「Octa®︎(オクタ)」って知ってます?TEIJINが開発した注目の新素材。それを使ったインナーシーツがあるらしい!作ったのは去年誕生したばかりの「STATIC(スタティック)」と言うブランド。素材も気になればブランドも気になる!早速、買って使ってみました。(文・コータロー)
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Octa®︎のインナーシーツ
寝袋用のインナーシーツは持っていますか?
そこまで需要があるアイテムでは無いので持っていない方も多いと思います。
元々はシュラフの快適性向上や保温力アップが目的の商品。
昨今のコロナ対策で山小屋に泊まる際は持参が推奨されたりと、ニーズが高まっています。
そんな中、去年スタートしたアウトドアブランド「STATIC」が
注目の新素材「Octa®︎」を使用したインナーシーツを発売しました。
いわゆる「蒸れない行動着」に使われる事が多いOcta®︎。
最新素材を使ったインナーシーツはどんな使い心地なんでしょう?
Octa®︎とは
そもそもOcta®︎って何?
「だけじゃないテイジン」でお馴染みの
繊維メーカーTEIJINが開発したポリエステル繊維の新素材。
真ん中に穴が空いてて、8本の突起を放射線状に配列したタコ足型の繊維。
見ての通り、スカスカの繊維だから非常に軽量。
同じ直径のポリエステル繊維に比べて約1/2の軽量化を実現。
穴も溝もある繊維。
その溝に水や汗が通るので吸汗速乾性に優れます。
屋根の雨どいみたいなイメージ?笑
そして、中穴部とタコ足の溝にデッドエアーが出来て、遮熱効果を実現。
要は軽くて暖かい素材という事です。
手触りはフワッフワ。最高に気持ちいい肌触り。
繊維が抜けにくいという特徴もあるそうです。
Octa®︎の特徴まとめ
- 真ん中に穴が空いた、8本の突起があるポリエステル繊維
- 同じ直径のポリエステル繊維より約1/2軽量
- 吸汗速乾性に優れる
- 中穴部分とタコ足の溝に空気の層が出来て暖かい
- 繊維が抜けにくい
STATICとは
そんなオクタを使ったプロダクトを作っているのが2020年にスタートした
「STATIC」と言うブランド。
まだまだ知らない人も多いかもしれません。
元はSTATIC BLOOMと言う、CEO愛用でお馴染みのCRUXやWESTCOMB等を取り扱う輸入代理店さん。
そこのオリジナルブランドがSTATICです。
「環境配慮アウトドアブランド」と言うコンセプトで製品を開発&運営しているだけあって環境意識は凄いです。
HPを是非見て頂きたいのですが、そのコダワリはちょっと引くレベル(超失礼)
いや、本当に凄いのでSTATICのHPは是非見て下さい。
口だけの政治家みたいな「地球の為に」とか「子供達の未来の為に」じゃないんです。
本気度が全然違う。
危機感と使命感、気合いと男気がHPからバシバシ伝わって来ます。
HP見てもよくわからない!時間ない!と、言う方に私が超乱暴に要約すると…笑
機能面や性能面を追求しつつ、環境に配慮した素材&製造方法でギアを作るブランド。
私は、そんな会社だと理解しました。
今回レビューしているアドリフトライナーのOcta®︎も、OEKO-TEX®︎認証を受けた日本国内工場で生産した生地を使用しているそうです。
糸自体はノンリサイクルのポリエステル100%ですが、染色は石油ではなくバイオマス(植物由来)を使用。
生地を生産する時に出る繊維ゴミはリサイクル。
ラベル類は、エコ性の高いものを採用しているそうです。
HPではそうした、細かい部分まで開示しています。
環境に対する真剣な取り組みも特徴的ですが、純粋に面白いギアを作っているSTATIC。
徐々にラインナップも増えているので今後の展開が楽しみなブランドです。
買ってみた
Octa®︎やSTATICについて勉強していると、私の頭の中はすっかり「お買い物モード」になっていた笑
寝袋状のADLIFT LINERが尖ってて気になるなぁ!
でも、まずはADLIFT CREWで行動着としてのOcta®︎を体験してからかな…?
