「マウンテン」「クライミング」「トレイルランニング」3つのテクノロジーを融合させたスポルティバの「トラバースXシリーズ」。BBGはその中からミッドカットモデルをチョイスし南北アルプスの様々な条件下でフィールドテストしてきた。シューズにはうるさいBBGを黙らせることはできたのか?ピーコばりの辛口チェックが炸裂する!
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スペック
素材 | スエードレザー+1.5 ㎜ PU テックプロテクトラバーランド |
ライニング | GORE-TEX® コンフォート |
ソール | ビブラム メガグリップ+インパクトブレーキシステム |
サイズ | 36~47 |
重さ(1/2ペア) | 485g |
カラー | カーボン×フレーム、トープ×サルファー |
価格 | ¥26,000+税 |
まずはスペックを見てみよう。
注目は、スエードレザーを使用しているのも関わらず、重量がわずか485gという軽量設計になっているところ。
ソールもBBG一押しの「ビブラム メガグリップ」を採用していてグリップ力にも期待が出来そうだ。
では、実際に使用してみてどうだったのか?をいつも通り少々厳しめにBBGチェックしていきます。
テストフィールド
- 北アルプス 烏帽子岳〜野口五郎岳(テント泊)
- 南アルプス大縦走(3泊4日 テント泊)
- 北アルプス 唐松岳〜五竜岳(テント泊・奴隷装備)
急登で知られる「ブナ立尾根」や南ア 笹山への「ダイレクト尾根」。
南ア「蝙蝠岳」から「二軒小屋」までのハイパーロングな下り。
唐松岳〜五竜岳の間の「牛首の鎖場」など、それなりに過酷な条件+MAX20kgの重装備でフィールドテストを行った。
フィット感
僕の足形はやや細身で甲高な「ギリシャ型」。
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いままでもずっと登山の時はスポルティバを履いてきたので僕の足に合うメーカーだということは分かっている。
TX4に初めて足を入れた時にまず感じたのはトゥボックスの広さ。
スポルティバというブランドはやや細身の足形で、幅広の人には合いにくいメーカーだった。
しかし、TX4は今までのスポルティバよりもトゥボックスがやや広めになっていたのである。
どれくらい広めかというと、アルトラ ローンピークほど広くはなく、inov8 ロックライト325と同じぐらいかそれよりも若干広めといったところ。
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この絶妙なトゥボックスの広さが足の疲れをかなり軽減してくれた。
広すぎないため、アルトラで感じた「靴の中で足が動いてしまう」こともなく、足の収まりがとてもいい。
また、甲高の僕にはしっかりアーチサポートのあるフットベッド(中敷き)もフィット感に一躍買っている。
inov8のフットベッドは土踏まず部分がほぼ平らだが、
TX4はこんなにも立体的な作りになっており、土踏まずのアーチを支えてくれ、疲労軽減につながっている。
ユーコンのように扁平足の人にとってはこのアーチが違和感に感じてしまうこともあるかもしれない。
ヒールカップも立体的で、さすが「スポルティバ」、フィット感への強いこだわりを感じる。
ホールド感
アッパー部分がしなやかでありながら、剛性感もしっかりしているので、頼りなさは全くなく重装備の岩場歩きも安心して歩くことができた。
inov8のようにランハイクよりのシューズはアッパーが柔らかいため、どうしても靴の剛性感は落ちてしまい、重い荷物を背負った時に頼りなさ(歩きにくさ)を感じてしまうので、装備の重量に合ったシューズを選ぶことが大切になってくる。
20kg前後の荷物を背負っても全く問題なく(どころか快適に)歩けてしまったので、昔履いていたような重くてソールの硬い靴に戻ることはなくなりそうだ。
グリップ
BBGが一番うるさいグリップ。
TX4はBBGでも高い評価の「ビブラム メガグリップ」を採用している。
「ビブラム メガグリップ」とは、濡れた地形、乾燥した地形に関係なくグリップ力を発揮するという高性能ゴムコンパウンドのことである。
メガグリップのテスト映像がアップされていたので紹介する。
メガグリップを採用したノースフェイスのシューズを使ってのテスト映像だが、濡れに強いのがよくお分かりいただけるだろう。
では、実際のフィールドではどうだったのか…。
「そこそこいい」っていうのが正直な感想である。
そこそこというのも、やはり滑るときは滑る。
