ベースレイヤーは沼。こだわり始めたらキリが無い底なし沼です。そんな中「一度着ると他のブランドが目に入らなくなる」そんな声が聞こえてくるのがアークテリクスのベースレイヤー。実際はどうなんでしょう!?今季購入した二着をレビューしました。(文・コータロー)
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名作
アークテリクスの化繊ベースレイヤーには
Phase(フェイズ)という名作シリーズがありました。
現在は廃盤です。
Phaseは吸水する糸と、撥水する糸を交互に編んで作られたPhasic(フェイジック)という生地を使用。
とにかく乾きが早く、着心地が良いのが特徴でした。
何度かアップデートを繰り返しながらアークの定番としてラインナップされ
一度着たらファンを通り越して信者になる者が続出。
私も若旦那もその一人でした。
そして、同じ素材を使ったMotus(モータス)というシリーズもあり
大きな違いはシルエットでした。
タイトでスポーティなシルエットのPhase。
適度なフィット感でデイリーにも着れるMotus。
それぞれ、生地の厚さで数種類がラインナップされ、細分化が進みました。
ところが、ここ数年でPhaseが廃盤になりMotusに一本化される事になったのです。
はい!
そんな感じで、昔話をすると複雑なので一度忘れて下さい笑
今回はアークテリクスのベースレイヤーを使った事が無い方に向けた記事。
過去の話はざっくりで良いと思います。
ざっくりまとめると…
- アークのベースレイヤーは以前から評価が高かった。
- 最近はラインナップを絞って選びやすくなった。
- 最新モデルは更に生地が良くなってるらしい。
以上です!
今季購入したMotus AR フーディとRho LTフーディ。
使用した感想をレビューしたいと思います!
現在、アークの秋冬モデルにラインナップされているベースレイヤーは
Motus(モータス)シリーズと
Rho(ロー)シリーズです。
さらにそこから生地の厚さで
- SL(スーパーライト)
- LT(ライト)
- AR(オールラウンド)
と、細分化されています。
(SLはMotusのみ)
そもそも、MotusとRho
この秋冬2シリーズは何が違うのでしょう?
かなり乱暴に分類すると
- Motusシリーズ→ラン、スピードハイク用、速乾モデル。
- Rhoシリーズ→ハイク、スキー、スノボ、冬山汎用モデル。
異論は認めます笑
とにかく秋冬にどんな熱量のアクティビティをするのか?
アナタは暑がりなのか寒がりなのか?
それが選ぶ際のポイントになっていると感じました。
Motus AR Hoody 各部詳細
Motusってどんなウェアなの?
そう聞かれたらズバリ
「速乾性に優れたウェア」と答えます。
公式サイトにもトレイルランニングなどの高負荷向けとの記載あり。
秋冬で滝汗をかきそうなシチュエーションで着るモデルです。
今回購入したのはMotus AR フーディ。
他にクルーとジップネックがありますが
フーディ好きの私は迷わずこちらを購入。
それでは細かい部分を見て行きます。
生地はポリエステル100%のPhasic™AR II。
Phase時代に好評だった生地の最新モデルです。
表面はツルッとしていて伸縮性があり
着心地も肌触りも良好。
上から重ね着をする際もスムーズです。
裏地は微細なグリッド状になっていて
肌触りはサラサラした感じ。
縫い目は美しく潰してあるのでチクチク感は皆無。
こういう縫い方をするには特殊なミシンを使わないといけないそうです。
脇下はガゼットクロッチ仕様なので腕上げもスムーズ。
パンツではさほど珍しくないギミックになってきましたが
脇下採用はまだまだ少数だと思います。
太めのしっかりした生地のサムホール付き。
サムホールを使うと、指の付け根付近までカバーしてくれます。
個人的にはサムホールは大好きなんですが
その分、袖も長くなるんですよね。
サムホール使用時を考慮してか、袖のフィット感も少し緩めな感じがします。
その辺りは好みが分かれそう。
使わない時は袖口にピタッと収まるサムホール。
この辺りの気遣いはさすがです。
場合によっては折り返して着るのもアリだと思います。
裏側の処理も綺麗なので違和感がありません。
178cm85kgのレスラー体系でLサイズ着用。
中にドライレイヤー、薄手のウールを着れる位の余裕があります。
Phaseシリーズはピタピタのスポーティなフィット感だったのですが
Motusは普段着としても着れる、適度なフィット感です。
フードは「オーダーしたのかな?」というレベルで美しいです。
口は覆いませんが首元がちょうど隠れます。
私は多摩地区でトップクラスの頭のデカさですが
フードを被ってもストレスはありません。
サイクルキャップの上から被っても問題無いサイズ感で感動しました。
寒い日に積極的に被りたくなる被り心地です。
Motus AR Hoody フィールドテスト
Motusは12月の前半に購入。
山、ランニング、自転車通勤、普段着として着用した感想を記載します。
Motusの特徴は何と言ってもPhaseから受け継いだ速乾性。
やはりランニング等の汗をかきやすいシーンで相性が良いと感じました。
先日、テストの一環で小田急線新松田駅から箱根外輪山である明神ヶ岳まで行ってみました。
まずはロード区間を8kmランニングします。
駅の蕎麦屋さんで腹ごしらえをしてからスタート。
温かい蕎麦を注文したつもりでしたが
バキバキに冷えた冷た〜い蕎麦が着丼しました。
え…!?
