初めまして!九州の山岳コックアツシです。ぼくも山好きギア好きで連載当初からBBGの大ファン。待ちに待ったBBG復活ということで、ぼくからは簡単おいしい山ごはんのレシピとその道具について紹介します!(文・アツシ)
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自己紹介
ぼくは地元の低山ハイキングからアルプス縦走まで、その土地の季節の食材を使った山ごはんを作って歩くのが趣味です。
最近はインスタントで簡単においしい製品がたくさんあって、実はぼくもカップ麺大好きです。
しかし、やっぱり自然の肉や野菜で作った手料理はおいしくて栄養があって、疲れた体に元気をくれて、仲間も笑顔になってくれるのです。
海でも山でも旅の仲間にはコックが1人居たほうが楽しくなる。おいしい料理はあなたの旅を豊かにしてくれます。
「だけど山で料理なんて大変じゃない?」
なんてよく聞かれますが、ほんのちょっとした基礎知識だけで意外と簡単に作れますよ。
ここでは「簡単なのにそこそこおいしくて手が込んで見えるレシピ」と「失敗しないための道具選び」をご紹介します!
ついでに山の写真を撮ったりしてるんでよかったら見てくれよな!
デジタル写真アカウント:atsushi_mt.photo
フィルム写真アカウント:ash_mt.film
はじめに
山ごはんに1番大切なことは何でしょうか?
北アルプス3泊4日縦走であれどんな料理でも作るぼくが思うのは「どうやって食材を持っていくか」です。
そもそも「山ごはんのレシピ本」なんて要らないのです。食材さえ持っていければ、山で使える食材を知っておきさえすれば、家で作れる料理はほとんど山でも作れます。
ですから、レシピの前に「食材の持っていき方」「山で使える食材」を伝えたいと思っています。
[btn class=”bg big”]【事前準備】
・食材は事前に切ってジップロック等に入れると余計なゴミが出ないし、軽くなるし、料理が時短で作れます。最近はカットしてある野菜やベーコン、バラバラになっているしめじがスーパーで売っているので活用しましょう!
・肉などの生ものは保冷バックに入れます。「パックの冷凍アクエリアス(300ml)」などを保冷剤代わりにすると、最後は飲めばいいので便利ですよ!
・シチューの素などの外箱は家に捨てていきましょう。できるだけかさばらないように軽くなるように。外箱のレシピが心配ならスマホで写真に撮っておくと便利ですよ!
・調味料は軽い容器に入れ替えます。特にビンなどは重いので移し替えます。これをしているだけで「スマートに山ご飯やってる人感」が出ますよ![/btn]
ベーコンとアスパラのクリームスープパスタ
今回紹介するのはパスタ。同じ麺でもラーメンだと「誰でも作れる」と思われ、パスタだと途端に「料理できるんだ!?」となります。
そして普段山で作っていない人には意外とどう作るか想像できないものです。
・たっぷりのお湯で茹でないといけないのに茹で汁はどうするの?
・ラーメンだとスープが多くて飲みきれない(女子)
・パスタだとスープがないしすぐ冷めるから物足りない(男子)
これらの問題を1発で解決するのが
スープパスタです!
材料(1人前)
【材料】
・パスタ(茹で時間5分) 100g ※半分に割っておく
・ベーコン 50g
・アスパラ 1本
・しめじ 20g
・ホワイトソース(少量パック) 70g
・牛乳 200ml
・バター 1かけら(15g) ※オリーブオイルやサラダ油でも可
・コンソメ 大さじ1 ※好みで調整
・塩こしょう 少々
【おまけ】
・ブラックペッパー
・ドライパセリ
レシピ
①ベーコン、アスパラ、しめじをバターで炒めます。
②塩こしょうをふって更に炒めます。
③水200mlを入れます。
④パスタ麺を入れます。半分に割っておくと鍋に収まりやすいですよ!
⑤ここで5分タイマーをかけます。5分待つのではなく、作るのに5分かかるから5分パスタを使っています。
手際がまだ悪いうちは7分パスタなどにしてもいいですよ!
⑥コンソメを好みの量入れます。
⑦牛乳を入れて更に茹でます。
⑧ホワイトソースを入れます。
⑨水分が少ないと焦げ付くので、足りない場合は水を追加しましょう!
スープパスタだからギリギリまで水分を飛ばさなくていいのです。
⑩作っているうちに5分経って完成です。
盛り付けた後に、ドライパセリやブラックペッパーをかけると一気に「この人シェフなの!?」となります。
ただかけるだけなのに!
ちなみに男共は「パスタだけだとなんか物足りない」という野郎が多いんだよな。だからレディーが作ってあげる時は調理パンなんかをオマケに付けてあげると男共は満足感が増すよ!
