1kg台が「当たり前」になってきた昨今の1〜1.5人用軽量テントの世界。しかしもはや“数字上の軽さ”だけがもてはやされた時代は終わり、これからは軽いことを大前提にした上で「設営が早い・簡単」「居住性が高い」「結露しにくい」などの利便性がさらに求められる時代が到来した。そんな中日本に上陸して4年足らずの新鋭ULブランド「ZEROGRAM」が作り上げた4シーズンダブルウォールテント「El Chalten1.5P」がアツいという情報をキャッチしたBBG。果たしてこのテントは「第2次軽量テント時代」の急先鋒に躍り出るのか!?今回はその辺りを久々に渡辺さんがレッツ建物探訪なのであります!(文・ユーコンカワイ)
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ZEROGRAM(ゼログラム)「El Chalten 1.5P(エルチャルテン1.5P)」
オープニング
おはようございます。渡辺篤夫です。
今日建物探訪させていただくお宅は、ユーコンカワイ様邸2.3㎡のスーパー軽量住宅。
今回でユーコン様邸は3回目ですね。
今回の彼の新邸は、なんでも「軽さと利便性のバランスが素晴らしい住宅」だそうですよ。
楽しみですね。早速拝見させていただきましょう。
渡「ご無沙汰してます、渡辺です。」
ユ「ユーコンカワイです。今日もよろしくお願いします。」
渡「では早速お宅を拝見してもいいですか?」
ユ「どうぞ、こちらが1.5人用ダブルウォール住宅“El Chalten1.5P”になります。」
渡「ほほう!これはまた随分とカッコいい佇まいですね。空の青さに負けず劣らずのカラーリングもいいですねぇ!」
ユ「でしょう?これなら悪天候男の僕でも気分だけはいつだってスカイブルーですよ。」
渡「あなたいつも空が白いもんねぇ。そもそもこちらの住宅にした経緯ってあるんですか?」
ユ「よくぞ聞いてくれました。ホラ、ここ最近の僕ってだいぶUL寄りのテントっていうかシェルターばっか使ってたじゃないですか。軽いし設営も楽だし。でも最近の通常テントも、もう軽量なだけじゃなくて居住性もありつつ超快適で設営も簡単になってるってんでずっとチェックしてたんですよ。」
渡「でもあんた以前ドーム型テントそそらない病だって言ってたじゃん。」
ユ「え?そんなこと言いましたっけ?まあそんな僕ですらついにそそってしまうドーム型4シーズンテントが出てたんすよ。以前アツシオガワが紹介したビッグスカイのチヌーク1.5Pもすごく良いテントだったんですが、値段的に6万円+税とちょっとお高くてですね。」
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渡「あんた金ないもんねー。コーヒー買う金もなくて水道水飲んでたよね。」
ユ「余計なお世話ですね。で、その流れから辿り着いたのがこのEl Chalten1.5Pだったわけですよ。」
渡「決め手はやはり設営スピードの速さですか?」
ユ「もちろんそれだけでは決めませんよ。パッと見最初は“まあチヌークと似たような感じだし、改めて取り上げることもないなあ”って思ってたんですが、インナーに使われてた素材にビビビッときたんでさァ。」
渡「それは気になりますねえ。じゃあ視聴率引き上げるためにその話題は後半に取っておくとして、まずは建築時の模様を教えてもらっていいですか?」
ユ「さすがは百戦錬磨の渡辺篤夫さんだ。じゃあその新素材のことは一旦置いといて、建築時のお話からして行きましょう。」
建築風景
ユ「最初はこのような圧縮できるスタッフサックに入ってます。この中にフライ・インナーテント・フットプリントが入ってまして実測はわずか1,019gです。」
