前鬼ブルーの美しさに翻弄され、浮かれポンチが止まらないアトムとアラーキー。日頃の汚れた心身を清めた彼らは、前鬼のさらなる深部へとその冒険を続ける。しかしそこで待ち受けていたのは青鬼が仕掛ける修行の数々。果たしてアトムとアラーキーは無事にこの修行場から脱出できるのか?前鬼川後編。ファイト一発な青鬼男塾が今ここに始まるのである!
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前鬼川本谷(孔雀又谷)沢登り 後半戦
リポビタンBBG
垢離取場(こりとりば)で俗世の欲を洗い流したアトム&アラーキー。
そこまでの慣れない沢登りですっかりクタクタではあったが、遡行図に載っていた「幕営敵地」まで遡上しようと、再び前鬼川の深部へとその足を進めた。
垢離取場(こりとりば)を過ぎると、今まで癒し系だった渓相は岩ゴツゴツ系に変化し、
前鬼ブルーだった水は、湧水だった三重(みがさね)の滝を過ぎたこともあって、次第に前鬼グリーンに。
それでもやはり美しく、湧水に比べて水温はぐっと上がるので泳ぐのに丁度いい感じに。
ただ、前半戦と違い、せっかく適温になったのにここからは全然泳がしてくれないという岩との格闘戦へ突入したのである。
巨岩が行く手を阻み、アラーキーがアトムのケツを下から押し上げてサポートし、そして上からアトムがお助け紐でアラーキーを引っ張り上げるという厳しい戦いの数々。
そしてそこからはリアルに「ファイトァー!」「イップァーッツ!」と叫びながらの肉体疲労時のマゾ補給タイムへ。
アトムは四十肩で痛めた右手を目一杯伸ばして「ぐあああああ!肩があぁぁ!」と苦痛に顔を歪めながらも、渾身のサポートでアラーキーを引き上げる。
垢離取場(こりとりば)で、せっかく穏やかな表情を手に入れたアラーキーも、結局また悪徳金融業者の顔に逆戻りだ。
正直前半戦は「さすが難所のない沢でサイコーだね!ガールはべらしてきゃっきゃ言いながら登りたいね!」なんて言ってたのに、後半戦に入った途端突然の男塾感。
ここまでに溜まりに溜まった疲労感と、水を吸いまくって孫悟空の「鉛の道着」みたいにクソ重たくなったウェットスーツが二人に重くのしかかる。
そんな中、「滑って滑落して死にやがれ」とでも言わんばかりのヌメヌメ岩のヘツリ&登りの嵐。
きゃっきゃどころか、野郎どもの「グフゥッ!グヘァッ!」という喘ぎ声だけが山中にこだまする。
しかもその勢いで間違って支沢に入り込んでしまい、またしてもファイト一発を繰り広げた挙句に猛烈な高巻きリカバリーを強いられる塾生たち。
鬱蒼とした藪の中を突き進むアラーキーがもはや新種のUMAにしか見えない。
この男塾名物「莉保毘胆出威(りぽびたんでい)」の試練のせいで、猛烈に疲弊していく二人。
前半だけでやめときゃ良かったという後悔が、湧き水のように溢れてくる厳しい時間帯に突入して行った。
苦悩時滝と見つからない幕営地
そんなヘロヘロ行軍が長時間続き、苦悩時マックスの段階で現れたのがこの「6m逆くの字滝」。
元気な時ならまだしも、HPが真っ赤の状態でこんな中ボスに登場されても「にげる」しか選択肢がない。
だが「にげる」をチョイスしても「しかしまわりこまれてしまった」となって全く戦闘を回避させてくれない前鬼川。
仕方なくホイミすら使えないぬののふくの戦士は、体力を振り絞って果敢に苦悩の滝とのバトル開始。
写真では伝わりにくいが、これがまた結構恐ろしい。
アトムはこの先の展開を100パターンくらい脳内でシュミレーションするが、その100パターン全てがツルッと滑って大滑落してゲームオーバーという展開しか浮かべられない。
それでも再び彼らは「見さらせ!これが男塾塾生の根性じゃいぃぃ!」と鼓舞して苦悩滝を突破。
なんとかこの難所を突破したものの、もはや彼らのHPはスライムの一撃で0になること必至の瀕死状態に。
アラーキーなぞは立ったまま、マジで昇天5秒前に。
なんせ彼はつい4日前まで、あの訳のわからん南ア大縦走男塾の試練で戦ってきたばかり。
その蓄積疲労の抜けぬまま、彼はアトムに「簡単な沢だから」と連れてこられてこんな目に遭っている。
それでも前鬼男塾の教官たちは「進めい!血の汗を流してでも進めい!」と強硬に直進行軍を要求。
前半は「きゃっきゃ」とはしゃいでいた彼も、今となっては己と向き合い無言で岩と会話し続ける。
一方元100万馬力のアトムも、お決まりの決めゼリフ「こんなはずじゃなかったのに」を呟きながら必死でその試練に耐え続ける。
しかし途中で蓄積疲労とクソ重たい体のせいで立っているのもやっとの状態となり、物も言えずにただただ「プシューッ、プシューッ」と変な音を発するばかり。
いよいよ彼らの限界が近い。
しかし遡行図を見ると、ゴールの「幕営適地」は近い。
それだけを頼りに、容赦ないハードな高巻きの追い討ちをたっぷり堪能しながら、
やがて「幕営適地」への目印である、小屋を発見。
この小屋の対岸が幕営適地!
