CEOが大切にしていた帽子の代償に、無事朝日岳を登頂した我々。さらなる縦走路を突き進む2日目・3日目は花畑広がる雪倉岳を経て、後立山連峰の最高峰”白馬岳”へ。北アルプスの名峰を見渡す絶景を求め、ワガママボディに鞭打って歩き続ける後半も、BBGのお陰で普通の登山じゃもう物足りなくなってしまったアブノーマル鬼ころしSがお送りします。
[toc]
第4章 夜明けのブルース
前回の続き。
辺りはまだ暗い午前3時、本日の1つ目の目的地・雪倉岳へ向けて出発。
まずは手前の朝日岳の山頂でご来光を見るべく早立ちします。
出発前に痛恨のミス。OMMの時に使ったトレランザックの中にヘッデンを忘れて来てしまった私は、仕方なくソーラーパフをブラブラさせながら出発。
出たー!!
真っ暗の雪渓の上にいるともはや怨霊。
怖くても悲鳴は出ないものの、酷使4日目のハムストリングは開始早々にして悲鳴を上げてます・・・
辺りが明るくなってくると、昨日は雲の中だった”北アルプス北部オールスターズ”とも念願のご対面。
シャッターチャンスを狙って、朝日岳の朝日を待ちます。
妙高山の奥から姿を現わす朝日!
これから向かう白馬三山方面の空もほんのりと良い雰囲気に染まってきました。
昨日は雲の中だった剱岳と、念願のスリーショットも実現。
朝日小屋で販売されていた、ます寿司とくるみ寿司(1つ250円)を朝食に持って来ました。
まずはます寿司。笹の香りが爽やかで、持ち運びもしやすいので行動食にも良いですね。言わずもがな、安定の美味しさ。
こちらはくるみ寿司。くるみの甘辛煮やお寿司は新潟県の郷土料理なのだそう。甘しょっぱく炊かれたくるみに酢飯がベストマッチ。
コーヒータイムまで済ませたところで、雪倉岳へ向かいます。
風が吹き荒れる山頂では歯がガチガチ鳴るほどの寒さだったのに、日が昇るとすぐに汗だく。ソーラーパワーの偉大さを実感!
かといってあんまり綺麗な朝の光に見とれていると・・・
強烈なヒップドロップを大地に食らわす事になるので気をつけましょう。
水平道の分岐。朝日小屋から山頂を通らずに巻いていくルートなのですが、残雪が減るまでは通行止めとのこと。
続く木道の脇にはミズバショウの群生。6月に鑓温泉で見たミズバショウの2倍くらいデカかった〜。
「わぁー、雲が羽根の形に見える♡」
薄汚れてホコリかぶった三十路にもうっかりロマンチックな発言をさせてしまう、それもまた山の魅力。
4日分の疲労が溜まっていようとも、これからまだ今日は6時間以上のコースが待っていようとも、この景色のお陰で頑張れる・・・
ような気がしてきました。
第5章 雲上の天国と地獄
木道が終点になると、いよいよ雪倉岳へ向かって長い登りが始まります。
朝日岳〜雪倉岳の間は高山植物の宝庫と言われ、実にさまざまな種類のお花が我々の目を楽しませてくれます。
ハクサンシャジン
タカネマツムシソウ
マルバシモツケはすっごく小さくて可愛いのにバラ科のお花なんですって。
「オニユリだ!」と盛り上がったけれど、調べてみたらクルマユリでした。
昨日より沢山咲いてたミネウスユキソウ。岩の間に咲く健気さが胸を打ちます。
そして今日も見事なニッコウキスゲの黄色い絨毯。
大型でとっても存在感のあるミヤマシシウドと並べば、小顔効果もグンバツよ♡
実に風通しの良い社長室。
BBGは透明性の高い企業経営をモットーとしています。
ポチった商品は届かないけどね・・・。
長い登りもようやく終わりが見えて来ました。
2,611m 雪倉岳に到着!
ここで浮かれた私、つい袖なんか捲ったりするもんだから昨日の二の舞でうっかり帽子を飛ばしてしまいました・・・
・・・が、「これ以上の犠牲は払うまい」とCEOがキャッチしてくれました。お見事!
