シンプル イズ ベスト!最軽量クラスのパックラフト、ココペリ ホーネットライト ファーストレビュー

川の水はまだ冷たいものの、花が咲き、陽気も良くなってきた今日この頃。ちょっとマイナーで情報が少ないけれど、自然の懐に入り込んで遊ぶのに最適なパックラフト、ココペリ ホーネットライトについてレビューしたいと思います。(文・テズリンY)



自己紹介

こんにちは。
以前、極寒の神崎川でパックラフトデビューしたyama-san@名古屋あらため、テズリンYと申します。名前の由来は、パックラフトの先達であるユーコン氏にあやかった部分も有るのですが、過去に下った事があるテズリン川(ユーコン川の支流)での感動的な旅の思い出からつけました。

カナダ テズリン川

カナダ テズリン川200kmキャンプツーリングは様々な野生動物たちとの出会い旅

第1回 神崎川うどんミーティング!〜寒中パックラフト大会〜

2017.12.15
ドライスーツなしで撃沈し、低体温症との戦いから運よく生還。

パックラフトとの出会い

2017年の春に知人から「おもしろいアウトドアのギアサイト」があると教えてもらったのですが、その中にあったユーコン氏のパックラフト入門の記事にすっかり魅了され、すぐにでも欲しくなってしまいました。

さあ、川旅の世界へ!〜パックラフトの始め方① 魅力編〜

2017.04.28

さあ、川旅の世界へ!〜パックラフトの始め方② 準備編〜

2017.05.01

さあ、川旅の世界へ!〜パックラフトの始め方③ 実践編〜

2017.05.02
うわー!、本当に楽しそうだ!、こんな川旅やりてー!!

しかし、前月にヤフオクで3艇目のシーカヤックをゲットしたばかりだし。

「まあ、来シーズンにでもこっそり買えばいいや」と思っていましたが、さらに、ユーコン氏の川旅漂泊の記事を見て、ついに自分の心を抑えられなくなってしまいました。

まわれ柿太郎!〜小川パックラフト紀行・前編〜

2017.05.09

泊まれ柿太郎!〜小川パックラフト紀行・後編〜

2017.05.10
これ見たら買うしかないでしょ!
こうしてまた危険な「購入」ミッションに突入することに。

どんな乗り物

ところで、「パックラフトってどんなフネ? 」「他のカヌーと何が違うの?」という疑問を持たれた方もいると思うので、簡単にご紹介すると。

もともとは北米などの荒野を旅する際に、大きな川や湖を渡ったり移動ルートとして使うための乗り物として開発された小型のゴムボートだそうです。

カナダ テズリン川 カヌー

カナダの荒野をどこまでも流れるテズリン川、こんな感じで200km以上を流れてユーコン川に合流する。

ラフトというぐらいですから、空気を入れて膨らませるという事と、荷物を背負って移動する旅に適応するため、既存のダッキーなどに比べて超軽量に作られているという所が大きな特徴となっています。

パックラフトはどんなフィールドに向いているの?

もちろん荒野の大河で使えば良いのでしょうが(笑)、この日本で使うとなるとフネの特徴から見て、一般的な川下りはもちろんのこと。

クリーキング

パックラフト 神崎川

神崎川の浅くて岩だらけの瀬をすり抜ける。

BBGでもこれまで紹介されている通り、そのたぐい稀なる旋回性能と浅い喫水を生かして、通常のカヤックやダッキーでは攻略不可能な水の少ない源流部を攻める事ができます。

また、軽さを生かして、これまでは敬遠されていた堰堤やポーテージだらけの清流で初降下をキメることも容易かもしれません。

パックラフト ココペリ ホーネットライト ポーテージ

2.2kgでポーテージも楽勝、あまりの軽さに思わず笑みも。

参考記事:四国清流行脚3・安居川編〜桃源郷の冒険者〜

参考記事:嗚呼デラべっぴん〜アテラブルーとデラブルー〜

ユーコン氏の新境地、時々担ぎが必要でも水が綺麗だったらいいじゃないか?

交通機関を使った川旅

飯田線 時又駅

パックラフトは軽くてコンパクトなので電車移動もきっと楽々♪

ファルトボートに比べて圧倒的に軽量・コンパクトなことから電車やバスを使った旅も容易にできそうです。

参考記事:四国清流行脚1・上八川川編〜浮かれた漂流者〜
ユーコン氏のローカル路線バスの旅

ウキウキ家族サービス

千里の道も一歩から。まずは静水で子供たちを巻き込んで行きましょう(笑)

もしかしたら大きくなった子供たちといっしょに、パドルを持つ日が来るかもしれませんよ。

購入までの苦労

荒野を旅するために全てをそぎ落とした軽量ギアなんて、ロマンとストーリーがあって本当にカッコいいじゃないですか…エイッもう買っちまえ!!

