鳥取県の西部にある霊山「大山」。伯耆富士(ほうきふじ)として名高い中国地方の最高峰。開山1300年を迎える周辺一帯の山岳信仰の中心地。ここの超絶パワースポット「大山滝」で日頃のスカタン疫病神も落とせるのでは!?ついでに人生初の山頂でご来光を迎えることにも挑戦。一縷の望みをかけ、漢は滝に打たれるべく霊山に挑む。(文:スナフキンN)
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スカタン疫病神
やあ、一億2千万人のBBGファンのみんな、スナフキンNです。
押忍!
突然だけど、みんな最近ツイてる?
誰もかれもが「いい波乗ってん☆NIGHT」な中で
ボクはどうもツイてないんだよね。

レビューデータの入ったUSBメモリはロストするし、旅を予定するたびに台風。
やたらとスズメバチに追いかけられる。
広末涼子に送ったレターの返事が返ってこない。
どうも、これは疫病神が付いている。(決してボクがスカタンだからではない)
というわけで超絶ゴイスーなパワースポットに厄落としに行くことにしたよ。
その場所は鳥取県の霊山「大山」。
なんとボクのベースキャンプ(我が家)から20kmほどの近所です。

大山は中国地方の最高峰にして、今年で開山1300年を迎える山岳信仰の中心地。
日本百景、百名山として、冬には西日本有数のスキーリゾートとして大人気。

見上げる見事な山容、北壁の何者をも寄せ付けない荘厳さ。
そして、日本海から吹き付ける白雪。
明治までは霊山として、入山は厳しく規制されていたのだよ。
冬の厳しさは、鬼ころしSちゃんが体験したとおりなんだけど、夏は意外と気楽に登れる。
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その奥深くにある「大山滝」。
名瀑百選にも選ばれた超絶パワースポットで禊(みそ)げば開運間違いなし。

あと、ふもとに住んでいるのに山頂も行ったことがないので、ついでに行ってこようって寸法なのだ。
ルートとしては、夏山登山道で弥山(大山山頂)→行者登山道で元谷→ユートピア避難小屋から親指ピークを通り、大休峠から大山滝へ。
その後は一向平キャンプ場へ下りて一泊。
次の日は、チャッピーに大休峠から川床に下りて、登山口周辺の温泉をお楽しむ予定。

*今回の記事には、補足のために別の日に撮り直しに行った写真も含まれています。
前線基地にて
どうせ初めて登るなら、ご来光ってやつが見てみたい。
ということで、ナイトハイクすることにしました。

日本海と弓ヶ浜半島が見える
ターミナル駅の米子駅から18時過ぎの最終バスで大山寺(大山博労座)へ。
ここは大山寺や大神山神社という山岳信仰の門前町として栄えた場所で、今も参道はにぎわっているんだ。
参道には旅館、お食事所、登山用品店をはじめ、スキーリゾートの方にはホテルやロッジ、スキー&スノボのレンタル屋さんがお持ちかね。

ベニズワイガー しゃべー!
登山道直下にはキャンプ場も整備されているので、ベースキャンプにするのもおすすめ。

また、博労座のバス停は大山ナショナルパークセンターとなっていて、登山情報の提供、コインロッカー、電源、Wi-Fi、飲み水の提供、そしてシャワーまであるのだ!

ご来光でお清め作戦
深夜2時半、何とか起きて、夏山登山口近くの南光河原駐車場(夏は無料開放)にて登山届を出す。
ここにはめっちゃ綺麗なトイレ。
勿論ウォシュレット付き。

そして、置いてある石をバックパックへIN(イン)しとく。
ULだろうとトレランだろうと大山に登るときはこれをお願いしたい。
詳しくは山頂で説明するね。

ここは混みやすいので博労座にとめるといいと思う
第一マゾ発見
なんとヘッデンを忘れてきた!
これは疫病神がお清めされまいとの必死の抵抗に違いない。
決してボクがすかすかスポンジ脳だからではないからね?

