群雄割拠する日本のサコッシュ市場において、その使用フィールドを選ばないタフさで異彩を放ち続けるワンダーラストイクイップメントの「カンパ・ラ・パック」。長く支持されるのには理由があるってなそのサコッシュに、長年サコッシュをなんとなーく避けて通ってきたユーコンカワイがいざ挑戦。さあ、その魅力に堂々と飛び込んで行ってやろう!

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WANDERLUST EQUIPMENT「Khampa La Pack」

サコッシュへの偏見

本当に漠然とした思いだった。

今まで僕は、なぜか頑ななまでに「サコッシュ」というアイテムに手を出してこなかった。

何というかこう、まずその響きが何だか気恥ずかしく、そこから漂う「オサレで爽やかな人達しか使用してはならぬ感」に対して見事に臆していたからだ。

入り口がUL系じゃなかった人たちには、少なからず同じ思いの人間が結構いるはずだ。(と、勝手に思っている)

僕のような人間が「サコッシュが欲しい」と言うのは、高倉健が急に「表参道でパフェ食いたい」と言い出すのに等しい違和感だったのである。

 

しかーし!

何度も横目でチラチラとサコッシュ使ってる人を見ては、「便利そうだなあ」と羨ましく見ていたことを今こそ認めよう!

高倉健だって「黙って辛口一献飲んでましたが、実は前々からパフェが食いたかったんです。」ってな気分にもなろうってなもの。

かと言って、やっぱりいきなり最初っからいちごパフェのような「ザ・サコッシュ」的な王道系は気がひける。

ってことで、僕は「ハードな状況でも耐えうるタフなサコッシュが欲しい!」と、ハードボイルドな変わり種パフェ?を求めて旅に出たのである。

 

カンパラパックとの出会い

僕がサコッシュに求めた設定は以下の7つ。

  1. 生地が強靭であること
  2. どこか無骨さがあってシンプルであること
  3. あまりブラブラと揺れないこと
  4. 山頂アタック時に使えること
  5. 軽度な沢登り&源流釣行時にも使えること
  6. 厳冬期でも使えること
  7. なおかつ街で使っても違和感ないこと

 

飛んだわがままな高倉健である。

それはもはや、「パフェ食いながらマルボロのCMに出たい」って言ってるようなハード設定。

沢登り、源流釣行、厳冬期という言葉が踊ってる時点で、すでにサコッシュの枠を結構な勢いではみ出してしまっている。

とにかく「オールシーズン・オールシチュエーションで俺についてこい!」ってことである。

 

まあ正直、なきゃないでいいかなって感じで始めたこの無骨パフェ探し。

しかし、見事にこのハードな条件を「完破」してきたサコッシュが現れたのである。

それがこのワンダーラストイクイップメントの「カンパ・ラ・パック」なのである!

一般的なサコッシュの形状と大きく異なるこの独特な形。

メーカー曰く「サコッシュと同等の軽量性を保ちながら、ハイキングのみならず雪山やクライミング、高所登山、沢歩きなどのシチュエーションでもタフに扱えることをコンセプトに設計しました。」っていうズバリさ。

おまけに街でも違和感なく使えるこのデザイン。

何気にこの数年、こいつはその筋では「革新的なサコッシュ」として高評価を得続けてきている名品なのである。

 

こうして長年空席が続いてきた我がショルダーに、ついにサコッシュ(というかショルダーバッグ?まあこの際どっちでもいい)がかけられてしまったわけであります。

それではそんな無骨な「カンパラパック(なんちゅうか響きもいいよね)」をじっくりと見ていこう。

 

軽いのに強靭なボディ

まずサコッシュは軽量じゃなきゃ始まらない。

バックパックと違って荷重を全て肩の一点で受けるわけだから、軽けりゃ軽い方が負担が少ないのは当たり前。

そんな中、このカンパラパックの実測値はわずか「46g」

一般的にサコッシュとして有名な「山と道」のものが大体56gなので、構造がシンプルな分10g軽量になっている。

その上で使用されている生地が、軽量かつ強靭な210DのDyneema Grid Stop

引裂き強度の強いダイニーマ糸がグリッド状に配置され、表面は軽い防水処理を施したULを代表する生地だ。

 