この稜線を下りきった中央に見えるのは、雪倉岳の避難小屋。
そして左奥に、これから向かう白馬岳が・・・
なんと遥か遠くに見える。
もう気が遠くなりそう・・・泣
一体、我々はどれくらいの時間こうしていたのだろうか?
気付けば辺りはガスに包まれ、ひんやりしている。
しかもアツシオガワの頭も包まれてほっかむりスタイルになっているではないか。
なんと2人とも避難小屋の前(しかも屋外)で気を失うように眠りこけてしまっていた。ワガママボディに鞭打つこと4日目、蓄えた皮下脂肪もいよいよ限界なのかも知れない。
今日、午前3時に出発した気がするけど・・・えっ?笑
しかしここは最低鞍部のため、白馬岳まではまだ3時間の登りが待っている。
こうしちゃいられないと慌てて出発。
100年の眠りも覚めるようなヒヤヒヤトラバースがあったり。
突然砂漠のような直射日光地獄に突入したりと、暑さ寒さにハムストリングの鈍痛が交互に襲い掛かる。
とにかく死ぬほど長く感じたけれど、気合だけで三国境までやって来ました。
白馬山頂まではあと1時間とのこと。
1時間。。
しかしガスの上へと抜けたら、そんな疲れも忘れるほどの空・山・海の織りなす絶景が!
そして絶景の向こうにはなんとジュンコ先生!
白馬山荘で働くジュンコ先生、ここまで降りてきて待っていてくれました。
しかしこの後すぐ仕事に戻らなくてはとの事だったので、瀕死の我々は力なく「後からゆっくり追いかけるから・・・」と軽い足取りの先生の背中を見送るしか出来なかった。
登ってきた道のりを振り返ると、なんだか目から汗が。
脳内BGMでロッキーのファイナルベルが鳴り響く中、ようやくこの日のゴールへ。
本日3座目、白馬岳山頂に到着。マジで長かった・・・・!
今朝はあんなに遠くに見えた剱岳が、今はこんなに近くでお出迎え。
大雪渓側に少し下ると、山小屋も見えてきた。
ようやくジュンコ先生の待つ白馬山荘へ着きました。
こちらは山小屋のお隣のレストラン「スカイレストラン白馬」
こちらでは期間限定でジュンコ先生の注いでくれる生ビールが頂けます。(しかも愛するサッポロ)
お仕事中の先生とは一旦お別れして、さらに下った裏のテン場へ。
テントの設営が済んだら夕飯作り。
今宵のアテは、保存の効く食材で生パスタのジェノベーゼ。
作り方は簡単。パスタソースは湯煎して、後の材料を「ワインに合う味になーれ・・・」と念じながら全部茹でます。
ソースを絡めてあっという間に完成。オリーブたっぷりで、白ワインとの相性もバッチリですよ。
オリーブは余ったらそのままおつまみに。私はあえて残して飲むのがいつものスタイルです。
かの激流でも生き延びたNO沈王・アツシオガワも、さすがに私のノンストップお酌を前にエアーマットに沈してしまったご様子。
というわけで私はお腹が満たされて寝てしまったゴ・・・CEOを残し、ワイン片手に稜線へ。
ショータイムを鑑賞する登山者たちがすでに丸山で歓声を上げていました。
霞に浮かぶ剱岳が幻想的。
白馬岳方面。ジュンコ先生もあちらからこの夕焼けを見てるかな。
この絶景を独り占めだなんてもったいないので、やはりアツシオガワに知らせなくては!とテントへ戻る。
へんじがない。ただのしかばねのようだ。
すっかり満足した私が深い眠りに落ちた後、夜中の12時ごろにまさかの復活を遂げたようで翌朝「天の川がすごかった」と写真を見せてくれました。
「ちょ、起こしてくださいよ〜」と言いかけたけれど、自分だけもっとすごい夕焼けを満喫しちゃったので飲み込む事にした。
第6章 終りなき疾走
翌朝、いよいよ下山の最終日。
日程は3日目ですが体力的には5日目の我々。ようやく下山か、という気持ちでいっぱいです。
目覚ましも掛けずに爆睡していた我々を起こしてくれたのは、ヘリの往来する音と爆風。
周りはいそいそと撤収を始めている中、全く急いでいない我々は優雅なモーニングタイムを過ごすべくレストランへ。
早立ちの登山者を一通り送り出した後のスカイプラザはとっても静か。
小屋の方達とお話しながらコーヒーを頂いて、のんびり朝の時間を過ごさせて頂きました。
BBGファンだという山荘スタッフの坂本くん。彼の撮影する白馬岳の写真は本当に見事で、絶景写真の本にも掲載されるくらいなんですよ〜!