なので、ランタンとして持ってきたゴールゼロ ライトハウスマイクロフラッシュで登ることにする。
でも、途中手に持つのが面倒になり、ランタンモードでポールに括り付けて提灯のように使ったよ。
ヘッデン忘れるのは論外だけど笑、意外と電池残量確認怠ってることがあるから、みんなも気を付けよう!
今回登るのは夏山登山道。
大山山頂(弥山)に登るには一般的なコース。
大人から子供、果ては小型犬まで気軽に登れる整備されたコース。
いつもの低山ハイクと違い、藪漕ぎや大きく上り下りする事もなくどんどん標高が上がっていくのが信じられない。
大山の誇るブナの原生林を横目に見ながら(暗いけど)、登っていく。
いつも昼白色ライトだけれど、たまにはライトハウスの電球色も温かみがあっていいね。

登り始めて1時間、6合目まで一気にこれた。
6合目には避難小屋(3人収容)がある。
トイレはないけれど、携帯トイレ使用ブースがあるんだ。
勿論、使用後は自分で持って帰ろう。
「Leave No Trace」なのだ。

6合目からは階段少なくなるけど、手を使って登るような道はないから安心。
カメラをセット、セルフタイマーを押して激ダッシュ。
CEOが使っているような無線レリーズが欲しいね。
僕のカメラ(X-H1、RX100Ⅲ、Gopro)はすべてスマホのアプリで遠隔シャッターが押せるよ。

山頂部の木道手前の一本道で撮っていたら、トレランさんがカップルで登ってきた。
そして、彼氏さんが彼女さんを守るように前に立ち「…山頂、登られるんですか?」
他にどこにも道はないが、不慣れな己撮りに挙動不審なハゲには当然の質問なのだ。
何という露出系の不運。
疫病神に晒しマゾにされてしまった。
お清めにあらがう疫病神の必死の抵抗。
決してボクがスカタンなわけではないのだ。
不審者扱いまでされて…BBGの為にありがとう!
疫病神の抵抗と己撮りに思いのほか時間が掛かってしまい、気が付けば薄明。
ご来光、二つの大山
このままでは登山道の途中で夜明けを迎えてしまう!っと、急いでグハグハ登る。
ここまでのマゾをパッケージしての「己撮りセット&ダッシュ」だとでもいうのか。
大山山頂の避難小屋は設備が充実していて、トイレや売店もあるんだ。
この日もご来光目当てにたくさんの人が泊まったり、休憩していたよ。
黎明を迎え、下界の明かりが消え、夜が明ける。
「夜が明けるとどうなる?」
「知らんのか」
「日が昇る」
なんて、一人コブラごっこと共にご来光。
久々の幸運が、信じられない!
神々しいご来光に疫病神もお清めされちまうぜ!
一緒に日の出を見ていたアーマロイドレディ(他の登山者さん)が、
「北に見えるのが隠岐の島よ。普段見られないけど、今日はよく見えるわね。」と教えてくださいました。ヒュー!

そして、海からの日の出を楽しんだ後は、山頂へ移動する。
今はもうたどり着けない大山の最高峰「剣ヶ峰」(1729m)から登る太陽を待つ。
ああ、ボクに憑りついていた疫病神がお清めされていくのを実感する…。
というか、疫病神とかどうでもいいくらいの、純粋に綺麗なご来光。
[aside type=”normal”]以前はここ弥山から剣ヶ峰を通り、ユートピア、三鈷峰に抜ける縦走路があったんだけど、2000年の鳥取西部地震で崩落が進んでマジで危ないので立入禁止になっています。[/aside]
お清めの成功に満足して後ろを振り返ると…。
やや、なんと面妖な!
太陽と反対側にもう一つ大山が出来ているではないか。
「こんなにくっきり投影されるなんてゴイスー!」と皆さん大興奮。
この影大山が見られるのは激レア。
なんてものを見せてくれるんやー、惚れてまうやろー!

