そんなに急いでどこ行くのさ?別に頂上にこだわらなくてもいいじゃない。せっかく山に来たのなら忙しい下界のことは忘れて、のんびり歩こうよ。今回ご紹介するNruc(ヌルク)さんのバックパックを背負うと不思議とそんな感覚さえ覚えます。80’sスタイルを彷彿とさせる「KARLOFF(カーロフ)」のファーストレビューはもちろん、無駄を極めた名作まで一挙ご紹介します!(文・アツシオガワ)

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Nruc(ヌルク)というブランド

先日のコータロー氏による「オフグリ潜入記」でもご紹介させていただいた「Nruc」さん。

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インスタでシュールワールドを展開する「inouewood」なる怪しげな男に僕は以前から惹かれつつあった。

体を張って笑いを取る西寄りのBBGと相反する、「おぎやはぎ」的な独特の空気感で魅了する東の「inouewood」。

関東はお笑いまでオサレなのか!ガッデム!(田舎者コンプレックス)

そんなinouewoodさん=Nrucさんがつながったのは実は最近のこと。

inouewoodさんの「遊び心」+Nrucさんの「センスのいいデザイン」=大好き

気づけば、今一番欲しいザック&気になるブランドになっていた。

デザインと素材

まずは外見からチェックしていこう。

縦長の大きなフロントポケットと左右に設けられたスクエアポケットが特徴的なデザイン。

KARLOFFの制作秘話をお伺いしましたので、ご紹介します。

[aside type=”normal”]私が登山に出会ったのは15年前で、当時のギア愛は今のギア愛とは少し違いました。当時の私たちが夢中になったのはギミックや懐古感で、ザックにおいてはその象徴だったのがフレームザックやキスリングでした。個人的にはやはりこの思想の復活に憧れていたんですが、ただリバイバルするのではなく、今の時代に合わせて進化させるほうが面白いと思い、何度も試作を重ねてこのKARLOFFのカタチにたどり着きました。なので、オマージュを捧げるという意味ではサイドポケットはマストでした。縫い付けるか取り外し式にするか大いに悩みましたが、「考える事を楽しませる」という意味で取り外し式を採用しました。[/aside]

どこかクラシカルでレトロな雰囲気は、フレームザックやキスリングの影響(オマージュ)なんですね!

素材にX-Pacを使うことにより、現代風にアレンジされたデザインがとてもカッコいい!

サイドのポケットは取り外しが可能。

縫い付けてしまうことも考えられたそうだが、「考える事を楽しませる」という意味で取り外し式を採用されたそう。

やっぱりこういうギミック感はワクワクするよね。

2箇所のボタンと下部のループで固定されてるだけなので、現場でも簡単に脱着ができる。

取り外したポケットは、左右のループを使って紐を取り付ければ、サコッシュにトランスフォームなんてこともできそう。

テン場の周りをウロウロする時も、コレに財布・携帯・カメラ入れて持ち運ぶのもアリだね。

細めのベルトなら取り付けられそう。(ウエストベルトには取り付けが可能)

左右のポケットを取り外すとまた違った印象に生まれ変わる。

スッキリして、サイドポケットなしVer.も実にカッコいい。

荷物の容量や気分に合わせて簡単にカスタマイズできるのはいいね。

 

フロントに設けられた2箇所の大きな縦型ポケットは、サイドの止水ファスナーを使って開閉する。

両サイドにはゴムの入ったボトルポケット。

メイン気室へのアクセスはトップのジッパーを開閉するスタイル。

ロールトップデザインのバックパックは、ジッパータイプが一番使い勝手がいい。

荷物を目一杯詰め込んでロールできなくても、ジッパーさえ閉まればパッキングできるし、口を合わせてロールするのって結構めんどくさいんですよね。

マジックテープだと開けるたびに毎回バリバリいうし、ウェアの袖口がマジックテープに引っかかって毛羽立っちゃうしねー(特にメリノウール系)。

 

