今回BBGは「充電式ヘッドライト」のタイトルマッチを開催する。
どちらが勝っても新チャンピオンの誕生となる世紀の一戦。
果たして勝つのはどちらか!?勝敗はつくのか!?それとも・・・。
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選手紹介
青コーナーよりアクティック選手の入場です!
In the Blue Corner アーークゥゥゥティックゥゥ!!(入場曲:carmina burana o fortuna)
フランスの名門ジム PETZLが送り込んできた「ハイパールーメンサイボーグ 」アクティック選手の登場だぁ!!
眼光鋭いこの表情!鍛え上げられたBODY!相当仕上がってますねー。
今大会に照準をあわせて相当スタミナ面を強化してきたようですよ。
うおっとぉ!!ガウンに隠されていたNEWバッテリーの「CORE」があらわになり観客がどよめいております!!
低温下に強く、短時間充電、そして軽量ぉ!!
充電式階級最有力の呼び声高い「アクティック」選手には要注目です!!
続きまして、赤コーナーより「リボルト」選手の入場です!
In the Red Corner リィィィィィヴォォォォルルルトッ!!(入場曲:We Will Rock You)
「剛力」リボルト選手の登場だぁ!!
リボルト選手も負けてません!超合金のような鋼の肉体!
おおっとぉ!!!コチラも見事に割れた腹筋に会場がどよめきます!
対決のルール
2R、フリーノックアウト制、アルカリ電池は禁止、各メーカーから発売されている充電バッテリーを使用。
頭突き、肘での攻撃は禁止。
さあ世紀の一戦、間もなくゴングです!
1R「スペック」
ペツル アクティック | BD リボルト | |
最大照射力 | 300lm | 175lm |
最小照射力 | 5lm | 40lm |
照射時間(MAX) | 2h30 | 6h |
照射時間(MIN) | 170h | 30h |
照射距離(MAX) | 90m | 68m |
照射距離(MIN) | 10m | 8m |
重量(バッテリー込) | 80.5g | 101g |
防水性 | IPX4 | IPX8 |
充電時間 | 約3時間 | 約5時間 |
ロック機能 | ☓ | ○ |
残量メーター | ☓ | ○ |
ヒートシンク | ☓ | ○ |
ホイッスル | ○ | ☓ |
リフレクタブル | ○ | ○ |
保証 | 5年 | 3年 |
値段(バッテリー込) | ¥8,208 | ¥7,776 |
まず注目したいのは「最大照射力」。
リボルトって300ルーメンじゃないの!?と思われた方も多くいると思うが、実は300ルーメンっていうのはアルカリ乾電池を使用した時の最大照射力で、充電池を使った時は175ルーメンと大幅に照射力が落ちてしまうのだ。ここ重要。
その点アクティックは「コア(充電池)」を使用しても「アルカリ乾電池」を使用しても最大照射力300ルーメンは変わらない。この点は相当なアドバンテージだ!
次に最小照射力だが、一見リボルトのほうが明るくていい!と思ってしまうが、一概にそうとも言えない。
というのも、山小屋やテント内で少し明かりがほしいという時に5ルーメンという弱さが非常に使い勝手がいい。
周りの人に迷惑をかけない光量だし、手元を照らすときも光が強すぎて見にくいということもない。
操作が面倒(長押しするだけだけど)な「赤色光モード(両アイテム装備)」に切り替えなくても弱い光が使えるのは便利。
アクティックはボタンを1回で弱→2回で中→3回で強→4回で消灯。これの繰り返しという操作が単純なのもいい。
リボルトは多機能な分、少々複雑だったりする。覚えてしまえばなんてことないが・・・。
MAX時の照射時間はリボルトの方が長いが、見ての通り300ルーメンと175ルーメンでは単純に比較はできない。
ちなみに、アクティックの中レベル(100ルーメン)の照射時間は9hなのと比べると大差はない気がする。
防水性はリボルトがIPX8で勝利。
IPXの規格は以下のとおりである。
簡単に言ってしまうとIPX4は生活防水、IPX8は完全防水である。
JIS規格 | 保護の程度 | IEC規格 | |
保護等級 | 種類 | ||
8 | 水中形 | 潜水状態での使用に対して保護されている | IPX8 |
7 | 防浸形 | 一時的(30分)に一定水深(1m)の条件に水没しても内部に浸水しない | IPX7 |
6 | 耐水形 | 強力な噴流水に対して保護されている | IPX6 |
5 | 防噴流形 | 噴流水に対して保護されている | IPX5 |
4 | 防まつ形 | 水の飛まつに対して保護されている | IPX4 |
3 | 防雨形 | 傾斜60°の範囲の散水に対して保護されている | IPX3 |
