2017年、ユニークで実用的なアイテムを世に出し続けるパーゴワークスが、人気商品ニンジャタープ用のネスト(インナーテント)を発表!その注目アイテムをBBG編集部はいち早く入手し、あらゆる状況を想定してこの1ヶ月半「海岸・川原・山中・雨天」とひたすら使い倒して徹底現場検証。この忍者の最適なフィールドを見つけ出せ!

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ニンジャネスト只今参上!

タープの開放感×テントの安心感=かつてない居住空間

その一言が、このアイテムの全てを物語っている。

実際タープ泊の開放感には憧れるものの、やっぱりテント的な要素がないと不安だし、虫の対策も面倒そうなんて思っている人は多い。

そんな人にとってこのニンジャネストは待ってました言わんばかりのアイテム。

しかも張りやすいと人気のニンジャタープとの組み合わせ商品なので、タープ泊初心者には嬉しい限りだ。

重量はニンジャタープが500gで、

ニンジャネストが650g。

合計1,150gなのでソロとしては重いが(それでもテントよりは軽くてすごい広い)、二人でタープとネストを分担して運べば実に軽量だ。

メーカーとしてもあまり過酷な環境下で、積極的なUL目的やソロ使用で使うというより、自然の中で「数人でゆったり使ってのんびり過ごして欲しい」という緩めのコンセプト。

野外フェスや森林限界以下のテン泊地、リバーツーリング時の川原泊がメイン使用として想定されている。

フィールドテスト

ってことで、BBGとしては「想定される色んな状況下で実際に使ってからレビューしよう!」と、この1ヶ月半色んな場所でフィールドテストして来た。

・シーカヤックなどで想定される「海岸泊」

・リバーツーリングなどで想定される「川原泊」

・スルーハイクなどで想定される「低山泊」

・雨天になった時の「雨中泊」

徳島、和歌山、滋賀、岐阜と各地に出没し、まさに忍者の如しである。

さらにはソロ使用と二人での使用もそれぞれ体験。

よく考えたらソロでタープだけの場合、夏場はバグネットが必要だしフロア用のシートも持って行くから、なんだかんだ言って800gくらい行ってしまう。

だから快適性・利便性考えたら1,150gでも十分ソロ使用として現実的。

特に「ULにこだわらず多少重くなっても快適に過ごしたいんだ!」っていう人や、荷物に余裕があるリバーツーリング時にはソロでも十分に選択肢となり得るからだ。

それではそれを踏まえて、諸々ニンジャネストの良いところや改善点など色々検証して行ってみよう。

設置方法でござる

張りやすさがウリのニンジャタープ同様、セットアップは猛烈に簡単だ。

普段自立式のテントしか張ったことない人でも、慣れれば自立テントと変わらないスピードで設置可能。

タープから張ってもネストから張ってもどちらでも設置可能だが、今回はタープから貼るパターンで説明していく。

 

  1. ニンジャタープを張る
    四隅を約30cmのとこでペグダウンか石で固定。
    トレッキングポールや木などをリングに通して立てて、ガイライン引っ張って調整。
    リングはこんな感じ。

    反対側も立てて4箇所のガイラインを引っ張って形を整える。以上。
  2. タープの支柱(ポール)と同じ位置にガイライン穴を引っ掛ける
    タープの下にネストを入れて、ネストのガイライン(輪っかになってる)をポールに通す。
    下から見るとこんな感じ。

    わかりやすくタープ外して拡大するとこんな感じ。ガイラインが輪っかになってる。
  3. コードを1mくらい先の位置でペグや石で固定
    そこから伸びたガイラインを1mほど離れた位置にペグか岩で固定。

    反対側も同様に。
  4. 四隅をペグや石で固定

    ネストの四隅にあるガイラインをタープのペグに引っ掛けて調整して完成。

慣れれば5分とかかりません。

もちろん先にネストを建てて後からタープをかぶせるパターンもありです。

タープ4隅のペグがネストの4隅と併用できるため必要最低ペグは6本。

ただ正直ネスト側のガイラインが少々短いため、ペグ6本だけで綺麗に張るにはコツがいる(特にタープから張った場合タープがピンと張れない)。

多少重くなっても良いから、ネスト側のガイラインが最低でもあと20cm長かったらよかった。

なので石で設置する場合は、綺麗に張るには結局10箇所の固定が必要だったりする。

その流れで、海岸で流木と石を使った設置の模様を動画にしましたんでご覧ください。

このように慣れるほど設営も早くなり、現場のものだけで設置できるようになる。

なんというか使えば使うほど、慣れればなれるほどにこの組み合わせが好きになっていく。

ペグよりもちょうど良い石があるなら石のが張りやすく、リバーツーリング時の川原は持ってこい。

ただしそれなりに場所を取るため、山中などではある程度の広さのある場所を見つけるのがちょっと大変でした。

ペグありきの場合はあらかじめテン場状況が分かってる場所に限ったほうがいいでしょう。

居住性はどうでござるか?