渡「え?ちょっと待ってください。フライとインナーだけじゃなく、フットプリントも込みでこの重量なんですか?これは嬉しーなー。」
ユ「このフットプリント込みってのがミソで、さらに後ほど説明しますがすでに防水のシーム処理も済んだ状態なんです。今まではフットプリントもシーム処理もユーザー任せで、その上で“どうだ!軽いだろう!”っていうメーカーが多かったですが、これらを含めて重量公表してるのが好感持てますよね。」
渡「どうせフットプリントもなんらかで用意しますし、シーム処理もしますもんね。その値段も手間もバカにならないんで、これはほんと嬉しいですね。」
ユ「もう数字上で軽さだけを競う時代じゃないんですよ。ユーザーも目が肥えてきてるんでそこは大事な部分です。で、こちらが付随するアイテムですね。」
ユ「付属品はテントポール3本・DACペグ8本・ペグケース・予備ガイライン4本です。」
渡「お、ポールは軽量で耐久性の高い DACのフェザーライトNSLポールですね。」
ユ「そうなんです。そのポール自体の実測重量は、スタッフサック込みで410g。」
渡「ということはテント本体+フットプリント+テントポール+スタッフサックの合計実測は1,429gってことですね。」
ユ「そうなんです。“俺はフットプリントなんて使わねえ!”なんて人は、フットプリントの実測重量が196gなので…」
ユ「わずか1,233gって事になります。」
渡「ほー。ダブルウォールの4シーズンテントで2人が寝られるスペースがありながらも1,233g!こりゃうーれしーなー。」
ユ「ペグと予備ガイラインは以下の重量ですが、ペグケースが重いんで僕はToaksのチタニウムペグを持って行ってます。」
渡「軽いってのは十分わかりました。でも軽いだけじゃユーコンさんはチョイスしないんですよね?」
ユ「もちろんです。まずこのEl Chalten1.5Pの特徴は設営と撤収の速さってのがあるんですよ。設営はまずドバンってこう広げます。」
渡「こ、これは!」
ユ「気づきましたか渡辺さん。そうです。フライとインナーとフットプリントが一体になっているため、この時点ですでにその三つが同時に広がったわけです。」
渡「ほほう。チヌーク1.5Pもそうでしたが最近フライとインナーが中で結合してて一気に立ち上がる仕様が増えてきてますねえ。以前みたいに後からフライ被せるのって、風が強い時に1人でやる時とかほんと鬱陶しかったんですよね。これならそれもない。しかもこの時点でフットプリントまでセットで敷かれてるとは…お見それしました。」
ユ「僕は昔からどん兵衛の“後のせサクサク”は好きなんですが、フライの“後のせバタバタ”は大嫌いだったんですよ。ずっとテントにはこのスタイルを望んでました。ホラ、こんな感じでフライの四隅にインナーとフットプリントの四隅が引っかかってるんですね。」
渡「なあるほど。一体と言っても分離できるから、これならテントを干す時にバラしたりできますね。」
ユ「激しい雨の日なんかはフライだけ残してインナーとフットプリントだけ先に撤収できるから、雨に濡れずにパッキングも可能ですよ。最後にフライだけ雨蓋とかに挟んでやれば良いだけですし。で、このセットのまま四隅をペグダウンです。」
ユ「横から見るとこんな感じですでに全てが連結されているわけです。」
ユ「そんでここのハトメ穴にDACポールをぶっ刺してやって…」
ユ「こんな感じで対角線上のハトメ穴に刺してグインってさせます。」
ユ「この時すぐ近くのフックを引っ掛けておいてやると、このように1本でもパタンって倒れずに自立してくれるんですよ。」
渡「これは地味にストレス減りますねえ。素晴らしい。」
ユ「これを両サイドやってやるとこんな感じですね。」
ユ「あとは各所のフックをポールに引っ掛けてやれば…」
ユ「フットプリントが敷かれた状態で、フライとインナーが綺麗に立ち上がります。」
