冬季北アルプス「西穂独標」。そこはある程度経験を積んだ雪山初心者たちにとって憧れの山。今回そんな聖地に挑むのは、BBGチャッピースノーハイク担当の「ユーコンカワイ&低血圧Mちゃん」のスポンジ脳コンビ。なんだかんだと毎回全然チャッピーじゃないハイクを繰り広げる二人だが、今回は快晴&絶景に包まれての浮かれポンチ登山を炸裂させる!本厄が開けて開運パンツを手に入れた今年のユーコンカワイは一味違うのである!
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西穂独標~1泊2日雪山登山&雪中テント泊~
第1章 聖水の魔力
北アルプス「西穂高岳(2,909m)」。
そこは冬季登山において、それなりに経験を積んだ者しか挑戦できない領域。
しかしその手前の「西穂独標(にしほどっぴょう・2,701m)」は、多少雪山経験を積んだ者なら挑戦できる山として知られている。
行程的にもロープウェイで一気に標高が稼げる上、冬季営業している西穂山荘もあって何かと便利。
豪華食材や無駄なもんいっぱい担いだテン泊装備でも、西穂山荘のテン場まで1時間半程度で行けてしまう手軽さ。
まさに冬季に絶景とテン泊を楽しむ最高の浮かれスポットなのである。
そしてここがその浮かれスポットへの入り口となる、新穂高ロープウェイ乗り場。
ユーコンカワイがいるくせに、空は信じられないほどの大快晴!
今までBBGでは「雪山ってこんなに楽しいんだぜ!」って伝えるためにいろんな場所に行ってきたが、結局毎回悪天候に巻き込まれてマゾい状況をお伝えするばかりの日々だった。
読者の方からは「なんだか余計雪山が怖くなってしまいました。」「全部白いんでよくわかんなかったです。」というお声を頂いてしまうこともしばしば。
しかしその悪天候の元凶であったユーコンカワイの本厄がようやく終わり、前回の快晴荒島岳では「開運パンツ」も手に入れた。
彼は「私はもう晴れ男です。」と高らかに宣言し、なんと10年ぶりくらいに「日焼け止めクリーム」を塗るという快挙を達成。
かつて信越トレイル80kmを一滴の日の光も浴びずに完歩した万年白豚野郎が、ついに日焼けを意識してしまうという奇跡。
そして最近までかけ方もわからなかった「サングラス」なるアイテムの扱いも巧みになってきた。
さあ、これでもう浮かれる準備は万端。
ロープウェイに乗っていざ、天上の楽園へと出発だ。
[aside type=”normal”]新穂高ロープウェイ:往復2,900円+荷物代往復600円。事前にコンビニで買えば2,900円が2,300円になるらしいぞ!もちろんそんなこと後で知ったから普通に2,900円払いましたけどね。[/aside]
やがて第2ロープウェイ終点に降り立ったユーコンカワイ&低血圧Mちゃんのスポンジ脳コンビ。
低血圧Mちゃんはここに来るまでに「リップ忘れた!」「耳栓忘れた!」と散々騒いだ挙句、この段階で「あ、ウェストポケットに入ってました。」と一人スポンジプレイに余念がない。
すかさずユーコンは「ナイススポンジ!」と合いの手を打つが、何気に彼も下山後に着替えのパンツと靴下を家に忘れてることが発覚してたりする。
そんなスポンジ脳二人の前には、それこそスポンジのようなモフモフの雪の回廊が。
そしてそっから先は、爆発したビオレの泡のような雪をかぶった樹林帯の嵐。
やはり今年は雪の量が少なくてスノーモンスターまでは成長してなかったが、それでも果てしなく気持ちのいいスノーハイクが続く。
やがて目の前にはデデーンと西穂高岳や独標の姿が。
もちろんこんな快晴の北アルプスを見たことないユーコンカワイは、これ見ただけでアウアウ言って腰を抜かしてしまっている。
このままではまた錯乱してパンツいっちょになりかねない。
しかし浮かれた先にはちゃんとマゾきたる。
こっから先は、西穂山荘までの何気にハード急登な長き道のりがご登場だ。
「山荘まではチャチャっと行けるっぽいし、沢山食材とか無駄なもん持って行ってチャッピー雪中泊しようぜ!」と余裕ブッこいて大荷物担いできたユーコンカワイに襲いかかる急登の洗礼。
ブヒブヒと荒い吐息を吐きながら、「ぐおおおお!肩が!腰が!」とやたらうるさい男。
Mちゃんに良いとこ見せようと「食材は全部俺が担ぐぜ!」とカッコつけた挙句にクソ遅い。
一方「急登になればなるほどニヤリとする女」で著名なマゾガール低血圧Mちゃんも、ヒイヒイと喜びながらハイパーハイクアップ。
そんな苦労の末(冒頭で気軽に行けるって言っておきながら)、ようやく西穂山荘に到着。
本来の予定では、ここでササっとテント立ててサクッと独標を落としに行く予定だった。
しかしここでユーコンが西穂山荘の仕掛けた魔のハニートラップに引っかかってしまう。
彼は「くっ!や、やめろぉぉ!」と抵抗を試みるが、魔の聖水は容赦無くユーコンの体内へと注入されていく。
駆け抜ける爽快!ほとばしるのどごし!