なおこのカンパラパックは、他にも同様に軽量で強靭な「X-PAC」の生地でも展開している。

以下が2017年9月現在の、生地別カラーバリエーション。

こちらが210D Dyneema Grid Stopで、

こちらがX-PAC。

で、僕はちょうど同じ素材がショルダーハーネスに使われてるハイパーライトマウンテンギアのウィンドライダー2400に合わせてAll Blackをチョイス。

UL製品はメーカーが違っても割と同じ素材使ってる場合が多いから、こういう合わせができるのも面白い。(グレゴリーのポケットは別素材だけど見事に同じ模様だった)

で、これだけの軽く強度のある素材で、物が落ちないフルジップタイプなんで、岩場とかでガンガンにハードに使ってやっても大丈夫。

コンセプト通り豪快に沢登りでも使い倒したが、実に安心して使用することができた。

ちなみに完全防水じゃないから泳ぎ系はガンガン水は入るよ。この時は防水カメラ入れとして使用。

これはさすがに通常のサコッシュではあり得ない使い勝手だ。

さすがに中に硬い物が入っていて、そいつを岩とかにガンッてやると(実際にやっちまったー!)その一点に極小の穴が開くことはあるが、

そこから生地が引き裂かれてくるようなことはない。

 

そしてこの本体を支えるストラップの調整ヒモには、これまた軽くて強度のあるダイニーマスペクトラのガイラインが使用されている。

太さはわずか2mm程度なのに300kgの荷重に耐えられる強度があり、これ一本で全盛期の小錦(285kg)を支えられるってんだから凄まじい。

で、肩にかかる部分は、内側が肌触り良く少しクッション性のある素材が使用されていて、

外側はやたら「パリパリ」と音のする撥水性の良さげなナイロン生地だ。

このパリパリ音、使用時に気になるかなーって最初は思ったが、使用してて気になったことは一度もない。

 

適度な防水性

さっきも触れたが、カンパラパックは生地自体がPUコーティングされてて適度な防水性がある。

その生地を一枚布でシンプルに縫製してるので、より防水性は高い。

そしてジッパーも止水ジッパーになってるんで少々の雨や雪なら問題なく使用できる。

小雨程度ならわざわざバックパックの中に避難させる必要はない。
歩き系の沢登りなら少々の滝のしぶきを浴びても大丈夫。

ただもちろん完全防水ではないんで過信は禁物ね。

逆に泳ぎ系の沢の時は、濡れるのを割り切ってハウジングカメラ入れや水中眼鏡入れとかで使うと便利だ。

水抜き穴はないんで、必要な人は自分で穴開けて小さなハトメでも打っておくといいだろう。

 

体にフィットする形状

そしてこのカンパラパックの最大の長所は「体へのフィット感」。

通常のサコッシュだと、靴紐結ぶ時とか岩登りの際は屈むと「だりーん」ってなって邪魔になったりするが、こいつは「だりーん」となることはない。

何かと「すいませんしたぁ!」と頭を下げることの多い僕にも嬉しい仕様。

これなら嫁に謝るときも、サコッシュが腹につっかえることなく美しい土下座を決めることができる。

その秘密は、背面の形状が緩やかなカーブを維持していて、中に物を入れてもちゃんと体に背面が沿ってフィットするからだ。

1枚ものの生地なのに見事な立体的縫製パターン。

おかげでこんな感じで体に沿ってぴったりフィッツ。

絞り込みの調整も楽々。

状況に合わせて、ゆったりフィットで行くのかぴったりフィットで行くのかを簡単に調整できる。

岩場を登るような時も邪魔にならない。(急な所は物入れすぎたらさすがに邪魔よ)
しゃがんだり座ったりしても邪魔にならない。
ストラップを絞り込めば走ることだって!(当然それなりにバタつくけどね)

生地のタフさや防水性はもちろんいいんだが、このフィット感と邪魔にならない感じがこのカンパラパックを気に入った一番の要因だ。

ハイクだけの人は一般的なサコッシュのが楽な部分はあるかもしれないが、何かと体を動かしてしまうわんぱくな奴にはもってこいの仕様。

急登でグヘグヘ言ってすぐに前屈みになってしまう僕のような男にもぴったりなのだ。

外付けではなく、まるで自分の体にポケットがあるようなドラえもん気分なのである。

 