ユ「ここまで2分とかかりません。そしてここで居住性をアップさせるための3本目のポールの登場です。入口上部に円形の凹があるんで、そこにポール先っちょの球をねじり込んでやります。」
ユ「それを逆サイドも同じことして、ここもフックで引っ掛ける。これで居住性が格段にアップしました。」
渡「これはあるとないとじゃえらい違いますね。フットプリントもシーム処理もそうですが、こういう部分に“軽さと快適性のバランス”ってのを感じますよ。多少重くなっても快適性を取るっていうね。」
ユ「そうなんですよ。こういうのってスペック表とかに寸法とかも書いてあるけど、あれあくまでフロアのサイズですからね。頭上はしぼまってる分、こういう措置がされてるかされてないかで快適性がずいぶん違ってきますよ。で、あとは前室部分をペグダウンし…」
ユ「耐風性と張力アップのために長辺側両サイドをペグダウンすれば…」
ユ「出来上がりでございます!」
渡「ほほう!3分でできてしまいましたね!もはやホイホイカプセル並みじゃないですか!」
ユ「組み立て前にラーメンにお湯入れとけばちょうど食い時ですよ。」
渡「設営してる間にウルトラマンの戦闘も終わってますね。いやー、うれしーなー。」
ユ「あっという間なんで特に動画にする必要もなかったですが、せっかく撮ってきたんで設置ムービーもどうぞ。」
ユ「あとは微調整ですが、インナーのここにもペグループがあるんで、そこ打ってやればテント内空間が安定しつつ居住性もちょいとアップします。」
ユ「風が強い時や稜線上に張る時なんかは、フライ四隅に空きループが付いてるんでそこからガイラインを伸ばして固定しちゃってください。」
渡「わかりました。シンプルでありながら各所に無駄がないですね。この楽さを味わっちゃったらフライ後乗せタイプには戻れそうにないです。素晴らしい設営風景でした。」
ユ「ありがとうございます。」
渡「さあ、それでは外観の方を探訪させていただきましょう。」
外観探訪
渡「いやあ、改めて見ると機能美と言いますかなかなかカッコいいですね。そして目を引くのがこのブルーのカラーですね。」
ユ「このEl Chalten1.5Pにはこの“リバーブルー”と“タンゴレッド”の2カラーがあるんですよ。」
渡「落ち着きのブルー、情熱のレッド。まさに冷静と情熱のあいだですね。」
ユ「例えが古いですけどまあそんなとこです。実は僕は今まで寒色系のテントは寒々しいイメージがあって抵抗があったんですが、このリバーブルーはパステル的なブルーで良い感じで落ち着くんですよ。」
渡「確かに今までの山岳テントは濃い目の青のものが多かったですからね。」
ユ「嫌いじゃないですけどいかにも“昔っからの山ヤ感”が出てましたからね。このカラーなら女の子でも可愛くてアリだと思うんですよ。単純なピンク系よりもよっぽど可愛く見えちゃいます。僕がモデルしてもアレなんで、鬼ころしSちゃんに座ってもらいました。」
渡「さすが彼女が入るとインスタ映えしますね。ユーコンさんだとどうしても公園に住んでる人みたいな雰囲気出ちゃいますからね。」
ユ「相変わらず失礼ですね渡辺さん。でもこのカラー、他の人ともあまり被らないんで天邪鬼な僕でも大満足です。どうしても黄色や緑が多くなりがちのテン場で、その存在感はひときわ際立ちます。」
渡「確かにこれならハイシーズンの涸沢でも一発で自分のテントが見つけられそうですね。」
ユ「横から見るとチヌーク同様独特な形状でまたカッコいいんすよ。」
渡「なんか上陸したての宇宙船のようですね。今にも中からベジータとか出てきそうです。」
ユ「この形状なのはもちろん“両サイドに入口がある”からなんですね。ホラ、こんな感じでどっちからでも入れますよ。」