やっとゴールだ!
と思いきや、全然それっぽい幕営適地が見つからないじゃない。
やっとゴールだ!解放された!と思ってからの延長戦は、もはやフェニックス一輝の鳳凰幻魔拳に匹敵する精神えぐり攻撃。
そこからアトム&アラーキーは、結局元来た道を戻りながら別の幕営適地を探すヘロヘロ行脚へ。
やがて長い延長戦の末、わずかばかりの幕営ポイントを見つけた彼らはその場で静かに息を引き取った。
中年アトム、享年41歳。
黒ひげアラーキー、享年37歳。
全てを出し尽くした彼らの死に顔は実に美しいものだったという。
彼らの屍はいずれこの地で土となり、やがてその魂は湧水となって前鬼ブルーとなるのでしょう。
全裸行水ヒル男
しかし毎度強制的に蘇生させられてしまうのが男塾。
今回も王大人(ワンターレン)の医術によって、無理やり生き返ってしまった二人は再び動き出す。
沢はとにかくやることが多くて忙しいのだ。
まず先に蘇生したアトムが、まだ死んでるアラーキーを横目にタープを設置。
そして疲れた肉体に鞭打って薪集め。
ひと仕事終えて正直もうここで大人しくのんびりしたいんだが、一応二人は「せっかくだから」とそのまま釣りに出撃。
しかしあまりの魚影ゼロさに早々に撤退。
ふてくされたアラーキーは再びタープ内で死亡し、アトムは魅惑の行水タイムへ。
川原や沢で全裸生活を送りつつ、その姿を己撮りしてしまうのが大好きな変態アトム。
しかしこの壮絶な気持ち良さは一度体験してしまうとやめられない止まらない。
だが次の瞬間。
アトムは「ぎゃああああああ!」と大パニック。
全裸で浮かれていた彼の指にて、毎度おなじみの「ヒルさがりの情事」が展開していたのである!