2 | 防滴2形 | 傾斜15°の範囲で落ちてくる水滴に対して保護されている | IPX2 |
1 | 防滴1形 | 垂直に落ちてくる水滴に対して保護されている | IPX1 |
0 | 無保護 | 特に保護されていない | IPX0 |
いままで使っていた旧ストームのように電池ボックスの周りにパッキンなどもなく不安に思うが、メーカーサイトにはしっかり
・電池ボックス内に水が浸入しても正常に作動するように設計されています。
・雨天使用後や水没後は電池ボックスを開け、電池を取り出し、十分に乾燥させてください。
と記載されているので、水には相当強い設計になっているようだ。
対するアクティックは、雨天時などの使用ぐらいでは大丈夫だろうが、沢登りやパックラフトなど水遊びガッツリの時は少々気を使うかもしれない。
充電時間はアクティックに軍配。
メーカー公表値はペツルのコアが約3時間、ブラックダイヤモンドが4〜5時間となっている。
実際にストップウォッチなどでは計測はしていないので正確な数値は言えないが、空の状態から充電してみると、コアはおよそ公表値通りな印象。ブラックダイヤモンドは5時間経ってもまだ充電ランプは消灯しなかった。
また機会があれば充電時間もしっかり計測してみたいと思うが、ブラックダイヤモンドの方が充電に時間がかかったことは明らかだった。
細かい点だが、ブラックダイヤモンドの充電中が点滅というのも少々気になった。真っ暗なテントや山小屋内でずっとチカチカ点滅(かなり弱い光ではあるが)してるのは鬱陶しい気がする。点灯→消灯でいいんじゃないかな??
両者ともMicro USB で充電可能だが、iPhoneユーザーの場合、Micro USB用ケーブルとiPhone用ライトニングケーブルを持っていかないといけないという煩わしさがあると思うが、最近は便利なケーブルも出ている。
このように2in1(Micro USB&ライトニング)のケーブルなら一本で済むのでオススメだ。
残念なのはアクティックに「ロック機能」と「残量メーター」がないところ。
残量メーターはまだしも、ロック機能は当然付いている機能だと思っていただけに残念だ。
気付いたらザックの中で点きっぱなしになってたってことを何度か経験した身としては、ロック機能は無駄なバッテリー消費を抑えるためにも各社マスト機能にしてほしい。
リボルトには「ヒートシンク」という低温時にバッテリーを温め、性能低下を防ぐ機能が付いている。対するペツルも「コア」自体が低温下でも高い性能を発揮してくれるようなので、寒くなってきたら是非比較してみたいと思う。
価格に関しては、リボルト(充電池3本込)¥7,776に対し、アクティックは本体¥4,986と別売りのコア¥3,240を足した¥8,208で比較している。
スペックと機能で比較すると両者一長一短ではあるが、実際の光量や使用感はどうなのか?このあとガチンコレビューする。
2Rフィールドテスト
実験方法は最大照射で①フル充電&新品乾電池時の照射力、②一時間後の照射力、③二時間後の照射力で比較した。
今回は比較対象を増やすため、ブラックダイヤモンドのNEW「スポット」と僕が愛用してきた旧「ストーム」も実験に加えた。
スポットは本体から充電こそ出来ないものの、リボルトとほぼ同スペックにも関わらず、値段が約3,000円も安くなった(定価¥4,752)注目の新商品だ。
今回は充電式ヘッドライトに絞っている為、最終ジャッジには含まれないが、充電式が不要な人には比較的リーズナブルでハイスペックなスポットは実にオススメな1台である。
バッテリーには新品のダイソーアルカリ乾電池を仕様。もちろんアクティックには「コア」、リボルトにはBDの充電池を使用しての計測となる。
ちなみに、スポットとストームを加えたのスペック比較表はコチラ
アクティック | リボルト | スポット | ストーム | |
最大照射力 | 300lm | 175lm | 300lm | 160lm |
最小照射力 | 5lm | 40lm | 40lm | 4lm |
照射時間(MAX) | 2h30 | 6h | 30h | 70h |
照射時間(MIN) | 170h | 30h | 175h | 200h |
照射距離(MAX) | 90m | 68m | 80m | 70m |
照射距離(MIN) | 10m | 8m | 16m | 3m |
重量(バッテリー込) | 80.5g | 101g | 90g | 117g |
防水性 | IPX4 | IPX8 | IPX8 | IPX7 |
充電時間 | 約3時間 | 約5時間 |
思いのほかスペック上では旧ストームもいい線いってるやん。
照射時間が長いのは、この中で唯一電池を単4電池4本仕様するからかな?(他は3本)
実験場所は真っ暗な林の中で行った。
ヘッドライトを付けないと真っ暗で実に怖い・・・。
さあ、待ったなしのガチンコバーリトゥード!Gong!