渡「この軽さにして両サイドに入口があるってありがたいですねー。これならテン場で“どっちを入口にしよう”なんて悩まなくていいですね。2人で使用する時もいちいち玄関口の人をまたいで行かなくていいから気を使わずに済むのもいいですねえ。」
ユ「暑い時は両開きにすれば風通しもいいですよ。風通しといえば換気口は二箇所あります。普段はこうして閉じてるんですが…」
ユ「ここをベリンとめくると、こんな感じで柔らかめの芯材が立ち上げられる感じになってて換気調整もバッチリです。」
渡「最近こういう柔らか芯材スタイル良く目にしますね。これだと撤収時も折れるのを気にせずスタッフサックに押し込められるのがいいですよねえ。」
ユ「正面から玄関を見るとこんな感じです。」
ユ「入口のジッパーは上下のダブルジッパーにはなってませんが、引っかかりもなくスムーズです。」
ユ「扉留めはOリングタイプなので片手だったり手袋したままでも留めやすいですよ。」
渡「いいですねえ。ここって簡易的なテープの輪っかしかなかったりするから片手でやろうとすると結構イラつくんですよねえ。」
ユ「そうなんですよ。BBGってなぜかこの扉留めにやたらうるさいですが、このスタイルはやりやすいです。ここもOリングじゃなきゃもっと軽量化できるのにちゃんと手を抜かない。こういうところがユーザー目線を感じますよね。で、これが玄関を開けた状態なんですが…」
ユ「もちろん両扉をガッパリ開けてスーパーな開放感を味わうことも可能です。」
渡「いいですねえ。縦入口テントに比べて、横入口テントってこれができるからたまんないですよねぇ。うれしーなー。」
ユ「しかも両サイドに入口があるから、全てをフルオープンにすればご覧の開放感っすよ。」
渡「モロ出しですね。節操がないにもほどがありますよ。なぜか雪の上でフルオープンしちゃってるところにユーコンさんのマゾさを感じてしまいますが、これができることによって暑い時期の低山でも快適に過ごせますね。」
ユ「外観に関してはこんなところですが、小ネタ的にもう一つ。フットプリントまで一体型なんで、天気のいい出発前の朝なんてフットプリントごと乾かせるのもオツなんです。」
渡「地味にいいですね。フットプリントは一番湿気吸ってるからなかなか乾かないんですよねえ。」
ユ「あと各所にリフレクターも付いてるんで、暗い中でもヘッデンの明かりに反応して場所がわかりやすいっす。」
渡「ますます宇宙船みたいですね。」
ユ「さらにどうでもいい情報を言いますと、フライの外にポールがある吊り下げ式テントって、引っ掛けるとこいっぱいあるから色んなもの干しやすいです。」
渡「ほんとどうでもいい情報ですね。というかまた“公園の人感”がアップしちゃったじゃないですか。ほんとインスタ映えとは無縁の人ですね。じゃあ次はお家の中を見せてもらいましょう。」
お部屋探訪
ユ「ではまず玄関からご案内いたします。まずこの状態を見て何か感じますか?」
渡「おや?中がスケスケですね。4シーズンテントって言いながら“フルメッシュ”なんですか?そりゃ流石に風がパーパーで寒いでしょう。」
ユ「フッフッフ。テレビショッピングのような良い前振りですよ渡辺さん。実はこれ、メッシュに見えるけどメッシュにあらず!これが冒頭にチラつかせた画期的な素材“モノフィラメント”なのであります!」
渡「ええ!メッシュじゃないんですか?だって向こう側の景色まで丸見えですよユーコンさん!いや、絶対風パーパーな上、フライに付いた結露もお部屋内にポタポタでしょう!」
ユ「いいいですねえ渡辺さん。振り上手です。ではこの素材をよおく見てください。メッシュではなく、ものすごく細かくて剛性のある撚ってない単一の糸が細かーく編み込まれてるんです。」
渡「おお、肌触りもシルクとまでは行かないけど柔らかく、それでいてちょっとやそっとでは破れそうな感じもないですね。」