朝は忙しいです。
厨房ではアッパーなテンションのお姉様達が秒速でオーダーをこなしています。
朝は忙しいのです。
悪いのは誰ですか?
もちろん私です。
オーダー時にもっと大きな声で
「温かい蕎麦で!!」
と、言わなければいけなかったのです。
もちろん交換なんて野暮な事はしません。
出された物を黙って食うのが漢です。
偶然の出会いに感謝。
全てに感謝。
地球丸ごと愛したい。
クソッ…!!
クソーーーーーーーー!!
体の中からキンキンに冷えた状態でスタート。
この日の気温は早朝で0℃近かったので寒いのなんの。
Motusの上にはSTATIC/Adrift crewを着ていました。
最初こそ寒かったのですが、走っていると徐々に暖かくなり調子が良かったです。
とは言え、やはり精神的なダメージが残っていたのでしょう。
傷を癒しに健康食で有名なマクドナルドに入りました。
新鮮で栄養満点の朝食を食べていると身体中の細胞が死んで…
ではなく、生き返るのを感じました。
落ちた気分も見事に完治!!
朝マック最高です。
さて、この頃になると日も出て気温も上がりMotus1枚で十分になってきました。
私の場合、ラン等の熱量が多いアクティビティでは
5℃前後がMotus1枚で行動できる範囲だと思いました。
驚くのはやはり速乾性。
生地が保水している感じがありません。
何故でしょう?
はい!
ここからちょっと難しい事言いますよ!笑
実はMotusの新しい生地は二層構造になっています。
まず肌に近い一層目(内側の生地)が汗を吸収。
吸水した汗を隣にいる撥水糸が弾く!(吸水糸と一緒に撥水糸が編み込まれてるから)
弾かれた水分は広範囲に拡散されます。
その拡散された水分を二層目(外側の生地)が吸水!
すると肌に近い一層目はドライに!
吸われた水分は二層目で乾いていきます。
吸水と撥水をうまく組み合わせたメカニズムなのです。
Phase信者の若旦那は
「ドライレイヤーは必要無いレベル」とまで言っていましたが
確かにそう言いたくなるくらい、乾燥が早いのです。
汗冷えする前に乾いてしまう印象です。
この時期でも晴れた日なら洗濯して外干しすれば1時間もあれば乾いてしまいます。
Motusは中厚手生地なので関東の冬なら行動中は一枚でもOKな方もいるかもしれません。
私がそう。
実際に明神ヶ岳までの樹林帯では
Motus一枚でオーバーヒートせずに登れました。
稜線に出てからは風が強く、流石にMotusだけでは厳しかったのですが
ウインドシェルを着れば行動中は全く問題無かったです。
休憩中はフードを被っていましたが
厚手のニットキャップの上からでも被れるので非常に重宝しました。
気になる臭いに関してはやはりウールにはかないません。
この日、下りは全て走ったので滝汗。
駅に到着すると、それなりに臭いは感じました。
防臭加工はされていると思うのですが
最新のテクノロジーを駆使しても臭い自分に凹みます。
耐久性に関してはまだ日が浅い事もあり未知数です。
ですが、旧Phaseでも特別耐久性が悪いと感じた事もありません。普通かな。
これは旧PhaseのSVというウェア。
Motus LT より少し厚手の生地感です。
これはかなり着てたのですが、5シーズン以上着たかな…?
気になったのは背中のピリングのみ。
オカンに修理してもらって今でも現役です。
コレは旧Phase SLのパンティですね。
なんか申し訳ない笑
コレは丸2年ガッツリ履いて、穴が開きました。
似たような箇所が3〜4個。
ストッキングの伝線みたいになってる箇所もありました。
縫い目の部分からほつれてしまっています。
ちなみにこの状態でもまだ履いてます笑
私は股擦れが本当に酷いので普通のパンツ、例えばユニクロのエアリズムボクサーなんかだと半年で破けるんです笑
それを考えると2年間、山も日常もガッツリ履いてこの程度のダメージなのは凄いなと笑
ですので、中厚手のMotus ARはそこまで激しく痛まないんじゃないか?
