もう昨日の時点で今回の山行の目的はほぼ果たした。だけどよく考えたらまだ1つも山頂に登って無くない?さすがにそれはマズイだろうと重い腰を上げた2人。無事にピークハントは成功するんだろうか。下山後のオススメのお店とか小ネタもあるよ!
(文・若旦那)
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朝の身支度
夜中、外の風の音で何度か起きた。
かなりの強風のようで、テントを上手に張ったとしても無事だったかは微妙なラインだ。
贅沢テント泊を求めていた今回の山行だったが、小屋泊に切り替えて正解だったかもしれない。
2日目、AM3:00に起床。
前日は一睡もしないで山に登っていたはずなのに、目覚ましが鳴る直前にスッキリ起きられた。
ムニャムニャ言ってるワクワクさんを叩き起こし、朝食の準備を開始した。
お湯を沸かす。
テント内での煮炊きだと腰が痛いけど、山小屋だと椅子があってすごくラク!
今日の朝食はこれ!
別の山仲間が海外旅行の際に買ってきてくれた怪しいやつ。
もちろんコロナウイルスが流行する前に買ってきてもらったもの。
中身はお湯で戻すマッシュポテトだ。
これはまだお湯を入れる前で粉状になっている。
これが意外と美味しいでやんの!!
正直、アルファ米より好き。
しかもこれ1袋で600キロカロリー超え。
早朝からヘビーだ。
でも美味しいからペロッといってやった。
以前も海外の保存食を買ってきてもらったことがあるが、それも抜群に美味しかった。
海外の物はクオリティも低ければ、味の好みも違うんじゃないか?
と、勝手に想像していたけど、完全に勘違いだった。
どこか輸入代理店やってくんないかな。
こちらは受付。早朝なので閉まっている状態。
色々と魅力的なアイテムが売っていたけど、中でもこれだけは紹介しておきたい。
紹介しよう、大天荘オリジナルのウォレットだ。
素材違いで2種類ある。
キューベンファイバーVerは1700円で5gと超軽量!
リップストップナイロンVerは1200円で6gとこちらも十分に軽量!
中は仕切りの無い簡単なタイプだけど、大天荘オリジナルというだけでかなり魅力的じゃないですか!?
「DAITENNSO」のロゴ格好良い!
大天井岳ピークハント
AM4:18、大天荘を出発。
外は霧に包まれていた。
風は依然として強め。
気温は7℃~8℃かな。
風があるから結構寒いけど、ちょっと着込んで歩けばちょうど良いくらい。
手袋は必要な感じ。
大天荘の脇に大天井岳へ続く道がある。
大天井岳まではガレガレ。
でも傾斜は大したこと無いから危なくはない。
安定のオバポーズ
AM4:28
大天井岳2922mに登頂!
何気に今回の山行で初めて山頂に立った。
一応日の出を見たくてこの時間に登ったけど、真っ白な世界がお出迎え。
ちょっと待ってみたけど、晴れる気配が無いので下山を開始した。
全くと言って良いほど大天井岳の記憶が無い笑
燕岳ピークハント
あとは燕岳に登るだけだ。
景色も無いし、もうほとんどやることやったし、消化試合的な感じで歩く。
途中、西側(左)からの物凄い上昇気流により景色が目まぐるしく変化した。
雲の動きを見ているだけで数時間は楽しめそう笑
ちょっと晴れそう!
晴れたーーー!
相変わらず最高の稜線!!
消化試合なんて言ったのは撤回します!!
このあと、雲がかかったり晴れたりと繰り返したが雨に降られることもなく快適だった。
鎖場が少しだけある。
昨日(前編)、ワクワクさんによる「滑落した!?」という勘違いドキドキを経験させられたため、ワクワクさんが危険個所を通過する時にドキドキしてしまう。
改めて良いトレイルだなー。
終始ワクワクさんも良い笑顔を見せてくれた。
段々暖かくなってきて、お互いにレインを脱いだ。
「さっきまであんなところにいたんだねー!」
と、自分達が歩いてきたことが信じられないほど長い稜線に、何度も振り返ってしまう。
この稜線、アップダウンはあるものの全体的に緩やかで体力をあまり削られないし、樹林帯ゾーンも非常に少なく、ずっと展望が良い。
本当に良い稜線だった。
岩の間を通過!大きい!