利便性と汎用性

で、そのフィット感が生むもう一つの副産物が「ジッパーの開けやすさ」。

まず位置的にも自然に手を持って行きやすい場所だし、

パックが体にフィットする分引っ掛かりができて、ジッパーを片手で簡単に開けることができるのだ。

これは地味だがとってもありがたい。

止水ジッパー自体が通常のものより硬いはずなのに、開閉へのストレスは一切感じさせない。

しかもダブルジッパーになってるので好きな箇所で開閉できるのもいい。

どんなにタフでフィット感が良くても肝心のアクセスが不便だと話にならないから、ここも重要な要素である。

 

あとはこの肩がけスタイルが一番フィット感はいいんだが、このようにストラップのバックルが外せるので、

腰に回してウエストポーチとしても使用可能だ。

これまたアーチ状のフォルムのおかげでスッキリフィット。

テン場で落ち着いた時とかは、このスタイルのが結構使い勝手が良かったりする。

あと、例えば胸にカメラバッグなどを着けてた場合は、このように使ってやるといいだろう。

もちろん足上げを妨げないように軽い行動食程度がベスト。

己撮リストの人にはすぐ出せる三脚入れとしても便利かもね。

もちろん逆に着ければヒップポーチにもなりますよ。

肩がけだけじゃない、この汎用性の広さもカンパラパックの魅力。

それは何も体だけに限ったことじゃなく、例えば雨蓋のないロールトップタイプのバックパックの拡張ストレージバッグとしてだって応用可能なのだ。

工夫次第でいろんな使い方ができるアイテムってほんと好きっす。







 

ちょうどいい容量

中の容量は4L。

スマホ入れてみるとこんな感じで、だいぶ余裕がある容量だ。

ちなみに中でぴろっと出てるのはキーロックね。

まあサコッシュはハイク中によく使うものを入れるもんなんでここに鍵入れることはあんまないけど、例えばコンパスだったり釣りの時は針外しとか糸切りバサミとか着けてもいいだろう。

 

で、話は戻ってこの4Lの容量だが、「だいたいどれくらいもんが入るんだろうなー」って人のためにいくつか例を挙げてみよう。

❶ 通常ハイク想定

スマホ、コンデジ、三脚、行動食、財布、地図あたり
バスの運賃や山小屋でのトイレのチップ代出す時とか、サコッシュに財布あるとほんと便利よね。

❷ 山頂アタックパック想定

例えば「山頂でうまいコーヒー飲もうぜ」ってな時はコーヒーセット一式が丸ごと入ったりもする。

コーヒーミルからアルコールストーブ、ソフトボトルの水までも。

❸ 源流釣行時想定

浄水ボトル+釣りに必要な物をこれだけ余裕で持ち運べる。

糸切りバサミを外のコードに括りつけとくのも便利だ。
釣行時は胸元からすぐに取り出せるからほんといい感じ。不意の大物のためにメジャーは忘れずに入れとくべし。

❹ 沢登り想定

浄水ボトル、遡行図、防水コンデジ、潜る時用の水中眼鏡とか。

❺ 雪山登山想定1

何かと着けたり外したりが多い雪山では、胸元にすぐアクセスできる物置場があるのはありがたい。

サングラスやゴーグル、オーバーグローブなど。

❻ 雪山登山想定2

個人的には500mlの山専ボトルが入ったのが大ヒット。

これでいちいちザック下ろさずにあったかいもんがすぐに飲めるぞ!長年の悩みだった…

 

どうでしょう?

だいたいどんな感じの容量感かわかってもらえました?

なんだったら一眼カメラもギリギリ入っちゃったりします。

ああ、なんて素敵なんでしょう、サコッシュという存在。

変に臆さずにもっと早く使ってりゃよかったぜ。

 

まとめ

ってことで、アクティブにオールシーズン、どこででもサコッシュ使いたいって人にはもってこいのカンパラパック。

辛口一献だった高倉健も、「男は黙ってカンパラパック!」と納得のご様子だ。

登山、ハイク、沢登り、雪山、サイクリング、野外フェスなどに広く活躍してくれることでしょう。

 

WONDERLUST EQUIPMENT(ワンダーラストイクイップメント)「Khampa La Pack(カンパ・ラ・パック)」

 

1個持ってりゃ山から街まで何かと便利。

サコッシュの響きに臆している、登山好きのお父さんへのプレゼントとしても最適です!

 

ちなみに近々他のサコッシュも集めて「サコッシュ特集」するかもです!

すっかりサコッシュ好きになっちゃったね。

 

それではまたお会いしましょう。

カンパ☆ラ☆バンバ カワイでした。