広い。実に広いです。

普段一人用のテントに慣れてる人は特にそう感じることでしょう。

荷物がなければ大人3人でもいけるけど、実質は荷物ありきで2人使用が快適ライン。

実際に源流釣り釣行時に2人で山中で泊まったが、全く窮屈さも感じず、2人だけどソロで寝てる気分になれるくらいの余裕があった。

合計1,150gでこの居住性を手に入れられるなら、荷物分担で2人で使用するには本当に最適な重量と快適さのバランスだ。

ただあえて苦言を呈すとすると、現状長辺側が190cmなんだが、正直200cm〜210cmは欲しいところ。

172cmほどのこの2人だと、窮屈さこそ感じなかったが、若干上下にも少し余裕が欲しいなと思ってしまった。

なので180cm以上の身長の人はちょっと窮屈さを感じるかもしれない。

ただ手裏剣型で長辺の短いニンジャタープありきで作ってるだろうから、これ以上大きくできない事情もあるだろう。

可能なら長辺側がタープ40cm、ネスト20cm伸びたビッグバージョンも商品展開されるとより快適性は高まるんだけど…。

似た商品ではMSRのTHRU-HIKER MESH HOUSE 3(スルーハイカー メッシュハウス 3)があるが、こちらのネストは長辺が213cmもある。

出典:MSR ※画像クリックでメーカーサイトへ

ニンジャネスト180 x 190 x 100cmに対し、MSRは162 x 213 x 96cmとやはり外国モデルらしく長辺側に余裕がある。

ただし比べるにしては値段もMSRのが13000円も高いし、フルメッシュなので両サイドからの雨の吹き込みに対しては心配だ。

そもそも「ニンジャ」と名が付く以上日本人向けモデルってことで、ある意味190cmってのが絶妙なラインのサイズなのかもしれない。

むしろこの広さをソロで使ってると、快適すぎてもはや出る気が失せてしまう方が問題だったりする。

ぐうたらなニンジャにはもってこいの巣(ネスト)なのである。

 

メッシュパネルはどうでござるか?

前後がフルメッシュだからタープ泊の開放感を損なわないニンジャネスト。

実際に朝目覚めて目を開けた瞬間、川原では目の前に絵画のような情景が展開し、

虫もおらずメッシュパネルを開け放って迎えた海岸泊の朝などは、起き抜けからこの絶景と開放感。

こんな贅沢な目覚めはそうそうできるものではない。

何よりも虫の多い山中で寝る場合、このメッシュパネルがあるかないかで全然睡眠の質は変わってくる。

この日はそこそこ暑い日だったが、メッシュの風通しとタープの日陰感と両サイドの遮蔽感は気候のいい日の昼寝にもってこい。

お子さん連れのデイキャンプや野外フェスの時にも重宝するだろう。

まさに積極的な野営道具というより、その場の空気感を安心感を持って楽しむためのアイテムだ。

 

ちなみにこのメッシュパネルはセンターで簡易的に仕切ることが可能。

メーカー的には「焚き火や炊事をする傍らでもう1人がゴロ寝できるように」という配慮だが、完全に閉まるわけじゃないので虫は入リます。

 

その他の特徴はどうでござるか?

まず一番は約15cmほどあるこのバスタブの高さ。

これが小雨の時の泥の跳ね返り予防や、ネスト内の部屋感をアップさせて全体の「安心感」を向上させている。

そしてジッパーはとても開閉がスムーズで、ひっかかりもなく全くストレスは感じない。

そして内部にはマチ付きのメッシュポケットがあり、小物を入れるのに何かと便利。

そして室内のセンター天井部にはショックコードが設置されており、

ここにランタンなど吊るせば室内灯にもなる。

長い夜、2,3人で小さな晩酌テーブルでも囲みながら談笑するには最高だ。

欲を言えば、横になった時頭側にももう一個吊るす場所があれば読書灯になったりするから便利だ。

 

あとは何気に色々と物が干せるってのが良い。

あまりぼたぼたと水が滴るようなものはダメだけど、こうすればタープの下に干すこともできる。

たちまちどっかの公園のホームレス感が漂ってしまうが、タープの下で朝露に濡らすことなく干せるのは一つの利点だった。

 

雨の時はどうでござるか?