買うと決めれば行動は早く、バチカン条約もワシントン軍縮条約も直ちに破棄して7艇目のフネ購入に動きます。

カヌーシーズンも終盤の10月のある日、モンベルの直営サイトで在庫を確認して「ポチリ」たいのをぐっとこらえ、会社帰りに最寄りのモンベル店に向かいます。なぜって?

自宅に不審な荷物が届けば、たちどころに奥様にアラート検知されて制裁の嵐を受けることが確実だからです。

和歌山のアルパカ・マン、鯉さんのようになっては困りますので。

パックラフト購入記 ~アルパカラフトと僕と嫁~

2018.04.11
命がけのミッション・インポッシブル!罠だらけのパックラフト個人輸入大作戦!

残念ながらこの店には在庫が無く他店からの取り寄せになりましたが、そんな事は大きな問題ではありません。

注文してから品物が届くまで、「ウキウキ」した気分で過ごすのも楽しみのうちですからね(笑)

そして待つこと一週間。再びお店に向かい「ウキウキ」で購入…し、しまった!

油断してカードで買っちまった!(自分のカードでも足が付かぬよう、本当は現金購入がセオリーですね)

箱を入れても3kg程度の超軽量なので手に下げて地下鉄に乗り込み自宅へ帰還。

駐車場に着くと、夜陰にまぎれて車のドアをそっと開け、荷物室のトノカバーの下に音もなくブツを滑り込ませ、これでようやくミッションコンプリート!R.T.B。

スーツの乱れを直し、何事もなかったかのように自宅の玄関へ向かいます。

カナディアンやシーカヤックに比べ、サイズが小さいパックラフトはいろいろな事情を抱えた購入者にも本当に便利な仕様になっています(笑)

ホーネットライトってどんなフネ

では、みなさまお待ちかねのフネの紹介に移ります。

外観

パックラフト ココペリ ホーネットライト

箱からホーネットライトとシートを取り出した状態。他には取扱書とポンプバッグ、リペアキット、ストラップなどが入っています。ちなみに箱のサイズは70×36×19cmで、お持ち帰りも楽々。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

取扱書は、同じくモンベル取り扱いのキャストアウェイも一緒に掲載されているものでした。

モンベル 取扱書のページ
https://webshop.montbell.jp/goods/instruction/1843032.pdf

パックラフト ココペリ ホーネットライト

箱の商品シールを確認すると「超軽量インフレータブルボート バックパックに収納して運べるコンパクト性」、本体重量:2.22kg、サイズは全長:216cm×最大幅:94cm、定員:1人、最大積載量:113.4kg、MADE IN CHINAとのこと。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

フィールドに持ち出して広げてみます。本体、シート、ストラップ。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

左船首にココペリのロゴが入っています。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

サクッと空気を入れて、前から見たところです。本体の寸法はメジャー実測でも216×94cmで、きちんと仕様通りでした。

ちなみに船体中央部の高さ(チューブの太さ)は29cm、バウ(船首)部分の高さは39cmで10cmほど立ち上がっています。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

フネ前方の左右2箇所に、荷物を固定するためのロープ通し(ナイロン製Dリング)が付いています。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

船体の後方はアルパカほどではないが長くなっていて十分なボリュームがあり、後ろにもたれ込んでもNRSのように水が入りそうになることは無さそうです。空気バルブは左後方の一か所だけです。ええ、一気室だけですが何か?。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

人の乗り込む部分の寸法は長さ:133cm×幅:38cm(後方)、21cm(前方)。

数値だけ見ると狭く思えますが、乗り込むとスッポリとつつまれた安心感があり172cm、67kgの私が乗った場合、特に狭さは感じませんでした。足元フロアーはペラペラの1枚の布でエア・フロアにはなっていません。

神崎川では衝撃と傷つき防止のため安い銀マットを切ったものを足元に敷いてみましたが、余裕のある人は半身タイプのエアマットを敷いてもいいかもしれません。

私も実はプロモンテの105cmエアマットを買ったばかりだったのですが、いきなり川の水につけて土足で踏みつける度胸がなかったので600円の銀マットを別に買ってしまいました笑

パックラフト ココペリ ホーネットライト

船内右側には「カヌー使用上の注意」がたくさん印刷されていますが、取扱書にも日本語で記載されているのでしっかり読んでおきましょう。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