と、言うのが私の予想です笑
Motus AR Hoody まとめ
ここがイイね!
- サラッとして着心地がいい
- 優れた吸水速乾性
- 汗冷えしにくい
- ゆったりめのフード
- 普段着でもいけるシルエット
- 丁寧な作りのサムホール
ここがイマイチ
- 袖口が少し緩め
- サムホールが必要ない人もいるかも
- アークなので価格はそれなり
- 在庫が無い
私はウールが大好きです。
ですが、暑がりの私の場合
冬のベースレイヤーはウールではなく
やはり化繊が良いんじゃないか?
そう思うのです。
大量のウールのウェアどーすんだよ…!!
私はウールだと長時間の行動時には生地が保水してしまいます。
ウール&化繊のハイブリッドも最終的には同じ状態になってしまいます。
それはそれでウールウェアの特徴なのでOK。
ですが、肌にまとわりつく濡れたウールを感じながら動き続けるのは
あまり気持ちが良いものではありませんでした。
それは登山もランニングも自転車も同じです。
そんな中、Motusは乾きも早いので
長時間行動していても非常に快適です。
気化熱による冷えなんて一切感じません。
デブだから!?
仕事終わりにマンボウで閉店時間が早まったラーメン屋。
チャリを激漕ぎして滑り込みピットイン!!
ガッツリ食った後に外に出ると…!!
Motusならほとんど乾いている事もしばしば。
デブだからかな!?
ベースレイヤーはウール人気が続いていると思います。
ですが、暑がりな方、化繊に興味がある方はMotusを是非試してみて下さい。
今シーズンの在庫はごく僅か!!
買いそびれた方は来シーズン是非!!
私も若旦那もアークのベースレイヤーに出会ってから他のベースレイヤーに目が行かなくなってしまいました。
「ベースレイヤー?Motus買っとけば間違い無いでしょ」
そんな事は口が裂けても言えません…!!
他にも良い物は絶対にあるはずです…!!
ですが、正直申しまして
「Motus買っとけば間違いない」
そう思うのも事実なのでございます…。
何だか今回はアークへのラブレターになってしまいましたがお許し下さい笑
たまには好きなアイテムを激しくプッシュしてみるのも良いかと思いまして…。
駄文長文失礼しました!!
押忍!!
特別付録 / Rho LT Hoody
は?Rhoのレビューは?
そうなのである。
今年はこちらも買っているのである。
元々はスキーやスノボ向けに作られたRho LT(旧ストライカフーディー)である。
正直、自分的にイマイチ合わなかったんですね笑
これ、なんか書きにくいなぁ…笑
と、なりまして…。
自腹で買ってますし、誰に気を使ってるわけでも無いんですが笑
最終的にMotusのみの記事を書き終わったんですが、なんかモヤモヤする…。
そんなこんなで、書きました!笑
急いで書いてクオリティが微妙なんですが、今回は二本立てということでお許し下さい!!
どうぞ!!
Rho LT Hoody 各部詳細
元々はStryka(ストライカ)フーディーと言う名前で
スキー・スノボ用として作られたベースレイヤーです。
マイナーチェンジしながら現在は
「オールラウンド用」としてリリースされています。
Motusに比べると、モチっとして厚みがあり、見るからに暖かそう。
素材はTorrent™ stretch polyester。
名前の通りストレッチ性も抜群でビヨンビヨンです。
裏側は短い毛が起毛していて肌触りバツグン。
ちなみに厚みが一つ上のモデル、Rho ARはHOUDINIのパワーフーディでお馴染みの
POLARTEC®︎パワーストレッチ®︎を使っています。
Rho LTもパワーストレッチ®︎を薄くしたような生地感です。
パワーストレッチ®︎は暑くて意外と使用シーンが少ない!
私含めて、そんな人達にも良い塩梅の厚さです。
書き忘れましたがMotusもこの仕様!!
アークテリクスと言えばコレです!
カットしやすいように、わざと余らせた生地の上にタグを縫い付けてあります。
これは他のブランドもぜひ取り入れて頂きたい心遣いです。
胸には少しパリッとした生地感のポケット。
ケース付きのiphone11を入れてみます。
余裕で収まりました!