フル充電&新品アルカリ乾電池使用時
まず第一印象は旧ストーム以外、めっちゃ明るい!!ってこと。
公表値でいけばアクティックとスポットが300lm、リボルトが175lmだが、正直肉眼では大きな差を感じることなく、3アイテムともビックリするぐらい明るい!
比べてしまうと見劣りするが、ストームでも十分明るい。
スペック上では照射距離No.1はアクティックの90mだが、印象的にはリボルトとスポットのレーザービーム感がすごくて、遠くまで届いている感じがする。
コレだけ明るければナイトハイクやランでも暗くて足元が見にくいなんてことはまずない。
だが、この小手先だけの明るさで判断するほどBBGは甘くない。
1時間経過後
ほら、言わんこっちゃない。
明らかにフル充電時に比べると明るさが落ちた。
特にリボルトとストームはガクンと光量が落ちた。
アクティックとスポットは落ちたとは言え、明るさは十分確保されている。
肉眼で一番明るく感じたのはアクティックだった。
2時間経過後
肉眼では写真よりももう少し明るく感じるが、それでも各アイテムともスタート時と比べて光量の落ちがハンパない。
全然歩ける光量は確保しているが、最初の明るさを経験していると暗っ!と思ってしまう。
ここにきてスポットがガクっと落ちたのが印象的だった。アルカリ乾電池特有の性能低下の早さが浮き彫りになった形だ。
スポットのスペック表を見てもらうと分かるが、MAX時の照射時間が30hとアクティックやリボルトの比にならない数値を叩き出しているが、実はここにも落とし穴がある。
アルカリ乾電池は消灯するまで最小照射力ほどの明るさが数十時間
これはBDだけの特徴ではなく、ペツルも同じである。
スペックだけでを鵜呑みにするとアレ?ってことになるから注意したい。
1時間経過時ではアクティックの明るさが頭ひとつ出てた感があったが、ここにきてアクティックとリボルトに大きな差は見られなくなった。
最終ジャッジ
勝敗は判定へともつれ込んだ。
正直ジャッジを下すのは難しい対決ではあったが、今回の対決はペツル アクティックの勝ちとしたい。
まず、勝敗の決め手となったのは開始1時間経過時の光量の低下ぐあい。
ここは明らかにアクティックとリボルトで差がハッキリとした。
ヘッドライトを使用するよくあるシチュエーションとして、ご来光を見るために夜明け前から行動する。
ご来光ポイントまで2時間以上歩くことはまれで、1時間以内での行動がほとんどと想定した場合、開始から1時間での光量ダウンはマイナスポイントと言わざるをえない。
また、一見300ルーメンと思える表記も充電池使用時は175ルーメンまで落ちてしまうのは、勘違いして買ってしまう人もいると思うので、マイナスポイントとしたい。(パッケージの裏には表記されている)
ただ、光量が落ちたところで十分行動に支障のない明るさはキープしている。
が、せっかく明るいヘッドライトを購入してウキウキしたのに、すぐに光量が落ちてしまっては悲しい。
次に充電時間。
リボルトが充電に5時間以上もかかってしまうのはマイナスポイント。
行きの車の中で、就寝時など、携帯電話も充電したいのにモバイルバッテリーなどを長時間に渡って占領するのはいただけない。
ポートが2つあるモバイルバッテリーを使えばええやん。という声も聞こえてきたが、単純に充電時間が長すぎるというのが△。
あとねー、リボルト異様に電池が取りづらい・・・爪もげるって!(←おおげさ)
ただ、防水性、ロック機能、残量メーター、値段が安いなどリボルトが勝っている点も多くあるので、アクティック一択!とは言えないのも事実である。
第三の刺客
リング上でお互いの健闘を称え合う両者。一歩も譲らいないナイスファイトで幕を閉じるかと思われたその時、突然会場に「Wild Boys」が鳴り響いた!