ユ「ではまず普通に手に息を吹きかけ、そのあとで中に手を入れて外から息をフーッと吹きかけてください。」
渡「おお!わずかながらに通気性を感じつつ、メッシュに比べたら全然風を通さないですね。」
ユ「そう、“ソリッド以上メッシュ未満”の絶妙なラインの通気性なんです。これによってインナーテント内はいい感じに換気でき、内部の湿気も外に吐き出して結露知らずなのです。」
渡「でもインナーは良くても結局フライの内側に溜まった結露がポタポタ落ちてきません?」
ユ「その言葉を待ってましたよ渡辺さん。この素材は適度な撥水性も備えていてちょっとした水滴なんぞ軽くはねのけます。そこがこいつが“結露知らず”と言われる所以なんですよ。」
渡「ホア〜。言ってみればファイントラックのドライレイヤーみたいなもんですねえ。素晴らしい。」
ユ「しかもフライとインナーがベターっとなって濡れるテントは多いですが、こいつはこんな感じでフライとインナーの間にしっかりとした空間が維持されてて、換気性能も高いんですよ。」
ユ「実際に1,300mほどの無雪期低山、2,500mほどの雪山で使用しましたが、天候が安定していたとは言え全く結露に悩まされることはなかったです。と言うか結露ゼロでした。」
渡「素晴らしいですねモノフィラメント。これは次世代のインナー素材として大いに期待できますね。しかもメッシュみたいなもんだから軽量ときた。こいつぁうれしーなー。」
ユ「もちろん結露問題だけじゃなく、内部からの開放感も抜群で閉塞感もないのもいいですよ。」
ユ「しかもこのモノフィラメントの中に女性を入れると、なんだかそれだけで妖艶な雰囲気が出てちょっとセクシーに見えてしまうのです!」
渡「うひゃあ、これはいいですねえ!この“ねえアタイとテントの中で鬼ころし飲みながら恋のルートファインディングしない?”的な雰囲気がたまないっす。落としたい男がいるガールの皆さんは最高の武器になりますよ!」
ユ「でしょう?ただ難点といえば、当然通気性はあるんで通常のソリッド素材よりは冷気は感じやすいですね。なので防寒って意味では“他の防寒アイテムが少し重めになっちゃうじゃん”ってオチはありますけどね。とはいえメッシュに比べたら全然安心感はあります。」
渡「でもこの軽量さ、設営の早さ、結露のしにくさってのは大きなアドバンテージになりますね。」
ユ「ちなみに2人用のEl Chalten2Pのインナー素材はモノフィラメントじゃないんでご注意を。では長くなってきちゃったんで良い加減中に入っていきましょう。インナーのジッパーはC型にガバって開いて開閉も片手できるくらいスムーズです。」
ユ「ただここで一点納得がいかない部分があります。フライ側の扉留めはOリングでやりやすかったのに、なぜかインナーの扉留めは通常のテープの輪っかタイプでやりにくいんです!」
渡「あんた本当に扉留めにうるさい男だね…」
ユ「山ではちょっとした事がストレスになるんです!まあ養子で鬼嫁持ちの身なんでストレスに敏感になりすぎてるかもしれませんけど。」
渡「そこは知ったこっちゃないです。早く玄関を案内してください。」
ユ「玄関は広々ですよ。ミスター座高市と恐れられるほど座高の高い僕でも、頭上はちょうど良いレベルのスレスレさでさほどストレスは感じません。」
渡「ここは頭上の3本目のポールが良い働きしてますねぇ。」
ユ「そうなんですよ。で、前室はというと必要十分な広さがキープされてます。」
ユ「しかも前後に前室があるため、1人の時は片方を炊事場にし…」
ユ「後方の前室は靴置き場だったり飲み終えたビール缶置き場だったりと使い分けられます。」
渡「ほほう、これならあんたのクッサい靴の匂いを嗅ぎながらご飯を食わなくて済みますね。」
