。
もしくはネオシェル素材を活かすために、しっかりとシーム処理を施して完全防水にしてくれると積極的に雨天の山でも使用できる。
第3ラウンド フィット感対決
ホカオネオネ(バケットシート型ミッドソール)vsアルトラ(フットシェイプデザイン)
ホカオネオネ Tor Speed 2 mid wp
【Good】
足を包み込むようなミッドソール形状は、厚底でもしっかりグネリ防止にもなってフィット感もグッド。
特にアツシオガワのように甲高・幅細めの人にはバッチリフィット。
アツシオガワは何度も何時間も使用してるが、今まで痛くなったことはない。
【No Good】
土踏まずが低め(扁平)の人は、シューズの土踏まず内側部分の突き上げ部分に違和感を覚えるかも。
扁平のユーコンカワイはその部分が微妙に横ずれして、長時間使用してるとちょっと痛みを感じた。
足首は柔軟性はあるがアルトラより薄いので、ホールド感って意味では少々物足りない。
アルトラ LONE PEAK 3.0 MID
【Good】
幅広のトゥボックス(つま先)は、とにかく締め付け感やストレスがなくて痛くならない。
特に登りの時は靴の中で足先がフリーになって疲れにくい。
正直このフットシェイプデザインは一度使用すると病みつきになる快適さだ。
足首周りやタンの部分は厚めのクッションでホールド感もバッチリね。
【No Good】
登りでのメリットが下りではどうしてもデメリットになってしまう。
BBGの二人は足幅が細めのせいか、下りの時に足先が動いてしまってホールド感に欠ける印象があった。
特に中指が出っ張りぎみ(ギリシャ先細型)のユーコンカワイは、常時中指が当たってしまって途中から痛くなってしまった。
足幅が広めで中指があまり出っ張ってない人(エジプト型やスクエア型)にはジャスト仕様だが、そうじゃないと下山時に少々苦労はする。
この辺りは自分の足型をしっかり認識して判断することをお勧めします。
第4ラウンド グリップ力対決
ホカオネオネ(ビブラム・メガグリップ)vsアルトラ(デュラブルラバー・トレイルクロウ)
ホカオネオネ Tor Speed 2 mid wp
【Good】
メガグリップの名の通り、非常に優れたグリップ力だった。もちろん全く滑らないわけじゃないけど。
濡れた木の上でもしっかりグリップしたし、「こりゃ絶対行くでしょう」ってとこにあえてテスト的に挑んでも滑らなかった。
非常に優秀な上、ソールパターンも優秀で、しっかりブレーキ+推進力に転換する配置がなされている。
概ね満足なグリップ力で、積極的に雨の岩稜帯でも使えると感じた。
【No Good】
これは全シューズ共通かもしれないが、やはり激しくぬかるんだ泥には弱い。
実際に何度も滑ってしまった。
アルトラ LONE PEAK 3.0 MID
【Good】
硬めなので耐久性は優れてて、長持ちはしそう…かな。
晴れた日の濡れてないトレイル使用なら十分なグリップ力。
【No Good】
ただはっきり言ってしまうとやっぱり雨や濡れたトレイルでは、まあよく滑ってくれた。
濡れた岩場はもちろん、ぬかるんだ泥道、濡れた木の根、挙句は濡れたアスファルトまで。
何度も濡れ岩で滑って思いっきりケツを強打してしまい、危険なことこの上なかった。
雨の日の岩場の多いアルプスはとてもじゃないが無理っぽい。
あくまで晴れた日のロングトレイル向けのアウトソールだと感じた。
第5ラウンド 推進力対決
ホカオネオネ(メタロッカーテクノロジー)vsアルトラ(ゼロドロップ)
ホカオネオネ Tor Speed 2 mid wp
【Good】
ファーストインプレッションでも力説した、ロッキンチェアーのようなメタロッカーテクノロジーがすこぶる調子良い。
特に何も意識しなくても、普通に歩いていれば自然と前へ前へと足を運んでくれるイメージ。
ソールも厚くてフカフカの履き心地なんだけど、その厚底の感じも特に気にならずむしろ気持ちいい。
アウトソールのメガグリップの独特なソールパターンも推進力に好影響を与えているのがわかる。
【No Good】
特に見当たらない。
アルトラ LONE PEAK 3.0 MID
【Good】
つま先と踵の高低差がないゼロドロップの形状は決して推進力を生むものではない。
その分フラットな状態で歩けるので、どこか一箇所が集中して痛くなることがない。
違和感のない自然な足運びが可能で、山歩きに大切なフラットフッティングをしっかり意識して歩くことができる。
【No Good】
前述の通り推進力という面ではゼロドロップの形状だとあまり感じない。
NoGoodじゃないけどメリットにも感じなかった部分として、重い荷物を背負った際に、今までの前かがみの癖もあってかゼロドロップだと後ろ比重に感じてしまう。
ただそれほどは気にならない。
おまとめ採点!
最高レベルを10点とし、BBGの二人が現場で感じた感覚を元に採点しております!
メーカー名 | ホカオネオネ | アルトラ |
アイテム名 | Tor Speed 2 Mid wp | Lone Peak 3.0 MID |
防水性 | 8 | 6 |
透湿性 | 7 | 8 |
フィット感 | 8 | 9 |
グリップ力 | 8 | 6 |
推進力 | 9 | 7 |
合計点(50点満点) | 40 | 36 |
ホカオネオネ40点、アルトラ36点。
ってことでBBGがチョイスした、2017年注目のファストハイク用シューズの「BEST BUY GEAR」はホカオネオネの「Tor Speed 2 Mid wp」となりました!
前述の通り、その人の足型によるところがあるからあくまでも参考値だけどね。
てなことでまとめると、甲高・幅細めの人で、アルプスの岩場も想定したオールラウンドなシューズはTor Speed 2 Mid wp。
足幅広めで中指があまり突出してない(いわゆるエジプト型)、晴れた日のロングハイクが多い人はLone Peak 3.0 MID。
個人的にはローンピークは広めのトゥボックスがほんと快適だったから、非常に惜しいアイテムだと感じました。
100%シーム処理で防水性を高め、中指部分にもう少し余裕があり、かつソールがビブラム・メガグリップだったら完璧な1足だったなあって。
次回4.0に期待であります!
ちなみに今の要望をわりかし満たしてるシューズも実は今BBGでテスト中。
ローンピークには及ばないけどトゥボックス広めで、中指に余裕があり、かつ非常にグリップ力に優れ、透湿性は劣るけどゴアテックス素材の安心の防水性を有しちゃったコイツ。
INOV8(イノヴェイト)の「ROCLITE 325 GTX(ロックライト325GTX)」である!
なんだよ!また迷わすのかよ!ってツッコミが入りそうだが、日々進化するこの世界に答えなぞないのだ。
ユーザーのみんなが今その時に一番自分にあったモノを選べるよう、BBGは常にテストして意見を発表し続けるのみであります。
このロックライト325GTXはまた近いうちにレビューいたしますね!
それではみなさん。
この答えの出ない沼のような世界を今後もBBGとともに楽しんでいきましょう!
素敵な迷走ライフを!
またね!