[2021年、秋の山行です]台風一過の平日!!向かったのは南アルプス・北岳!!以前から行ってみたかった小太郎山にも行ってきました!!美しさ、厳しさ、全て味わった二日間の記録。(文・コータロー)

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去年の山行

押忍!!

本来であれば最近の山行記事を書きたいのですが、休みの日の天気が悪くてどうしようもありません笑

そこで、今回はお蔵入りしていた去年の北岳&小太郎山の山行記事をお届けします。

行ったのは10月の頭ですが、これからの夏山シーズンにも参考になれば幸いです!!

動く牢獄

地獄だ…。

バスの車内で男は嘆いていた。

狭い…!!!!

何なんだこの狭い座席は…!?

私がデカ過ぎるのか…!?

いや、間違いなく座席が狭いのだ!!

座席の下に足を伸ばそうにも「謎のブラックボックス」のせいで無理…!!

JR甲府駅から北岳の登山口である広河原までの乗車時間は約2時間…!!

この状態で耐えれる気がしない…!!

 

ちなみに座席はバスの最後部。

他の皆さんも狭そうではあるが、座席の下にブラックボックスがあるのは私だけだろう。

そして、さらに殺しにかかる南アルプス…!!

北斗のザコ感

カーブの連続による車酔いだ…!!

 

三半規管がバグっている私は秒速ダウン…!!

 

かつてバイクで峠を攻めていた頃

「自分の運転で酔う」というミラクルを起こし、峠の走り屋を引退した。

そう、基本的にこの男は山との相性が悪いのである。

スタートから攻撃力の高い北岳。

以前から予定を立てると台風が来たり、バスに間に合わなかったりと相性の悪さを感じていた。

だが、ここまでとは…!!

 

しかし、今回は二日間の快晴予報!!

ここで負けるわけにはいかんのだ…!!

AM11:00

やっと登山口の広河原に到着。

サクッと書いているが、この2時間はマジでキツかった。

足が壊死したと思った。

 

初日の核心部の一つは間違いなくバス!!笑

 

バスを降りると建設中の広河原山荘が見えた。

(2022年の6月にオープンしました)

 

宿泊101名、テント場は50名対応とのこと。

南ぷすリザーブというサイトでサクッと予約が可能です。便利!!

車止めのゲートをくぐり、振り返ると雲一つない青空。

朝から色々あったが、救われた瞬間である。

まだバス酔いで気持ち悪いけど笑

長い吊り橋がスタートライン。

揺れているのは橋か、俺か。

インスタ映えしそうな場所だが、そんなもんはどうでもいい!!

猿にでも食わせておけ!!

 

10月だというのに、この日は真夏のような暑さだった。

橋を渡ると旧・広河原山荘に到着。

そう、先程の新しい山荘とバトンタッチでこちらの山荘は引退するのだ。

老朽化に伴う閉鎖だそうです。

(2021年11月3日閉鎖)

 

昭和60年から営業を開始して36年間登山者を迎えて来た山荘。

長い間お疲れ様でした!!

歴史を感じるプレートを横目に登山開始!!

ちなみに白根三山というのは北岳・間ノ岳・農鳥岳のこと。

しばらくは雰囲気の良い森の中を歩く。

北岳は基本的に登り一本勝負。

とにかく急登をガンガン登って行くイメージだった。

写真だと伝わりにくいのだが、なかなかの急登…。

平日で人が少ないので「殺して…!!もう殺して…!!」

とブツブツ言いながら登る。

南アルプスは北アルプスほど整備されていない。

よく聞くワードだが、北岳に関しては程よく整備されていて歩きやすい。

小太郎山は…それはまた後で…笑

なんて言ってるそばから崩落箇所。

3カ国後の看板が立てられていたが、やはりコロナ禍。

二日間で海外の方には一人も会わなかった。

PM13:05

白根御池小屋に到着。

サラッと書いているが、ここまでに急登で3回は死んでいる。

汗だくどころか、ずぶ濡れ。

腐敗臭を漂わせながらコーラを購入した。

南アルプスは東京から公共交通機関でアクセスすると、どうしてもスタートが遅くなる。

そもそも南アルプスは公共交通機関でのアクセスが難しい。

 

私を含め、東京では車を持っていない人が多い。

つまり、南アルプスに行けない人が沢山いるのだ。

ドル箱なのに…!!もったいない…!!笑

 

逆に北アルプスは夜行バスが出ているのでめちゃくちゃ行きやすい。

SNSでやたらと北アルプスの投稿が多いのはアクセスのしやすさもあると思う。

何が言いたいかと申しますと、南アルプス行きのバスをもう少し増やして頂けないでしょうか…!!?涙

 

あんまり利益が出ないのかな…?