シートは空気を入れた座面のみで背もたれ部分は男らしく?省略されています。

まあ直接チューブにもたれても問題ないですし、2Lのペットボトルとか、手回り品を入れた小型の防水バッグでも置いておけば特に不便は無いと思います。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

シートを裏返したところ。口で空気を吹き込むタイプの小型のバルブが付いています。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

プラスチックのジョイントでシートをフネに固定します。ストラップの長さは調節可能なので大きな荷物を後ろに乗せる場合はシートを前に出すことも可能です。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

エアバルブはボタンを押すクイックバルブではなく、バルブ本体をフネから緩めて外すタイプ。

大型のラフトボートでもメーカーによって両方のタイプのバルブがありますが、空気を素早く抜いたり故障した際の清掃(かみ込んだ異物の除去)や交換が楽なこのタイプの方が信頼性が高く、荒野の旅でも安心です。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

それでは再び空気を抜いた状態にして、二つ折りからクルクルと巻いて付属のストラップで固定すると、50×直径20cmになりました。

軽く巻いただけでここまで小さくなりましたから、注意深く行えばもっと小さくできるかもしれません(ペタンコにすれば半分の厚みにはなりそう)。

この大きさなら車の中や押し入れの隅に隠しておいても奥様に見つかりにくいサイズですね。

ただ、この状態で長期間の収納は行わない方が良いと思います。羽毛シュラフと同様に?しっかり乾かしてからゆるく巻いて、チューブの接続箇所などにストレスが掛からないようにして涼しい場所で保管した方が良いと思います。

良い点・重量

外箱には本体重量:2.22kgと書いてありましたが手元の電子秤で計量すると。

  1. 本体:2036.5g
  2. シート:147.7g
  3. ポンプバッグ:125.8g
  4. リペアキット:50.6g
  5. ストラップ(2本):64.3g

となりました。最低限の①フネ本体と②シートで2184.2gで外箱の表記以下となっています。

③のポンプバッグを加えると2310g。④リペアキット、⑤ストラップを加えても2424.9gと超軽量に収まりました。軽さは正義、片手で軽々と持てる重量は本当に最高ですね。もう少し細かく付属品を見ていきましょう。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

ポンプバッグの大きさは45Lのビニール袋ぐらい(笑)

良くある手押しポンプを荒野へ担いでいくわけにはいかないので、コンパクトかつ軽量なポンプバッグが標準装備になっています。写真中央のネジ穴を、エアを入れるフネのバルブに取り付けして使います。

ココペリ ホーネットライト パックラフト スタッフサック

付属のポンプバッグをつないでエアーを入れる

こんなので最後まで空気が入るのか?と心配かもしれませんが取扱書でも一般のポンプは使用禁止で、空気圧は1.5~1.7psi(約0.1気圧)以下となっていますし、最後は直接口で息を吹き込めば十分に硬く膨らみます。

ちなみに、これからの季節。川から上がってフネを炎天下に放置しておくと熱で空気圧が上昇し、フネがパンクや変形する危険性があります。

そういう時は面倒くさがらずに水を掛けたり「少しだけ」でも空気を抜いておくことをオススメします。

ラフトボート 水をかけて冷やす

大きなラフトボートでも昼の炎天下では水をかけて冷やしているんです

船体布の厚さ、ダッキーとの比較

パックラフト ココペリ ホーネットライト

船体布は薄くしなやか、一般的なダッキーに比べると布の厚さが全然違います。

軽さと強度は引き換えになるのは分かっていましたが、これじゃパンクしてヤバいんじゃないか?と思いますよね。実は購入直後に見たときは、私も非常に不安になりました。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

リペアキットの船体布を出してみると、奥の黒い船底用の方が手前の紺色のチューブ用に比べれば厚みがあり引き裂き防止用の布補強も入っていることが分かりました、、、やれやれひと安心。それにしてもチューブ用の布は本当に薄くて、厚手のアウターシェル用の生地?というぐらいのしなやかさです。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

別に持っているダッキー用の赤色の船体布との比較すると、ホーネットライトの船底用は1/3ぐらいの薄さです。

補強が入っているとはいえ装甲の薄さは歴然。浅瀬への無理な突撃や尖った岩にぶつけたりすることは、極力避けたほうが良さそうです。

パックラフト ココペリ ホーネットライト 神崎川 

浅瀬は足をチューブに乗せて腰を浮かして、リンボーダンス(古い!)状態で喫水を均一にする

実際の現場である、丸い石ころが多い神崎川の水深5cmのザラ瀬では、かなり底を擦っても幸い何の問題もありませんでしたが、いつもそうとは限らないので「足をチューブの上にあげて腰も持ち上げる」など、少しでもダメージを軽くする工夫をしたり、フネも軽いので「さっさと担いでポーテージする」などの自衛策は必要です。

