アルトラの防水シューズ?また完全防水じゃないんでしょ?ところがどっこい、今度のローンピークは完全防水!シームテーピングされてるし、防水膜だってネオシェルからeVentへ変更になったのだ。超アップデートされたアルトラ 『ローンピーク4.0 Mid RSM』。幅広足の救世主を使ってきたレビューです。(文:スナフキンN)
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冬でもゼロドロップが履きたい
やあ、1億2千万人のBBGファンのみんな。
寒くたってハンモックで寝てる人、スナフキンNです。押忍!
なんだこの橋の下感は…笑
ボクは今年の春からXero Shoesのサンダルで山でも下界でも暮らしていた。
しかし、氷点下でサンダルで山に登るのも限界っていうか、人心を惑わすシーズンになった。
かと言って、サンダル生活で足指ノビノビで本来のエジプト人(幅広の足)に戻ってしまい
さらにゼロドロップに完全にチューニングされてしまった体は普通の靴を履くと腰が痛くてしかたない。
なので、新しく冬の低山ハイク用に靴を探すことにしました。
求めているのは
- 足指ノビノビでつま先幅広なこと
- ゼロドロップであること
- 完全防水でなおかつ透湿性の高いこと
- 軽くてほどほどに柔らかいこと
- 滑らないのはもちろんだけど、オンロードも歩けること
結構わがままだけれど、BBGのシューズへのこだわりにしては控えめな方だと思う。
しかし、そんな都合のいいシューズは…ぴこーん!
「そげいやアルトラのローンピークのあたらすのがこっちで売ーだねかや?ちょっこう、買ってみらか!」
(訳:そういえばアルトラローンピークがアップデートして国内展開するようでしたね?試しに買ってみましょう!)
アルトラ ローンピーク4.0 Mid RSM
という訳で、さっそく買いました。
色はブラック。
最近は難しい色の名前がついてる中、すかすかスポンジ脳でも理解できるいいネームだ!
男性用はミッドカットがまずは国内展開。
女性用は反対にローカットからなのです。
では、細部を見ていく前にスペックをチェック。
スペック
モデル | ローンピーク4.0 Mid RSM |
スタックハイト | 25mm |
ミッドソール | デュアルレイヤーEVA / A-BOUND |
アウトソール | マックストラック・トレイルクロウ |
インソール | 5mmコンツアー・フットベット |
アッパー | eVentファブリック |
重さ(9インチ片方) | 370g(9インチ実測) |
今回のアップデートでの一番変わったのはアッパーと防水メンブレン。
前のモデルはネオシェルだったのが、なんと…
みんな大好きeVentになりました!
更に、シームテーピングされて漏れてきません!
前のモデルはトレランシューズにありがちな「なんちゃって防水」だったけど、今回のローンピーク4からは完全防水(メーカー表記は耐水)となったのです。
では、そのアッパーを見ていこう。
アッパー生地に樹脂の網目が張り巡られている。
さらにその上に補強の樹脂がコーティング。
「前のやつとよう似ちょうけん、間違えなんなや。ベロにがいな字で4て書いてあーやつだじぇ。」
(訳:以前のモデルを継承したデザインなので、店頭で間違えないで下さい。タンに大きな数字で4と書いてあるものです。)
シューレースを掛ける部分以外は縫い付けていないのも軽量化に役立ってそう。
上部2つは金属パーツだが、フックではなくループになっている。
「かねの輪がしっかりしちょうけん、ように見でも下から紐を引っ張りやすいがん。脱ぐとき楽なな。」
(訳:金属パーツが自立しているので、よく見なくても下部からシューレースを引っ張って緩めやすい。脱ぐときに快適ですね。)
それ以外のところは、合皮のループでしっかりテンションが掛かり、走っているときに緩まなくなっている。
アルトラの創立者は自分たちでアルトラシューズを作る前、既存のシューズで靴紐のテンションの掛け具合によって前足部のクリアランスを確保していた。
アルトラのシューズ全般で締めたテンションのままで走り切れるのは、その時の経験からかもしれない。
ゲイター対応
アルトラお馴染みの4ポイントゲイターシステムも完備してます。
「横にGAITER TRAPって書いてあー場所に紐をかけなりゃえーわ。」
(訳:通常のゲイターでしたら、サイドのゲイタートラップにストラップをかけるといいでしょう。)
アルトラ純正のショートゲイターは国内展開していないので、ダーティガールゲイターがシャレオツでおすすめ。
これも大々的には国内展開していないようだけど…。
走ったり、歩いたり、登ったりしてみた
「よっしゃ、ほんなら使ってみちゃらか!」
(訳:実際に使ってみよう、Rock ‘n’ Roll!)