AM8:00
燕山荘まで戻ってきた!
実はここまでの稜線でワクワクさんの仕事上の撮影があってちょっと時間がかかった。
ここからは燕岳山頂を目指して昨日は歩いていないゾーンを歩く。
後回しにしていてまだ登頂していないのだ。
燕山荘から燕岳はこれまでとはまたちょっと違ったトレイルになる。
砂と大きな岩が多く、ちょっと面白い雰囲気だ。
燕岳が人気な理由がなんとなく分かる。
これは有名なイルカ岩。
正直なところ、37歳の中年男としては大して興味が沸かない笑
こちらはメガネ岩。
こちらも特に興味が・・・・。
そんな自分にちょっと寂しさを覚える笑
この時、燕山荘ではヘリが荷物を降ろしていた。
その直後、ヘリが小屋の向こう側に真っ逆さまに降りて(消えて)行ったから墜落したのかと思った。
実際には墜落はしていなかったけど、ビックリしたー!笑
あんなにダイナミックに降りていくんだなー。
山頂まであとちょっと!
さすがのワクワクさんも少し疲れを見せている。
山頂手前はところどころ岩が削れて階段のようになっている。
面白いし歩きやすい。
「そんなのどうでもいい。俺疲れてきた。」
ワクワクさんがヘトヘトでイライラしてギスギスしてきた。
AM8:30
そんなこんなで燕岳2763mに登頂!
燕岳の山頂って意外と狭いのよね。
人が多い時期は記念撮影なんてしてられない感じ。
オバポーズ Part2
でもこの日は我々だけだったので、存分に記念撮影。
ちょっと雲がかかっちゃってるのが残念。
大天井岳も燕岳も登ったし、あとは下山するのみ。
さあ下山するよ!
燕岳からの下山中、会社からトラブルの電話があって対応。
日本人に真の休みなんて無いのだ。
あと今更だけどトレッキングポールが2本異なるのを使用しているのにお気付きだろうか。
左はブラックダイヤモンドのディスタンスFLZで折り畳み式。
右はFIZANのCOMPACTで伸縮式。
何もかもが違う2本をこの山行中ずっと使っていたのだ。
何故かって、それぞれ1本ずつ折れていたりして使用不可なので仕方なく。
貧乏性って可哀想でしょ。
さて燕山荘まで戻ってきたらあとはひたすら下山なのでウェアリングの調整をしておこう。
着替え中、絶望的な自分のファッションセンスに絶望した。
ちなみにブルーのTシャツはホグロフスのものでメリノとポリの混紡。
メリノウールは臭くならないと言われているけど、こいつは明らかに臭くなっている。
ポリが少しでも含まれていると私の獣臭には勝てないのか?
なんかもう全てに絶望した。
ハイウェスト!
AM9:20
下山を開始。
絶望したので燕山荘からの下山はマジで駆け足で下った。
速すぎて写真がブレている。
合戦小屋まで一気に来た。
ワクワクさんが
「スイカがあるって書いてある!」
と、ここで初めてスイカの存在に気付いたようだが、
「へーっ!良いね!」
と言ってスルーした。
もうどんどん下る。
ワクワクさんがヘトヘトなのにニヤニヤしていた。
僕と同じくマゾなのかもしれない。
ワクワクさん「ちょっ早くね!?」
そんな声も聞こえないふりして駆け足!
ワクワクさんには申し訳ないが、実は自宅の夕食の時間に間に合わせるためにこっちも必死なんだ。
昼食はワクワクさんと食べたいし、色々と逆算すると急がなくては。
もちろん本当はもっとゆっくりしたいけど、時間の無い日本人にそんな自由は無いのさ。
そしてついに!
AM11:00
登山口に到着!
俺たちはやり切った!