やはり、「すべての防御を犠牲にして軽さを追求」。その分は乗り手の腕でカバーするという「攻めの発想」の乗り物だと考え、気を使って扱う必要がありそうです。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

しかし、万が一やっちまった場合のためにリペアキットがちゃんと付属しているのでご安心を。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

接着剤は、なんとココペリ社製品の補修専用!接着剤です。用法・用量は取扱説明書に詳しく書いてあります。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

たったの50.6gなので遠出の旅には念のために携行しましょう。旅の初日にやっちまったら目も当てられませんからねえ。

要望・あと2箇所にロープ通しが欲しい

パックラフト ココペリ ホーネットライト

フネの後部にもう2箇所、追加でロープ通し(ナイロン製Dリング)が欲しいところです。

なぜかというとフネの周囲につかまるためのロープを回しておきたいからです。これが無いと不意の撃沈時にフネを捕まえられず流してしまい回収が大変になったり、激流でつかまるものが無く溺れそうになる危険があるからです。

「ライジャケ着てればいいじゃん」と思ったあなた。私も経験がありますがホワイトウォーターでは浮力が減少するし波もあるのでそんなに甘くはないですよ。もちろん、ポーテージする際も持つ所があったほうが移動が楽なのは間違いないですし。

参考記事:白雪姫殺人事件〜限界パックチェイスの悲劇〜
ユーコン氏も増水した川で大変な思いをされたようです笑

他のパックラフトとの比較は?

パックラフト 神崎川

それでは乗り比べた4艇の感想を、、、

ところで、どういう理由でホーネットライトに決めたの?、という質問が飛んできそうですが。購入前の検討時よりも購入後に分かった事の方が多く、私の個人ブログに「神崎川、寒中パックラフト大会」のことを書いた内容を一部加筆・修正して紹介します。(私が経験した範囲での感想であることをご了承ください)

アルパカ

ひとしきり楽しんだところで小休止、カヤッカー恒例のフネを取り換えての大試乗会。
まずはマーボーTさんの赤い彗星・アルパカをお借りする。これはなかなかいい感じ、パックラフト特有の平らなフネがクルクル回るというイメージではなく、ちゃんと直進性もあり、リーンをかけてもググッと踏ん張る。
スターン部分(フネの後部)の浮力が大きく前後に体重移動してもスターンが過剰に沈み込むことが無い。激瀬ではスターンを波に食われて沈することもあるのでここはよく考えられたデザインであり、アルパカらしさをアピールするポイントでもある。

アルパカ 神崎川

4艇の中では最もカヤック的な乗り味

スターン後端部が水に沈み込んでキールが効いているというか、普通のカヤックに近い操作性で、カヤックやダッキーの経験がある人間ならもっとも違和感なく、楽しく乗れるフネだろう。サイブレイスもありフネとの一体感も高く、腕さえあればロールやスポットプレイも楽しめそうだ。
ただ、スプレースカートが使えるようにコーミングもついており、お値段は聞かなかったがホーネットライトが2艇は買えてしまいそうな金額だろう。川原に置いていても高級艇のオーラがあふれている。

メーカーHP

NRS

NRS パックラフト

シュッとしていないゴムボート体型だがその性能は?、 ロープをフネに装着できるのでどこでもつかみやすい

お次はユーコンカワイ氏の緑のNRSに乗り込んでみる。ゴムボートみたいとか、前が浮き上がるとか、ザクみたいな色だとユーコン氏からは酷評されているが、その性能とやらを見てみよう。確かにフネに乗った瞬間に荷重が後部に集中して前が浮き上がってしまうが、水に沈んでいる部分が後部だけなので、実際のフネの長さが1mもないのと同じ状態になる。そのため1回の軽いスイープで180度以上フネの向きを変えることができ、面白がってクルクルとスイープしていたら目が回りそうになった。それぐらい旋回性能が高いのだ。

前方フロアは広く、シュッとしていないが、そのぶん大きなザックを置いても足元が狭くならないだろう。このフネ本来の使用目的としては、広い前方フロアに60Lぐらいの重いザックをドンと置いて前後のトリムを合わせ(自転車を載せた川下りとかも可能かも)、太めのチューブによる大きめの浮力で雄大な流れを下ってゆくという事だろうか。そしてフネ全体の幅が広いので横方向の安定性が高く、相対的に重心の移動に鈍感で転覆を起こしにくい。

