『旅は道連れ、世は情け』旅をするにも同行者が居れば、その旅はより楽しく充実するもの。ニート気分が抜けない鬼ころしSが道連れにしたのは、よりによって超多忙なCEO。向かった先は未踏の地「四国」。よさこい響く山々の絶景と美食の数々を「山も居酒屋も縦走ならお任せあれ、繁華街ガイドS級」鬼ころしSがお送りします。
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プロローグ
こんにちは!三十路ニート改め、パートタイマー鬼ころしSです。
約半年の無職期間を経て、ようやく社会復帰を果たしました。
長いようで短かった半年間を振り返ると、アルプスから九州から東北まで実に色々な山に登ってきました。
お父さんお母さん、留守がちな娘がやっと帰ってきたよ。
「ようし、しばらく地に足のついた生活をしよう。」と胸に誓い、決意を新たに・・・
新たに決意した1週間後には山に来ていました。
しかも更にその1週間後には峡谷に来ていました。
恐らく、じっとしている事なんて私には不可能なのでしょう。
そういえば小学校から高校までの通信簿には「落ち着きがありません」と毎年のように書かれていたっけ。
開き直ったその1週間後には3連休を確保し、忙しそうなCEOを「ギアテスト」と称して強引に連れ出すことに成功。
こうして心強い運転手旅仲間をゲットした鬼ころしSは未踏の地「四国」へと向かった。
第1章 峠の王者・アツシオガワ
まず最初の目的地、徳島の最高峰である「剣山(つるぎさん)」へ。
名古屋からは400km、約6時間の道のり。
出発早々、前途多難・・・
BBGという組織は、こういう星の下に存在しています。
天候の回復を信じて車を走らせること5時間。
登山口が近づくにつれ視界は完全に消失。
2m先が全く見えない。
ナチュラルなブラインドアタック体験をさせてくれるのもBBGクオリティ。
「曲がってくれ俺のハチロク!」と前のめりなCEO。
つぶらな目をいくら凝らしても見えない道路。
突然現れるガードレールや法面のヤバい山道が1時間ほど続き、アドレナリンどっぱどぱだぜ。
この旅一番の核心部を突破し、登山口へ到着した頃には睡眠不足と気疲れと長旅が一気に押し寄せ、コンマ5秒で天召し。
ちなみに私は車酔いはちっともでした。笑
朝からは晴れる予報だったので、出発準備を整えるべくアラームで目を覚まし外を見て・・・
無言で二度寝を始めた鬼ころし。
私、今日は何しに来たんだっけ??
多分ここに冷えたビールがあったら飲んでました。笑
再び目を覚ますと時刻はもう9時前だったので、天気はイマイチだけど腹をくくって出発。
駐車場から少し下がった所、まずはこの劔神社の石段を登って行きます。
剣山の登山は標高差約500m、2時間ほどの易しい行程です。
が、テンションが全く上がらないうえに寝起きでこの石段地獄。正直しんどい。笑
今回の旅の無事と天候の回復を祈願し、登山道へ。
リフトで上がって行かれる紳士とご挨拶。
剣山が比較的登りやすい山と言われているのは、冬場を除いて登山口の見ノ越駅から標高1750m地点の西島駅までをこのリフトが運行しているためです。
続々と上がっていく地元の紳士淑女と、リフト下から挨拶を交わしながら登って行く。
地元の皆さんは、こんなコワモテのおじさん相手でもすっごく気軽に話しかけてくれます。笑
ちょうど今時期には美しい紅葉を愛でながらのチャッピーハイクが楽しめる・・・はずだった。
目の前に広がる残酷な事実を受け入れられず「うふふ。きっれーい。うふふ」と現実逃避を始める鬼ころし。
頼むから、何かの間違いだと言ってくれ。
第2章 不敗神話のS
足元の紅葉を散らかしながらのハイクアップもようやく中間地点。
登山道の中腹あたりにあるリフトの終点に到着しました。
ここからは「尾根道コース(40分)」「剣道コース(60分)」「遊歩道コース(80分)」などのコースを選んで山頂を目指すことが出来ます。
鬼「社長、どれにし」
CEO「最短ルートで行こう。」
食い気味かつ、半ば強引に決められてしまいました。
しかし地図とにらめっこしているうちに、奇跡の青空が!