中はもちろん、シンプルな一気室。

背面側には薄めのウレタンパッドが標準装備。

布のしきりに通してあるだけなので、簡単に取り外しもできる。

僕が長年愛用している切りっぱなしZ(Zライトを切ったもの)もINすることができた。

Just フィッツ♪

エバニューのFPマットも入ります。

 

センターにはポールなどが固定できるようになっている。

NrucさんのHPでは、ローカスギアさんの伸縮ポール(CP3)が取り付けられた写真が載っているが、折りたたみ式のZポールも装着することができた。

こんな食材調達ギアも余裕でパイルダーオンできちゃうのです。

TENKARA

受けがないから、スポンっといかない可能性もないわけではないが、下部のバンジーコードがしっかり固定してくれるので、よほど大丈夫だろう。

心配だったら、ボトルポケットに挿してもOK。

下部に設けられたループ状のテープは、工夫次第で色んな使い方が出来そう。

「考えることを楽しむ」

みなさんならココをどんな風に使いますぅ?

 

背面はいたってシンプル。

M、Lサイズで背面長が異なります。

Lサイズ(左)とMサイズ(右)

ショルダーハーネスはやや広めで約7cm。

D環とは少し異なる形状のフックパーツもついている。

パットのボリュームは薄め。

チェストストラップはスライダー式。

ホイッスル付き

 

ウエストベルトは細めの簡易的なものがついている。

重量&サイズ感

Lサイズの実測が615g。

このサイズ感で600グラム前半は軽い!

両サイドのポケットを外すと実測575グラム!

「無駄の一歩先」をコンセプトにしたバックパックではあるが、十分軽い。

サイズ感は、ガチムチの僕が背負うとこんな感じ。

173cm、72kg、ムチムチ体型。Lサイズ

肩幅がある僕が背負うと少し細めに見えてしまうが、とてもいいバランスとサイズ感。

156cmの鬼殺しSちゃんがMサイズを背負うとこんな感じ。

ブラックもカッコいいんすよ〜。

収納力

35L設定ではあるが、外側のポケット類を使うと35〜40Lといった印象。

推奨重量上限は10キロ。

実際、夏山テン泊想定の装備が収納できるかパッキングしてみた。防寒着&テントマット入れるの忘れた・・・。

これぐらいの荷物は、余裕で収納可能。

メイン気室の上部にはまだまだ余裕がある。

外側のポケット類は、収納力がありとても使いやすい。

まずは、サイドポケットの収納力を見てみよう。

コンデジ(RX100M3)は余裕のヨっちゃんで入る。

行動食(トレイルバター&カロリーメイトゼリー)も、もちろんヨっちゃん。

さすがにコイツは無理か・・・と押し込んでみたハンモック(eno  Super Sub)

パンパンですが、入りました。すげー。

縦長のポケットは、言うまでもなくもっと荷物を入れることができる。

コンパクトなレインであれば上下セットでヨっちゃん。

ローカスギアの「Khufu HB(インナーメッシュ)」いけちゃうかなー?

いけた!

撤収で最後にテントを外ポッケに入れてパッキングが完了できちゃうのは、便利だなー。

ん?なになに??

鬼殺しSが隣で何やらブツブツ言ってます。

鬼殺しS

ゴリ…じゃなくて、CEO!大変!大変!四合瓶が入らないんです!!あとちょっとなんです!!ココ私にとっては死活問題なんです!!

無理やり押し込もうとする鬼殺しS
アツシオガワ

鬼殺しメンバー、落ち着け!ボトルポケットなら入るだろ!?

鬼殺しS

あ♡入りましたー♡

あまり皆さんには参考にならなかったと思いますが、四合瓶は縦長ポケットには入らないが、サイドのボトルポケットには入ることが検証で明らかになりました。ナンノコッチャ



背負い心地

テン泊装備を入れて鬼殺しSと低山を3時間ほど歩いてきました。

お互い、重量は約7kg。

シンプルな背面は、背中全体を使って背負う為、重量が上手く分散されウエストベルトが簡易的なものでも、肩だけに負担がかかることはなかった。

薄めのショルダーハーネスがどうかなー?と思っていたが、幅があるので肩が痛くなることもなく、想像以上に背負い心地が良かった。

下手くそなパッキングをすると、背面のパットが薄いため、荷物の凹凸が背中や腰に当たることがある。

気になるときは中のパッドを少し厚めのものに替えるか(切りっぱなしZオススメ)、上手にパッキングし直そう。

下りでも荷物が揺れることなく、バランスもよかった。

雲梯でSASUKEの練習をしても背中にフィット。

だれがモンキーやねん

 

鬼殺しS

ゴ、CEO、もっとガッツリ背負ってみたいっす!

