キン肉マンは一人でも強い。しかし名参謀のミートくんがセコンドにつけばさらに強くなる。そして、実はウッドストーブ界にもそんな「1+1=10」となる名コンビが存在しているのをご存知だろうか?
彼らの名は「マッスルファイヤーブラザーズ」。今回はそんな二人のアツい超人をご紹介していこうと思う。ガス缶?アルコール?固形燃料?ノンノン。燃料なんざ現場に落ちている! 行くぞ! 3・2・1・FIRE!

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VSラーメンマン戦

吉貝アナ「みなさんこんにちは。これより第50回超人オリンピック決勝戦の模様を、ここ川原スタジアムよりお送りしてまいります。解説はアデランスの中野さんです。」

中野さん「きみこー!観てるかーい!」

吉貝アナ「さあ、早速選手の入場です。赤コーナーより初優勝を狙うラーメンマンが登場です。」

中野さん「ウォーズマンに頭をえぐられて以来の出場で気合が入ってますね。」

吉貝アナ「そして青コーナーより、ヘキサゴン選手の入場です!」

中野さん「え?ペンタゴン?」

吉貝アナ「いえ、ヘキサゴンです。正式名は“チタニウム ヘキサゴン ウッドストーブ”です。さあ、マントを取って、早速試合開始のゴングです!」

カーーンッ!

吉貝アナ「中野さん、ヘキサゴンは随分黒光りして強そうですがとても静かな立ち上がりです。これはどういうことですか?」

中野さん「彼は普段は大人しいんですよ。そんな彼にいつも闘争心を注入するのがセコンドの役割です。」

吉貝アナ「あーーっと、ここでセコンドの男が立ち上がったぞ!」

中野さん「彼がいつもヘキサゴン選手に闘魂注入する“ヒートくん”こと“アルティメットファイヤースターター”です。」

吉貝アナ「あーーっと、そのヒートくん!頭が取れて中から黒い棒を出してきた!」

吉貝アナ「そしてそれを見たリング上のヘキサゴン選手。体をガッパリと開けてヒートくんの方を向いている!」

吉貝アナ「随分と乾ききったやる気のない体内ですね。中野さん、あの白いフサフサのものは?」

中野さん「あれは薬局とかで売ってるコットン球にワセリンを染み込ませた“ワセリンティンダー(火口)”ですね。ヘキサゴン選手の闘争心の源であリます。」

吉貝アナ「あーーっと!そのワセリンティンダーめがけて、ヒートくんが自分の体と先ほどの黒い棒をこすって火花を撒き散らし始めたぁ!」

吉貝アナ「引火!引火しました!ワセリンティンダーが燃え上がり、あっという間にヘキサゴン選手の闘争心が燃え上がったッー!」

中野さん「こうなるとこの選手はもう手に負えないですよ!ぐんぐん燃え上がるから、細い枝から徐々に太い枝を投入していけばあっという間に安定期です!そして…」

テリーマン「そういえば聞いたことがある。」

吉貝アナ「あれ?テリーマンさん。いつからここに?」

テリーマン「台座が地面から少し離れているが故に地面へのダメージを極力抑えながらも、下部の隙間から酸素を取り入れてやたら効率よく燃え上がる超人がいると…。そしてそれを献身的にサポートする名セコンドがいることも。」

吉貝アナ「なるほど、さすが物知りテリーマンさんですね。」

中野さん「うえ〜ん、きみこ〜。またテリーマンが解説横取りして余計な博識っぷりを披露してるよ〜。」

吉貝アナ「さあ、闘争心に火がついたヘキサゴンは、まるでブラックホールのようにどんどん木を吸い込んで行って安定した試合運びです。」

吉貝アナ「ああっと、しかし若干木が前日の雨で湿っていたのか、今一つ炎に勢いがないぞ。」

中野さん「さすがは百戦錬磨のラーメンマン。事前にアイアン・スエットで鉄の汗を流して木を湿らせたんですねえ。」

吉貝アナ「あーーっと!ここで再びセコンドのヒートくんが乱入!今度はめちゃめちゃ体が伸びているぞ!」

中野さん「ついに来ますよ!彼はただの“火付け役”だけでは終わりません!実は“火吹き役”も兼ねてるのです!」

吉貝アナ「どわあーーーっとぉ!ヒートくんが美木良介ばりのロングブレスを吹きかけると、消えかけていた炎が一気に大炎上だぁぁ!」

中野さん「これが火事場のくそ力です!」

吉貝アナ「来たー!ここで一気に逆転のビッグファイヤー!ラスト5秒の逆転ファイターだー!」

与作さん「言葉の意味はわからんが、何やらすごい炎ぜよ!!」

吉貝アナ「さあ!カウントが始まったー!3..2..1….」

 