朝露で濡れたフリクションの弱い岩の上で一度思いっきりずっこけた。
メガグリップを過信しすぎてはいけなかった。
というのも、同じメガグリップを使用したHOKAのシューズは、濡れた岩だろうが、木の根だろうがよくグリップしてくれたので、同じ感覚で足を置くとTX4では滑るといったシチュエーションが何度かあった。
ソールパターンはメーカーによって異なるので、メガグリップ=滑らないではなく、メガグリップ+ソールパターンが重要なようだ。
それでも必要十分なグリップ力は備わっているので、大きな不満はない。
クッション
なんとも抽象的になってしまうが「ちょうどいい」という表現がぴったりくる。
HOKAのようにフカフカクッションも足が疲れにくくていいのだが「唐松岳〜五竜岳」で歩いた牛首などの岩場では適度な足裏感覚が欲しいところ。
足を置いたときに「この岩大丈夫かな?」っていう感覚はソールが厚すぎると足裏に伝わりにくくなってしまう。
その点、TX4はソールから適度に足裏感覚が伝わるので、危険箇所も歩きやすい。
かといって、ソールが薄すぎるということもなく、下からの突き上げで足が痛くなるということもない。
ほんと「ちょうどいい」のである。
また、ドロップが低めなので足が常にフラットな状態で地面と接地するため、どこか一カ所に体重がかかってしまうことがなく、南ア大縦走の時も足裏が全く痛くなることがなかったのには驚いた。
透湿性
ゴアテックスを使用しているが、やはりローンピークのネオシェルやHOKAのEVENTと比べると蒸れるのは事実。
足汗びちゃ男としては、ゴアテックス サラウンドぐらい抜けがいいと最高なんだけどなー。
耐久性
ソールの減りの早さは少し気になる点だ。
グリップ重視のコンパウンドが柔らかめのゴムの為、致し方ない点ではあるが・・・。
僕の使用頻度だと2シーズンが限界かな?
トランゴ TRK GTXと比較して
シューズのコンセプトは若干異なるが、価格帯が近い「トランゴ TRK GTX」と悩まれる方も多いのでは?
そこで、僕が昨年までメインで使用していた「トランゴ TRK GTX(以下TRK)」との比較を簡単にしたいと思います。
- TRKに比べて約100gも軽い
TRKが580gなのに対して、TX4は485gと100g近く軽量!TRKも十分軽いと思っていたが、TX4を履いてしまうと重く感じてしまう。
軽いからといって華奢な感じは全くなく、ハードなシチュエーションでも積極的に使える堅牢な作りである。 - トゥボックスが広め
TRKを久しぶりに履くと、なんだか窮屈に感じてしまうほどTX4はトゥボックスに適度な余裕があり、足がとても楽である。 - しなやか
とにかく長い林道歩きなどのアプローチで足が驚くほど疲れない。TRKを履いているときは下山中に必ずと言っていいほど、足の指と土踏まずの間の部分が痛くなってしまってたのだが、ドロップが低めなTX4は足裏全体にうまく体重が分散されるため、長い平行移動の時も足への負担がとても少ない。
うーん、TX4の圧勝になってしまった・・・。
要望
- シューレースのロック機能がほしい。
よく登山靴に装備されている足首付近でシューレースを固定できる機能があると便利だなと。もしくはサロモンのようなクイックシューレースタイプでも便利かも。若干締め上げてくときに思ってるよりも緩んじゃうんですよねー。 - ハーフサイズの展開もしてほしい。
本国ではハーフサイズ展開もあるようなので、是非日本でもハーフサイズ展開をしていただきたい。より多くの人にフィットするようになると思うんだけどなー。
まとめ
まず第一に自分の足に合っているというのが一番大きい。
短期間の間にTX4を履いてかなり歩いたが、足へのダメージがどこにもないのには本当に驚かされた。
南ア大縦走も4日間歩き通せたのは間違いなくTX4のおかげだろう。
足が疲れにくく、軽くて、しなやかなのに堅牢な作り。
やっとシンデレラフィットのシューズに巡り会った気がする。
<GOOD>
・スウェードレザーを使ってて485gと軽量!
・トゥボックスが絶妙な広さで足が疲れにくい!
・20kgの荷物を背負ってもアルプスで不安なく歩ける安定感!
<No GOOD>
・最高!とは言い切れないグリップ力。
・ソールの耐久性
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よりライト&ファストなローカットモデルもあります。
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いままでスポルティバが合わなかった人にも是非試していただきたいモデルです!
以上!アツシオガワでした!押忍!