紳士の嗜みとは何か。端的に言おう。それは肌着である。たとえ人目に付きやすい外側を、ゴアテックスだポーラテックだと着飾ったところで、己が身体に直接触れるのはただ一つ、肌着だけなのである。そんな肌着を顧みないということは、例えるなら、やれ出世だやれ昇進だと会社の中では愛想を振りまく一方で、家庭においては家族を蔑ろにし、休日など何もせずにダラダラ寝て過ごすような、中身のない侘しい男の姿そのものではあるまいか。つまり、真に誇りを持つべきたるは、常に人から見えざる内側であるべきなのだ。人に見えないからこそ、そこには自律と自尊が現れてくる。そしてそれこそが唯一その人間を規定するものなのである。そんな孤高の存在である肌着を、擦り切れたボロ布のようなもので済ませようとしたり、安物の量産品に貶めてしまうような精神的貧困を抱えるような輩とは、金輪際関係を持ちたくないとすら、私は思うのである。さて、そのような男とは一線を画すであろう紳士淑女のBBG読者諸君が今シーズンのワードローブに加えるべき肌着がこれだ。(文・ネチャ男)
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ACLIMA / WARMWOOL GRANDAD SHIRTS
ACLIMA アンダーウェアの中で最もポピュラーなグランダッド・シャツは、20.5 マイクロンの 100% メリノウール繊維を使用し、200g/m2 ウェイトのニット構造をしています。0℃ 前後の環境でも最高のヒートバランスで快適な環境を生み出します。アルパインクライミングやスキー/スノーボードといった冬のアウトドア・アクティビティに最適です。最も人気のある素材でバラエティーに富んだ、さまざまなスタイルも特徴です。(出典:フルマークス)[/aside]
100年近く前にノルウェーで生まれたACLIMA(アクリマ)は、厳しい北欧の寒さの中でその品質に磨きをかけ、常にたゆまぬ技術革新を重ねてきた一流ブランドである。
ノルウェー軍やNATO軍にも愛用されるなど、真の男が命を預けるに値する高品質なウェアを製造している。
そんなACLIMAのなかで私が選択したのはこの『GRANDAD SHIRTS(グランダッド シャツ)』である。さっそくであるが、その中身を紐解いていきたい。
素材
もちろんメリノウール100%だ。
メリノウールとは、「メリノ種」という毛質が繊細で最も優れているとされる品種の羊からのみ採取される高級素材である。
ウールについての詳しい情報はウールマークのサイトを参照されるが良い。ここではあえて深く紹介はしない。
そのメリノウールを贅沢に使用したこのGRANDAD SHIRTSが、最高の着心地であることは云うに及ばないだろう。
フィッティング
緩めである。
173cm、66kgの胸板の厚い男がSサイズを着てもゆとりがある。
どれだけ大きいのだノルウェー人は。
ただし、袖口はリブになっていてちょうどよく引き締めてくれる。
ここがダボつかないので、海外製品によくある袖がだらんとした緩い感じにはならない。
胴回りは少しゆとりがあるがダボついたりもたついたりはしない。締め付けもなく着心地は最高である。
もちろんチクチクするなんてことは一切ない。
少し厚手の生地感も相まって、本当に天国のような着心地である。
胸のボタンの裏側は、ボタンのハードな感触を感じないように生地を厚めに配してくれてあり、こんなところにも心憎い気遣いが見て取れる。
そして座った時に尻の割れ目が見えないほどにしっかりと丈が長めに作られている。
これもまた大切なポイントだ。
保温性
メリノ100%でこれだけ厚さ(200g/m2)があるので、すこぶる暖かい。
氷点下に落ち込むような気温の現場でも、しっかりと性能は発揮してくれた。
ただし、フィット感が少しルーズなだけあって、本当に保温を求めるなら中に更にベースレイヤーなどを着て調整してあげたほうがより機能を満喫できるだろう。
透湿性
残念ながら紳士な私は、体がびちゃびちゃになるほどのハードな環境でコイツを使ったことはない。
しかしこの厚手をみるに、透湿性について過度の期待はできないだろう。
ただし、低山ハイクやマウンテンバイクに乗っている時なんかでも、不快な気持ちになったことはないので、大汗をかくほどの状況でなければさほど悪くはないのであろうと想像できる。
さらに、蒸れたと思えば胸のボタンを外して解放してあげれば良いのだから、心配は無用だろう。
ルックス
見ての通り最高だ。
少しだけゆとりを持ちながらも体の線を浮かび上がらせる絶妙なラインだから、私のように引き締まったボディの持ち主をより凛々しく見せてくれる。
反対に、某アウトドア情報サイトのCEO氏のようにだぶついたお腹の持ち主が一枚で男らしさをアピールする用途としては少しハードルが高いであろうことは容易に想像ができるな。
あたい痩せて、ネチャ男を見返してやる!