突然の奇声にアラーキーもびっくりして飛び起きる。
アラーキーからしても、起き抜けにいきなり目の前に全裸の男が指にヒルくっつけて「塩取ってくれ!いや、その前に写真撮ってくれ!」と迫ってくるんだからある種のパニックだ。
やがて激闘の末にそのヒルを退治したアトムは、もうすっかりヘロヘロに。
過酷なり前鬼川。
この沢は一切二人を休ませる気は無いようだ。
戦士たちの休息
ヒルとの全裸デスマッチに勝利したアトムは、休む間も無く夜に向けてのお仕事開始。
しかし前日の雨のせいで木は濡れに濡れまくり、全く火が着かないという新しい戦いに突入。
必死で火吹き棒で着火を試みるが、空気を吐きすぎて酸欠状態で失神寸前のアトム。
そんな苦しい「美木良介ロングブレスダイエット1時間コース」の末、やっとこさ点火に成功。
こうして長い長い戦いを乗り越え、やっと休息の時間に入ることができたフラフラの二人。
そこからはひたすら飲みまくっては、大人の男同士、焚き火の炎を見つめながら熱く経済や世界情勢の話題で激論を交わす。
アトム「やっぱ深田恭子最強説ってあるじゃない?あと猫目できつそうに見えて実は優しいかもって感じでスポーティーなのも最高ね。潮田玲子とかたまんない。高橋恵子もいいよなあ。ちなみにオカリナはありだと思ってる派よ。」
アラーキー「ストライクゾーン広すぎませんか?僕は断然テレビ東京の女子アナっすね。フジはダメです。やっぱ大橋アナたまんないっすよねえ。大江アナもたまんないっすよ。俺のワールドもサテライトしてくんねーかなー。」
その熱いトークはどっぷりと暗くなるまで続き、さあ寝ようかという手前で新たな戦いがスタート。
「ホラ、あの子よ、あの…ショートでさ。北の国からとか出ててさ…。」
「ああ、わかりますよ、顔は出てんだけど名前が…」
「あの吉岡秀隆と結婚してさ、若い頃真っ黒ボディで水着でプリケツジャンプしてたさ…」
「ああ…わかるんですけど名前が…」
体は疲れきってるから早く寝たいんだが、どうしてもこの問題を解決するまで寝られない二人。
その後脱線を繰り返しながらも、数十分後にようやくアラーキーが叫ぶ。
「内田有紀だぁ!!」
「ああ〜〜。すっきりしたぁ。」
こうしてようやく二人は眠りにつくことを許され、安息の時が訪れたのである。
翌日。
前夜の「喉元内田有紀の乱」によってすっかり寝不足の二人は、思いっきり日が登るまで眠り呆けてしまった。
アトムに至っては、たった1日で急激に「おじいちゃん」になってしまっている。
老人の「アパート一人暮らし感」が凄まじく、孤独死寸前の物悲しい光景が展開。
くたびれた顔と貧相な猫背が、前日の戦いの激しさを如実に物語っている。
脱出
約1名老人になってしまったが、この幕営地でじっくりと英気を養った二人は、再び気合いを入れ直していざ脱出の旅路へ!
なにやら意図せずwith B的なポージングになっているが、35億分の2の「漢」として、最後までこの男塾を生き抜いてみせる!
と言いつつ意気揚々と出発してわずか5分で、with Bの片割れが滑って大転倒してケツを強打。
昨日に引き続き、出だしで怪我をするのがBBG流。
危うくwith G(痔)になるところだったアラーキー。
さあ、これにて脱出の準備は万端だ。
元来た道を戻るんで、あたりまえ体操的に再び険しい巻き道パラダイスと格闘し、
飛べそうなところはひたすらダイブでショートカッツ!
沢登りの帰路はこれがあるからやめられない。
中には「滑りきれそで滑れない滑り台」という、実に中途半端なウォータースライダーも登場。
そんな微妙な爽快感を楽しみながら、ひたすら前鬼男塾からの脱出は続く。
やがて「行きそで行かずに急に行く」という新種のスライダーも登場。
もはや二人の体はボロボロだ。
しかし前日の男塾で根性度が上がった二人は、力尽きることなくこの試練を最後まで乗り切ったのである。
そして見事に脱出成功。
体の数カ所に身に覚えのない謎のアザを作り、果てしない気だるさと腰痛と全身の筋肉痛を携えての生還。
ボロ雑巾になるまで遊びきった…もとい、お仕事をやりきった二人には激しい達成感が満ち溢れていた。
若干前半戦だけでやめとけばよかったという思いは否めないが、訓練だと思えば心地いい。
やはり夏は沢で爽やかにマゾるに限るのである。
こうして聖地にてしっかり身を清める事に成功したBBGの二人。
しかし疲れたなどとは言ってられない。
このたっぷりと疲労が蓄積された状態で、また来週は北アの縦走が待っている。
しかもこれはBBGダイエット企画の罰ゲームなんで、アラーキーは二人分の荷物を背負っての奴隷縦走(二人とも北岳は飽きたんで唐松五竜の縦走に切り替えました)。
アラーキーはわずか2週間の間で、「南ア大縦走→前鬼男塾→北ア奴隷縦走」という大マゾ花びら大回転。
そろそろBBGから初の過労死者が誕生しそうな匂いがプンプンだ。
それでは沢の次はまた山でお会いしましょう。
アストロボーイカワイでした。
アトム&アラーキーの青鬼男塾 〜完〜
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