アツシオガワ

よし、Nrucさんに怒られたらオレが責任取るから行って来い!

※Nrucさんにはハードには使いません。ということでお借りした笑

といって送り出したのが、テン泊白馬三山男塾。

推奨重量上限10キロを大幅に上回る15キロを背負っての登山。

同行したYくんも同じく15キロ。

Yくん 170cm、63kg、スリム!うらやましい!

推薦重量をオーバーしているため、二人の感想は参考程度に聞いてほしい。

まず、実際にテン泊装備(一泊二日)を入れると容量的にはギリギリ。でも入る。

最上部まで荷物をパンパンに入れると、ストラップの長さが足りず、クローズドセルマットを頭に付けることができなかった事が残念とのこと。

二日目の後半になって肩への負担を少し感じたが、推薦重量上限をオーバーしているにも関わらず、背負心地はよかった。

ただ、日帰りか小屋泊の装備(10キロ以下)が快適に使用できるラインでしょうね。

とのことでした。

白馬ブルーにKARLOFFが映える!

Yくん、鬼殺しメンバー、感想&いい写真ありがとー!

リクエスト

僕からのリクエストは3つ。

1つ目は、メインコンパートメントへの開口部がもう少し開くといいなーという点。

もう少し開口部がガバっと開くと、パッキングもしやすく、中の物も取り出しやすくなると思う。

2つ目は、止水ジッパーの改善。

メインと縦長ポケットは直線なので、まだもたつくことは少ないが、両サイドのポケットはカーブしているため、止水ジッパーが開け閉めしづらい&よく噛む。

BUDDY22のレビューでコータロー氏も言っていたが、防水バックパックじゃなければ止水ジッパーじゃなくてもいいんじゃないかなーと僕も思う。

3つ目は、縦長ポケットの開口を上から開くようにして欲しいなぁという点。

ちょっと分かりにくいかもしれませんが、白い点線の用に開閉できると荷物の出し入れがもう少ししやすくなる気がします。

入らなかった四合瓶も少し頭は飛び出しても、収納することができるしね笑

LANCASTER&BT-63 CASE

Nrucさんには、他にも魅力的なアイテムがあるので、サラッとですがご紹介させていただきます。

まずは、今回紹介したKARLOFFの弟分?「LANCASTER(ランカスター)」というバックパック。

こちらは、コーデュラ500というキャンバス地っぽい生地を採用。

カーロフ同様にレトロクラシックなデザインが可愛いんすよ。

カラーはTan

容量は15L。

ゆるめの日帰りハイキングにはもってこいのデザイン&サイズ感。

[aside type=”normal”]ランカスターの制作秘話:根本はKAROFFと一緒ですが、KARLOFFの試作に行き詰まっていた時に、息抜きで製作したのがLANCASTERでした。キスリングをよりミニマムに、そしてもちろん唯一無二のフォルムにしたいという思いで制作しました。中が見えない無駄な作り込みになっているサイドポケットは「80年代のCMだったら、あのポジションからチップスターが出てくるだろう」という発想がそもそもの始まりで(笑)、そんなワクワクさせる事を優先した結果がこの無駄な両サイドのフォルムになりました。[/aside]

すぐに取り出せるようにレインやウィンドシェルを入れることを想定するのではなく、まさかのチップスター始まり笑

Nrucさんらしい♪

HPで見たときは「女子向けかなー」って思ってたけど、いざ背負ってみると「男が背負ってもアリだな」って思った。

いや、アリっていうか欲しい・・・チップスター入れて歩きたい笑

 

最後にご紹介するのがBBG臭がする(失礼)こんなアイテム。

2017年に発表され、今やNrucさんの代表作?となった「BT-63 CASE」!