雨が降った際は、このようにタープを閉じた状態で、ネストの片側が開くのでA型テントとして使用可能。

ただしあくまでも「小雨程度」への順応と考えたほうがいい。

そして地面の状態も、水はけがいい地面か川原なら問題ないが、保水してしまうような山中の雨中泊はあまりオススメはできない。

テストのために以前、土砂降りとまではいかないがそこそこ雨が降っている状態の山の中でテストをしてみた。

まず前室に関してだが、どうしても手裏剣状のタープの形状のせいで庇面積が少なく、ギリギリ内部に雨が吹き込むか吹き込まないかといった状態。

試しに前室で調理してみたが、正直雨が多少吹き込んで快適に調理できない。

ただ雨の跳ね返りに関しては高いバスタブのおかげでだいぶ遮断できた。

それでもやはり突風的な巻き上げる風が吹いた時は、タープがめくれて少々吹き込むことも。

問題なのはフロアの部分。

30Dのシルナイロンなのだが、保水した地面のせいもあって、じんわりと浸みてきて…

1時間くらいでこんなことに。

シルナイロンの生地自体は傘のようにパンと張った張力で防水性を高める素材なので、少々重くなってもボトム部分は完全防水生地を使用して欲しかった。

この日は特に地面の保水状態がひどかったんで、水はけの良い整地された場所ならここまでのことにはならないと思う。

なので急な小雨程度には対応できるが、積極的に雨が想定される山での使用はあまりお勧めはできない。







 

ニンジャネストへの要望

メーカーコンセプト自体は比較的緩めの「野外フェスや森林限界以下のテン泊地、リバーツーリング時の川原泊」ってところなので、現状のスペックで十二分に機能は果たしている。

正直使うほどに好きになっていき、つくづくよくできていると唸ることも多かった。

その上であえて要望点をまとめるとしたら以下の感じ。

  • 横長の(330cm×290cm程度)ニンジャタープLがあると便利
  • ネスト4隅のガイラインをもう20cm以上長く
  • ボトム部分の補強と防水性のアップ
  • メッシュ側に前室スペースのある1.5人用程度のネストが欲しい

 

特にソロで雨の日でも積極的に使えるような、ボトム強化版1.5人用ネストがあれば個人的にはかなりそそられる。

例えばこんな感じのもの。

今後現行製品をよりブラッシュアップして行くのか、それともこのような1.5人用ネストなどの横展開をして行くのか、面白いアイテムだけに大きな期待を持って注視していきたいですね。

あとは細かいけど収納袋がキチキチで出し入れしにくいので、少し余裕のあるシルナイロン製サタッフサックだと良いかなとも。

もしくはタープとネストをセットで入れて圧縮できるサイズの防水サック(これは市販でありそうだ)ならなお便利。

 

そんなあなたにベストバイ

  • タープの開放感に憧れるけどタープだけはちょっと不安
  • 野外フェスによく行く
  • 整地された水はけの良いキャンプ場が多い
  • 基本雨や風が強そうな予報の時は行かない
  • 二人で行くのんびりスルーハイクが好き
  • 1~3人で行くリバーツーリングも好き
  • 源流釣行時のベースキャンプが欲しい
  • 穏やかな自然の中でのんびりしたい
  • 意中のあの子と二人きりでニンニンしたい

 

PaaGo WORKS(パーゴワークス)「NINJA NEST(ニンジャネスト)」

出典:PaaGo WORKS ※画像クリックでメーカーサイトへ

価格 24,000円(+税)
カラー グレー
サイズ 1800x1900x1000mm
重量 約650g
主素材 ナイロン30Dシリコンコーティング
付属品 スタッフバッグ

PaaGo WORKS(パーゴワークス)「NINJA TARP(ニンジャタープ)」

出典:PaaGo WORKS ※画像クリックでメーカーサイトへ

価格 18,000円(+税)
カラー グレー
サイズ 2800x2800mm
重量 約500g
主素材 30Dシルナイロン
付属品 ガイライン6本、スタッフバッグ

ベストシチュエーションとしては、天候の良い日のカップルでの穏やかなスルーハイク、そして1〜2人のリバーツーリングでしょう。

天気のいい日にちょっとしたデイハイクして、ネストの中でのんびりコーヒー作ったりも。

このセットを持っていれば、そんな感じののんびりとしたいろんな場面で活躍してくれることでしょう。

そしてメーカーさんも言ってますが、本当に居心地よくてタープの中から出られないんです。

山でグダグダ、川でグダグダ、海でグダグダ。

日頃社会で頑張ってる忍者のみなさんも、たまには任務を忘れてグダグダしてみませんか?

それではまた会いましょう。

ユーコンカワイでした。