なかなか難しいですよね…。

 

脱線しました。

 

そんなこんなで、当初は白根御池でテント泊する予定だったが、今回は天気も良さそうなので先に進む事にした。

雰囲気がいい場所なのでいつか泊まってみたいテント場である。

草すべり

白根御池からは「草すべり」と呼ばれる急登を登る。

正直、どこからどこまでが「草すべり」なのかわからない。

もうエンドレス急登。

 

「草すべり」なんて気の抜けた雰囲気ではない。

「鬼」「地獄」「絶望」というワードしか頭に浮かばなかった。

鳳凰三山方面

だが、振り返ると天国のような景色である。

紅葉も始まっている。

しばし見とれてしまった。

自撮りをしていると、一人の若者が凄いスピードで登ってくる。

80Lはありそうなザックを背負って頭には白いタオル、上下アディダスのジャージ。

大谷翔平似の爽やかボーイだ。

 

足元の登山靴はピカピカ。

大学生かな?

 

大谷くん「こんにちはー!!!!」

KTR「こんにちはー。早いね!見てて気持ち良いよー」

 

大谷くん「いやー!キツいっす!頑張って登ります!!」

KTR「ははは、頑張ってねー」

なんて爽やかで気持ちが良い若者なんだ…。

 

年のせいか、若者が山に登ってくれるだけで嬉しくなってしまう。

 

なんだか元気をわけてもらったような気がして、ストックを大きく振りながらグイグイと進んで行く。

このペースなら16時前には今日の目的地の「肩の小屋」に到着しそうだ。

綺麗な夕日が見れるといいなー。

だが、しばらく進むと大谷くんがグッタリしながら座っている…!!

ゼーゼーと肩で大きく息をしながら休憩している…!!

どうした!?

 

なんか話しかけちゃいけないオーラ…。

小声で「チャースッ…」と声をかけて先に進む。

 

返事が無い…。

大丈夫かな…!?

しかし、大谷くんは元気だった…!!

「ハァッ!!ンハァッ!!」

と息を切らしながらとんでもないスピードで登ってくる…!!

 

いやー、やっぱ若さってスゲーな!!

飛ぶように登るなぁ!!

 

私は登山道の端に寄って道を譲る。

 

「あざまーす!!!!」

元気な大谷くんはあっという間に見えなくなってしまった…!!

がんばれショウヘイ!!

だが、しばらく進むとまた大谷くんがグッタリして休んでいる…!!

「シューッ…シューッ…」

もはや声ではなくエアサスみたいな音を発しながら動かない大谷くん…!!

 

「チャ…、チャッス…」

またも蚊の鳴くような声で横を通り過ぎる…。

 

返事はない…。

抜いては抜かれての状況は独特の緊張感がある…。

 

その後もF-1ショウヘイと原チャリKTRのデッドヒートは数回続いた。

めんどくせぇ…!!!!

 

もう嫌だ…!!

なんなんだこの状況…!!

追い抜くならそのままぶっちぎってくれよ…!!

私はぶっ飛ばした。

ブヒブヒ言いながら飛ばした。

 

完全にオーバーペースだったが、もはや肉体面より精神面が限界だった。

 

もう挨拶したくない…!!

変な空気になりたくない…!!

 

無視されたくない…!!

てか、無視すんなよ…!!

 

動け…!!

動け…俺の脚…!!

 

勝て…!!

ショウヘイに…!

自分に勝て…!!

肩の小屋

目が死んでるわ

ついに草すべり区間が終わり稜線に出た…。

ここまで来ればゴールは目前…。

勝った…。

いや、逃げきった…。

 

明日の筋肉痛が心配である…。

 

落ち着いて辺りを見渡すと、稜線からの景色は素晴らしかった。

富士山…!!

甲斐駒ヶ岳…!!

鳳凰三山…!!

地蔵岳のオベリスクが見える…!!

稜線に出ると元気が出る!!

肩の小屋はもうすぐだ…!!

ラストスパートだ!!

見えた…!!

山で発電機のブーンという音を聞くとホッとするのは私だけだろうか?

