2017年4月から3ヶ月に渡って繰り広げられた「BBGダイエット王タイトルマッチ」。その激闘を制し、初代ダイエット王となったのはユーコンカワイ。そして負け犬敗者となったアツシオガワは、「奴隷」として王の荷物を全て担ぎ上げてテント設営から飯の世話まで全てをこなすことに。今、ダイエット王の華々しいご褒美登山の幕が開けるのである!

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王と奴隷の「唐松岳〜五竜岳」縦走 前編

プロローグ

BBG立ち上げ当初、あまりの多忙でたるみきってしまった二人のボディと根性。

そこで急遽、己に喝を入れるために行われたのが3ヶ月のダイエット企画だった。

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その激闘の末、初代「BBGダイエット王」の称号はユーコンカワイのものとなり、アツシオガワは初代「負け犬腑抜け奴隷」となった。

そしてそのご褒美登山として8月頭に北岳に向かった二人。

しかしダイエット王の厄年効果が強すぎたせいで、高速道路上で事故通行止となってまさかの3時間足止めによる北岳断念。

王になれなかった男は、その悔しさのあまり「一人ノンフィクション」というよくわからない暴挙に出てしまったことは記憶に新しい。

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しかしこの度、やっとこさ彼のご褒美登山が行われることになった。

本来は北岳でやる予定だったその登山だが、ダイエット王による「余は北岳は飽きた。縦走がしたいのじゃ。」という鶴の一声で急遽場所が北アルプスの「唐松岳〜五竜岳」の縦走コースへ変更。

北岳ほどのしんどさはないが、奴隷オガワからしたら北岳より行程的に1時間は余計に多く歩くことになる。

 

もちろん彼の奴隷としての役目は現地に着く前から始まっている。

ダイエット王は奴隷の車に乗るなり「余は眠いのじゃ。」と言って、岐阜から白馬までひたすら熟睡。

しかも運転席の奴隷に対し、何時間もずーっとこのムカつく顔を向け続けて眠っていたという。

これには奴隷オガワもプルプルと何度か殺意を抱いたらしいが、ダイエット勝負に負けた奴隷なのだからしょうがない。

ちなみにこの王がこんなアホみたいな顔でホクホクと眠っているのは、この日の天気予報がこんなにもスペシャルなピーカン予報だったためだ。

白馬に着く頃にはどピーカンが待っているに違いない。

そう思っていただけに、白馬の駐車場に到着して目覚めたダイエット王の第一声が「なんじゃコリャァ!」だったのも無理もない話なのである。

過去に一度も白馬の青空を見たことがないダイエット王は、「また白じゃねえか!」とお怒りだ。

しかしこの状況に慣れてる王はすぐに気を取り直し、「まあよいわ。おい、そこの…名前なんて言ったか…まあいいお前。余の荷物を持ってまいれ。」と奴隷に命令を下す。

奴隷は「ははっ」と言って荷物を並べた。

左が奴隷のバックパック「20kg」で、右がダイエット王のトレランザック「2kg」

とても同じ登山パーティーとは思えない圧倒的なこの主従感。

カメラも小型コンデジの王に対し、奴隷は無駄に重い一眼カメラを持ってこさせられている。

王は「うむ、では参ろうぞ。」と言うと、奴隷は屈辱にまみれた納得のいかない表情で「はい…」と力なく頷いた。

こうしてダイエット王と負け犬奴隷の縦走の旅が始まったのである。

 