テズリン川 カヌー

ミニマムな装備でカナダの川と湖を自由に旅したいね~(テズリン川)

自分がパックラフトでカナダの川を数日掛けて下るのならこのNRS一択だろう。このフネは車で言えばグランドツーリング用なのだ。それでいて、今回のような空荷状態では、その極端な旋回性能を生かし、この狭い神崎川の岩がらみの瀬を素早くすり抜けることができる。また、太いチューブのおかげで足をチューブに乗っけて腰を浮かせるとフネ全体の喫水が均一になり、極端に浅いザラ瀬でも難なくすり抜けることができる。船体布も繊維で補強されていて擦り傷にも強そうだ。

乗り手がこのフネの奥深い特性(設計者の意図)を理解して操作できれば、その一見もっさりとした見た目(失礼!)とは裏腹に、2つの両極端な状況に高レベルで対応できる欲張りな性能を秘めた万能艇なのである。そして耐久性の方も、ユーコンカワイ氏が幾多のバトルでガンガン尻を打っても全く破損しなかったことでも証明されている通り、全く問題が無いうえ、実売価格もパックラフトの中でも安い部類だ。日帰りクリーキングからロングツーリングまでこなすおすすめのフネであり、機会があれば、数日お借りしてじっくり漕いでみたいものだ。

メーカーHP

ニルヴァーナ

ココペリ ニルヴァーナ パックラフト

フロアのエアマットと、良いシートが付いているので居住性は上々

3艇目はアンドライOさんの、ココペリのニルヴァーナ。この黄色いフネは私のホーネットライトと同じメーカーで、同じ船型のため漕いだ感じもほぼ近く、NRSほどの回転性は無く、アルパカほどキールが効いている感じもない。また、基本的には幅広の平底なので平面的な動きだけでリーンを掛けても特に反応はしない。ただ、足先に向かってシュッと細くなった船型は両足の幅にフィットし、フネの中に小型のザックを置いておけば足を踏ん張るのにちょうど良い長さでフネとのフィット感がけっこう高い。適度な旋回性と安定性は、アルパカとNRSのちょうど中間ぐらいの特性で、過激なところが無く気を使わず安心して乗れる。

ココペリ ニルヴァーナ パックラフト セルフベイラー

これがセルフベイラー、船底に穴が開いているが沈まないのでご安心を

ホーネットライトとの最大の違いはこの船に装備されたセルフベイラー(自動排水装置)にある。といっても特別なメカがあるわけではない。船底にわざと穴があけてあり自由に水が出入りできるようになっているが、フロアにエアチューブがあり通常はその下までしか水が来ないので乗員が濡れることは無いという仕組み。大きな瀬でドバっと水が入ってきたらフネは浮力で浮き上がろうとするので、船内に入った水はフロアチューブの横から船底に抜けて穴から排水されるのだ。普通の激流用ダッキー(エアー・リンクス、トムキャット等)やラフトボートと同じ仕組みで、フネに水が入ることを恐れず瀬に突っ込んで行くことができる。ツーリングも激流もという人にはお勧めの一艇だ。

メーカーHP
モンベルHP

ホーネットライト

ココペリ ホーネットライト パックラフト

172cm、67kgの私が乗ると足元にまだ余裕があるサイズ、小型の防水ザックを背負えばホーネットライトには付いていない背もたれ代わりにもなる

最後は、自分とコールドフットYさんが乗るココペリ・ホーネットライト。操作性などについてはニルヴァーナとほぼ同じで追記することは少ないが、このフネの一番の特徴は余分なものを全てそぎ落としたミニマムな設計思想だろう。セルフベイラーもフロアチューブもなく船底はペラペラの船体布一枚だけ。お尻の下にエアピローのようなクッションを置くが防御はたったそれだけだ。
空気を入れるのも1気室構造で、他の艇についている口で空気を吹き込むためのバルブもついていない。空気を入れたフネを水に浮かべたときに内部の空気が冷えて、フネがフニャフニャになったときに空気の補充がやりにくいか?と思ったが、大きなバルブに直接息を吹き込めば全く問題なくフネをパンパンに膨らませることが可能だった。

メーカーHP
モンベルHP

同じくモンベル社取り扱いのキャストアウェイの情報も載せておきます

モンベルHP

瀬の中に突入するとどうなるか

では実際に神崎川での、ホーネットライトの戦闘力を連続写真で見てみよう。

パックラフト ココペリ ホーネットライト

パックラフト一艇分の隙間に突入し

パックラフト ココペリ ホーネットライト

手とパドルを使って岩壁を押す、こんな狭い川じゃカーボンパドルなんてヤバくて使えない!

