2012年に掲げたこの目標をついに達成する日がやってきた。
「日本100高山制覇」

ユーコンに「サポートタイツの下に下着は履くんですか?」なんて童貞丸出し質問をしていた頃から早5年。
今では男塾一号生筆頭「歩荷鬼六」として逆にユーコンを追い込むまでに成長した。
そんな男の南アルプスで繰り広げられた最終決戦「狂気の祭典 辮締旋風大車輪(べんていせんぷうだいしゃりん)」の巻(前編)
桜花剣乱~咲かせて魅せます男の魂~

山行計画

今回のルートはこうだ。

奈良田を起点とする周回ルート、その名も「狂気の祭典 辮締旋風大車輪」

下山した時には本物の「漢」となっていること間違い無しの男塾名物「超論愚廃苦」である。

このルート上に100高山制覇へ残された7つの山を一気に落としてケリをつける。

  1. 笹山(北峰)2,733m
  2. 大籠岳 2,767m
  3. 広河内岳 2,895m
  4. 安倍荒倉岳 2,692m
  5. 新蛇抜山 2,667m
  6. 北荒川岳 2,697m
  7. 蝙蝠岳 2,865m

DAY1

いよいよ3泊4日の長い旅がはじまる。

衣・食・住・夢・希望・下心をザックにパンパンに詰めこみ、総重量はちょうど20kg。

歩荷鬼六と恐れられた私も久々の20kgオーバーに武者震いが止まらない。

最後の勇姿をカメラに収めるため、今回こそは面倒くさがらずに己撮りを!とスタートからしっかり三脚をセットし、リモコンを押すもカメラは無反応・・・。

あれ?なんで?あれ??

5分後、静かな奈良田の朝に響き渡った

FAX!

ついこないだまで普通に使えてたじゃない!!

己撮りに不可欠なリモコンが最後の勇姿を収めようって時にまさかの電池切れ・・・。

FAX!!

気持ちよくスタートさせてよー。

ユーコン直伝スタイル「シャッター押して撮影ポイントまで鬼の形相ダッシュ四日間」が決定した瞬間だった。

この時はまだユーコンの呪いが続くことを知る由もない。

AM 7:00

気を取り直して、まずは1つ目の100高山「笹山」を目指す。

通称「ダイレクト尾根」と呼ばれる展望なしの急登6時間一本勝負!

南アらしいチャッピーな雰囲気ゼロの修羅の道がはじまる。

 

 

いったいどれほどの時間が経ったのだろうか。

そして、私はいつシャワーを浴びたのだろうか?

全身がびしょ濡れである。

並の塾生ならとっくに脱水症状で倒れていてもおかしくないであろう汗の量。

「汗かきびちゃ夫」の前ではハイテク吸湿速乾素材であってもご覧の通りずぶ濡れである。

私の場合、特にシモの汗が尋常ではない。

この日は速乾下着ではなく、ムーニーマンが必要であった。

あまりの急登に私は四十手前にして失禁してしまったのだろうか?

そう思いたくなるほどのパンツビチョ濡れ状態。

今日がガールの聖地「燕岳」や「北八ヶ岳」じゃなくて本当に良かった。

こんな状態で合戦尾根をうろついていたら、山岳警備隊にわいせつ容疑で強制連行されるところである。

 

耐えられなくなった私は、異常な行動をとってしまう。

彼氏とデートなう♥に使っていいよ。

びしょ濡れの下着を絞ってリセットする暴挙に出たのである。

やらなくていいのにしっかりセルフタイマーで己撮りまでしている。

この状態でシャッター音に耳を済ませているという鬼畜ぶり。

ユーコンのようにすぐケツをすぐ出す安い男にはなりたくないと常々思っていたはずが、展望ゼロの急登に魔が差してしまったようだ。

しかも、先日ユーザーさんからコメントで「卑猥で下品で嫌な記事・・・」とユーコンがお叱りを受けたばかりじゃないか!

もう脱ぎは最後にしよう・・・女性ユーザー離れが加速してしまう・・・。卑猥で下品でごめんなさい・・・。

 

その後も展望ゼロ急登パラダイスは永遠に続き・・・

 

PM12:20

ついに笹山に到着。

きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。死んでるんだぜ。

先日登った北アルプス三大急登「ブナ立尾根」が可愛く思えるほどのリアル男塾。

初日からこんなグロッキーで私は生きて帰れるのだろうか?

ここで昼飯と昼寝をかまして、やっと少し回復。

さあ、まだ先は長い。

今日の幕営地「大籠岳(おおこもりだけ)」までコースタイムで約3時間弱。

破線の迷いやすいルートみたいだから慎重に進もう。

ここからはハイライトで

背丈ほどあるハイマツに覆い隠された登山道。これは迷う。
背の高い南アのハイマツ漕ぎは川口浩探検隊気分を味わえる。
天気は良くないが、遠くに富士山も確認できる。
小さなケルンを目印に歩く。ガスってたら確かに迷いやすいかも。
二座目の白河内岳ピークハント!

なだらかな稜線歩き。天気がいいと気持ちいいんだろうなー。

PM 3:25

今日の目的地「大籠岳」に到着!

あー、疲れた。

さっさとテント張ってゆっくりしよう。

頂上近くにいい幕営地を発見!

軽量化のためにフライクリークにしようか迷ったが、男塾には4シーズンテントだろ!