そして彼は「よし!今日はここまでだ!」と高らかに宣言した。
せっかく晴れて風もない絶好のアタック日和なのに、「ま、どーせ明日も晴れるんだし。あわてないあわてない。一休み一休み。」とCM前の一休さんのような余裕ぶっこき。
登山開始わずか2時間で放たれた終戦宣言。
そして彼は「決して俺が戦意を喪失したわけじゃない。独標が俺に対して戦意を喪失したんだ。」と言い張りながら聖水の快楽に溺れて行ったのである。
第2章 ピラミッドパワー
働かざる者飲むべからず。
アタックを延期にしてしまった以上、ここからは労働のお時間だ。
「時間は腐るほど有り余っている。せっかくだから素敵なマイホームづくりを頑張ろう!」と、ひたすら掘り掘りタイムのスタートだ。
雪中泊の時は風防として雪のブロックを組み上げたりするんだが、もういっそ「塀」を作ってやろうという棟梁の心意気。
やがて散々苦労した挙句、1時間半もかけてようやくここまでの外構製作に成功した(だったら独標行けたのでは?)。
そしてユーコンカワイ奥義「駄々っ子地ならし」をひたすら炸裂させ、
地面が平らになったらシェルターを設置し、
「マキマキー!」と叫んだかと思うと、あっという間にピラミッドが完成。
そしてそのピラミッドリングの中には、ミイラパッケージされてしまった一体の屍が。
思わず「わたしはレフェリー」というメモを探してしまったが、中身はお昼寝中の低血圧Mちゃんだった。
この後メシア(救世主)が現れて猛烈なレッグラリアートで低血圧Mちゃんを強制蘇生。
彼女は寝起きで血圧が低すぎてぼーっとしながらも、その髪の毛は猛烈なピラミッドパワー(静電気)によって大爆発。
「うう…メ…メシア…」と寝ぼけてる彼女に対して、ユーコンは「メシアはもういない。ていうかそろそろメシの時間だから起きてくれ。」と、山メシコーナー担当のMちゃんに喝を入れたのである。
はい、マキマキーからここまでのネタについてこれた人は大体40歳くらいのおっさんですね。
全部わかった人は今度一緒に飲みましょう。
その時は「そもそもあの試合にレフェリーいなかったじゃん」という謎について朝まで語り合いましょう。
第3章 魅惑の山メシタイム
やがて陽も傾き始め、晩メシのお時間がやってきた。
今回は晩メシを作るにあたり、強力な援軍を引き連れてきた。
それがこの日の二日前に発売されたばかりのSOTOの「ストームブレイカー」だ。
「ストーム(嵐を)ブレイカー(モノともしねえ奴)」という名の通り強風下や寒冷地での安定した火力が自慢の、ガソリンでもガス缶でも行けるニクい奴。
これなら前回の入笠山の時のように、大根が固いままのいつまでも沸騰しない豚汁を食うことにはならないはず。
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もうあのような拷問の悲劇は繰り返さない。
失敗から多くを学んでこそBBG。
いざ、レッツポンピング作業!