オットやべえ、腰で合わせて転覆を回避!、スターンが沈み込んで水も入りかけているが、思ったよりググッと踏ん張ってくれた

パックラフト ココペリ ホーネットライト

次の瀬に向け右ターン準備

ココペリ ホーネットライト パックラフト

ターン後は体勢を整え次の段差へ

ココペリ ホーネットライト パックラフト

あらよっ!と超えて無事にクリアー

不便さと防御が少ない分は、乗り手の腕と知恵でカバーするという「大人の道具」として割り切れば、これほど頼もしい旅の相棒はいないだろう。

安くて軽いだけではなく、操作性のバランスが良く転覆もしにくい。シンプルなのでどれにするか迷ったり、とりあえずの入門→乗り倒して最強の旅の相棒にするには良いフネかも。

水が少ないと油断した一瞬のスキを突かれ、極寒の神崎川の餌食に

マーボーTさん(赤いアルパカ)は無念の沈脱を喫し、水抜き中。アンドライOさん(黄色いニルヴァーナ)も同じ場所で撃沈したがセルフベイラー付きのため水抜き不要の手間いらず。

この瀬でのハプニングの一部始終をとらえた記録動画

インスタグラムで紹介された動画はコチラ

とまあ、こんなことが買ってから分かりました(笑)。別のフィールドでの詳しい使用感や自作オプションの装着については、機会があればまたご紹介いたします。

まとめ

あらためてホーネットライトのセールスポイントは?というと、2.2kgという圧倒的な軽さとコンパクトさ、パックラフトの中では最も安い部類の価格という事になるでしょう。

どこに行くにも楽に運べる軽さとコンパクトな収納性は、ユーコンカワイ氏の標榜するパックトランピング(私にはついていけない世界です)や、電車・バス・飛行機を使ったカヌー旅に最も向いた特性ではないでしょうか?

この軽さとコンパクトさはファルトボートや普通のダッキーとは全く異次元の機動性をもたらしてくれる事でしょう。

FDA のぞみ N700A

出張荷物にパックラフトを紛れ込ませての極秘ミッションや、職場近くのコインロッカーに荷物一式を預け、仕事が終わればFly Awayなんてことも楽々可能かも?

参考記事:マゾピース2 薬師沢編〜夢をあきらめないで〜

参考記事:栄光への架け橋3〜8耐ダッシュとゴッホの奇跡〜

参考記事:極マゾ後悔日誌4〜さらば孤高のトランパー〜

ユーコン氏が切り開いた新世界・総合格闘技、パックトランピング。

最後に

ただのカヌー好きで多くの川や海を漕いできましたが、このフネを得たことでこれまではあきらめていた川にも漕ぎに行くことが出来そうです。

初心者から経験者まで楽しめるパックラフトの良さを教えてくれたユーコンカワイ氏に感謝するとともに、私のレビュー記事が購入を検討されている方のお役に少しでも立てば幸いです。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

8 件のコメント

  • yama-san!ではなくテズリンさん!こんにちは!
    僕は今現在、山しかやんないんですけどBBGに出会ってから川遊びにも興味が沸いてきたんですよね…。
    ですので今回の記事はとても興味深かったです。
    そして、カヌー野郎達は平均何艇持っているのでしょうか?笑
    きっとこの世界にも深い深い浪費の沼が待ち構えているのでしょうね笑

    勝手なイメージなんですけどカヌーやってる方達は僕が幼少期から抱いていたアウトドアマンのイメージそのままなんですよね…。漕ぐだけ漕いで河原に上がって焚き火して…ホント憧れます。完全に男のロマン笑

    しかし最軽量のパックラフトってこんなに軽いんですね!ちょっとビックリしました。
    これなら電車でも自転車でもバイクでもサクッと積めそうですね。
    もちろん担ぐのも余裕ですね。
    セローかカブでウロウロして良さそうな所があったら入水。
    そんな妄想を仕事の休憩時間にしてしまいました。

    まずは貯金から始めたいと思います!笑
    次回も楽しみにしております!