もう買うのは前提で、どちらを先に買うかで迷っていた笑
散々悩んで、まずはインナーシーツのアドリフトライナーを手に入れました。
理由としては、ちょうど夏用の化繊寝袋を買おうと思っていたから。
アドリフトライナーは、あくまでインナーシーツなのですが、上手く使えば夏用シュラフの代用品となりそうだなと…。
買い物は決断力が試されます。
ウジウジ悩んでる間に、あの子もこの子もライバルに取られてしまう!
T君に先取りされた美脚のHさんを俺は今でも引きずってる!!
もうあんな思いをするのはイヤなんだ!!
各部詳細
それでは各部を見ていきましょう!
重量
まずはお約束の重量から!
スタッフサック込みの重量は241g。
本体227g+スタッサック14gと非常に軽量。
カタログ値がスタッフサック込みで240gなので、誤差の範囲。
大きさも非常にコンパクト。
Octa®︎は圧縮率が高いのも特徴。
圧縮すればまだまだ小さくなります。
生地
言わずもがな、生地はOcta®︎なのですが
表地はこのようなメッシュ生地となっています。
サラッとした手触り。
持っている手が透けて見えています。
摩耗には強い生地なのだそうですが、引っ掛かりには注意との事。
メッシュ生地じゃ寒いだろって?
そう、何度も言いますがアドリフトライナーはその名の通り、ライナー。インナーシーツです。
寝袋ではありません。
このメッシュから抜けた熱が、寝袋に移って保温力を高める仕組み。
ですのでシュラフカバーや寝袋との併用で本領を発揮します。
似た物だとSEA TO SUMMITのサーモライトリアクターや、OMMのコアライナーが頭に浮かびます。
SEA TOのサーモライトリアクターは所有しているので、軽く比較してみました。
コレも名品だと思っています。
形状はいわゆるマミー型で程良くシェイプされています。
実測は258gでアドリフトライナーより17gほど重いですが、その程度です。
インビスタ社のサーモライト®︎という素材を使用。
メーカー説明ではシュラフ内の温度を約8℃高めるとの事です。
私の使用感ではそこまででは無かった印象です笑
素材は細かく起毛した気持ちの良い肌触り。
アドリフトライナーがやけに大きく見えますが、写真のせいです笑
むしろ、横幅はリアクターの方が広いのですが、足元に向かってシェイプしてあるので、やや小さく見えます。
就寝時に使い、保温力を比較した感想としては、アドリフトライナーの方が明らかに暖かったです。
数値化するのが難しいのでアレなんですが
もう、足を入れた瞬間にわかるレベルでした笑
さすが、生地の厚みも値段もリアクターの倍以上!笑
コスパを求めるならSEA TO SUMMIT。
保温力ならSTATIC。
そんな印象でした。ご参考までに。
形状
脱線しました。各部詳細、続きです。
アドリフトライナーの形状はシンプル極まりない封筒型。
サイズは180×70cm。
正直、形状はもう少しひねりが欲しかったです。特に足元。
ただ、メーカーの説明文を読むと、狙ってこの形状にしたんだそう。
大きめのサイズ感でゆったり休んで欲しい。との説明が書いてありました。
車中泊での使用も想定しているみたいです。
確かにマミー型に慣れた身としては、足が自由に動かせるのは新鮮で快適。
178cmでレスラー体型の私が入っても余裕があるサイズ感。
ブランケットや掛け布団としても使える、やや大きめのサイズ感です。
[2022/4.28追記]
2022年モデルは足元がシェイプされてよりフィット感を重視した仕様になりました!!