カンカンカンカーーン!!

吉貝アナ「試合時間わずか3分!逆転の火事場のくそ力にて、ラーメンマンが美味しく出来上がってしまったー!」

中野さん「素晴らしい!これはヘキサゴン選手とセコンドのヒートくんの二人で勝ち取った勝利ですよ。」

テリーマン「フッ、マッスルファイヤーブラザーズか…。ナイスなファイヤードッキングを見せてもらったぜ。」

 

吉貝アナ「それでは超人オリンピック川原会場よりお別れです。」

中野さん「これ、ちゃんと伝わってますかね?キン肉マン世代じゃないと訳わかんないんじゃ…」

吉貝アナ「そこはこれからちゃんと博識のテリーマンさんが解説してくれるでしょう。それではみなさん、さようなら。」







 

テリーマンの解説

それではここからは私テリーマンがちゃんと解説していこう。

なぜならこの二人の超人は、共に私と同じアメリカ生まれの超人だからだ。

彼らの所属するメーカーの名は「VARGO(バーゴ)」

2002年にブライアン・バーゴっていう超人が設立させたメーカーで、やたら軽量チタン製品にこだわるU.S.ULメーカーの雄である。

 

では早速、こちらが「チタニウム・ヘキサゴン・ウッドストーブ」だ。

本体重量が120gで、ケースを入れると147g。

軽い上にぺしゃんこになるから、非常に携行に便利な超人だ。

で、本体をパラパラと展開すると、このように車に轢かれた芋虫のような状態になる。

そこからの組み立ては超簡単で、6角形の台座に沿ってカチャカチャと起こしていく。

2箇所に穴が空いているから、そこに金具を差し込み、

完成だ。

素晴らしく簡単な上に、このなんとも言えない「変形ロボを作ってる感」が男心をくすぐってやまないだろう?

しかもこの使うほどに渋みを増していく、チタン独特の色の変化も無骨な感じが出て愛着もひとしおだ。

で、入口部分はカパッと開けられるようになっていて、ここから木を継ぎ足していくことができる。

扉は、上に鍋を乗せた時に干渉しないよう、何気に高さが低いという小粋な配慮もなされている。

ちなみに、300ml容量のシェラカップでもしっかり乗ってくれるから、小さな炎でコーヒーとかが冷めないように保温しながら飲むことも可能だ。

見て分かる通り、中の台座が少し浮いていて、下部から取り入れた酸素が無数の穴から煙突効果で上昇して燃焼効率を上げている仕組みだ。

それによって地面へのダメージも抑えられるが、さすがにこんな感じで芝生の上で使っちゃダメだぞ(これは擬似芝生だけど)。

 

このチタニウム・ヘキサゴン・ウッドストーブが登場してからしばらく経つが、正直この分野では完全に「完成系」としてすっかり定着しているVARGOの代表的アイテム。

昔スイス軍のクソ重いウッドストーブ(扉もなかった)を使っていた私からしたら、ほんと感動ものの逸品なのである。

VARGO「チタニウム・ヘキサゴン・ウッドストーブ」

ちなみにこのウッドストーブは心踊る拡張性を持っており、別売りの「チタニウムコンバーターストーブ」を設置すれば、風防兼五徳としても使えるのだ。

このチタニウムコンバーターストーブは裏返せば固形燃料用台座にもなり、このセット持ってれば木でもアルコールでも固形燃料でもストーブとして使えてしまう。

動画:vargo official video

アルコールストーブ単体で見るとジャパンブランドの方が優秀な感があるが(RSRやFREELIGHTなど)、防風と煙突効果の相乗効果を考えると非常に優秀な組み合わせと言えるのではないだろうか。

