何かとわかりにくい山岳保険の世界。ちゃんと入らなきゃ!なんて思いながらも難しい言葉とかいっぱいだし、プランの数も多くて面倒になってなんとなく後回しにしちゃってる人も多いだろう。そこで今回はそんな分かりにくい山岳保険の世界に対し、BBG編集部が「どうなるかわかんないけど、とにかく一回わかりやすい説明をしてみよう!」と立ち上がった。目指すは小学1年生でもわかる山岳保険!いざスタートである!

[toc]

たすけて!ドラえもん!そして山岳保険!

♪こんなこといいな できたらいいな
あんな山 こんな沢 いっぱいあるけど
みんなみんなみんな かなえてくれる
安心のサポートで かなえてくーれーるー
遭難しちゃった たーすけーてよ〜
「ハイ!ヘリコプター!」
アンアンアン とっても大好き
山岳ほ〜けん〜♪

 

君はのび太くんだ。

のび太くんは空き地(登山)で遊ぶのが好きだよね?

でも空き地にはジャイアン(危険)がいっぱいだ!

突然理不尽に殴って来たり(滑落・怪我)、迷惑リサイタルを開催したり(病気・道迷い)などなど。

 

そんな状態の中、たまらず君は空き地で行動不能に陥ることもあるでしょう。

かといってそこで「ドラえも〜ん」と叫んでもドラえもんはタダでは来てくれませんよ。

ドラえもんだって慈善事業でやってるんじゃないんです。

助けた後でものすごい量のどら焼きを請求してきます。

 

そうなっても安心なように、事前に「ジャイアン(山岳)保険」に入っておく必要があるのです。

そのジャイアン保険ですが、年間契約と単発契約の2つの契約方法があります。

年間契約の場合、1年分のどら焼き代を先に渡しておくと、その1年間はしっかりとのび太をサポートしてくれます。

単発契約の場合は、空き地に行く度にどら焼き代1つ分を渡して、その時だけサポートしてもらうって契約だ。

しょっちゅう空き地に遊びに行くなら年間契約がお得だし、月に1回程度しか行かないなら単発契約でいいだろう。

今回は遊び好きののび太たちに向けて、年間契約に的を絞ってお話しして行こう。

 

ちなみにドラえもんへのヘルプの出し方にも3パターンが存在する。

  1. ドラえも~ん!とにかく助けてくれるだけでいいんだよ~!(遭難捜索費用保険)
  2. ドラえも~ん!助けた後もちゃんと面倒みておくれよ~!(ハイキング保険)
  3. ドラえも~ん!「のび太の大冒険」の時も徹底的にサポートしてよ~!(山岳登山保険)

このどのパターンを選ぶかで、ジャイアン保険にいくらどら焼き代を支払うかが決まってくる。

自分がどのパターンののび太なのか想像しながら読み進んでみよう。

遭難捜索費用保険(救助費用だけヨロシク!)

「僕は絶対にジャイアンにいじめられない!あいつは心の友なんだ!」なんて油断ぶっこいてどら焼き代をケチってると、

必ず後で痛い目に遭って後悔する事になる。

 

例えば君が頭蓋骨が陥没するくらいジャイアンに殴られて行動不能になった場合、ドラえもんはそこが空き地だろうと雪山だろうとちゃんとタケコプターとかで助けに来てくれる。

しかし君が事前にジャイアン保険に入ってないと、ドラえもんは救助後に300万円〜1000万円という莫大などら焼き代を請求してくるぞ。

そんなことになったら君はもちろん、パパやママまで露頭に迷って一家離散だ。

 

そこでドラちゃんのどら焼き代、タケコプター代、人件費、交通費など、とりあえず「遭難捜索費用だけ」を保障してくれるお得な保険がある。

それが「ドラえも~ん!とにかく助けてくれるだけでいいんだよ~!」の遭難捜索費用保険なのである。

 

君も無尽蔵にどら焼き代を所有しているわけじゃないだろう?

テストや宿題を頑張り、お母さんにゴマをすって必死で手に入れたなけなしのお小遣いだ。

この遭難捜索費用保険は、遭難捜索費用だけに特化(入院費とか個人賠償責任とかは無し)しているから少量のどら焼き代だけで済むのが特徴だ。

おおよそ年間で3,000〜4,000円程度。

何かあった後に300万円以上のどら焼き代を失うって考えたらかなりお得でしょう?