こうしてシコシコとポンピングすることで、内部の圧力が上昇。
やがて圧力が高まるにつれ、この赤丸部分のボッチが出てきてお知らせしてくれるっていう仕組み。
彼らはこのボッチの正式名称がわからなかったので、便宜上「乳首」と呼んでいた。
なのでこのポンピング作業中、外からこのシェルターに耳を傾けると…
ユ「ハァハァ…どう?俺の乳首立ってきてる?」
M「まだですね。もうちょっと激しく動かしてみてください。」
ユ「ぐっ…ハァハァハァ…まだかな?だいぶ立って来た気がするんだけど…」
M「少し乳首立って来ましたよ。もうひと頑張りです。」
ユ「アッ、クッ、ドゥハッ!これでどうだ!」
M「めっちゃ立ちましたよ!すごいすごい!」
…という、あらぬ疑惑を持たれてしまいそうな魅惑のポンピング作業になってしまうのである。
そんなセクシーポンピングの末に無事着火に成功すれば、投入されるのはこの一品。
入笠山のイベント時に志半ばで撤退して行ったあごダシNさんの遺品、「焼きアゴ入りダシ」のご登場だ。
今回のメニューは入笠山の拷問豚汁の「弔いカレー鍋」。
前回はブリザードにまみれた中での調理だったが、今回は四方を塀に囲まれた無風地帯。
そして入笠山では「持って行った挙句に出番がなかった」という不運の食材、里芋も投入!
やがて入笠山の怨念をダシにした名作「弔いカレー鍋」が誕生!
超絶ウマシ!
入笠山の拷問の日々を思い出しながら、チーズ入れたり餅入れたりのバリエーションを楽しみつつ柔らかい食材に舌鼓。
夕日も綺麗っぽかったが、もうこの穴蔵から出るのが面倒で穴から顔出して眺めるだけ。
夜が来たら物置を素敵にライトアップ。
こうして「ビール飲んで、穴掘って、飯食っただけ」という、大変生産的な1日が幕を閉じた。
さあ、明日こそちゃんと独標アタック。
快晴の山頂が待ってるぞ!
第4章 天空の城の攻防戦
朝が来た。
本日は昨日以上の快晴予報でまさにアタック日和。
ご来光への期待に胸を膨らませ、もそもそと穴から這い出てくるユーコンカワイが爽やかに叫ぶ。
「白いやないかっ!」と。
そこには毎度お馴染みの核戦争後の世界が広がっていた。
まさにシェルターに入り損ねたトキのような気分だ。
しかしここからいつものように白の絶望にまみれないのが、本厄明けのニューユーコンカワイの力。
フォグでボヤけながらも、なんとかご来光をゲット。
やがて朝飯を食って出発する頃には、まさに青と白の一進一退の攻防戦にまでこぎつけた。
立ち向かうのは「開運パンツを穿いた蒼き狼」と「フォグを呼ぶ白き牝鹿」のお二人。
今回の戦いは独標を落とせるかどうかではない。
山頂で「晴れるかホワイトか」の運試しだ!
さあ、栄光のオールブルーに向かって、いざ出発!
しかし希望に満ちたスタートから一転。
これから目指す西穂独標への世界は、早くも絶望のホワイトに飲み込まれて行った。
カーリング女子のチャッピーさを遥かに凌ぐモクモクタイム。
やがてとてつもない超突風が吹き荒れまくり、思わず「ここは平昌のラージヒル会場か!」と突っ込んでしまうような状況へ。
ますます強くなる風とモクモクタイム。
蒼き狼を襲名した男の方からは「上高地の眺めが見事だなー」という涙ぐんだ声がうっすら聞こえてくるが、その声すら突風に乗って白い世界へと吸い込まれていく。
低血圧Mちゃんに至っては「毒ガス攻撃された紛争地帯から逃げて来た人」的な様相を呈しており、まるで戦場カメラマンが撮影したかのような悲壮感漂う1枚になってしまっている。
チャッピーのカケラもない世界観。
昨日の平和なうちに登ってればこんな事にならなかったろうに。
それでもやはり今のユーコンは一味違う。
独標手前の「丸山」に到達する頃には、かろうじて青が復活。
風も多少だけ弱まり、悲壮感も弱まって来た。
「今まで悪天候だったのはチンポジが悪かったせいだ」と信じて疑わないユーコンカワイは、開運パンツをポンポンと叩いて独標に向かって雄々しく進んでいく。
するとさっきまで白い天井に覆われていた空が、まるで福岡ドームの天井が開いていくかのように「ずおおおお」っと後退。
そして「すぐ上は超モクモク、でも日が差してる」というわけのわからない天候に。
激しくぶつかり合う厄の残党とニューユーコンの聖なる力。
低血圧Mちゃんも今日は「浮かれアルフォート」を封印して快晴バックアップ。
するとあのユーコンの元に「ぱあああ」っと光が降り注ぎ、
開閉式の屋根が完全に開いたのだ!
突如眼下に広がった青の絶景。
そして進行方向へと目をやる二人。
そこにはドバアアンっと大迫力の「西穂独標」のお姿が!