その他
開口部はドローコードで絞る事ができます。
肩までしっかり包まれたい人や、寝相が悪い人はこれで安心。
テスト in 白馬
今回は白馬にてテストをしてきました。
場所は天狗山荘のテント場。
テントはいつものLOCUS GEARのKhufu Tyvek
もう良い加減に買い替えたいんだけど、壊れないから仕方がない笑
タイベックはいつか破けるって聞いてたんだけど、私のKhufuは今のところ大丈夫そう。
今回はわざと高めに張って隙間風が入るように設営しました。
そりゃあもうスースーである。
マットはEVERNEWのFPmatを使用。
「よくこんなペラペラのマットで寝れるね!」と、言われるのですが
いつでも、どこでも、なんでも寝れる自分は問題無し。
って、今回の俺の就寝データは参考になるのか!?笑
FPマットは100cmしか無いので、足りない部分は背負っていたBUMMERの背面パッドを使用。
結果的にコイツは寝てる間に蹴ってしまいどこかに消えた笑
この日の気温は夕方で約14℃。
メーカーの商品説明に
「ビビィとの併用で7℃まで対応したテスターがいた」
そんな記載があったので、自分もSOLのEscape Lite Bivvyを用意した。
コイツは防水性もあるので、濡れに強いスリーピングシステムが完成。
Bivyは146g。アドリフトライナーは227g。
合計で373g。
夏用の防水化繊シュラフとして考えると、すこぶる軽い。
問題は、この組み合わせで寝れるのだろうか!?
ちなみにOcta®︎は圧縮率が高いので
付属のスタッフサックにBivyごと入れる事も可能でした。
軽い事も大事ですが、小さくなる事もメリットが大きいですよね。
以上、ご参考までに!
一晩使ってみた感想
さて、それでは実際に使ってみた感想です。
まずはアドリフトライナー単体使用の感想。
メッシュで穴が空いてるから風がバンバン入ってきます!笑
そりゃそうですよね笑
もちろん暖かいんです。これ単体でも夏場のテント場でゴロゴロするのは問題ない。
問題は日が落ちてから。やはり寒かった。
着用するウェアにもよりますが、山でアドリフトライナー単体で使いこなすのは、なかなか難しいのかな?と、感じました。
あくまでBivyやシュラフとの併用が前提です。
まあ、インナーシーツだから当たり前か笑
いやーしかし、久しぶりにテントで寝るなぁ…。
そもそも北アルプスに来たのが久しぶり。
この時の模様は、また別記事でお届け致します。
食事も終わり、横になった私はそのまま深い眠りについてしまった…。
起きたら21時だった笑
寒い!寒さで起きた私。
たまらずBivyに潜り込む。
暖かい!!すげー暖かい!!
コレなら全然大丈夫かも!
心地よい暖かさに包まれ、また寝てしまった笑
次に起きたのは午前0時。
気温は11℃、ちょっと寒くて起きた。
私はいつも足が冷えるんです。
靴下も履いてなかったし。
そこで、ISUKAのパックライナーに足を突っ込む。
これはバックパック用の防水インナーバッグ。
ISUKAのウェザーテックインナーバッグ45L
コレの何が面白いって全体に防水透湿生地を使用しているところ。
ボトムにだけeventを使ってる物はあるけど、全ての生地が防水透湿生地なのは珍しい。
いや、むしろコイツだけ?
全体に透湿生地を使用しているという事はシュラフカバーとしても使えるという事。
膝から下が隠れる長さなので足元の保温には十分。
もちろん結露はしませんでした。
実測168gと少し重いけど、安くて丈夫だからオススメです。
もっと長いのがいい人は60Lも80Lもあるよ笑
夜は最終的に8℃まで下がったが快適に眠ることが出来た。
私がテストした結果は、アドリフトライナー+Bivyで心地良く眠れるボーダーラインは10℃。
それ以下になると、眠れないという事は無いが、寒さでたまに起きる事になると思う。
メーカーが言うリミット7℃というのは非常に正確な数字だと感じました。
何度も言いますがアドリフトライナーはインナーシーツ。
夏用シュラフとしては万人にはオススメできません。
ですが、ある程度山でテント泊の経験がある方なら、創意工夫で使いこなせそうなアイテムです。
まとめ
それではまとめます!
アドリフトライナーここがイイね!
- 大柄な人でもOKなゆったりサイズ
- 単体で227gと軽量
- Bivyとの組み合わせで10℃までは快適。
- 圧縮率が高いのでコンパクトになる
- 化繊なので洗える
- 寝袋との組み合わせで対応温度を上げられる
- 行動着としても使える?笑
アドリフトライナーここがもう一つ!
- 個人的にはシルエットを見直してほしい
- 山で単体での使用はなかなか難しい
- Octa®︎の起毛が経年劣化でどうなるのか気になるところ
- あくまでインナーシーツだと言う事を忘れずに!笑
個人的感想
いかがでしたか?