秋も深まったとはいえ陽が出ると暑い。暑がりさんに是非オススメしたいウエッティを使った冷却術。
尾根道コースにある「刀掛の松」の前は休憩スポット。
いくつか存在する剣山の名の由来のひとつに、安徳天皇が宝剣を山に奉納したという説があります。
屋島の合戦に敗れた平家と一行が、山頂を目指す途中にこの松に刀を掛けて休んだそうですよ。
山頂直下には剣山本宮宝蔵石(つるぎさんほんぐうほうぞうせき)があります。
神社仏閣女子の私ですが、ステンレスの鳥居って初めて見ました。ピカピカ!
すでに先ほどの紳士淑女が到着されており「兄ちゃんたち早いなー!」と称賛のお出迎えを頂きました。
山頂まではあとほんの少しですが、再び眺望ゼロのため頂上ヒュッテで休憩という名の時間つぶし。
心踊る地酒の数々。誘惑に辛うじて打ち勝ち・・・
打ち勝てませんでした。笑
“晴れ待ち”という大義名分でお許しを頂いて、昼からプシュ♡
自家製こんにゃくと、地元の祖谷(いや)豆腐を使ったおでんが絶品!
祖谷豆腐は硬くてデカイ。
地元の方は串に刺したりBBQで焼いたりするみたいです。豪快だね!
オマケのつもりで頼んだ笹だんごが本気で美味しいのでおすすめ。モチモチとろり〜んなお餅。
缶ビールをちびちびやりつつ1時間ほど潰したものの、時刻は午前11時。
天気予報を信じてガスの中出発。
するとこのタイミングで晴れ間が!
「ほら。こうなると思ってたんだよね。」
唐突なヒゲ面の根拠のないドヤ顔。
それすらも気にならなくなるほど爽やかな青空が、みるみるうちに頭上に広がって行く。
標高1,955mの山頂に到着!
名前こそ剣山ですが、山頂がとがっている訳ではなくただただ平和な風景が広がっております。
しかし私が見たい景色は山頂のさらに奥にあるのです。行ってみましょう。
山頂から少し下った所に集まる登山者の皆さま。一体何を見ているのでしょうか?
目線の先には、徳島で二番目に高い山、次郎笈(じろうぎゅう)への稜線がドーン!
絵本のようなフカフカ系の山容に私もうっとり。
ひたすら眼下に広がるのはBBGらしくないハイパーチャッピーな景色。
この独特のフカフカ感は、アルプスのクマザサと違って背丈の低い”ミヤマクマザサ”が一帯に茂っているから。
背の低さ、伝わりますでしょうか?
決してCEOが巨大化した訳ではありません。
初日にして早くも素晴らしい景色をありがとう四国。
鬼ころしS&CEOの晴天不敗神話は崩れない。
次郎笈へと続く尾根のさらに向こうには丸石(まるいし)白髪山(しらがやま)三嶺(みうね)と続いており、それはもうすんばらしい縦走路なのだ、と地元の方が指差しながら教えてくれました。行ってみたい!
今日は二度寝&晴れ待ちしたお陰でいい時間になってしまったので、後ろ髪引かれつつ下山開始。
せっかくなので、帰りは緩やかで眺めの良い「遊歩道コース」を選択。
剣山の山頂からは1時間程度で行ける次郎笈ですが、近付くにつれてなかなかのデカさを感じます。
そうそう、”次郎”の兄はどこに居るのかって?先生とってもいい質問だと思います。
剣山は”太郎笈”とも呼ばれていて、兄弟関係なんだそうですよ〜。
ゴキゲンCEOと次郎笈。
今朝の雨から一転、こんなにも空が青いというだけでニコニコ笑いが止まらない鬼ころし。
「二度見展望所」 思わず二度見してしまうほどの展望という意味合いだと思うけれど、本当に二度見する人なんて居るのかな?
「ぶ、ブフッ、本当に二度見している人がいるんですけど〜」と笑いが止まらない鬼ころし。
もはや箸が転げただけでも爆笑できるほど、気持ち良い晴天。
この戦闘態勢みたいな装備を見るだけでも私はツボでした。
本当に、山というものは皆を笑顔にしてくれますね!