  • コータローさんこんばんは、コメントありがとうございます。
    水の遊びですので浪費の「沼」はけっこう深いかもですね、笑。
    私みたいに用途別に7艇も持っている物好きは少数派でしょうが、2~3艇持っている人は結構いると思います。やっているうちにだんだん嗜好が変わったり、より過激な世界に行ったり、上級者向けのフネを買ったりというパターンが多いと思います。

    私も始める前はコータローさんと全く同じイメージを持っていて、自転車からバイク旅(セロー)を経てカヌーの世界にたどり
    着きました。趣味人口が少ないせいか、よほど有名な場所に行かない限りは他のパーティーとは全く会わず貸し切りの旅を
    楽しめることが多いです。それがこの遊びの一番の楽しみというか贅沢かもしれませんね。

    他にシーカヤックやダッキーも持ってますが、パックラフトはそれらとは全く異次元の軽さとコンパクトさで本当に自由な旅が出来そうで、、、パックラフトならではのプランを現在いろいろ計画中です。
    まずは貯金から、とのことですがすけ兄さんと半額ずつ出し合えばすぐに購入可能では?、笑。
    それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

  • Yama-san改めテズリンYさん、おはようございます!
    とても詳しくわかりやすいレビューでした。
    そしてフツフツと湧き上がる物欲を前かがみで抑えることに必死な鯉でこざいます(笑)
    パックラフトは本当にお手軽ですよね!
    自分も海が荒れてる時はもっぱら車に自転車とパックラフト積んでウロウロしてます。
    GWに2日間だけ聖帝様に頂いた自由時間を使って「大峰山山上ヶ岳戸開式→瀞峡 瀞八丁で野営一泊」の旅に行ってきました。
    数組カヤッカーはいらっしゃったものの野営をしているのは自分だけだったので貸切状態で楽しめました(笑)
    翌日朝早く起きてアルパカに乗り瀞八丁で釣りをして(釣れないですがw)最高の川旅になりました。

    しかし愛人を7人も抱えておられるとはなかなかの大奥ですね(笑)
    僕はそんな大奥を作ってしまったら本当の意味で家族から見放されてしまうので出来ないですがものすごく憧れます!
    パックラフトでどんどん川旅して鮎釣り解禁後は海へ出てと欲望は尽きませんが時間と個人貯金の許す限りこれからも攻めていきたいと思いますw

    PS.先日自分の記事のコメント欄で防水ザックの意見交換をして頂きその後欲望が止められなくなって以前から欲しかった「Hyperlite Mountain Gear ウインドライダー」を個人輸入してしまいました。
    また日本郵便さんは自分がいない時に配達をかましましたが後悔はしていません!こってりと嫁さんには絞られましたが(笑)
    ザック自体は本当に軽量で頑丈かつ水の侵入が今のところほぼ無いです。なかなかいい買い物をしたなと喜んでいますが先日嫁さんに「お前をメルカリで処分したい」と衝撃的なお言葉を頂いたのでしばらく大人しくするしかないようです。
    ああ….今日も天気いいなあ……

  • 物欲王の鯉さんお久しぶりです。
    記事の中で鯉さんの命がけのミッションインポッシブルの回も紹介させていただきました(笑)。

    そうですね~、私の場合は春先は川、アユ釣り解禁直後は遠慮して海へ。海水浴シーズンになれば川へ戻ってラフティングの練習、合間に漕いだことの無い場所に遠征といった感じでしょうか。

    瀞八丁、本当にいい場所ですよね。特にジェット船が動き出す前の、朝霧が漂う静寂の時間帯は私も大好きです!。
    鯉さんは2日間も出撃できてうらやましい限りです。当方はたった半日のみで、記事で使うパックラフトの写真を撮っただけで終了してしまいました。特に悪事もバレていないのに気まぐれで外出禁止にされており、夢は野山を駆け巡る今日この頃です。

    ただ、ずいぶん先ですが65歳以上になれば沖縄から鹿児島までシーカヤックで行こうが、クマだらけのアラスカを好きなだけ野宿して来ても良いとか、奥様からお許しを頂いています。65歳以上というのと保険はしっかりかけてな!、という部分が若干引っかかりますが、それを楽しみに頑張っていこうと思います。
    直ちにメルカリで売り飛ばされるのか、遠い未来に希望をつなぐのか?、どちらが幸せなのでしょう。とは言いながら、どうやって奥様からOKを引き出すかが、こちらの腕の見せどころなのですが(笑)。

    ウインドライダー買われましたか!、けっこう良いお値段してますね~。わたしはさらに迷走してICEMULEのソフトクーラー防水バッグに保冷剤代わりの冷凍枝豆とノンアルビールをブチ込んで真夏を乗り切りたいと真剣に考えています。もうすでに、何のギアを買おうとしていたのかも曖昧になっていますね(笑)。
    待てば海路の日和あり、なんとか包囲を切り崩して出撃できるよう日々動いております。