トレラン向きな整備された六甲山の全縦ルートと、岩の多めな伯耆大山のバリエーションルートに行ってきました。
軽くてほどほどに柔らかい
ボクはがっちりした登山靴が苦手。
足首を固定されたり、硬いソールだと疲れるし、すぐに足をグリッチョしてしまう。
ローンピーク4は長めのミッドカットなので、少し心配だったけれど
「あら、足首がちゃんと曲がーけん疲れりゃせんし、かけーのも楽なわ。」
(訳:おや、足首の動きに追従するので疲れませんし、ランもストレスフリーですね。)
くるぶしからかかと部分はそんなに硬くはない。
脱ぎ履きするときにかかと部分がクシャっとなってビビる。
でも、これがアルトラお得意の「樹脂パーツ使わないでかかとホールドシステム」。
くるぶしにはクッションもそこそこ入っていて、ホールドされてます。
足指ノビノビでつま先幅広
「あいきょー!足の指が当たりゃーせんがな。こいつはえわ。草履みたいなな。」
(訳:Yheaaa Cool! 足の指が靴のサイドに当たりません。これはまるでサンダルのような解放感ですね。)
履いてまず感動するのが、足先の解放感
アルトラといえばフットシェイプデザイン。
それは前足部がぶわっと広がったいかにも足指リラックスなラスト(足型)。
前足部の横軸アーチで衝撃吸収するためにとても有効なんだね。
サンダル生活で生粋のエジプト人と化したボクの幅広ノビノビつま先も圧迫されることもなく快適祭り。
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前の冬に履いていた靴だと小指が圧迫されて痛かったのがウソのようだ!
不思議だったのは、これだけ足先がノビノビでも靴の中で足が滑らないのだ。
「紐をきつに結ぶと、甲が後ろに引っ張られーやなわ。だけん、指が自由に動くだなー。」
(訳:シューレースを歩行時用に締めると、足の甲を後ろに引き寄せる感じです。そのおかげで前足部のクリアランスが確保され足指を使った歩行が可能になるのです。)
もちろん、下りでオーバーストライドで突っ込んだ走り方をしたら、つま先は当たるよ。
というか、前足部か足裏全体からの着地やゼロドロップでの走法(歩法)をしないとつま先当たります。
でも、アルトラやゼロドロップの靴を履くならこの際それにも挑戦てみよう。
山で滑らず、オンロードも歩けること
さて、シューズで気になる部分といえば、アウトソールだ。
落ち葉のチャッピー六甲と岩々した大山で試してみよう。
特にBBGでは「滑る、滑らない」に関しては1月中旬の受験生並にうるさい。
アウトソールはトレイルクロウという自社素材。
この時点でグリップ魔人のゴ、敏腕CEOの殺人メンチ光線が怖いが、実際どうなのか?
前モデルまでの六角ボルトの頭のようなパターンではなく、矢じりのようなパターン。
矢じりパターンはノースのウルトラエンデュランスで絶賛されていたパターンだから期待出来るかも!?
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これからの低山ハイクでは落ち葉でズルズル滑りがちだけど、しっかりラグ(ソールの凸凹)が高いので下りでもなんとか食い込みます。
でもやはり、オーバーストライドで突っ込むと滑ります。
んで、肝心の濡れた岩では
「あら、思ったよりいけーがね。こーならえわ。」
(訳:あらあら、期待値以上のグリップ力です。これなら戦えますね。)
では、次は苔ってる所で…
おや、いける?いや、あいきょー!
この直後にずっどーん!と転んでしまいました。
ゴ、敏腕CEOもこないだの妙高で派手に転んでたしね(メガグリップで笑)。
どんなシューズでもスベる時はスベる!