という顔をしているが、よく見るとトレッキングポールが左右違うのが滑稽だ。
あとTシャツが臭い。
この時はそんなことは忘れて満足感に浸っていた。
正直なところ、小屋泊とか最高に楽しかったし、オールOK。
下山後
このあと第3駐車場に駐車してある車まで歩きながら「昼食は焼肉食べたいね」という話に。
そして最高にオススメのお店を見つけてしまったのでご紹介!
どどん!
長野県安曇野市にある「肉のマルト」だ!(中房温泉の駐車場から車で約30分)
精肉店が営む焼肉屋さんなので、良質なお肉が食べられる。
写真はランチタイムのカルビ定食1100円+肉増し300円+ご飯大盛り100円の計1500円。
見てよこの肉質!
さらに上カルビもあったけど、普通のカルビでこの刺しだと上カルビはどうなってしまうんだろう。
脂が苦手な人はロースにしておいた方が良いと思う。
簡単に嚙み切れる柔らかい肉質。
甘みのある油が口の中に広がり、そこにご飯を口いっぱいに入れる。
もうね、最高だったから次も絶対ここに行く。
この後ワクワクさんを家まで送り、さらに高速で自宅のある小田原まで長時間運転。
自宅に着いた時、あることに気付いた。
いつもと比較して疲れていない!
何でだろうと思ったら、それは恐らく小屋泊だったから!
テント泊に比べたらよく眠れたようで、朝は目覚まし無しでスッキリ起きられたほどだった。
たまには小屋泊も良いなと見直すキッカケになった山行でしたとさ。
まとめ
今回の山行、いかがでしたでしょうか。
こんな人には是非オススメしたいコースです。
<特にオススメの人>
- 北アルプスデビューがしたい
- テント泊デビューがしたい
- 景色の良い稜線を歩きたい
- 雷鳥が見たい
今回のコース、危険個所はほぼ皆無です。
前編で梯子が出てきてますが、ホントそのくらい。
だから体力さえ大丈夫そうなら、北アルプスデビューの人、テント泊デビューの人にもってこいです。
中間地点に燕山荘があるのでそれも安心材料。
だったらその燕山荘の方がテント泊デビューには良いんじゃない?と思いますよね。
しかし、燕山荘は登山者が多い割に張れる数が40張と少なめなので、早い時間に満杯になります。
対して大天荘はテントの張れる数が50張で、場所も少し奥地なので比べたら混雑はしにくいです。
それに、せっかくならこんな景色の良い稜線を歩きたいじゃないですか。
そうすると今回のコースはうってつけかなと思うんですよね。
まあまあ高確率で雷鳥も見ることができますし!
我々は第一希望であった「高山でチャッピーなテント泊がしたい」は実現できませんでしたが、事前に天気予報をよく確認すればそんなことにはならないでしょう笑
コロナ渦で山に行きづらい状況ですが、是非参考にしていただけたら!!
以上、若旦那でした!!
押忍!!
ここからは小ネタ
今回の山行で特に良かったギアについて紹介したいと思う。
LA SPORTIVA アカシャ
今回履いていたのはトレイルランニングシューズのアカシャ。
まさにこの記事が公開される前日2021年8月7日から8月8日に日付が変わる時間からスタートとなっているTJAR(トランスジャパンアルプスレース)において、選手たちの使用率が高いことで知られるシューズだ。
僕はここ2年ほど、登山では大体アカシャを履いている。
もちろんトレランでも履いていて、自分にとって限界ギリギリと思われるロングコースの時にアカシャを履くことが多い。
他に持ってるトレランシューズはアルトラとトポくらいなのであまり知識も無いし比較もしづらいのだけど、自分なりに感じているアカシャの魅力はこうだ。
- トレランシューズにしては剛性がある
- グリップが効く
- 足幅が広め
これら理由によって、トレランシューズにも関わらず登山で使うのに大変適していると僕は思っている。
他のトレランシューズでも登山に行くことはあるんだけど、荷物が重い時は特にアカシャでないと安心できない。
荷物が重い時ほどシューズの剛性とグリップの重要度が増すと思うからだ。
アカシャで16kgの荷物までは経験しているが、個人的には全く問題無かった。
なぜ重厚な登山靴ではなくトレランシューズかというと、軽快に歩けて疲れにくく、スピードを求められた場合に明らかにこちらが優位だから。
僕は足幅が広いタイプなので履けるシューズが限られるが、このアカシャは広めで無理なく履ける貴重なシューズ。
広いと言っても、アルトラなどで感じる解放感は皆無で、アッパーの圧力でガッチリ足先までホールドされているような感覚。
だけど無理なく履けてるから最初から最後までストレスが無い。
長い山行では重要な点だ。
今まででだいたい400km程度は歩いたり走ったりしてるけど、比較的キレイな状態だと思う。
アッパーは一部破けなどあるけど、致命的なものは無い。
この耐久性の高さもTJARで使われる理由になっているかもしれない。
もう履くたびにその山行のMVPになってしまうんだけど、今回も例外ではなかった。
自分にとってこのシューズを超えるものが今度出てくるんだろうか・・・。
コーヒーもお鍋もOKなクッカーセット
今回、コーヒーもお鍋も楽しめる最適なクッカーセットで頭を悩ませた。
お互いにコーヒーが大好きで山行中になんと4杯ずつくらい飲む。
だからクッカーは湯沸かし用と調理用で分けたいのだ。
それで色々と試行錯誤していたら具合の良いスタッキングを発見したのでご紹介!