PM15:10

本日の宿泊地

「肩の小屋」に到着。

その名の通り山頂手前の絶妙なポジションにある山小屋だ。

テント場は絶景立地。

鳳凰三山や富士山を眺めながらゆっくりできる。

想像より広かったので、設営場所に困ることは無かった。

LOCUS GEAR/khufu tyvek

私は下部の端に設営。

岩が多めでペグは少し刺さりにくかった。

 

設営時に整地しているとアルミ缶やビンのゴミが埋めてあって驚いた笑

まぁ、あるあるなんですが今回はなかなかの量だ笑

 

なんでも昔はゴミを埋めて帰るのがマナー的にOKだったそうなんです。

 

今回見つけたゴミも年代からして相当古そうだった。

山のマナーも常識もどんどん変わるんだなぁ…と興味深かった出来事でした。

PM17:30頃

この日の夕焼けは凄かった。

今まで見た夕焼けの中でも屈指の美しさ。

写真に興味が無い私でもかなりの枚数を撮影した笑

周りの登山者も一斉にシャッターを切っている。

動画を撮影している人もいた。

 

そして私は持ってきたカメラよりiPhoneの方が綺麗に撮れて凹んでいた…!!

俺はもうiPhoneだけでで十分!!笑

甲斐駒かっこいい…

今日のうちに山頂に登ってもよかったかな?

まぁ、明日も晴れそうだからいいか!!

そんな事を思いながら山頂を見上げる。

夕日が完全に沈むまで眺めたのなんていつぶりだろう?

 

大地を真っ赤に染める夕日…

現実とは思えない美しさに感動して涙が溢れた…

この景色…絶対忘れないよ…

ありがとう…山…

 

とかSNSポエマー風に言いたいところなんですが

「綺麗だった!!寒い!!おし◯こしたい!!」

そんな感想でした笑

 

明日も勝つ!!(意味不明)

オマケ:装備の紹介

オマケです!

今回の装備を少しだけご紹介!!

バックパック:パーゴワークス/CARGO55

バックパックはパーゴの現代版背負子、CARGO55。

タフな生地はアルプス山行にピッタリ。

二日目に行った小太郎山はハイマツが多かったんだけど、気にせずガンガン突っ込んで行けました。

 

ボトルポケットがイマイチ安定しない&使いにくいので別で用意した方がいいと思います。

細かいレビューは以前のBBGをどうぞ!

変幻自在な令和の背負子!!パーゴワークス CARGO55!!

 

シューズ:スポルティバ/TX GUIDE

シューズはスポルティバのアプローチシューズ、TX GUIDE。

個人的にスポルティバには絶大な信頼を寄せてるんだけど、今回もその期待に答えてくれました。

このシューズは特に岩場に強い印象です。

TX4よりは靴幅が狭いのでそこだけは注意。

私はTX4よりワンサイズ上げました。

実寸27.5cm/4Eの足で45サイズをチョイス。サイズ感バッチリでした。

とは言え、長時間の山行だとやはり幅広のTX4の方が疲れないかも。

でも、岩場での安定感と足運びのしやすさはTX GUIDEの方が優れている…。

悩ましいけど、アプローチの長さで選択肢を変えるのがよろしいかと!

 

奥穂高に行くのに岳沢経由ならTX GUIDE、涸沢経由ならTX4。

そんな感じです笑

 

レビューしようと思ったんだけど、流通が悪すぎて全然買えないっていう笑

実店舗で見つけた方はチェックしてみて下さい。

 

寝袋:ウエスタンマウンテニアリング/Astralite58

寝袋はウエスタンマウンテニアリング。

これは旧モデルで現行のAstraliteは生地が12Dになってます。

リミットは−3℃。

この日の夜は2℃だったんですが、暑かった笑

大きな不満は無いです。

中途半端なブランドの寝袋を買うならウエスタン買いましょう…!!

その方が幸せになれるし、もし売る時も高値で売れます笑

大事なのは見た目含めて本当に欲しいギアを買うこと。

それが一番コスパが良いですし、幸せになれます。

以上、分割で買った男の戯言でした!

 

ロストアローオンラインショップ→コチラ

防寒着:アークテリクス/Atom AR

ダウン代わりに持って行ったのはアークの化繊ダウンの定番、Atom AR。

LTは持っている人も多いんじゃないでしょうか?

178cm85kgでL着用

秋の山行はウェアのチョイスが難しいですよね。

今回は短パンでも良いくらい暑かったですが、急激に気温が下がった時に行動着としても使えるように化繊をチョイス。

暖かいのはもちろんですが、被り心地が良いフードが最高です。

個人的にフードの造りはアークが一番。

パタゴニアのフードはデカ頭には拷問器具。

 

はい、そんなこんなで次回は南アルプスの忘れられた一座、小太郎山への山行模様をお届けします。

「地味な地獄」って感じでした笑

それではまた来週!!

押忍!!