ユ「ええ、年々臭くなって来てるから食うもの全てが酸っぱく感じられて…って失礼ですね渡辺さん。確かに嫁から“濡れた犬の匂いがする”とか“頭がポテト臭い”とか言われましたけど、言って良いことと悪いことがありますよ。」
渡「失礼しました。ではお部屋を案内してください。」
ユ「お部屋内のフロアは15デニールのリップストップシルナイロンですが、フットプリント付きだから安心感がある上…」
ユ「冒頭で言ったように縫製箇所はしっかりとシームテープが貼ってあって安心の防水性があります。」
渡「シームテープ処理済みって地味に嬉しいですねえ。ここはユーザー任せにするところが多い中、良い仕事してますなあ。」
ユ「お部屋の中の居住性ですが、当たり前ですけど1人だと必要十分以上の快適空間ですよ。荷物も散乱させ放題っす。」
ユ「フロア面積は210cm×110cmで、幅51cmのリッジレストが二つ敷けるから2人でも無問題でございます。」
ユ「ただ長さが210cmなので180cm以上の人は若干頭に窮屈さを感じるかもですね。参考までに210cmはラオウの身長と同じなので、彼が入るとパツンパツンです。」
渡「その情報はいならないですね。」
ユ「お部屋の中ですが、ちゃんとポケットあります。」
ユ「ただこのポケットが一箇所しかついてないんですよね。せっかく両サイド入り口だから向きを考えずに張れるのに、1/2の確率でポケットが足元の方に来てることに立てた後に気づくことも。このポケットは多少重くなっても対角線上に二つつけて欲しかったですね。」
渡「細かいなあ。ポケットあるだけ良いじゃないのさ。」
ユ「まあそうですけど…。あと、天頂部分にはランタンとか掛ける用の輪っかがありますが…」
ユ「なぜここがOリングでインナーの扉留めがただの輪っかなのさ!逆で良かったのに…」
渡「ハイ、ありがとうございます。居住性の良さとあなたの心の小ささははっきり分かりました。じゃあこの際なんで他に要望点などあれば思う存分言ってください。」
要望探訪
ユ「すっごく良いテントだってのは十分説明したんで、BBGらしくあえての要望コーナー行きますよ。」
渡「あんた自分の嫁さんの要望はほとんど聞かないくせに他人には厳しいねえ。」
ユ「これも全て業界の発展のためです。嫁との愛はもう発展しないんで…。それはいいとしてまずはこちら。テントを入れるためのスタッフサックですね。」
ユ「前述した通りこれ圧縮できるタイプのものなんですが、どうせならグラナイトギアのシルコンプレッサーみたいな防水の圧縮サックにして欲しかったです。当然その分お値段は高くなるだろうけど、現状のものは全く防水性ないんで雨の撤収後にバックパック内がビチョビチョになってしまいそうです。」
渡「そうなると結局別で防水サックを買う羽目になりますものね。」
ユ「そう。個人的にはテントはべちゃっと平たくしてパッキングするんで圧縮すらいらないです。うまく圧縮しないと、“ひでぶ状態”になって逆に嵩張るんで。」
渡「こりゃあやばい秘孔打たれましたね。アミバにやられた感じですね。」
ユ「もし防水にできないなら、せめて伸縮性のあるシルナイロン製の方がよかったですね。現状のは入口も狭く伸縮性もないんで、急いで撤収しなきゃいけない時はちょっと煩わしかったです。」
渡「撤収スピードも早いテントだからこそ収納もスピーディに行きたいですからね。」
ユ「設営スピードの話で言うと、フライとインナーとフットプリントの連結部分が収納してる最中に外れてることが何度かありました。」
ユ「これだと広げた時にこの部分を連結し直すことになって、せっかくの設営の早さが勿体無いことになっちゃいます。ここは外す機会の方が少ないんで、もう少し外れにくい仕様だったらよかったですね。」
渡「確かに現場で広げてここ外れてたらガッカリですね。」