In the Red Corner「アークーティッッックゥゥゥコア」!!!
なんと今回の試合には間に合わなかったが、発売ホヤホヤの「アクティック コア」が乱入してきた!
手元の資料によりますと、今回の勝者「アクティック」の双子の兄で、なんと戦闘能力はアクティックの上をいくというではありませんか!!
外見は同じだが、なんと心臓部でもある「コア」のために回路設計を最適化したというまさに戦慄のハイパールーメンサイボーグ!
我々はアクティックコアの貴重なスペック資料を入手した!
アクティック | アクティック コア | |
最大照射力 | 300lm | 350lm |
最小照射力 | 5lm | 5lm |
照射時間(MAX) | 2h30 | 2h |
照射時間(MIN) | 170h | 160h |
照射距離(MAX) | 90m | 95m |
照射距離(MIN) | 10m | 7m |
重量(バッテリー込) | 80.5g | 82g |
防水性 | IPX4 | IPX4 |
充電時間 | 約3時間 | 約3時間 |
ロック機能 | ☓ | ☓ |
残量メーター | ☓ | ☓ |
ヒートシンク | ☓ | ☓ |
ホイッスル | ○ | ○ |
リフレクタブル | ○ | ○ |
保証 | 5年 | 5年 |
値段(バッテリー込) | ¥8,208 | ¥6,372 |
特筆すべきはまずMAX照射が350ルーメンにパワーアップ!
しかし、50ルーメンの差は肉眼で感じるのは難しいかもしれない。
それ以外の数値に大きな差はないが、特徴として「コンスタントライティング機能」と「リザーブモード」を備えているところに注目したい!
「コンスタントライティング機能」とは、明るさを一定に保つ機能であり、バッテリーの残量により暗くなることがないというのだ!!
さらに凄いのは「リザーブモード」!バッテリーの残量が低下すると点滅して知らせてくれ、自動的に5ルーメンまで落とし、3時間稼働してくれるという安心モード!
リザーブモードがあればいきなり切れて焦るってこともなくなる。
さらに驚きなのは値段!なんとコアとセットになって¥6,372えーん。
トーカ堂の北社長もビックリ!だってコアに最適化され、多機能になったにも関わらずアクティックと比べて¥1,836も安いなんて!!
充電式ヘッドライトの本命はまさかの「アクティック コア」かもしれない・・・。
商品名(定価) | 最安値 | ||
ペツル アクティック | |||
¥4,986 | ¥4,023 | ¥4,420 | |
ペツル アクティックコア | |||
¥6,372 | ¥5,734 | ¥5,734 | |
Black Diamond リボルト | |||
¥7,776 | ¥7,387 | ¥7,776 | |
Black Diamond スポット | |||
¥4,752 | ¥4,514 | ¥4,752 | |
ペツル コア | |||
¥3,240 | ¥2,770 | ¥3,240 |
まとめ
スマートフォンの普及に伴って急成長しているモバイルバッテリー。
一昔前では考えられない大容量がコンパクトかつリーズナブルになり、登山などでも必需品となってきた。
そんなモバイルバッテリーが使える充電式ヘッドライトは、エコであり残量を気にすることなく使用できるため、今後中心になっていくことは間違いないだろう。
しかしながら、各メーカーにはアルカリ電池と充電池を使用した場合の最大照射力や最大照射時間の違い、照射力と照射時間の推移グラフをしっかり開示していただきたい。
ヘッドライトは緊急時に使われるケースも多いアイテムのため、自動車の燃費表記みたいなことはやめてほしいと思う。
ユーザーが機器の特徴をよく理解することで、安全へと繋がるはずだ。