グリップ性能を過信しすぎず、丁寧な足の置き方を心がけることが大切だね。
とはいえ、自社製のソールの中では滑らないほうじゃないかな。
柔らかく粘るソールは耐久性とのトレードオフなので難しい所なんだよね。
ちなみにアルトラのラインナップではキングMTがメガグリップを使った悪路仕様です。
トレイルクローソールはほどほどの硬さなので耐久性も期待できそう。
ローンピーク4のミッドカットはローカットよりもミッドソールもしっかりしている仕様なので、オンロードも快適にどこまでも歩けます。
アッパーも含めてなんだけど、アメリカとかの整備されたトレイル向けにチューンされてるのかな?
電車やバスで登山口まで移動する人は履いたまま行けるのでとても便利だよ。
この時期、リカバリーサンダルで下界も寒いもんね。
山陰海岸トレイルをこれで歩けたならさぞチャッピーだっただろうな…
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完全防水でなおかつ透湿性の高いこと
さて、おそらくみんなが一番気になっている防水性だ。
今回のローンピーク4MID RSMは防水メンブレンにeVentを使い、シームシーリングもされて完全防水が売り。
RSMっていうのはRain(雨)、Snow(雪)、Mud(泥)に耐性があることを示しているのです!
使われているeVentといえばその高い透湿性でギアフリークの心を掴んで離さない素材だ。
これは期待しちゃうよね。
冬でも(冬こそ)汗で冷え冷えになってしまうビチャ男であるボクの救世主となってくれるのか?
実際に結構激しい雨の中を4時間くらい歩きました。
「あい、冷たやな!?水が漏ってきただないか。あら、おかすなあ、濡れちょうせんじぇ?。」
(訳:うわ、冷たい!?浸水してきたか。いや、おかしい。濡れていないぞ?。)
たまに「濡れたか?」って冷たさを感じるんだけどそんなことない。
アッパーの撥水はすぐにしなくなったんだけど、水は入ってこなかったよ。
eVentはゴアテックスに比べて透湿性が高いのもあって遮熱性が低いんだ。
だからちょい寒いのかもしれないけれど、低山の積雪くらいまでなら厚めのソックスで大丈夫じゃないかな?
逆にいうと放熱性は高いのでオーバーヒートしないって事だ。
今までは冬場に足汗をかきまくって透湿が追い付かないで、結果ソックス濡れ濡れで悲しい思いをすることが多数あった。
ローンピーク4ならそれも心配ないね。
防水透湿性に関してはゴアテックスモデル以上ではないでしょうか!
ここをこうして欲しい
とってもいい所だらけのローンピーク4MID RSMなんだけど、改善してほしい点がないわけではないのだ。
タンが薄い
下りなんかでシューレースをきつく締めると、タンが薄くてほんの少し痛い。
特に4のロゴの部分の縫い目ががっちり足の甲に食い込むのだ。
つま先をぶつけないない為には、しっかりここで固定しておきたいところ。
もう少しクッションがあると良かったかもしれない。
シューレースをしまう場所が欲しい
シューレースが長いんだよね。
ボクは結構ジャストサイズなはずなんだけど、下りや走るときの為にシューレースをきつく締めるとレースがめっちゃ余って邪魔なんだよ。
上部の二つの金属パーツはフックではなく輪っかなのでシューレースを短く切って使うには、毎回通すのが面倒。
太目の紐は好みなのでなんとかしてもらえたら嬉しいなー。
アッパーの耐久性が不安!
これはマジでびっくりしたんだけど、アッパーの親指の付け根くらいで樹脂コートがすぐに取れる!
ここは折れ曲がるポイントで、多くの靴がここが痛むポイントでもある。
それにしたって初日でコーティングはがれるのはやめてくれよ…
eVentまで破れたら怖いので、シームグリップ+SIL(旧シルネット)で修繕しときました。
GIARAID シームグリップ+SIL | ||
¥1,200+税 | ||
そして、1か月ほど履き込んだ結果。
ドロドロになったので沢に足を突っ込んで洗おうとしたらめっちゃ冷たい!?
まさか…?
あいきょー!
いつもの藪漕ぎで切れちゃったみたいだね。
これもシルグリップで埋めました。
こんなあなたにベストバイ!
