メリノウール(防臭・しなやか・保温性)か!それとも化繊(速乾性、耐久性、通気性)か!
この時期になるとモノ好きな奴らの間で長年論争が繰り広げられて来たベースレイヤー問題。それは幕末期における薩摩か長州かに匹敵する問題だった。しかし今年!モンテインという名の坂本龍馬が、「プリミノ」と言う名の歴史的な薩長同盟を成功させたのだ!ベースレイヤー特集第2弾!そんなプリミノに、プリケツのユーコンカワイが挑んでいざ検証ぜよ!
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MONTANE「PRIMINO」
プリミノ同盟(薩長同盟)締結!
幕末の混乱から150年。
登山界において、ベースレイヤーの素材は「メリノウールなのか!それとも化繊なのか!」という新たな混乱が生じていた。
その二大勢力は長く犬猿の仲と言われ、まさに幕末期における薩摩(メリノウール)と長州(化繊)の関係性のよう。
登山者の間でこの時期になると各地でこの論争が勃発し、長年にわたり「どっちが正解なんだ!!」と悩まされてきた。
西郷どん(メリノウール)は「おいどんらの主張は、臭くねえ!しなやかな着心地!そして保温性でごわす!」と言い、桂小五郎(化繊)は「僕らの主張は、速く乾く!耐久性抜群!通気性もあるんじゃ!」と叫ぶ。
お互いのメリットの部分がまさに相手のデメリットを補うのだが、この二国は今まで別の道を歩んできただけに仲が悪くて協力し合わない。
故に我々登山者はそのどちらかを選ぶしか選択肢はなかった。
例えば汗をかくハイクアップ時は長州(化繊)を身にまとい、テン場に着いてからは保温性と着心地を重視して薩摩(メリノ)に寝返るなんてこともしばしば。
どっちにしても薩摩単体や長州単体では、厳しい山(幕府)に対して力不足。
しかし…
もしその2つが手を組んだとしたら…?
そこで動いたのがイギリスの坂本龍馬こと「モンテイン」!
龍馬は薩摩と長州の仲を取持ち「おんしらが手を組みゃあ快適な倒幕(ピークハント)も夢じゃないき!着心地良くて臭くなくて保温性もあって、そんでもって速乾でタフで通気性抜群の連合軍ができるんじゃ!今こそ薩長同盟じゃきぃっ!!」と暗躍。
こうして出来上がった素材が、メリノと化繊が手を組んだ薩長連合軍「プリミノ」なのである。
要するにメリノウールと化繊の混紡素材で、内訳は「メリノウール50%、PrimaLoft®25%、ポリエステル25%」。
薩長で例えるならば、西郷どん25%(メリノ)と桂小五郎25%(プリマロフト)が1本の糸になり、大久保どん25%(メリノ)と高杉晋作25%(ポリエステル)も一本の糸となり、その2本が巧みに織り込まれてるのがこの奇跡のプリミノ同盟なのである!
そしてここで注目なのが25%配合の桂小五郎(プリマロフト)の存在だ。
プリマロフトってのは超微細なマイクロファイバーで作られた人工のダウンのような素材で、ダウンとは違って水に濡れても保温性を維持することができるってなもの。
それでいて軽くてソフトな生地なんで着心地も良いと来た。
そもそもメリノウールにそのプリマロフトが織り込まれてる素材なんて存在せず、西郷どんと桂小五郎が手を組むなんて龍馬にしか考えつかなかったレボリューションである。
それではそんな「プリミノ」をじっくりと観察&検証いこうではないか。
サイズ感と着心地
プリミノには薄手の「140」と厚手の「220」が用意されていて、それぞれクルーネックタイプとジップネックタイプがある。
今回これからの季節を見越して220のクルーネックタイプ(前年サンプルタイプだけど)を中心に見ていくが、その前にまずそれぞれのサイズ感を見ていこう。
モデルのユーコンカワイは171cm、お腹とおっぱいがぽっちゃり気味の猫背で顔デカで乳首立ち気味の本厄中年だ。
同じような人は少ないかもしれないが、この手のモデルさんって大概シュッとしたでかいムキムキ外人さんが多いんで、日本人的には参考になるかと思う。
- プリミノ「140」Tシャツ M着用
ムチムチの僕としては常時腹に力入れてへっこませなきゃいかんが、ベースレイヤーはぴっちり目が効果大なのでちょうど良い感じ。
ただ気を抜くとビフォーライザップになってしまうから、こうなりたくない人は糖質制限しましょう。
夏場の使用はもちろん、秋冬の寒い時期には220の下に着ても良いでしょう。
着心地はとてもしなやかで、チクチク感もなく、大変心地いい。
静電気的なものも感じない。
- プリミノ「140」ジップネック M着用
同じ140のロングスリーブでジップネックタイプ。
袖はちょい長めだけど気にならない程度で、裾が長いから行動中にまくり上がることもなく快適。
僕は首が太いんで、全部締めるとちょっと苦しい。
- プリミノ「220」L/S Tシャツ M着用
メリノ感が強めなのか着た瞬間はちょっとひんやり感あるが(メリノ100%に比べたら全然ないけど)、すぐにほんのり暖かくなってくる。
今回のは前年の試作モデルなのでMでも大きめに見えるが、現行品のサイズ感は140の方と一緒なのでそちらを参考にしてもらいたい。
220の方だが、行動中に関しては、通気性がいいので厚手の220でハイクアップしても内部で蒸れることは一切なかった。
そして記憶に新しい、あの「ブリザードプレゼン大会」の時も、緊張で脇汗だくだくの状態の時でも蒸れる事は一切なし。
普段着としてもかなり優秀な着心地で、僕が高給取りなら5,6枚は買い溜めておきたいほど。
着心地に関しては化繊的な違和感は全く感じず、非常に好感触である。
速乾力&保温力
「速乾力」は長州勢(化繊)の見せ所。
まずハイクアップ時に発生する汗に関して。