ジュンコ先生、これからもお仕事頑張ってね!レストランを後にし、我々は再び白馬岳山頂へ向かいます。
山頂から東に見下ろした先に伸びている、いくつものピークがウネウネと連なるこの”白馬岳主稜”は残雪期のバリエーションルート。ここに雪が付いた景色は圧巻なんだろうな。
小蓮華山を経て蓮華温泉へと下るルートは、北アルプス北部ならではの雄大な風景を詰め込んだ気持ちのいい稜線歩き。
この絶景の代償として、初日に大事な帽子を失ってしまったアツシオガワ(前編参照)は、代替品の白馬バンダナを手に入れ早速装備。
シャツの感じと相まって玄人感が半端ない山のハマショー。
かつて全国百高山ツアーを成し遂げたハマショー、小蓮華山は2度目の凱旋ライブとのこと。
北アルプスの絶景を震わせライブ会場を後にしたハマショーとマネージャーの私は、熱気冷めやらぬままゴールの蓮華温泉へと下って行きます。
初めましての白馬大池と、白馬大池山荘が見えて来た。絵本の世界のような風景が眼下に広がる。
絵本のような山小屋前で現実的な大人の食べ物、山岳最強伝説の「カレーメシ」を食らいます。
終わりが見えないほど長いと思ったのに、いざゴールが近づいて来るとなんだか名残の惜しい青空。
「”天狗の奥庭” からの朝日岳、雪倉岳の展望が良い」との事。そしてここが天狗の奥庭。
・・・あれっ?
まさかここで今回3日間で初めてのガスワールドに案内されるとは思いもよりませんでした。
最後の最後に若干いつものBBGらしい景色となったものの、無事に後立山連峰北部ライブツアーを終えてアラブへ帰る石油王。
ようやくアラブ・・・じゃなく蓮華温泉へ帰って来ました。
3日前にここを出発したのが遥か昔に思えるほど、壮大な山旅。
そんな壮大な縦走を表すかのように、背汗の世界地図もまるで地中海から流れ出す北大西洋のごとく壮大な景色を描いている。
OMM LITEから5日間、お世話になったアラブ帰りの社長と記念撮影。
毎度お約束の楽しみなプシュも、長かったこの5日間を思い返すと胸が一杯で喉も通りま・・・
すでにもう空き缶でした。
五臓六腑に染み渡るとは、まさにこの事よ。
私、大人になったら絶対ビールと結婚するね。お父さん。
エピローグ
長くなりましたが、今回はこの山域の素晴らしさが伝わればと思いいつもより多めに、写真を中心にお送りして参りました。
見たことのない高山植物や、この山を愛する人々の温もりが感じられる木道。
そして北アルプスの名峰の数々や遠く日本海までを一望できる絶景が続く縦走路には、かの百高山を制覇したアツシオガワにとっても「こんなのはじめて〜」な出会いが沢山あったようです。
とにかく目に映るもの全てが新鮮で、初めて山に足を踏み入れた頃を思い出させるような感動を再び味わうことの出来た朝日岳、雪倉岳、そして白馬岳。
今回入山した蓮華温泉からのルートだけでなく、日本海へと抜ける栂海新道や富山県側の北又、そして白馬岳からの縦走。
どのルートから訪れたとしても長い道のりになるからこそ、そこで出会う風景はより貴重で魅力的なのではないでしょうか。
静かな大人の山歩きを楽しみたい方。
色とりどりのお花に心癒されたい疲れた方。
岩場は苦手だけど、北アルプスの稜線を眺めたい方。
朝日小屋の美味しい夕食が待ってます!
レースの後にはせめて1日でいいので、休息日を空けてから山に登りましょう。
滅多に風邪なんて引かないアツシオガワと私ですが、2人とも数日間オカマ声が治りませんでした。笑
そんなボロボロな体調であろうとも、知人には必ず「酒ヤケ?」と聞かれてしまう、日頃の行いが悪すぎる鬼ころしSがお送りしました。
押忍!