超軽量シュラフシリーズ第1弾!「重い・かさばる」が代名詞だった化繊シュラフにキワモノ登場!わずか345gの超軽量化繊シュラフ「OMM MountainRaid 1.0」。こんなにペラッペラで大丈夫なのか?化繊シュラフ童貞のアツシオガワが夏のアルプスを中心に沢泊から結露祭りのシェルター泊まで体当たりレビューします!
[toc]
スペック
まずはメーカーの公表値を確認していこう。
重量 | 380g |
サイズ | 全長205×肩幅65×足幅35cm |
収納サイズ | 22×15cm |
生地 | Point Zero |
中綿 | プリマロフトGOLD(表面60g、背面40g、足下60g) |
価格 | 30,000+税 |
快適温度 | +17℃ |
下限温度 | +14℃ |
極限温度 | +3℃ |
重量
化繊シュラフと言えば「重い」「かさばる」が常識だったはずなのに・・・
こんなにコンパクト!
重量はなんと
メーカーの公表値から35gも軽い「345g」!!
化繊でこの軽さはやばいでしょ!
ちなみに、同じスタッフサックにスペック的に近そうな「イスカ エア150X」と「SEA TO SUMMIT SP1」を入れて重量をはかってみた。
「イスカ エア150X」が375.5g。(OMMとの差 +30.5g)
「SEA TO SUMMIT SP1」が376.5g。(OMMとの差 31.5g)
両シュラフともにメーカー公表値の重量ではOMMより軽かったので、この結果には驚き!
OMMはメーカー公表値「345g」にしたらもっと売れるかも!?
生地&中綿
生地には「防風性」「撥水性」「熱伝導率」に優れたOMMオリジナル素材の「Point Zero」を使用。
表面はしっとり系のツルツル系でとにかくしなやか。
実際には撥水力はそこそこでしかないので、表面生地の撥水力を高めたい場合は撥水スプレーを使用するといいだろう。
[kanren postid=”6868″]
中綿には「プリマロフトGOLD」を使用している。
プリマロフトGOLDは濡れた状態でも通常の保温力の90%以上を保つという羽毛に代わる超微細マイクロファイバー素材。
GOLDはプリマロフトの中で最高の保温力を誇る。
柔らかく保温性に優れ、水にも強いインサレーション。
現在、様々なODメーカーが化繊ジャケットなどに使用するハイテク素材である。
このプリマロフトGOLDを表面と足元には分厚めの60g、背面はロフトが潰れてしまうので40gのシートが使い分けられている。
入ってみた感じ
軽量化のためにかなりシェイプされたデザインなので、窮屈かなーと思っていたが、特にストレスを感じるほどではない。
おデブちゃんのユーコンにも入ってもらった
どすか?
うん、見た目より窮屈な感じはないね。ジッパーも短めだけど入るのに苦労することはないね。
ただ、ペラペラで不安感がすごいね・・・。
デブなのに寒がりっていう面倒くさい体質ですもんね。
俺はアルプスで使うには躊躇しちゃうな・・・。
フットボックスもちゃんとあります。
冷え性の私にはありがたいです。
相変わらず顔デカめっすね。
顔面デカ男でもちゃんと入れるよ。ってオイ!
一般的な化繊シュラフのメリット・デメリット
メリット
- 濡れても保温力が落ちにくい
- 手入れ(洗濯)がしやすい
- ダウンのように偏らないのでコールドスポットが少ない
- 乾きが早い
- 安い
デメリット
- かさばる
- 保温性が低い
- 重い
一般的なメリット・デメリットはこんな感じだが「MountainRaid 1.0」には当てはまらない点がいくつかある。
①安くない
通常化繊シュラフの方が安いイメージだが、ハイクオリティなプリマロフトGOLDを使用しているため「¥30,000+税」と同スペック程度のダウンシュラフよりも高い。
②軽くてコンパクト
かさばって重いというのは当てはまらない。
ただし、軽量化=保温力低下を意味するので、この軽さの化繊シュラフでどこまで対応できるかが気になるところだ。
フィールドレビュー
では実際にフィールドでの使用感をレポートします。
使用したフィールドは以下の通り。
- 7月末 南アルプス 長衛小屋テン場
- 8月上旬 北アルプス 烏帽子小屋テン場
- 8月下旬 南アルプス大縦走
- 8月下旬 前鬼川 河原
- 9月上旬 北アルプス 唐松五竜 五竜山荘テン場
皆さんが一番気になる「こんな軽くてコンパクトな化繊シュラフで寝れるの!?寒くない!?」ってとこですが、僕的には十分アルプスでも寝れました!