日の出が一段落すると山頂は暴風が吹き荒れる。
さくっと山頂碑で己撮りをしたら、山頂小屋へ避難だ。
びっくりしたー。大山を開山した偉いお坊さんの石像かと思った!
強敵(とも)との邂逅
朝ごはんは登りながらドーナツを食べたので、行動食のかりんとうで「日の出後コーヒータイム」。
今回はGSIのドリッパーを初投入。
10gちょいの軽さがいい。
旅のお供の旧支配者(奥の緑)と喜びを分かち合っていると、ここでさらなる奇跡が起こる!
ふいに後ろから「…BBGいいですよね。」との声。
カスケードワイルドの激軽テーブル(66g)に貼られたモリオに反応した人がいたのだ!
声の主はBBGファンのトントンボさん。

「サコッシュ特集あれだけやって、その後の結論がサコッシュ不要って!?」「歩荷鬼六のギャング顔は三人はヤってる顔!」とBBGネタで大興奮。
実はトントンボさんは登山口にある某有名国産ブランドのスタッフさんなのです。
お店の皆さんで登ってこられて、下山後即お仕事という気合の入り方。
登山用品店のスタッフさんは本当に山好きなんだね!
トントンボさん!ありがとう!
ひとつの木、ひとつの石
同じBBGファンとの邂逅(かいこう)で気を良くし有頂天のまま山頂を下りていく。
おっと、山頂小屋の近くに「南光河原駐車場から持ってきた石」を置いてくのを忘れてたのでダッシュで置いてくる。
現在の山頂部は天然記念物のダイセンキャラボクなどに覆われて一面豊かなグリーン。
しかし、この自然が失われたことがあった。
それは昭和50年代、時はおりしも登山ブーム。
山容がよく、危険なコースも少ない大山、訪れた登山者は年間10万人に及んだという。
当時は木道もなく、登山靴の深い踏み跡を雨が流れ、どんどん浸食されていった。
そこに日本海から吹き付ける厳しい風や雪に山肌は保水力をなくす。
その結果、ダイセンキャラボクなどの群生は枯れてしまった。
山頂周辺は急激に崩壊がすすんだ。

そして、自分たちが荒らした山を蘇らせるため、昭和60年「一木一石運動」が始まった。
登山者が保全の材料として一つの木、一つの石を持って山頂に置いてくる。

行政、山の人たち、多くのボランティアのおかげで現在はこんなに豊かな自然が戻った!
今では多くの山でこの活動をしているね。
その始まりはここ大山からだったんだ。
だから、大山に登るときは指定の場所(南光河原駐車場、下山キャンプ場など)から石を持って登ってきてほしいんだ。
[aside type=”normal”]大山から崩落した石を、登山者に一人ひとつずつ持って山頂に登ってもらい、その石で浸食溝を埋めたり、植物の苗を植え、コモをかぶせて保護したり、木道を整備して踏み荒らされないようにすることで、一度失われてしまった緑を復活させ、大山の山頂を崩落の危機から守っていこうという取り組みです。[/aside]
南に下りたいんだけど、縦走路は進入禁止なので、北壁を下りてユートピアへ登り返すよ。

この稜線の先にユートピア避難小屋があるが一度下って登り返すのだ。
いつか回復して縦走できたらいいな!
ついに爆発、大凶爆弾!
6合目の避難小屋を超えるとすぐに、分岐「行者谷分かれ」、そこから行者登山道へ下りていく。
ここでも浮かれポンチで己撮り。
実はこの時、頭上では大凶爆弾が爆発してハードラックなおみくじが降り注いでいるんだけど、
浮かれスナフキンNは気付きもしなかった。
女性の歩荷の方に遭遇。
ビックリするような荷物を背負って理想的な歩き方で確実に一歩ずつ登っていく。
あんまり綺麗な歩き方なので見とれてしまった。

実はこの方、山頂小屋で売店をされている上野さん。
上野さんは登山ガイドさんなのだ。
売店には冷蔵庫で冷やしたルービーやコーラ、スポドリ、暖かいコーヒーやカップ麺まであるからとっても便利。
山頂小屋でしか買えない記念バッジや手ぬぐい、最近ではTシャツが大人気とのことでした。
豪運大回収!浮かれた後には…
さて、行者登山道をどんどん下りていくと元谷に着く。
大山北壁を拝みながら河原を超えていくんだ。
今回は寄っていないけれど、避難小屋とトイレもあるそう。