まー、尖ったアイテムだと思います。
恐らく、一部のユーザーにしか刺さらないアイテムでしょう笑
こちらの適応力と応用力を試されているような気がしてなりません笑
ただ、個人的にはここ最近で一番「面白い!!」と、思ったアイテム。
使い手の想像力を掻き立てるアイテムなのは間違いありません。
こんな風に裏返してストロングスタイルで羽織れば、アクティブインサレーション・マントに早変わり笑
アドリフトクルー買わなくて済むよね笑
夏はBivyと組み合わせて、秋冬は3シーズン用シュラフと組み合わせれば、ワンランク上のシュラフを買わなくて済むかもしれません。
化繊ですぐ洗えるし、短時間で乾くから本当に一年中使える。
価格は税込¥16,500円とかなり頑張っていると思います。
だって、アドリフトクルーと¥4000円程度しか差がありませんよ奥さん!笑
ここまで紹介しておいて、現在はどこのお店も完売しているみたいです!
皆さんわかってらっしゃる!お目が高い!笑
買えなかった方は申し訳ございません!
次回入荷時の参考になれば幸いです!
TMEでも取り扱っていますので再入荷時にはよろしくお願い致します。→コチラ
[おまけ] ADRIFT CREW
今回の山行前に覗いたショップで結局買ってしまった笑
山行中の2日間はとにかく暑くて、長時間着る機会が無かったのでメインでレビューするのはやめました。
それでも、このウェアの特徴は掴めたので参考程度に記載しておきます。
2021年モデルは、昨年のモデルと三つ変更点があります。
一つ目は肩にガゼット(マチ)が付きました。
肩部分の生地に切り返しがあるのがわかりますか?
これで肩上げが楽になりました。
二つ目は着丈が3cm長くなりました。
これで腹冷えともグッバイ。パンツにインも無問題。
ちなみに生地はライナーと全く同じです。
ロゴも控えめで普段着としても着れるデザインが今っぽくて最高です。
3点目は手首にストレッチ素材を採用しました。
腕まくりがしやすくなり、中途半端な場所でもピタリと止まります。
腕が太めの私でもサクッとここまで袖上げできます。
参考にならない着用感です。
購入サイズはXL。ゆったりしたフィット感です。
Lサイズも試着しましたが、ジャストフィット。
秋冬のミドルレイヤーとしての使用を考えて、XLをチョイスしました。
ちなみにXLサイズで重量は実測132gとめちゃくちゃ軽いです。
持って行くのをためらわない重さ。
今回の山行では保温着として持って行ったのですが、テント場に着いてから
「コレ、すげー風通し良いな…」と、驚きました。
やはりコイツは行動着。保温着ではありません笑
「あたりめーだろバカ!」
と、お叱りの声が飛んで来そうですが、無風の室内で試着しただけだと、わかんないんすよ笑
無風だとすげーあったかいの笑
「今回はダウン持って行かなくても大丈夫かな…」とか思ってた俺バカバカ!!
上にシェル着れば良いだけなんですが、ダウンは持って来てて本当に良かったなと笑
ちなみに就寝時はこんな感じで、アドリフトアドリフトな状態で寝てました。
もう、何が何やら笑
着心地が良いので就寝時にもピッタリです。
2日目の明け方の行動時は本当に調子が良かった。
朝のキリッとした空気の中を適度に保温しつつオーバーヒートはしない。
秋冬の使い心地がとても楽しみなウェアでした。
ちなみに今の時期なら洗濯して2時間もすれば完全に乾いてしまいます。ライナーも同じ。
洗濯してもすぐ乾くのは、山だけじゃなく、旅のお供としては頼もしい限り。
少しクセがあるウェアだけど使用機会はかなり多いはず。
もう少し使い込んだら改めて紹介しようかと思います。
アドリフトクルーはまだ少し在庫がある店舗もあるみたいなので
興味がある方は是非使ってみて下さい!オススメ!
TMEにも少し在庫あります!→コチラ
以上、アドリフトライナー&アドリフトクルーのファーストインプレッションでした!
最後までお読み頂きましてありがとうございました!
押忍!!