今回持って行ったのはこのセット。
バーナーは別でSOTOのマイクロレギュレーターも持って行ってるが、それはこの中には入れられなかった。
一番外側に来る大きめ鍋。
本体183g、フタが79gで計262gと決して軽くはない。
だけど調理をする場合、熱伝導の良いアルミでこのくらい重量感のある鍋は使いやすいんだよなー。
ちなみにこの鍋は約30年前のエバニューの商品で、調べたら「チロルコッヘルM」のよう。
小学生のころ父親と登山していてその時期に買ったものだ。
内径は実測で16.0cm。
このチロルコッヘルM、数年前まで販売されていたようだけど、細かい仕様はかなり違うようで、特に気を付けなければならないのが内径15cmと表記されていること。
もし本当に15cmならば、次のトランギアケトルが入らないのでこのセットが成り立たない。
この古いチロルコッヘルの場合、トランギアのケトル0.9Lがピッタリ入る。
このケトルも現行品と異なる旧型で、本体146g、フタ29gで計175gだ。
現行品は持ち手のゴムが取り外せる仕様になっただけっぽいので、サイズは同じはず。
で、このケトルの蓋を開ければ
定番、エバニューの400FDがちょうど入る。
僕の400FDは取っ手を2つあるうち1つ外していて42gと超軽量。
エバニュー(EVERNEW) チタンカップ400FD RED EBY265R
その400FDの中には110サイズのガス缶(OD缶)が入る。
この時、トランギアケトルのフタを閉めるためにはガス缶は逆さまに入れる必要がある。
トランギアケトルのフタを閉め、BRSの28g(本体25g)のガスバーナーとシートゥーサミットのアルファライトスポーク10gを入れても、一番外側の鍋チロルコッヘルMのフタがきちんと閉まる。
この状態で合計重量はガス缶抜きで515gだ。
重たいけど、利便性を考えると個人的にはアリな重さ。
こんなの紹介しても、実現しようとする人がほぼいないというのは分かっている。
だって30年前に買ったアルミ鍋とか使っちゃってるし笑
だけど、コーヒーも飲みたいし調理もしたいって人は多いはずで、少しでもヒントにでもなればなと。
わざわざトランギアのケトルを使わず、スタッキングしやすい鍋のみで構成すれば簡単じゃない?
って話なんだけど、何度もコーヒーをドリップする我々からしたらケトルの注ぎやすさというのは大きな価値があるのだ。
ちなみに僕のトランギアケトルは更にドリップしやすいよう注ぎ口をペンチで潰して少し尖らせているが、鋭利になったせいでザックの内側を傷つけがちなのでオススメはできない。
ただこの程度の工夫で各段にドリップしやすくなるので、上記デメリットを受け入れられるならやってみてほしい。
こんな感じで情報共有的に小ネタを入れていくつもりなので今後もよろしくです!
特にギアログはありませんので気になることがあればコメント下さい!
2度目の押忍!!