時刻は朝8時くらい。すでにかなり暑い。
山頂での奇跡の数々、BBGファンや歩荷の方との出会いで浮かれポンチのスナフキンN。
気力十分で暑さなんて全然平気だった。
しかし、大堰堤をバックにノリノリで己撮りをしているハゲの手にご注目いただきたい。

お分かり頂けるだろうか?
そう、トレッキングポールを持っていないのだ。
ぎゃーっ!この浮かれハゲは「行者分かれ」で己撮りをした際にポールを置き忘れてきちゃったんだよ!
スナフキンもスカスカかよ!
荷物をデポすることもせず下りてきた道をダッシュで登り返す。
ここはBBG。
「浮かれた後にはマゾきたる」。
スカタン疫病神が深い眠りから覚醒したんだ!

待ちぼうけのポールを回収し、足早に折り返す。
「そんな筈はない。ご来光と影大山によって疫病神はお清めされたはずだ。」
独り言をぶつぶつ呟きながら、したたる汗が止まらない。
冷や汗なのか、それとも元々ビチャ男だからなのか、判断が難しいところだ。
そんなこんなで何とかユートピアコースに入ったのだ。
ユートピアコースは大山寺参道から大神山神社奥の院を超えてユートピア避難小屋へ登る道。
夏山登山道に比べると、階段ではなく苔むした石を踏んでいくコース。
今日は珍しく靴(アルトラ スペリオール3)を履いているが、角も取れて苔むした石はツルッツルですっころぶ。
ソールが悪いっていうよりも、修行が足りないのでグリップするように体重をかけることができない。
こんな道は激薄サンダルで地面を感じたいけど、そろそろ靴も履かないといけないのだ。
下宝珠越から中宝珠越くらいまではきつめの角度もあるけれど、走ることも出来る。
途中で可愛いクワガタムシを発見。
これが世に聞く「ダイセンクワガタ」なのか。

嘘でした。ダイセンクワガタはゴマノハグサ科の多年草です。
5月くらいに咲くので、もう終わっていました。
上宝珠越のあたりになると両手を使うような場所も増えてくるよ。
でも、しっかり管理されているのでロープも用意されている。
途中には北壁の展望ポイントがあるんだ。
2時間前には反対の西側から見ていたとは感慨深い。
途中の「砂滑りコース」は崩落が進んでいて進入禁止。
ユートピア避難小屋が近づくと、花が多くなってくる。
花が多いので虫がたくさん。
このところ疫病神効果でスズメバチに追いかけられまくっているので神経過敏。
ブーンとでかい音を聞くたびに体が強張るが、「気のせいだ」と言い聞かせて何とか進む。
しかし、どうしても手でどけて通らなければならない花に黄色と黒のストライプが!
「アイエエエ!スズメバチ!?スズメバチナンデ!?」と、
遺伝子レベルで刻まれたスズメバチリアリティショック(SRS)を発症して、逃げ惑うスナフキンN。
すっ転んだ末に迂回路も無いので意を決して戻る。
ん?よく見てみると何か変だぞ?