胸元のチャーミングな木製ボタンも、アンダーウェアというよりはカットソーのような雰囲気を醸し出してくれるので、これ一枚だけ着ていてもしっかりと様になるのである。
アツシオガワも買いました
ネチャ男に憧れたわけではなく笑、前々から欲しかったので僕も買いました。
僕が購入した色は「Peacoat」というネイビーブルー。
173cm、72kg、ムチムチ体型で「M」サイズ着用。
デイリーにざっくり着たかったので「M」サイズをチョイス。
「S」サイズも試着してみたけど、僕にはジャストすぎた。
でもベースレイヤーとして着るなら「S」だね。
ハードな山行には向かないかもしれないけど、チャッピーHIKEだったら全然アリ。
それにしても「グランダッド シャツ」、着心地最高かよ。
アツシオガワからは以上です。
価格
11,000円+税。
このルックス、この機能にしてこの価格である。
これが本当の物の価値というものである。
ブランド | ACLIMA(アクリマ) | ||
品名 | WARMWOOL GRANDAD SHIRT | ||
画像 | |||
重量 | 257g | ||
カラー | Peacoat,Jet Black,Brilliant Blue | ||
素材 | 200G SOFT MERINO WOOL, 100% Merino Wool | ||
BUY NOW |
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まとめ
はっきり言おう。
ハードなアクティビティには全く向かない。
そもそもシルエットがタイトでない時点で、フィールドにおけるベースレイヤーとしては出場資格すら持たないのではないか。
それでもいいじゃないか。
フィールドでなんて着なくてもいいのだよ。
つまりだ、これは街で着るものなのだよ。
一つのものにあれこれ求めるのは野暮であろう。
そこで私はこのGRANDAD SHIRTSを、紳士の街着と認定したい。
ことによっては最近の街は建物の内外の気温差が20℃近くにもなるわけだから、その全温度帯を乗り切るためのハイスペックアンダーウェアというものが求められるのだよ。
真冬の夜更けに、憧れのあの娘と雰囲気のいいバーに横に並んで腰を下ろしたとしよう。
暖炉の炎がゆらめく店内は少し暑いくらいだ。
ウイスキーのロックをバーテンに要求する傍ら、君がコートを脱いで薄着になったその瞬間、昼間から君の体に接し続けて微量の汗を含んだインナーがモワッと臭ったとしたら、あの娘の心の炎はもはや消火寸前だ。
そんなシチュエーションでも、メリノウールはムレない。臭わない。
あくまでポーカーフェイスのニクい君を演出してくれるのだ。
何ならGRANDAD SHIRTS一枚になってもいいくらいだ。
そうすれば胸元のウッドボタンが、ハードな男の中に同居する少しの優しさと可愛気を演出してくれるだろう。
そして加うるに、ボタンを見ると外したくなるのが人間の性だ。
そこから先の展開は、妄想の好きなBBG読者諸君に任せるとしよう。
なんだこの締め方!