第1章 八方池と逆さ白馬三山

黒菱の駐車場から唐松岳に向かってスタートした王と奴隷。

そしてスタートからわずか数分で、何気に今回の行程中で最もハードじゃないかと言われる舗装急登路に突入。

ウォーミングアップゼロの状態で早速急登歩荷にまみれるシェルパオガワ。

これから楽しい楽しい北アの縦走が始まるとは思えない、この苦しみと憎悪に満ちた表情。

その視線の先には「ほほう、これが北アルプスの景色でおじゃるか。雅よのぅ。」と憎たらしく佇む軽装ダイエット王の姿。

しかもである。

何気にこの2週間で「南ア大縦走&前鬼川男塾」のスーパーハードスケジュールを乗り切って蓄積疲労がハンパない奴隷に、謎の「右足付け根の痛み」が急襲。

しかしこれを見ても王は「奴隷の分際で痛いとか片腹痛いわ。余は何も手伝わぬぞよ。」と容赦なし。

奴隷は必死でその痛みと荷物の重さに耐え、鬼の形相で歩荷をし続ける。

この子供でも登れる平和な八方尾根を、こんな鬼畜顔で「ドゥハァッ!ブヘアッ!」と言いながら登る男を見たことがない。

痛みに耐え、曙に勝って優勝を決めた時の貴ノ花の表情を彷彿とさせる奴隷オガワの根性歩荷。

特に彼はこの八方尾根では毎度無駄な根性を見せつける癖があり、特にこの「ジャギ谷」と呼ばれる谷は思い出の地。

この谷はかつて彼が「ジャギ」と名乗っていた頃、厳冬期に暴風によって吹き飛ばされたテントとシュラフを、ビーコン握りしめて谷底に2度も取りに行った伝説の谷。

彼のもう一つの八方伝説を見たい方は、こちらの記事(世紀末救世主伝説2〜谷底アヒージョの彼方へ〜)を参照してみるといいだろう。

 

やがてダイエット王が今回楽しみにしていた八方池に到達。

彼は過去に3度八方池に来ているが、最初はホワイトアウト、2度目は吹雪、3度目は土砂降りにて一度もまともな八方池を見ていない。

王は「余はこれほどの晴れ予報の八方尾根は初めてなのじゃ。世のリア充とかいう奴らが見ているという八方池から見える逆さ白馬三山とやらを今日こそは見てやるのじゃ。」と意気込んでここまで来た結果がこれである。

王は「池が白いではないか!逆さ白馬三山はどこなのじゃ!晴れマークだったのになぜ空も一面白いのじゃ!」とご立腹だ。

奴隷は「それ単にあんたが本厄悪天候男だからだわ。」と言いたげだが、もちろん口には出さない。

しかしこんな状況に慣れっこの王は「まあよいわ。5m先の景色が見えるだけでも余にとっては奇跡じゃ。」と言い聞かせ、「行くぞお前!」と足取りも軽く先に進んで行く。

それをブヘブへと必死で追いかける奴隷。

二人の旅はまだまだ始まったばかりである。

 

第2章 唐松岳と屈辱の昼ごはん

ひたすら続くザレ場の急登。

今日までの蓄積疲労もたたってか、珍しくあの追い込み職人の歩荷鬼六が虫の息。

まるで聖帝十字陵の最後の石を担ぎ上げるシュウのような哀れな姿。

その姿をサウザーのような狡猾な笑みをたたえながらご満悦で眺めるダイエット王。

それでもシュウは己の「仁」の宿星に従い、ただただ無言でその聖碑を担ぎ上げて登って行く。

やがて「こ…腰が…腰が痛いっす。」とダウン。

これに対してダイエット王は「我が聖碑を土につけるとは何事じゃ!そのような根性だから痩せられぬのじゃ。」と、日頃追い込まれてる恨みをここぞとばかりにネチネチとぶつけて来る。

王は「ほら、見てみい。白馬三山のこの美しさを。」とご機嫌で言っているが、

もうシュウはまともに立ってその姿を拝むことすらできない。

それでも容赦なく王はスタスタと先に進んでいき、

それをリストラされて帰宅して来る人のように、トボトボとうつむきながら追いかける奴隷オガワ。

やがて唐松岳頂上山荘に到達し、

シュウはその場で力尽きた。

そしてブツブツと「ゆけ…ケンシロウ…そして時代を開け…私はいつでもお前を見ているぞ…」と何事か呟いている。だいぶヤバイ状態だ。

王は試しに「ここから唐松岳のピストンも無駄に荷物担いで行ってみるか?」と聞いてみると、リアルに殺意のこもった目で睨み返して来た。

ってことで、さすがに荷物はここにデポしてサラッと唐松岳山頂へ。

王は相変わらず「なぜ天気予報が晴れマークなのに空が白いんじゃ。なぜじゃ。」と納得いかない感じだが、何はともあれとりあえず唐松岳を制覇。

そして山荘に戻ってそこで昼飯だが、もちろんそこでも奴隷は休む暇はない。

即座に二人分の飯を作らねばならんのである。

もちろんダイエット王は何も手伝わずに見てるだけ。

挙句「ああ余は寒い、寒いのじゃ。どうにかせい。」と言って来るから、飯作りながら自分のフリースを王に与えるという屈辱も。

王は「いやあ、わるいねわるいね。」と言いながら、このムカつく顔で人のフリースを横取り。

で、出来上がったチゲもち鍋を奴隷より先に頬張って「満足じゃ」とご機嫌を取り戻した。

奴隷オガワにとっては屈辱が続く我慢の時間帯。

しかしダイエット対決に負けたのだからしょうがないのである。







第3章 王と奴隷の縦走行脚

腹も満たされたところで、こっからは五竜山荘のテン場に向けた縦走である。

昼飯を消化して多少荷物が軽くなった奴隷だが、ここで王が「トレッキングポールが邪魔になって来た。お前、担いでくりゃれ。」と、昼飯消化分をポールで再び重量調整されてしまう。