今回はドライレイヤーは着ていない状態だが、まず薩摩(メリノ)のおかげで汗は素早く吸い上げられていく。
その後の速乾に関して、やはり薩摩ではありえない速さでドライに持っていく長州勢。
ただしめちゃくちゃスーパー速乾ってわけじゃなく、どことなくしっとりさは残る感じ。
当たり前だが化繊オンリーの方が速乾力はある。
でもそれだと汗の蒸発と一緒に体温まで奪われちゃうんだけど、多少保水してもプリマロフトの保温性が生きて来て、メリノと相まって体幹は冷えることがない。
速乾の補助としては「日光」「体温」「風」の3要素があるが、僕の場合まず基本的に日光があまりなく、その上で基礎体温も低く冷え性で「自家発熱能力」が低い。
プリミノ単体の速乾力は感じるんだが、時に「自家発熱能力」の個体差によっては速乾性は感じにくいかもしれない。
事実僕の場合太陽の出てる状態で風があるような状況下でも、なかなか乾かなかった事もあった。
しかしこれも「じゃあこれがメリノ100%だったら?」ってなると、断然乾きが良いと感じる。
以前メリノ100%のベースレイヤーで大惨事になって↓全く乾かなかった事思うと雲泥の差だ。
今までメリノ100%で全然乾かずに苦労した人間にとって、プリミノの速乾力はやはり目を見張るものがあるのである。
そして自家発熱能力が低い人間でもご安心。
上に薄手の化繊ウェアかウィンドシェルなどを羽織れば、プリマロフトの保温性と相まって汗は即座に乾いていく。
ある程度熱が加わらないと、プリミノ本来の速乾力は発揮されないのだ。
プリマロフトはある程度「空間」があって保温の真価を発揮するところがあるから、わりかしアウターがものを言うところがある。
故に単体として使うのも良いが、個人的にはやっぱ「ベースレイヤー」としての優秀さを推したいところだ。
もちろん自家発熱能力が高く、オーバーヒートしがちな人間(アツシオガワみたいな)には単体使用でかなり快適ドライに過ごせるはずだ。
あと、テン場で「いつまでも濡れた化繊は着てたくない」とメリノウールに着替える人がいるが、プリミノの場合、汗で濡れててもテント建ててる間には乾いてるからそのまま快適に過ごすことができる。
メリノの防臭効果のおかげで匂いもしないし、着心地もいいから快適そのもの。
ある程度濡れてたとしても、ダウンとか着て「着乾かし」ができるから、そのまま翌日の行動まで持っていくこともできるのはありがたい。
一方で、やっぱさすがに「びちゃびちゃ」になった時の速乾力は期待できない。
一日中クソ冷たい雨に打たれ続け、レインの透湿も追いつかなかった信越トレイルでは、常時じっとりと濡れて全く乾く気配がなかった。
自家発熱能力はほぼない状態で、陽光もないから乾いていく要素がない。
こうなった時、従来の化繊ベースレイヤーでは冷えていく一方だった。
しかしメリノウール+プリマロフトの西郷桂コンビのおかげで、低体温症になるような事態からは逃れることができた(寒いのは寒いんだけど大冷えはしない)。
もちろんこの上に化繊の保温着を着ての話だが、そうする事でここまで濡れてても適度な保温力をキープしてくれたのは本当に助かった。
状況によっては低体温症になって行動不能になる可能性もあるので、こういう極限時にはプリミノのありがたさが身にしみた。
なお、25%の高杉晋作(ポリエステル)のおかげで耐久性もバッチリで、バックパックのショルダー擦れなども全く見受けられなかった。
毛玉もほとんどできていない(小さいのがないわけじゃないが全く気にならない)。
まとめ
この手の「いいとこ取り」アイテムはとかく中途半端な感じになることが多いが、プリミノは確実にベースレイヤーの新しい方向性をしっかりと示した気がする。
個人的にはもう少し速乾力があったらなって感じだが、前述の通りその辺りはアウターで空間を作ってやることで桂小五郎がなんとかしてくれる。
今後の展開として、わき下や背中上部などは長州勢(化繊)単体に任せて、他をプリミノで構成するようなハイブリッドベースレイヤーも出て来たら面白そうだ。
とりあえず現時点で、メリノ単体や化繊単体使用で何かしら不満を抱いている人は、間違いなく試してみる価値のある一品である。
MONTANE(モンテイン)「PRIMINO(プリミノ)220」Men’s
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MONTANE(モンテイン)「PRIMINO(プリミノ)220」Women’s
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MONTANE(モンテイン)「PRIMINO(プリミノ)140」Men’s
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MONTANE(モンテイン)「PRIMINO(プリミノ)140」Women’s
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さあ、皆さんもそろそろメリノvs化繊の内乱を鎮圧して、プリミノ同盟でベースレイヤーの新政府を作ってみてはいかがでしょうか?
140と220持ってれば、オールシーズン使い倒せますよ!
他にもプリミノ素材使ったこれらのアクセサリーも豊富。
ベースレイヤーで気に入ったら是非試してみよう。
個人的には140ボクサーあたりが気になるなあ。
もしくはプリミノを使った、冬季用のソックスなんてのも出たらプリマロフトの保温性と相まって面白そうだ。
それではまた山で会おうきに。
メリノも化繊も仲よう手を組んで維新を成し遂げようぜよ。
ユーコンカワイがお送りしたぜよ。