そんな感じのアルトラ ローンピーク4 MID RSMなのですが、こんな人におすすめしちゃいます。
- 冬場は整備された低山ハイクにいく
- 足元の汗冷えでお困り
- 軽くトレランもしたい
- ロードの歩き旅をしたい
- 硬い靴は苦手
- エジプト人だ(足幅の広い人)
- ゼロドロップが好き
- ミッド(フォア)フットな歩き方を身につけたい
最後にもう一度スペックを貼っておくね。
モデル | ローンピーク4 Mid RSM |
スタックハイト | 25mm |
ミッドソール | デュアルレイヤーEVA / A-BOUND |
アウトソール | マックストラック・トレイルクロウ |
インソール | 5mmコンツアー・フットベット |
アッパー | eVentファブリック |
重さ(9インチ片方) | 370g(9インチ実測) |
品名 | ローンピーク4.0 MID RSM | ||
イメージ | |||
サイズ展開 | 25cm(7インチ)~29.5cm(11.5インチ) | ||
価格 | ¥23.000+税 | ||
BUY NOW |
*画像クリックでメーカーサイトへ
女性用は先にローカットモデルが展開中。
ミッドカットモデルはもうすぐ発売されるそうです。
品名 | ローンピーク4.0 LOW RSM レディース | ||
イメージ | |||
サイズ | 23.5cm(6.5インチ)~25.5cm(8.5インチ) | ||
価格 | ¥21,000+税 | ||
BUY NOW |
おまけ
さて今回のおまけは、記事作成秘話的なお話だよ。
実は今回、ローンピーク4のインプレの為に兵庫の六甲全山縦走路を50kmほど歩いたり走ったりするつもりだった。
ついでに第19回キャノンボールランの応援もしようと思っていた。
[aside type=”normal”]六甲縦走キャノンボールラン大会はラン、自転車、馬、ウィングスーツ、グライダー、スケボーなどなど、なんでもいいから早くゴールした人が偉い大会。様々な銘酒のエイド(水はない)や欲望補給に大人の本エイドなど盛りだくさんのお祭りです。[/aside]
しかし、なんと開催日を一週間間違えていたんだ!
絶賛開催中の21日(日)ボクは和歌山でそれに気が付いてしまった。
仕方なく次の日、「残り香だけでも」と、西の起点の塩屋へ行ってみたんだけれど、もぬけの殻。
めっちゃ片付けも済んでてゴミも全然落ちていキレイなトレイルでした。
さらに昨日キャノンボールランに出ていたようなお兄さんたちがゴミを拾って下ってきてましたよ。
「えーわ、どうせ申し込みもしちょらんかったし(間に合わなかった)、全縦だけでも走ってみちゃーか。」
(Don’t mind…エントリーもしていなかったし、全山縦走路を素直にエンジョイしましょう。)
気を取り直して、途中の神社から走り始め、しばらくすると須磨浦山上遊園に出る。
ここはとても良い景色で須磨海岸から神戸の町並みが見渡せるんだ。
そんでここで水を補給して本格的に走ろうか、とのその時
あいきょー!ハイドレーションのホースがない!?
オスプレイ レザヴォア2Lのチューチュー吸うホースがなーい!
駅でセットして走り始めたときは確かにあったのに!?
この後、彼は失われたホースを探して塩屋駅と須磨浦山上遊園の間の激登りを3時間ほど往復したのでした。
気がつけば終点の宝塚まで行けないような時間になってしまいました。(終電的に)
仕方なく途中でエスケープしましたとさ。
勿論、ホースは見つかりませんでした。
みんな、おまけまで読んでくれてありがとう。
とまあ、こんな感じで今回も安定のすかすかスカタン具合を披露することになってしまったね。
ローンピーク4.0 MID RSMはとても良いシューズだよ。
特に藪を漕いだりしない人にはおすすめだし、ロードの歩き旅なんて絶対向いてると思う。
違うカラーが国内展開されたら、迷わずもう1足買うつもりな位。
アルトラ未経験のお友達も、お店で見つけたら試しに足を入れてみてね。
きっと新しい自由に気がつくはずだよ。
じゃあ、みんなよいハイクを!
あと六甲でハイドレのホースを拾ったらお知らせください。
すかすかスカタンに定評のあるスナフキンNでした。
押忍!!