やられ放題の奴隷オガワはプルプルと怒りに震えながらも、負け犬なので全てを受け入れるしかない。

何やら小声で、「登山中の事故はよっぽど殺人罪に問われないよな…」などと呟いた気がしたが、ダイエット王はそんな殺意に気づくこともなく、軽快に牛首の岩場へと突っ込んで行く。

こっからは岩場と鎖場が連続する区間。

ダイエット王は「きゃーこわーい。あぶなーい。」などとはしゃいでいるが、

本当に危ないのはこの重装備で鎖場を超えさせられているこの奴隷である。

そんな彼の目の前には、五竜まで伸びるクソ長い修羅道がデデーンっと横たわる。

奴隷解放までの道のりは長く、そして遠い。

その後も何気に地味なアップダウンが彼を襲い続ける中、

重い一眼カメラでの「撮影係」という役目も背負っているので、休む間も無く王の勇姿を撮り続けなければならない。

高所恐怖症の王だが、普段から「アルプスの稜線は真っ白で景色なんて見えないものだ」と思っているから、この絶景稜線にテンション高く浮かれている。

この浮かれに腹を立てた奴隷は一計を案じ、試しに「さすがダイエット王ですね!身のこなしが軽快で素敵!試しに撮影用にこの荷物担いでみませんか!」とおだてると、王は「お、そうか。うむ、では担いでみよう。」とまんまとその策に乗った。

そして「そのまま稜線の先まで進んでみましょう!雄大な景色の中の王の姿を後方から撮影します!いつもは白いんで貴重な写真になりますよ!」と言えば、アホな王は「う、うむ。そうか、ならばそうしよう。」と見事に騙されてその荷物を担いで行った。

こうして暫くの間、奴隷は休むことに成功。

前方から聞こえて来る「くっ、なんじゃこれは…重い…四十肩がちぎれそうじゃ…グッ…クゥッ…」という声を聞きながら暫しの安らぎ解放タイム。

しかしそれも長くは続かず、王に「ああ、もう!重いわ!余をたぶらかしたな!」と叱られて、再びこの石像のように重い荷物を担がされて長い長い重装備縦走へ。

もうかれこれ6時間以上もこの重荷を持たされて、すっかり顔も上げられない奴隷男。

しかし長い長い縦走の果て、ようやく本日の幕営地である五竜山荘に到達。

そしてテン場に到着するなり、その鉛の荷物に倒れこむようにダウンする奴隷オガワ。

しかし奴隷ごときに休息の時間は存在しない。

休む間も無く王のビールを買いに行かされ、そしてその間に王の命により懐に入れていたサンダルを取り出し、

屈辱でプルプル震えながらも「と…殿…温まったサンダルでございます…。」と、冷えたビールと温まったサンダルを献上。

王は「であるか。ご苦労。で早速余の寝床を作るがよい。」と、彼を休ませずにそのままシェルター設営に突入させる。

もちろんその間、王は一切手伝わずに優雅にビールである。

奴隷オガワは、一瞬このムカつく王の猫背にペグを大量に打ち込んでやろうかと思ったらしいが、敗者としてこの現実を受け止めることしかできない。

勝てば天国、負ければ地獄がBBG流。

なので、本日のマットは奴隷が左の「スーパーULペラペラマット」で、王は右の「ふかふかロングエアマット」という差別感。

「苦労してここまで担いで来たのになぜ俺がペラペラの方なんだ…」と愚痴がこぼれるが、敗者だから仕方がないのである。

 

こうして圧倒的な敗北感を徹底的に刷り込まれて、ダイエット敗者としてその腑抜けた根性を叩き直されて行く奴隷オガワ。

しかし彼の王へのおもてなしの本番が始まるのはここからだ。

ダイエット王も、あの辛かった3ヶ月のダイエット生活に対するご褒美を目一杯受けるのはここから。

彼が長年目にしておらず、いつも「あれはCGだ」と言ってやまない夢の「夕日&星空&ご来光」は見ることができるのか?

そして五竜岳は王と奴隷を絶景で迎えてくれるのか?

その前にとうとう奴隷がキレてご乱心してしまうのか?

 

いよいよ佳境に入って来たダイエット王のご褒美登山。

そしてこの旅の最後に、ダイエット王が手に入れた新たな王の称号とは?

 

二人の戦いはまだまだ終わらないのである。

 

 

ダイエット王ご褒美登山 〜後編へ続く〜