しかもジャイアンにボコられた現場が、空き地(通常の山)だろうと雪山(アイゼンやピッケル使うような)だろうと平等に適用されるんだ。

 

今ジャイアン保険に入ってない人は、この遭難捜索費用保険には最低限入っておいた方が…というか絶対入っておきましょう!

ジャイアンに殴られてないのび太を見たことある人っています?

そのくらいの確率で、今は優しくてもジャイアンは必ずあなたを理不尽に殴って来ます。

必ずです。間違いないです。

 

では、そんな遭難捜索費用保険の代表的な2社を見てみましょう。

保険名 JRO(ジロー) レスキュー保険
年間保険料 約3,000円 4,000円
救助費用補填 330万円 300万円

JROは保険や共済ではなくて、入会者全員で遭難した人のどら焼き代をみんなで分担しようぜっていう相互扶助システム。

なので最初に別途入会金として2,000円が必要で、それに年間会費2,000円+その年の事後分担金(750円〜1,500円程度)が総額となる。

事後分担金ってのは、その年に発生した救助費用を全会員で公平に分担するというものね。

要するにのび太やスネ夫や静香ちゃんや出来杉たちがそれぞれに予めどら焼き代を持ち寄っておいて、仲間の誰かがジャイアンにボコられたら、その人の救助にかかった分のどら焼き代をみんなで分担して会費に上乗せしてドラえもんに支払うってな方法。

だから毎年支払額は変動するけど、だいたいトータルで3,000円前後だ。

 

一方でレスキュー保険はそういった相互扶助じゃないんで定額。入会金も無し。

JROは病気による遭難時に 既往症、持病がある場合は削減対象になったりするが、レスキュー保険は遭難の原因を問わない。

 

ってことで長い目で見て安く済ませたいって人(当然遭難事例が増えれば高くなるけど)はJRO

持病があったり価格変動がない定額がいいって人はレスキュー保険なのである。

 

ただこの二つはほんと最低限の保障であり、入院・通院・死亡時の保障は一切含まれていない。

何よりも重視したいのが「個人賠償責任補償」がないってこと。

では次はその個人賠償責任までちゃんと面倒を見てくれる、一般的なジャイアン保険を見て行きましょう。

 

ハイキング保険(助かった後も面倒みてね!)

例えばジャイアンにいじめられなかったとしても、のび太はジャイアンと野球をしてて神成さんちの窓ガラスをよく割るよね。

もしそのボールが神成さんの頭に当たって殺しちゃったとしたらどうする?

山で言えば、自分の起こした落石が誰か他の人に当たって怪我や死亡させてしまったとしたら…。

これって道迷いとかの遭難同様、君の身にいつ降りかかってもおかしくない状況で、そうなった場合多額の損害賠償金を支払うことになるんですよ。

 

そんな時、最大で1億円を上限に保障してくれるのが個人賠償責任補償だ。

ここでは「雪山はやらない!のび太は大冒険しない(アイゼン、ピッケルは使わない)!」という前提の人たち向けのハイキング保険について見て行きましょう。

以下が厳選した代表的3社の、いろんなプランがある中で個人賠償責任がある最もお得なプランになります。

各社多くのパターンのプランがあり(だから複雑でめんどくさいイメージがある)、傷害医療費用とか細かいの入れてくとごちゃつくんで、一番お手頃でちょうど良さそうなラインを選抜してます。

社名 山岳共済会 モンベル 木村総合保険
プラン ハイキングコースⅠ 野外活動保険シンプルプランC033 登山・ハイキング保険Aプラン個人賠償特約付き
年間保険料 2,240円 3,110円 4,100円
救助費用 300万円 500万円 500万円
個人賠償 1億円 1億円 1億円
死亡 150万円 200万円 103万円
入院/1日 1730円 × 1000円
通院/1日 × × 600円

これを見ると「遭難捜索費用保険よりこっちのがいいじゃん」ってなりそうですが、あくまでも遭難捜索費用保険は雪山もカバーしてて、こちらは雪山対応してないのでご注意を。

逆を言えば、大冒険(雪山)をしないのび太くんは、このあたりから選べば比較的お得です。

アルプスなどの高所登山が多い人などは、救助費用が500万円まで出るモンベル木村総合保険がいいかもしれませんね。

一番安く済ませたい人は山岳共済会ですね。

 

これをベースに、予算に合わせて年間保険料を上乗せして、死亡・入院費の上限を上げたり、傷害医療保障をつけたり、携行品保障なんかの特約に入ったりなど足していけばいいでしょう。

詳細はリンク貼ってあるから各社のプランを確認してみてね。

ただ苦言をはっきり言っちゃうと、モンベル以外のサイトは猛烈に見にくくて分かりにくいから、もうちょっとどうにかしたほうがいいかな…。

阿部寛のホームページじゃないんだから、時代的にもう少しなんとかして欲しいところでございます。

モンベルはモンベルで選択肢が多すぎてめんどくさくなって逆に決められないっていうね…。







 

山岳登山保険(のび太の大冒険!)