ってことでチヌークを担いできたわんぱくぶり。

稜線から若干下がったところに張れたので風も比較的穏やかで今夜はよく寝れそうだ。

雄大な景色を眺めているように思えるが、ハイマツしか見えていない。

当然近くに小屋もないから、ビール一本は担ぎ上げた。

一本しかないから味わっていただこう。

 

 

 

 

ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!

FAX!FAX!FAX!ファァァァックス!!!

静かな白峰南嶺に響き渡る叫び声。

ユーコンの呪いPart2

なんとよそ見をしていた僅かなスキにビールが倒れ、2/3をテントにぶちまけてしまったのである!!!

ファァァァックス!!!FAX!FAX!FAX!!!!!

ガッデム!ガッデム!ガーーッデム!!!

楽しみに、楽しみにしていたプレモルがぁぁぁ!!!!

テントの中がちょービールくせーし!!!!

我を忘れてテント内で暴れる37歳。

ビールをこぼしたぐらいでみっともない男である。

怒りにプルプル震えてきた私は、もうふて寝するしかなかった。

ユーコンさまの祟りじゃぁ〜

だが、この「プレモルの悲劇」からの負の連鎖はとどまることを知らなかった。

夕飯を食べている頃、風が強くなってきたので、ペグとガイラインをしっかり張り直そうと思っていたのだが、ふて寝をかました結果夜中にテントが大変なことになってしまった。

強風でペグが抜け、テントが強風で大暴れしだしたのである。

ペグを打ち直しに外へ出た瞬間にテントがグッバイするんじゃないかと思い、どうすることも出来ず、テントに往復ビンタされ続けるという男塾な夜を過ごしてしまった。







DAY2

壮絶な夜だった・・・。

テントが倒壊するんじゃとビクビクして寝れなかった。

と並の塾生なら言うところだが、一号生筆頭の私は朝まで爆睡し、睡眠十分で朝を迎えることが出来た。

この程度の風で寝られないようでは筆頭は務まらない。

テントから出ると雲は多いものの、富士山と御来光を眺めることができた。

こんな天気の中でも御来光をしっかり眺められるあたりは、「ホワイティ・カワイ」と大きな差を感じる笑

 

AM6:30

今日は「熊ノ平」までコースタイムで約6時間半の比較的のんびりハイク。

農鳥オヤジ元気にしてるかなー?怒られるかなー?

いざ、DAY2 スタート!

 

AM 7:20

さくっと四座目の「広河内岳」をピークハント。

午前中は天気もよさそうだ。

白峰南嶺を振り返る。

これ以上、ユーコンの呪いで旅をめちゃくちゃにされないためにも、「鎮魂の儀式」を執り行った。

ユーコン・ホワイティ・カワイ 安らかに・・・カーン

ユーコンの呪いが解けたのか、天気がすこぶる良くなってきた。

AM 8:40

「農鳥岳」ピークハント

以前に登ったことがあるのでカウントはされないが、前回登った時は真っ白で何も見えなかったので、農鳥からの景色は新鮮である。

 

さあ、今日のメインイベント、農鳥オヤジに会いに行こう。

前回は気持ち悪いぐらい優しくて拍子抜けしてしまったので、今回は少しばかり怒られたい気もする。

AM 10:10

農鳥小屋到着

おやっさんは小屋の中で電話をしている。

どうやら熊ノ平から農鳥小屋に向かおうとしている年配女性が行方不明かもしれないという内容だった。

電話が終わるのを見計らってコーラを購入する際に「何かあったんですか?」と話しかけると

「ミッシング!」とでっかい声で怒鳴られた。

「おやっさん、英語まで喋れんのかよー」とますます好きになってしまった。

ちなみに、行方不明かと思われた年配の女性は途中でちゃんとすれ違いました。

ゆっくりではありましたが、しっかりしていたので問題なく小屋に到着できたことでしょう。

ただ、少し言葉を交わした際に「足に障害があって思うように歩けない」と話してたおばあちゃん。

みんなも心配してたから、無理はしないでねー。

 

おやっさんに別れを告げ、今日の宿泊地「熊ノ平」へ向かう。

爽やかなトラバース道も昨晩こぼしたビールをたっぷり吸ったカメラストラップがビール臭くて実に不愉快である。

ビール臭いのに耐えられなくなり、途中の水場で思いっきり水浴び。

最高に気持E。

うぎゃあぁぁぁぁぁ!!

水浴びしてるスキにハエたかりすぎー!!!!

アツシ汁をたっぷり吸い込んだウエストベルトはさぞ美味しかろうよ。

さあ、腹減ったし先を急ごう。

とらえたぜ「熊ノ平」!

PM 12:30

熊ノ平到着

昼飯担いでるけど、作るのめんどくさくなっちゃったからカレーをいただく。

家のカレーって感じでうまし!

この後、ひたすらテントでゴロゴロ。

携帯も入らないから暇をもてあます。

景色でも堪能しますか。

5秒で飽きた。

こういう時のために一冊ぐらい本持ってきときゃよかったなー。

今日こそはハプニングなく朝が迎えられますように・・・。

その後、2日分の足汗をたっぷり吸ったスポルティバ TX4のおかげで、ビールもぶちまけることなく、静かな夜を過ごすことができた。

100高山制覇まで残り4座。

歩荷鬼六は無事に完登できるのか!?はたまたユーコンの呪いによって夢打ち砕かれるのか!?

後編につづく