VARGO「チタニウムコンバーターストーブ」

 

そして、そんな炎のファイター「ヘキサゴン」を、より強力にする名セコンド。

「究極の着火野郎」と名付けられた、同じくVARGOの「アルティメットファイヤースターター」である。

はっきり言ってなくて困るアイテムではないが、あればパワーアップ間違いなしの男心くすぐるアイテム。

サイズは収納時に152mmで重量53g。

別になくてもいいアイテム「53g」を、「ロマンの重さ」と割り切って迷わず持って行けるかどうかが男の力量の見せ所だ。

でも普段ファイヤースターターを携行している人であれば、「少しの重量アップで火吹き棒にもなる」と考えれば十分アリな選択肢だろう。

 

で、先っちょの黒いやつをクルクルすれば中からマグネシウム芯棒が出てきて、

それを本体に付いたゲジゲジ部分とコスコスして、勢いよくシュバっとやると火花が散ります。

火口となるものに火をつけ、燃えやすい落ち葉から徐々に小中大の枝へと火を移していけば着火完了。

しかし前日に雨が降ってたり朝露で木が湿っていたりすると、いつまでもくすぶって炎が出ない時がままあります。

そんな時にこの火吹き棒スタイルが効果を発揮します。

収納時152mmだったものが、伸ばせば464mm。

これを径が太い方から息を長く吹き込めば、くすぶっている木や、熾火状態になった炭も再び闘争心むき出しのビッグファイヤーを巻き起こします。

百聞は一見にしかず、とりあえず公式ムービー見てもらえば一発だ。

動画:vargo official video

まあ実際あそこまでハードに濡らすとあんなに簡単に着火すんのは難しいんだが、それでもあるとないとじゃえらい違い。

今までは平らなものをうちわがわりにしてたり、酸欠寸前になるまで息を吹いていたから大変だったのだ。

何より「火吹き棒で火を熾している」というその行為自体がロマンがあって個人的にはたまらない。

ただ途中で風向きが変わると、このようにインディアンの喫煙風景のような状態になって自分が燻製になってしまうから注意されたし。

まるでピラミッドリングでミスターカーメンがブロッケンjrの血を吸おうとしてる時に、モンゴルマンの煙幕にやられている姿のようですね。

さすがにこの例えはマニアックすぎですか?

とりあえずこいつは着火界のメシア(救世主)なんで、一つ持っておくと良いだろう。

 

VARGOの「アルティメットファイヤースターター」

おまけ

ついでにテリーマンの余計な小ネタコーナーだ。

一応火口(ワセリンティンダー)の作り方も説明しておこう。

 

まず用意するのは、共に薬局で売ってるワセリンとコットン球だ。

ここに出てるワセリンはランニングの乳首擦れ用にジェルタイプのものだが、固形のものでも構わない。

で、ワセリンを適量(多ければ火がつきにくけど長持ち、少量なら長持ちしないけど火がつきやすい)液状になるまで溶かします。

で、あとはコットン球に浸して粗熱が取れれば完成であります。

簡単でしょ?

これを火口として使う際は、こんな感じでほぐしてから使ってね。

さあ、みんなも今すぐこの火口とVARGOファイヤーマッスルブラザーズを携え、フィールドという名のリングに上がろう!

川原がフィールドのパドラーや沢登ラー、低山ロングハイカーなどにはもってこいのアイテムだ。

山で使うのは気がひけるって人は、下にカーボンフェルトを敷いて使うといいだろう。

ガスストーブが便利なのは百も承知の上、「アウトドアとは不便を楽しむ世界だ」というロマンな奴らにぜひ踏み込んで欲しい世界。

もちろん山で使う際は山火事には細心の注意を払ってね。

 

この世界に入ると、もはや山頂とかどうでもよくなって、山腹や沢を彷徨うだけで十分心が満たされてしまうから不思議だ。

時には山頂への勝負を捨て、新幹線を止めて子犬を救い出すくらいの余裕が男には必要だ。

わかったかい?ボーイ。

 

それではまたお会いしましょう。

テリーマンでした。