映画版の時の君は、毎回死の危険と隣り合わせだからドラえもんも大忙し。

君は近所の空き地を飛び出し、ピッケルやアイゼンをつけて雪山とかで大冒険だ。

当然「ドラえも〜ん」と助けを求める回数も確率も増えるから、ジャイアン保険も高額なものになってくる。

 

雪山もやるけど予算がないって人は、1の遭難捜索費用保険だけに加入しておけば問題はない。

ただ前述の通り個人賠償責任補償ありきで考えると、やはり特化したものより総合的な山岳登山保険の方が安心だ。

これに関しては高額なら高額なほど手厚い保険になるが、一番高額なものだと年間48,000円くらいいってしまって一般的じゃない。

ってことで遭難捜索費用が300万以上で、入院手術費なくてもいいからお得なプランを4社分選出してみました。

社名 モンベル 木村総合保険 やまきふ共済会 山岳共済会
プラン 山岳保険シンプルプランF033 山岳登山ベーシックAプラン やまきふエキスパート 登山コースDプラン
年間保険料 8,190円 9,000円 10,000円 11,050円
救助費用 500万円 500万円 500万円 300万円
個人賠償 1億円 1億円 3億円 1億円
死亡 100万円 140万円 50万円 300万円
入院 × × 2,000円/1日 ×

死亡の金額こそ低いが入院・手術・後遺障害が充実していて、個人賠償3億円(示談交渉サービス付)のやまきふ共済会が総合的に良い感じ。

その他の3社はどれかが良ければどれかが良くないって感じなんで、どこを重視するかで選ぶといいでしょう。

ちなみにここに載ってないやつで単純に最安値ってことであれば、山岳共済会で4,070円ってプランがあるが、それは遭難捜索費用が100万までしか出ず冬季の遭難捜索費用としては心許ない。

ただし山岳共済会4,070円+JRO約3,000円の組み合わせなら、個人賠償付きで年間約7,000円で済む。遭難捜索費用合計も430万円だ。

正直これが一番お得なのかもしれない。

ただ手続きが2つになる分面倒もあったりすると思うので、一概にそれがベストだとも言い切れないけどね。

 

まとめ

ということで、できるだけ的を絞って簡潔に解説してみました。

あなたはどのタイプののび太だったでしょうか?

「遭難捜索費用・個人賠償責任・最安値」だけに絞って、強引にまとめてオススメしちゃうと以下の通りです。

 

  • 雪山やらない。最安値希望。
    →「山岳共済会 ハイキングコースⅠ」2,240円
  • 雪山やらない。個人賠償あり希望。
    →「木村総合保険 登山・ハイキング保険Aプラン個人賠償特約付き」4,100円
  • 雪山やる。最安値希望。
    →「JRO」約3,000円
  • 雪山やる。個人賠償あり希望。
    →「山岳共済会4,070円+JRO約3,000円」約7,000円

 

保険はやはり単純な比較は難しい世界で、自分がどこを重視しているかと予算のバランスが全てです。

今回は概要把握をメインにしてるので、それぞれでもうちょっと死亡・入院・通院・傷害医療・携行品etc…を考慮して詰めていく必要はあります。

どれが正解ってのは当然ないけど、確実に言えることは「山岳保険に入らないのは不正解」であることは間違いないです。

「俺には当たらないから」と、銃弾の飛び交う戦場に無防備で突入して行くことができますか?

「重くて面倒だから」という理由で、一切の水を持たずに灼熱のサハラ砂漠を横断できますか?

「絶対死なないから」って言って1回もセーブせずにドラクエをやり続けられますか?

いつか宝箱からミミック出て来てザキ唱えられたら即死よ?せっかく貯めた経験値もゴールドも全部パァよ?

冒険するならちゃんと冒険の書に記入して保険入ってから山に行きましょう。

 

これから始まる夏山シーズン。

もう今から興奮してハァハァしちゃってる人も多いだろうけど、今一度保険と向き合ってみてはどうでしょうか。

その方が安心して遊びに集中できますよ!

さあ、しっかり自分の保険見つけて、夏山シーズン、楽しみましょう!