こいつはヨツスジハナカミキリ。
ハチに擬態して身を守っているらしい。
こんな刺客を配置しておくとは、疫病神も中々やるね。
逃げ惑って転んだのも、決してボクがスカタンだからではないんだ。
楽園への誘い
ユートピア避難小屋が見えてきた。
ここは通称「お花畑」と呼ばれ、この世の楽園。
その名の通り高山植物が咲き乱れて…って程ではないんだね。
何故ならここの花盛りは7月。すこし過ぎてしまったんだ。
それでも草木は元気。登山道にボンボコ枝葉を伸ばして半分藪漕ぎ状態。
やっと避難小屋に到着。
小屋の中には団体さんがいらっしゃるので外で休憩。
実はユートピアコースは何度か来たことがあるのだ。
夏用にモンテインウルトラツアー40を背負っています。
みんなに「いい色だね」って言われる。ボクもそう思う。
北壁に沿って剣ヶ峰を挟み弥山に稜線は続いている。
北壁に対峙すると山の偉大さがよくわかる。
東に見えてる三鈷峰へもここから10分ほどでいける。
ここも崩落があるから気を付けて登ってね。
だけど、そろそろモクモクさんの登場時間になってしまった。
ゴジラの背と呼ばれる岩場まで稜線はいける。
そこから先は立入禁止。
ゴジラの背のテラスで休憩するのも気持ちいいんだ。
時刻は11時くらい。行動開始から8時間ほど。
実はここからが今回のメインのちょい男塾ルート。
ここまでは北側を登ってきた。
ここからは稜線を挟んで、大山の南に下り、大山滝を経由して一向平(いっこうがなる)キャンプ場に向かうんだ。
因みにここからは管理者のいない道なので、覚悟しましょう。
まずは象ヶ鼻から振子山に下りよう。
象ヶ鼻から下りてくると南壁が見える。
このコースの肝は親指ピークというでっぱり。
こいつの周辺は崩落が進んでいて、危ないのだ。

大山遭難防止協会の方は、「このコースはまだ通れるけど、親指ピーク周辺は危険なので十分気を付けて!」とのこと。
振子山からユートピア避難小屋にかけての斜面はハイシーズンには一面紫で「びっくりするほどユートピア!」だそう。
親指ピークへ
しばらく胸までの高さの枝葉に抱きしめられます。
いつものことだが、藪漕ぎ。

そのうち灌木のトンネルに代わり、顔にめっちゃ刺さる。
そして路面は昼でもヌルヌルのゲリ道のうえ、下草も元気で地面が見えやしない。
振子山から親指ピークを挟んで野田ヶ山への道は結構崩れてる。
カメラ出せる所が限られているので伝わらないけど、危ない所も多い。
お誘い合わせられるなら、ペア以上がいいと思います。
ボクは友達100人なので気にしないで!
ここが通れなくなると、ボクが構築してる南側に抜けるロングコースが軒並み行けなくなるんだよね。
大切に通ろう。
こいつが親指ピーク。真っすぐ上る。
この親指ピーク周辺はザレつつも灌木がボンボコ枝を伸ばしているので、バックパックの外付けはおすすめしない。
結構簡単に背中が引っかかったり、外ポケット中身が落ちるよ。
まあ、それは後に身を持って知ることになるんだけれどね…。
写真だと分かりつらいけれど、ほぼ垂直です。
危ない箇所にはしっかりザイルが打ち込んである。
野田ヶ山まではこんな道が多い。
管理者のいない道なので、落ちると見つからない。気を付けて通ろう!
比較的安全な場所で己撮り。
この後、本物のスズメバチに追われてしまう。
逃げ場がないのでめっちゃ怖かった。
北側から見た親指ピークは崩落が進んでいるのがよく分かる。
これ以上崩落しないといいなー。
野田ヶ山の山頂に着いたら、危険な道はおしまい。
ここからはブナやナラの気持ちのいい樹林帯が続きます。
ブナの原生林を30分ほど下ると大休峠に。
大休峠の避難小屋はとても綺麗でトイレもあります。
水無しと地図には書いてあるけれど、ここから南の一向平方向に10分ほど行くとちょろちょろと水が湧いてる。
大休峠は東に船上山、北に川床経由で大山参道に戻れたりする交通の要。
昔から、ここでみんな休んでからそれぞれの方向へ行ったので大休峠って名前だそうな。
南の一向平(いっこうがなる)へのルートの途中に大山滝はあるんだ。
その前に少し休もう。
失われた創世記!
ピーカンでめっちゃ暑いけど、ご来光やトントンボさんとも会えた。
明日は北の川床コースををチャッピーハイクでハンモックで昼寝して温泉入るかな。
真夏だけど、この世の春じゃ、アハハハハハハ。
しかし、浮かれ気分でサンダルに履き替えようとして、愕然とする。
サンダルがあからさまに片方無いのだ!
バックパックのサイドポケットに入れてたのに…。

今回、荷物が少ないのでウルトラツアー40をベルトでギチギチに絞ってた。
そのせいでメッシュポケットの口がスカスカでサンダルが落っこちてしまったのだ。
そう、ここはBBG。
「浮かれた先にはマゾ来る」
スカスカなのはスポンジ脳だけじゃなかったのか!?