今回は「料理してる感」を出すためにホワイトソースを使いましたが、ぼくが伝えたいのは
「山でパスタを失敗せずに作るにはスープパスタにしてしまえばいい!」
ということです。
ですから、材料はそのままでレトルトのソースを使っても全然OKですよ!味が足りなければコンソメを足せばいいだけです。
今回はベーコン&アスパラを使いましたが、ソーセージ&ほうれん草、豚肉&キャベツなどと具材を変えていろいろ楽しめます。
また、ホワイトソースの代わりにトマトピューレの少量パックを使ったり、コンソメだけで作ったら、別の味も楽しめます。
今回紹介したスープパスタの基本レシピを覚えて、自分だけのスープパスタを作ってみて下さいね!
こちらが今回の料理の動画です。
1度見ておくと流れが分かりやすいですよ!
ギア紹介
それでは、今回使ったギアを紹介します!
クッカー
まずは料理の主役とも言えるクッカーから。ぼくは昔からこの
「トランギア ツンドラ3ミニ」
(1.0L鍋×2、Φ15cmフライパン)
を愛用しています。
3人以上の時は、
「トランギア ツンドラ3」
(1.5L鍋、1.75L鍋、Φ20cmフライパン)
がオススメです。
「料理に向いているクッカー」とはどんなクッカーでしょうか?
よく比較表にされていたりしますが、逆に分かりにくくなるので結論から書きます。
ぼくがオススメするのはこういうクッカーです。
①材質が「アルミ製」であること。(焦げ付き防止加工がされているもの)
理由は熱伝導率がよくて「焦げにくいから!」。料理で1番の失敗は焦げ付くこと。チタンではどんな料理の達人でも焦げ付きますよ。
逆に「料理」ではなく「お湯を沸かすだけ」ならばチタン製に軍配が上がります。理由は「とにかく軽いから!」。その時の食事によって使い分けるのがベターです。
ちなみにこのツンドラ3ミニは1.0L鍋1つと蓋で実測137g(取っ手抜き)。エバニューのチタンウルトラライトクッカー2(0.9L)で107gです。
②形状が平型であること。
大抵の本やサイトでは山を始める時に最初に買うクッカーは深型をオススメします。なぜなら収納性が良くてパッキングしやすいから。
しかし、料理に向いているクッカーに着目すると、やはり平型が圧倒的に使いやすい。とにかく混ぜやすいし、火が通りやすい。だから家庭で使う鍋は平型なのです。
平型のクッカーは鍋にもなるし、フライパン代わりにもなります。
また、山ごはんで意外と多い失敗は「鍋ごとひっくり返すこと」。平型の鍋は重心が低くて安定していて、ひっくり返りにくいです。
クッカーを平型にするだけで料理のしやすさが格段に上がり、失敗の確率が下がると思いますよ!
ハンドル
VARGO チタニウムポットリフター(23g)
【おまけの裏技】
ツンドラ3ミニには取り外し式のハンドルが付属しています。ぼくはこの純正ハンドル(48g)の代わりに
「VARGO チタニウムポットリフター(23g)」
を使っています。
毎回必ず使うものを少しずつ軽くすることは大切です。ツンドラを気に入って長く使いそうならハンドルを変えてみるのもアリですよ。
商品名 | トランギア/ツンドラ3ミニ ブラックバージョン | ||
画像 | |||
重量 | 総重量(HPより):364g 内訳(実測):ソースパン(1.0L)87g×2、フライパン(Φ15)74g、蓋50g、ハンドル48g | ||
材質 | アルミ製(ノンスティック加工済) | ||
価格 | 8,250円(税込) | ||
HP | trangia トランギア | ||
TME | TMEオンラインストア |
バーナー
バーナーは
「プリムス ウルトラ・スパイダーストーブⅡ」
を愛用しています。
「料理に向いているバーナー」とはどんなバーナーでしょうか?ぼくがオススメするのはこういうバーナーです。
①幅広の4本五徳であること。
何度でも言います。山ごはんで意外と多い失敗は「鍋ごとひっくり返すこと」。
軽量で幅が狭い3本五徳で料理をしていたら、
それはもうジェンガをやっているようなもの。
ひっくり返すのは必然です。
料理をするなら最低でも幅広の4本五徳のバーナーが必要と考えてほしいです。
一体型バーナーで例を挙げると、プリムスなら153ウルトラバーナー、
SOTO ウインドマスターなら別売りの大型4本五徳が欲しいところです。
②重心が低いこと。(分離式バーナー)
4本五徳を更に安定させる方法は何かというと「分離式バーナー」です。一体型に比べて重心が低いから安定感が全然違います。
このウルトラ・スパイダーストーブは点火装置を無くし、本体を肉抜きすることで軽量化を実現しています。
重量は、一体型の153ウルトラバーナーが116g、分離型のウルトラ・スパイダーストーブが167g。
約50gで鍋がひっくり返る確率が激減するならアリですよ。