ただ前提条件として、化繊のジャケットを着てということになります。
どのフィールドでもテン泊するときには何らかの防寒着は持って行くので、特別な条件ではありませんが。
使用する前は「夏の低山用かなー?」なんて思ってましたが、なんのなんの、以外と夏のアルプスでも大丈夫です!
ただ、この辺の体感温度的なものは、ものすごく個人差がありますので誰でも大丈夫という訳ではありませんが、比較的寒さに強い僕は上記のシチュエーションで寝ることができたのは事実です。
僕の感覚では少し厚めのインサレーションJK(OMM MountainRaid Jacket)着用、シュラフカバー(SOL プロヴィヴィ)なしの場合で快適温度域は12〜15℃。
シュラフカバーを併用すると快適温度域は12〜7℃。って感じでしょうか。
どんなマットに組み合わせるかにもよるので、あくまで参考までに!
Good
これだけ軽くて温かいのにはダウンシュラフには真似出来ないGoodポイントがあります。
- ダウンのようにキルトボックスの中で偏ることがないのでコールドスポットができない。
- シート状のインサレーションが導入されているため、キルトボックスを必要とせず縫い目が最小限ですむ。
この2点は化繊シュラフにしかできないアドバンテージ。
ダウンシュラフは、ダウンを閉じ込めるためにボックスを作る(縫製する)必要があり、若干の重量アップにつながってしまう。
一方、化繊シュラフは偏りや抜ける心配がないため縫い目が最小限で済み、軽量化&コールドスポット減につながっている。
NoGood
唯一気に入らない点は「ジッパー」。
45cmしか開かないが、特に出入りに問題はない。
ジッパーの位置もここは開け閉めがしやすく、とてもいい。
ただSP1のように内側からも開けやすいジッパーになっていないので、上まで閉じた状態の時に開けにくいのなんのって!
でも、気に入らない点はそれぐらいで、他は概ね満足しております。
アンダー400gシュラフ比較
※横スクロールできます。新商品の「セミライト」良さそう…。
400g以下のシュラフ(他にもあるけど)を比較してみます。
やっぱりダウンは化繊に比べてあったかいっす!
そりゃー、SP1と比べてもこんなにロフトが違うわけですからね!同じような重量でも温かさは違います。
値段もAir150Xやモンベルの#7の方が1万円以上安いです。
OMMは濡れても保温力落ちないぜ!って言っても最近はSP1のように撥水ダウンを使用しているダウンシュラフも多く、大きなアドバンテージになりにくくなっているのも事実。
ダウンの方が暖かくて、濡れにも強いってなったら化繊シュラフを選択する理由はあまりありません。
よほど過酷な環境下での使用を前提としていない限り、化繊シュラフを激推し!とはやっぱりなりません。
提案
僕は前々からシュラフのスペックを上げるのを疑問視してきました。
それよりも防寒着のスペックを上げた方がメリットが大きいと思うからです。
だって、寒い中メシ食ったりトイレに行ったり星をみたりするときに、シュラフに入ったままできますか?できないですよね。
結局シュラフって寝てるときだけ保温してくれるものでしかないんです。
だったら寝てるときも起きてるときも保温してくれるジャケットやパンツのスペックを上げた方がずっとよくないですか?
あのパタゴニアだってハイスペックなダウンジャケットと組み合わせるハイブリッドシュラフを提案してます。
https://youtu.be/jWfA22ijvbY
僕もこの方法に賛成です。
シュラフは最低限のスペックにしてその分、防寒着のスペックをあげる。
これがベストではないかと僕は思います。
まとめ
この手のキワモノギアはやはり割り切りが必要です。
これだけ軽くてコンパクトな化繊シュラフならペラペラで当然。
保温力も同じ重量帯のダウンシュラフに比べて落ちるのも事実。
じゃあ、選ぶ理由は?ってなると、どんなシチュエーションでも使える「安心感」ってとこに尽きると思います。
結露や雨でべっちゃべちゃのシェルター内でもダウンは濡らすとアウトですが、化繊なら濡れても保温力が落ちにくく、乾きも早いので安心感が違います。
特に縦走時は初日にダウン系を濡らしてしまったら最後、途中で乾くことはほぼないでしょう。
でも、化繊なら例え濡れても乾きます。
そういった意味で緊急時にも対応できる化繊は心強いアイテムです。
それに防寒着で保温力をカバーすればいいので、シュラフは化繊のペラペラでもいいと思ってます。
汚れたり匂いが気になったりしたら洗濯機でジャブジャブ洗える点も楽でいいです。
キャンプ、低山、アルプス、沢登りまでどんな環境でも使えるマルチ&タフな化繊シュラフ「OMM MountainRaid 1.0」。
防寒着、シュラフカバー、マットとの組み合わせで、こんなにペラくてもある程度の温度域まで攻めていけますよ!
BUY NOW |