ユートピアでは休憩の時に履いてたから、ユートピアからここまでの間。
ってことは、来た道を戻って探すのか!?
ゴリ…敏腕CEOの言葉を借りるなら「ガッデム!ガッデム!ガァーッデーム!!」
前世でだいぶ悪さしてきたようだね。

スカタン厄病神をお清めするには大山ご来光だけでは足りなかったのだ。
やばいぞ、豪運の代償を萬田銀次郎(ミナミの帝王)のようにきっちり回収(キリトリ)されてしまう。
このままでは今後も疫病神に追われてレビューデータを無くして土下座生活になっちまうぜ。
何としても、神聖な大山滝で完全浄化するのだ!
滝へ向かって走れ
いつもはここのトレイル、ブナの原生林を満喫するんだけど、今回はその余裕なし。
パワー全開で鬼ダッシュ、びっくりするような短時間で大山滝の直上へ。
見よ、眼下に美しい名瀑の姿が!。
展望台の横からスルスルと下りていく。
最後にちょっとだけ鎖場になっているので、注意してね。

さあ、これが今回のメインイベント。
滝行にて疫病神を禊(みそ)ぐのだ!
己撮りセット&ダッシュを繰り返すもセルフタイマーの10秒では滝までたどり着けない。
この為に頭を丸めてきたのに!
何とか滝に足が浸かるところまではいかないと!
ぎゃーっ、サンダルが無いおかげで、足の裏をざっくりやってしまった。
ここで、ボクの中で何かが弾けた。
みさらせ、これがスナフキンNの根性じゃーっ!!
厄病神なんか関係あるか、とことん一生マゾったるわー!
滝をバックにちょけたお坊さんにしか見えないよー!
スカタンと共に生きていく
この時を振り返って彼は言う。

敵は疫病神でもスズメバチでも、ましてお山でもない。
真の敵は「マゾを愛さない己の心」なのだと。
翌日、ジェネシスの片割れは無事に見つかった。
親指ピークの先にてザイル登りを己撮りしていた時に落としていたようだ。
勿論、サンダルが見つかったということは代償が必要だ。
その代償は今回の装備中、一番高価なCW-Xを破ってしまった。
またハチに追いかけられて灌木に引っかけたのだ。

彼はつぶやく「芳醇なマゾに身を委ねれば、この世は全てエンターテインメントなのだ」と。
深けー。
彼は下山後、登山口の大山寺参道にある温泉「豪円湯院」に浸かった。
そして、
ミレードライナミックのパンティを忘れて後日取りにいくという時間差マゾまでこなした。
豪円湯院さん、ゴミの中まで探して見つけ出していただきまして本当にありがとうございました。

腹いてぇ…。絶対にドライナミックパンティだけは落としたり忘れたりしちゃダメなやつ!にしてもスカスカすぎんだろ…。
いつものように長かったけど、最後まで読んでくれてありがとう。
厄落としどころか、スタンド能力「スカタン神」(エジプト9栄神的な)を開花させる結果になりました。
- 今回の全体ルートは大山滝から、大休小屋に戻るにも一向平キャンプ場に下りるにもコースタイムで12時間以上かかるので気を付けてください。

特に後半には親指ピーク周辺の要注意地帯が待っているので、体力残しておいてね。
一度マゾに魅入られた者は、一生マゾとして生きる宿命なのだろう。
ハンモックマゾ一代「スナフキンN」がお送りしました。
押忍!