スマホのサイズ感を想定して作られたポケットなんだそうです。
個人的にはベースレイヤーのポケットにはあまり物を入れないのですが
デザインのアクセントになっていて良いと思います。
去年までのモデルは裾が太めのリブでしたが
今年のモデルはタックインがしやすい仕様に変更されました。
脇下ガゼットはこちらも健在。
腕上げはもちろん、腕振りもノーストレスです。
Rho LTにサムホールはありません。
それもあってか手首はピタッとしたフィット感。
サイズはMOTUSと同じくLをチョイス。
下にドライレイヤーや薄手のウールを着れるくらいのフィット感です。
特徴は何と言ってもフード。
忍者のようなバラクラバで顔全体を包みます。
さすがアーク!と、唸ってしまったのはココ。
バラクラバの口元部分は生地が違うのです。
細かい凹凸があるサラッとした生地が貼られていて、肌触りが非常に優しいです。
Motus同様、アークらしいコダワリが詰まった一着です。
Rho LT Hoody フィールドテスト
最初も言いましたが
コレあんまり合わなかったんです笑
モノはめちゃくちゃ良いんです。
着心地とか最高です。
私が使いこなせなかったという話なんです笑
スポーツカー買ったけど、自分には乗りこなせなかった。
そんな感じです笑
どうぞ!
明神ヶ岳
暖かい。
暖かいのだ。
いや、むしろ暑いのだ…!!
先日の明神ヶ岳でもテストしたが
いくら真冬とは言え、関東の低山では暑すぎる!!
「アトゥーイ!!」
と、脱いでからその日は一度も出番が無かった。
北八ヶ岳
ならば雪山で!
この日は北八ヶ岳でチャッピーハイクの予定だった。
ところがどうだろう、山頂は超爆風でチャッピーどころか
「美しい地獄」という感じだった笑
つーことでゴーグルを着用。
なんか鼻が出てしまう…。
樹林帯では全く問題無かった、むしろ最高に調子が良かった。
だが爆風に晒されるとどうしても鼻が露出してしまう。
いや、これはRhoのせいなのか?
頭がデカイからじゃないのか?
アタマガ…デカイカラ…。
生きにくい…!!
頭がデカイだけで世界はこんなにも生きにくい…!!
谷川岳
私は諦めない。
きっとRhoと私はうまくやっていけるはずだ。
まだお互いの事を知らないだけなのだ。
この日は祝日とあって、山頂へはこの行列である。
普段、平日でソロの私はむしろ楽しかった。
グループ登山みたいでいいなー。
この日は暑かった。
マイナス8から10℃くらいだったと思う。
この日の行動中のウェアは
ドライレイヤー+Rho+アドリフトクルー。
徐々に私は異変を感じ始める。
Rhoよ…
君…あんまりヌケよくないね…。
そう、Rhoは熱が抜けにくい…。
蒸れを感じていたのだ。
ご存知の通りアドリフトライナーはメッシュのスケスケ野郎。
風はスースーのスーだ。
蒸れ+稜線+風。
そう。
汗冷えの始まりだ。
パーティの始まりだ。
登山道は渋滞中。
トラフィックの流れに乗ってしまったらなかなか抜け出せない。
冷える…
寒い………
誰か…
誰か止まってぇぇぇぇ…!!!!
いや、さっさと止まってシェル着ろよって話なんですけどね笑
最近、熱抜けの良いウェアばかり着ていたせいもあってRhoはちょっと自分には暑かったです。
本当にベースレイヤー選びは難しい。
着心地は最高に好きなので、現在は仕事中に着たり自転車通勤で着たりしてます。
自転車のヘルメットとの相性もバツグンなので、この時期の通勤には重宝してます。
暑くなったら顎の部分でバラクラバを固定できるのはとても便利。
途中から体は蒸れるんで、今は色々と組み合わせを考え中です。
コレ、自転車のブログでしたっけ?笑
Rho LT フーディ まとめ
ここがイイね!
- とにかく着心地が良い
- 伸縮性が凄い
- 良く考えられたフード
- 暖かい
- 寒がりな人はオススメ
ここがイマイチ!
- ちょっと蒸れやすい
- 速乾性が今ひとつ(悪いわけではない)
- 頭がデカイ人は強風注意
- 暑がりは購入注意
今回、私にとって少し残念な結果になりました。
しかし、ダメなギアというのは基本的にありません。
私に合わなかっただけで、違う人にはベストバイの可能性もあるからです。
ギアに罪はありません。
こんだけ言っといてたぶん来シーズンもう一枚買います笑
着心地が良すぎる。色違いで絶対欲しい笑
Rho LT Hoody最高だよ!俺のベストバイだよ!
もし、そんな方がいらっしゃいましたら是非コメント欄やSNSで教えて下さい!
できればどんなシチュエーションで使っているのかも知りたいです!!
今シーズンはオンラインではほぼ売り切れてしまっていますが、実店舗はもしかしたら…!!
おそらく来シーズンも大きな変更は無いと思います。
気になった方は来シーズンのご参考にして頂ければ幸いです!
長々と駄文長文失礼致しました!
いつもありがとうございます!!
押忍!!
アークテリクス Rho LT フーディ ( Glitch )