ユ「あとは日頃フリーライトさんやローカスギアさんのシェルターの美しい縫製を見て来てるせいか、若干縫製の仕方に雑さは感じました。性能自体に大きな影響はないけど、こういうとこって結構大事だと思います。」
ユ「シームテープもせっかくなのでもう少し綺麗にできてたら完璧でした。」
渡「軽量である以上多少割り切るべきポイントは必要ですが、かなり良いテントなだけにさらなるブラッシュアップに期待ですね。要望をまとめるとこんな感じでしょうか。」
- インナーの扉留めもOリングタイプにしてほしい
- 部屋内のポケットを対角線上にもう一つ加えてほしい
- スタッフサックを防水か伸縮性のある素材にしてほしい
- フライとインナーとフットプリントの連結を外れにくくしてほしい
- 縫製とシームテープの技術力アップ
ユ「あえて要望を言いましたがどれも使用に関して問題があるものではなく、全体的にはすこぶる満足しております。」
渡「いやあ、素敵な住宅でした。内容は十分伝わりました。今後も素敵なスカイブルーライフ、楽しんでくださいね。本日はありがとうございました。」
ユ「こちらこそありがとうございました。」
エンディング
渡辺篤夫です。
いかがだったでしょうか?本日の建物探訪。
軽量さ、設営の早さ、結露の少なさ、十分な居住性。
そして重量の数字だけでは判断できない、フットプリント付きだったりシーム処理済みだったり天井部の居住性アップだったりの利便性の数々。
元々このZEROGRAMさん自体のコンセプトが、「重量ゼロを目指しながらハイカーや自然へも負担ゼロを目指す」というものなので、単純に「軽量」という言葉だけでは語れないスピリットを感じさせてくれています。
メーカーの「Sorry to Earth」というキャッチコピーもいいですね。
「地球さんごめんね。ちょいと遊ばせてもらってます。」っていう謙虚さは我々も忘れたくはないものです。
本当に素敵なお宅でしたね。
このEl Chalten1.5Pは、初めてのテントとしても十分お勧めできるものでした。
また、「今あるテントの軽量化したい。でもストイックなULULしたものには抵抗がある。」って人にも最適なテントだと言えます。
3シーズンだけじゃなく、冬季テン泊デビューを考えてる人にも良いですね。
建築設計:ZEROGRAM(ゼログラム)
物件名:El Chalten1.5P(エルチャルテン1.5P)
※画像クリックでメーカーサイトへ
対抗馬となってくるのはやはりビッグスカイのチヌーク1.5Pとなってくると思いますが、チヌークのが1万円高いです。
コスパ面という意味ではフットプリント込みって事も考えると手を出しやすいのも嬉しいですね。
実際に現物が確認したい人は、以下の最寄りの取り扱いショップに連絡してみましょう。
それではみなさん、またお会いしましょう。
次に探訪されるのはあなたのお宅だ!
渡辺篤夫でした。
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【2018.5.18 追記】
この記事がアップされた翌週、2018年モデルが発表されました。
従来モデルより44g軽量化しているようです。
そして新色として「フライ:オリーブ、インナー:ブラック」のものと、限定モデルとして「フライ:ブラック、インナー:ブラック」(ZEROGRAM JAPAN公式サイト、ZEROGRAM展示イベントのみでの販売)が発表されました。
落ち着いたカラーがよかったなーって思ってた人も多いだろうから、これは朗報ですね!
6月中旬の発売で、価格は52,000円+税のようです。
従来モデルはタンゴレッドが引き続き継承され、リバーブルーは在庫分のみとのこと。
爽やかブルーを狙ってる人は急いだほうがいいですよー!