ユーコンは「父さんの言ったとおりだ!向こうは逆に風が吹いている。ラピュタはこの中だ!!行くよ!シータ!」と叫ぶ。
Mちゃんも「ええ!パズー!」と叫び、二人でこの竜の巣へと突っ込んでいった。
待ち受けるは死か、それとも快晴のラピュタか。
いよいよ運命の時が近づいている。
第5章 独標のバルス
あれからどれほどの時間が経っただろうか?
「う…ううん…」と目覚めるシータ。
辺りは静寂が包み込み、空は抜けるような青空だ。
やがて「シータ!良かった。ごらん、ラピュタだよ。」と独標の下で佇むパズーの姿が。
そこには先ほどの竜の巣がウソのような超快晴&無風の世界が展開していた。
まさに独標の奇跡。
しかしここからが最後にして最大の難関が待ち受ける。
それがこの、独標までの雪と岩のミックス大急登なのである。
必死で岩にしがみつきながら這い上がっていくパズー。
真下を見れば、絶壁を登ってくるシータとそれを追うムスカの姿。
半端ない高度感の中、「返したまえ…いい子だから。さあ!!」と迫り来るムスカ。
そしてそのまま恐ろしい大急登は続き、足を踏み外せばジ・エンドと言ったラスト急登に突入。
それでも最後の力を振り絞り、今シータが独標直下へ。
そしてついに到達!
西穂独標制圧!&大快晴達成!
涙を見せまいと背を向けるパズーの肩が小刻みに揺れている!
その涙の視線の先には西穂高岳!
そしてそこから広がっていく奥穂への険しくも美しい稜線!
まさに開運の夜明け!
ユーコンは眼下の絶景を見下ろし、喜びのあまり叫ぶ。
「すばらしい…!!最高のショウだと思わんかね!ふっはっは!」
「見ろ!人がゴミのようだ!!はっはっはっはっはっはっは!」
まさに浮かれのピークで、いつの間にかムスカになってしまったユーコンカワイ。
あまりの快晴っぷりに「へぁぁぁーー、はぁぁ、目が、目がぁー!!」と絶叫。
そしてその余韻を楽しみながら、ラピュタから脱出し、
鼻歌交じりで絶景の稜線を降りていく。
そしてこの段階でついにシータが封印を解いた。
「ここまで来ればもう浮かれていいですよね?アルフォート食べます?」と、禁断のアルフォートを取り出したのである。
ユーコンは「いつもならそれ食うとフォグまみれになっちゃうけど、もちろん今日は止めないよ。思う存分食うがいい!」と言い放つ。
それを聞いたシータは、アルフォートをユーコンに渡しながら突然「バルス!」と叫んだ。
するとどうだろう。
ユーコンが大事なアタックザックをアイゼンで踏んでしまい、その生地が「バリス!」と音を立てて豪快に破れてしまったではないか。
会社のお金で買ったスーリーの大事なアタックザック…。
これぞアルフォートプレミアムの威力。
これにてユーコンは、もれなく敏腕CEOアツシオガワから処刑されることが決定した。
一寸先は闇、浮かれた先は自損。
浮かれるのもたいがいにしとかないかんよ。
せっかくの絶景がわやになってまうで。
やがてベースキャンプに帰還して来た浮かれポンチーズ。
で、ここでリンゴ食ったりラーメン食ったりしながら、再びマッタリと時間を過ごす。
そのあとはしっかりと掘った穴を戻し、
素晴らしい好天のもと、勝利の帰還なのであります。
パーフェクトな山行だった。
途中モクモクや突風やバルスなどのトラブルもあったが、そんなものは今までの代償に比べたら屁のツッパリにもならない。
最大の難関とも言われた温泉だってちゃーんと営業していた。
これにてユーコンカワイ、完全なる脱厄宣言である!
ってことでいかがだったでしょう?冬季西穂独標の素敵さは伝わりましたか?
こういう系の記事を久々に書いた気がしますよ。
独標は日帰りでも行ける山だけど、どうせなら雪中泊か小屋泊でのんびりと楽しんでほしいですね。
後日談ですが、この時浮かれ過ぎてしまったんですかね?
二日後、突然右の膝裏を伸ばしたら大激痛に見舞われましてね。
そっから二日間、家の中でもトレッキングポールなしでは歩けないというプチ地獄を味わいました。
その間ずっと謎の偏頭痛も。
でも全然いいの。
あんな素敵な景色が見れたんだから…。
それではみなさん、また快晴の山でお会いしましょう。
何をやっても晴れてしまう王。
ロムスカ・カワイ・パロ・ウル・ラピュタがお送りしました。
押忍!