あの白い巨塔の下に「若返りの湧き水が湧いている」という情報を地元の方からゲットした我々は少し回り道。
「ごしんすいだって!ごしんすい!飲みに行こう!」と高いテンションのまま水場へ。
見た感じはこれと言って目立った所のない湧き水(失礼)がこんこんと湧いて居ました。
「ん゛んっ!?」
「ごしんすい旨ぇ!ごしんすいシャベー!」とお代わりしまくるヒゲのおじさんとミソジョ。
大声で「ごしんすい美味しい」と騒ぎまくっていたら、まさかの「おしきみず」でした・・・。恥ずかしい。
登りではガスで全く見えなかった紅葉を愛でながらのチャッピー下山。
恐怖のブラインドアタックだった今朝の峠道も、実はこんなに素晴らしい場所でした。
登山口に帰って来ました。
標高は1400m、我々が訪れた10月下旬ではこの辺りが一番の見頃のようです。
剣山に来る前から絶対食べたいと決めていた焼きだんご。
駐車場のすぐ隣なので、観光のお客様もたくさん。
甘めのタレが香ばしく焼かれた香りが辺りに漂い、食欲をそそります。
見た目にそぐわずフワフワもっちりの食感は、団子というより雪見だいふく的な旨さ。
スイーツ好きなアツコちゃんも「美味しーい♡」とご満悦。
お洋服もなんだかフワモコ系だし、いつも高いその女子力を私も見習わなくっちゃね。
次に登る時は活き活きとした夏の新緑か、はたまた静まり返った雪景色か。
1年を通して登山が楽しめるのも、剣山の大きな魅力!
下山後は祖谷温泉にある「秘境の湯」へ。
今年の私は白馬鑓温泉や阿曽原温泉など、やたらワイルドな温泉にご縁がありましたが、ここは秘境とはいえ脱衣所もシャワーもある秘境温泉。
女子にとっては快適な温泉ライフを送るのも登山の大事なポイント。
ドライヤーがあるかどうかって、なかなか公式ホームページにも書いてないのよね。
第3章 よさこい一万一千回転
夜は私の独断で、超スーパー楽しみにしていた『美食とお酒の天国』高知に向かいます。
車を(CEOが)走らせ、高知駅前にやって来ました。
さあここからは私、鬼ころしSが高知の夜をご案内しますよ〜!
繁華街の縦走ならば、ガイドは私にお任せあれ!
最低3軒は行かないと気が済まないんだらね!!
まずは喉を潤しに「ひろめ市場」へGO!!
ここ「ひろめ市場」は、地元民も観光客も入り乱れて楽しく飲める屋台村風の商店街。
ご当地グルメや新鮮な魚介。所狭しと並ぶ地元食材の中から、素敵なお酒のアテを見つけましょう!
土佐と言えば鰹のタタキ!脂が乗っていて口の中でとろけます。
今まで食べていた鰹は何だったのか分からなくなるぐらい、泣けるほど美味い鰹。
実は餃子の美味しいお店が沢山ある高知県。
屋台餃子はパリパリ系でビールが進む系。
しゃベー!これだけでも高知に来る価値あり!
少し歩いてみましょう。こんな裏路地を見つけたら進んで入るべし。隠れた名店とはこういう所にあるのです。
二軒目では地酒の土佐鶴、司牡丹、滝嵐、土佐しらぎくを飲み比べ。
有名なのは司馬遼太郎「竜馬がゆく」で知られる司牡丹、竜馬が愛したお酒はスッキリした飲み口で私も大好きになりました。
ユーミンもこのお酒好きみたいです。ちなみに私にとって人生初のコンサートはユーミンでした。
3軒目、最後は屋台ロードへ。
高知の人は飲んだ後のシメに餃子を食べるそうなので、本日は餃子で始まり餃子で終わるハシゴ酒。
優しい醤油味の中華そばが、長旅で疲れた体を癒します。
翌朝は早起きしなくちゃいけないので、そろそろ下山しましょう。
最近、山ではなく飲み屋で何度か「鬼ころしさんですか??」と声を掛けられる事が増えてすごく嬉しいです。
名古屋の縦走ガイドならいつでもお任せ下さい!
楽しいハシゴ酒をお約束します!!
よさこいっ!!!
後編へ続く。