X-PACを使ったボックスティッシュケース!!

しかも、庶民にはなかなか手を出しづらい「鼻セレブ」専用設計!生意気!笑

ポケットティッシュでは手に負えない鼻炎&花粉症ハイカーの為に作られた、名作中の迷作です。

なんだこの無駄なアイテムは!笑

しかもこれ、まーまー邪魔くさいです笑

前からボックスティッシュぶら下げたヤツが現れたら、間違いなく目をそらしますよね笑

なんと、御本人レベルになるとダブルでいっちゃってます。

Instagramより

こんな人が山頂でウロウロしてたら、メシも食わずダッシュで下山決定です。(失礼)

商品説明文も面白いんで、是非HPをチェックしてみてください。

ヤミ金ウシジマくんのようなドヤ写真には、ちょっとイラッとするんで注意してくださいね笑(失礼)

しかも、このBT-63に飽き足らず、さらに新作が今年2018に発表予定とのこと!

ポケットティッシュ→BOXティッシュ→ときたらアレですわね笑

Don’t miss it!

購入方法

こちらの「Nruc」さんのHPからお買い求めいただけます。

SOLD OUTの商品が多いですが、ある程度製作がまとまった段階でまとめてネット投入するスタンスをとっているそうです。

時間はかかるけど、メールでのオーダーも物によっては可能とのこと。

ネット分とは別に店頭分の在庫は確保しているそうなので、メール等で問い合わせすれば在庫を回す事が可能な時もあるって!

気になる商品があったら問い合わせフォーム、もしくは直接アトリエに行ってみよう!

ちなみに、KARLOFFは現在(2018年7月)3ヶ月待ちだって!ぬおー!!スグほしー!!笑

まとめ

KARLOFFを中心にお届けしました、Nrucさんのセンスあふれるアイテムの数々いかがだったでしょうか?

最後に「Nruc」というブランドに対する想いを聞くことができましたので、ご紹介させていただきます。

[aside type=”normal”]山を通した私個人としての表現活動の中のひとつに「もったいない登山」という、山頂(登頂)を一切特別扱いしない登山を10年以上細々と行なってきました。年々それにエンターテイメント性が備わっていって今はとにかくゆるい登山スタイルになっていったわけですが、その根底にあるのは「山の事故を減らしたい」といった実は真面目な信念でした。山の事故がなかなか減らない理由のひとつが「登山者が真面目過ぎる」事だと私は考えています。真面目過ぎるから登頂への不必要な執念が生まれてしまう→無理をする→余裕が無くなる→事故につながる。だから”ヌルさ”や”ゆるさ”が必要だと思い続けてきました。そして、その個人の表現活動とモノ作りを上手くリンクさせられないか、という試みがNruc(ヌルク)というブランドになりました。なので、そのまま”ヌルい”という意味の「ヌルク」です。ただ「ヌルい=不真面目」ではなく、あくまでも心に余裕を与える考え方であり、真面目と不真面目の間で臨機応変にやりくりする事だと思っています。Nrucの商品はそれを生むためのギアである事。更には”答えを提供する”よりも”考えさせる事を楽しませる”ブランドである事、そして何よりもエンタメ寄りの山ブランドである事を信念として活動しています。
ちなみに、英語でNrucとなった由縁は、「英語4文字が一番カッコいいのでは(UCLA的な)」という単純なもので、一番しっくりくる並びがコレでした。笑[/aside]

「無駄の一歩先へ」

Nrucさんは「無駄」というワードで謙遜的に表現していますが、決して否定的な意味の「無駄」ではなく、「遊び心」「優しさ」「笑顔」そんな想いがNrucの「無駄」には詰まっているなぁと、今回お借りしたアイテム達から感じました。

ストイックにシンプルにもいいけど、時には笑顔でゆっくりNrucと楽しむ山もいいものです。

以上、アツシオガワでした!

押忍!