点火装置が無いというのも、いずれにせよ山にライターは必需品なので特に問題は無いはずです。
商品名 | プリムス/ウルトラ・スパイダーストーブⅡ | ||
画像 | |||
重量 | 167g | ||
出力 | 3.6kW/3,000kcal/h(250Tガス使用時) | ||
ガス消費量 | 210g/h | ||
燃焼時間 | 約65分(IP-250ガス使用時) | ||
ゴトク径 | 大168mm/小118mm | ||
収納サイズ | 9.3×10.0×3.5cm | ||
価格 | 14,080円(税込) | ||
HP | PRIMUS プリムス |
うつわ
おいしい料理を更に素敵にするものは何か。
それは「うつわ」です。
歩くという行為をハイキングという文化にしたものがザックであれば、食べるという行為を文化にしたものはうつわなのではないか。
「どうせやるなら山ごはんも欲張りに楽しみたい!」
というあなたにオススメなうつわを紹介します。
今回、ぼくが使っていたうつわの1つは、この
VIVAHDEオリジナル「山のうつわ」
です。
木のうつわは断熱性に優れていて、熱い料理を入れてもしっかりうつわを持つことができます。また、料理が冷めにくいという利点もあります。
天然素材で自然に馴染み、デザインもとても美しい。
大中小の3つセットで、スタッキングしてコンパクトに収納できます。
例えば、大(95g)、中(77g)をツンドラ3ミニとガス管(IP-110)と組み合わせるとこんな感じです。
蓋は下に重ねて、ぴったりの袋に収納すれば、かなりコンパクトにまとまりますよ!
木のうつわは厚みが出て重くなりがちですが、この薄さこの軽さに仕上げているのはまさに職人業ですね。
色は、ブラウン、ナチュラル、ブラックの三色から選べます。(上の写真はブラウン)
ちなみにこの山のうつわは、ゴ・・・CEOがやっているあのTMEでも在庫が入ると販売しているらしいですよ!
大事なことなのでもう一度…(以下省略)
商品名 | VIVAHDE / 山のうつわ | |
画像 | ||
重量
サイズ |
(大)直径11.5cm 高さ6.8cm 重さ95g 容量520ml
(中)直径10.5cm 高さ5.7cm 重さ77g 容量360ml (小)直径9.5cm 高さ4.6cm 重さ38g 容量240ml 3点合計の重さ 約210g |
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カラー | ブラウン、ナチュラル、ブラック | |
素地の種類 | 国産天然木 (栓) | |
仕上げ | 食器用ウレタン塗装 | |
価格 | 10,780円(税込) | |
HP | VIVAHDE ヴィヴァフデ | |
BUY NOW | TMEオンラインストア |
ちなみにもう1つ、ぼくが愛用しているうつわは、この
「ベルモント チタンボール14(37g)」
「スノーピーク チタンシェラカップ(37g)」
です。
素敵なうつわを持って行きたいのは山々だけど、過酷なアルプス縦走ではできるだけ軽量化したい。
そういう時はチタン製のうつわがオススメです。
2つ合わせてもなんと74g!
これなら重量的にそれほど負担になりません。
使い込まれた無骨なチタンのうつわに盛られた料理は、「男の山飯」という感じでかっこいいですよ!
うつわを忘れたレディーにそっと1つ貸してあげるのも山岳コックのテーブルマナーだよな!
実はこのチタンボール14はすでに廃盤になっています。ベルモントさんに再販してほしい気持ちも込めて、今回紹介させてもらいました。
山ごはんを撮影するコツ
「せっかくがんばって作った山ごはんだから写真に撮ってSNSに投稿したい!」
そうすることがまた作ってみようというきっかけになって料理が上達したりするものです。
では、山ごはんはどう撮ったらいいのでしょう?
山岳コックがコツを1つ伝授します!
「せっかく作った料理だから全部欲張りに入れたい!」
気持ちは分かります。
しかしそれではなんだかインパクトに欠ける。そんな時は・・・
ターゲットをメインディッシュに絞って大胆に切り取る!
どうでしょう?
ビーフシチューの豊潤な香りが伝わってきそうではないですか。
端っこは切れちまうくらい大胆に切り取るとコクのある写真に仕上がるよ!
さいごに
山岳コックの山ごはん教室、いかがだったでしょうか?
「いつもカップ麺ばかりだけど、次の山はパスタ作ってみようかなー」
なんて思って頂けたらうれしいです!
まずは山に行けない休日のランチに練習がてら家で作ってみるのもアリですよ。
それから、皆さんのオススメのパスタソースやパスタの具材があればぜひコメントくださいね!
質問もお気軽にどうぞ!
以上、山岳コックアツシがお届けしました。
長文にお付き合い頂き、くそありがとうございました!!
こりゃモテるわ