    • そうですか…GWは半日でしたか….
      厳しい外出禁止令に負けずに気持ちを強く持って次の旅を楽しみに頑張っていきましょう!
      もう本気で以前のユーコンさんのように「仕事人」として有給を使ってしれーっとどこかに遊びに行った方が幸せになれるのかなと悩んでしまう毎日です(笑)
      そしてギア選びが迷走しだすと何を買おうとしていたのか分からなくなる…ものすごく分かります!
      僕のウィンドライダーも結局迷走の果てに「前から欲しかった」という理由だけで買ってしまったというのが実際のところです(笑)

      アイスミュール自分も持っています。
      なかなかの保冷力なので暑いシーズンは重宝してます。
      もしこれから購入されるなら大きめのサイズを買われることをオススメします!
      アイスミュールは空気を吹き込んで断熱するんですが内容物をそれなりに入れるといちいち空気を抜かないと底の物が出せないという不便なことになります(笑)
      そして浮き袋としても優秀ですので色々役に立ちます。
      嫁さんに突き落とされた時もアイスミュールを背負っていればライフ着てなくても助かると思いますw

  • 鯉さんこんにちは。
    仕事人作戦は以前からたまに実施していますが(笑)、一泊以上は何かを見返りに規制解除してもらえるよう頑張るしかなさそうで、、、不平等条約を完全撤廃できる日は遠そうです(涙)。
    ウィンドライダー、やっぱりカッコいいですね、ウーム。安くて良いものなら迷わないわけで、高くて良いものだから限りある資源(お金)を有効活用するために迷うんですよね~。
    ICEMULEは、すでにお持ちでしたか。実際に使ってみての情報ありがとうございます。大人数の旅ならシアトルスポーツのソフトクーラーバッグとかもアリなんでしょうが、軽量パックラフト旅用に小さめの容量の物を考えています。たま~に山にも行くので(昨年は白山に登って死ぬ目に遭いましたが)その時にも使えるかと。お持ちの物は何Lサイズで実際はどれぐらいの量(缶ビール換算)が入るのでしょうか。
    ちなみに浮袋にも使えるという事ですが、もしかしてパドルフロート代わりにもなるのかなあ?。また、荷物を入れる方は一周回ってクラックスを真剣に検討中で、あのザラザラした感じに大変惹かれております(笑)。

  • 自分もクラックスも本気でポチりそうになりましたが何とか思いとどまりました(笑)
    アイスミュールですが、自分はクラシックの10Lと15Lを持ってます。
    氷をどんだけ入れるかにもよると思うんですが、大体カタログ通り350ml缶10Lで8~10本15Lで12本~15本で間違いないと思います。
    キモは氷の量と吹き込む空気の量になるので上部のロールダウンは3回ほどで見てます。
    内容物をギンギンに入れると吹き込める空気の量が減って空気の層が薄くなり断熱効果が落ちますのである程度余裕を持って中身を調節すると良いです。
    カタログの量より少し多めでも問題なく冷えますのでその辺は大体でもいいと思うんですけどね(笑)
    開け閉めを最小限にすれば本当に長く冷やしてくれるのでオススメですよ!
    アイスミュールは空気を吹き込んで空気の層を作りそれで断熱してるんですがその空気は基本的にはバルブを緩めない限り抜けません。
    つまりは浮き袋状態であるわけですw
    しかしながらパドルフロートとして使うにはブレードを突っ込むところが必要なわけでそれは基本的に着いていないのでそのままでは無理です。
    上部ロールダウンしてある口を開けてそこに突っ込めばあるいはイケるかもですがそうなると内容物を全て出さなくてはいけないので面倒ですし(笑)
    どちらにしてもパドルフロートとして使うには少々工作は必要になると思います。
    参考になれば幸いです!

  • 鯉さん、詳しく教えていただいて本当にありがとうございます。
    使ってみてカタログデーター通りなのか?分からないこともあるので、実際のユーザーの生のお話を聞けるのはありがたいです。自分の使用目的なら10Lで行けそうだと安心しました。

    パドルフロートの件は、中身を入れていない状態でパドルを突っ込めばどうなる?という思いからでした。
    もちろん、ちゃんとした発泡材入りのパドルフロートは持っているのですが、一度だけ車に置き忘れたことがあって、帰りに気づいてデッキに普通の防水バッグを載せて、海を漕いだことがあったので。説明不足で大変失礼しました(笑)。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。

    wp-puzzle.com logo

    日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

    ABOUTこの記事をかいた人

    テズリンY

    もとは全国旅系の自転車・林道バイク野郎だったが、15年前からおじさんレースラフティングチームに所属。ダッキーやシーカヤックもたしなむが、近年は激流と激浪を相手のバトルに疲れ癒しの旅を求めている。浪費癖は結婚後もますますひどくなり、会社では恐妻家組合に所属中。