男どもよく聞けいっ!2月14日はバレンタインなどと言う恋人同士のチャッピーなイベントではない!!そんな浮かれポンチは血祭りにしてくれるわッ!!というわけで一号生筆頭アツシオガワによって男塾名物「罵恋汰威運(バレンタイン)」の舞台となったのは日本アルプス三大急登、甲斐駒ヶ岳”黒戸尾根”。日本屈指の急登にドSコンビのおかわりが響き渡る!今回は男塾新入生の私、鬼ころしSがお送りします。

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男塾一合目 〜大吟醸〜

これは古来より女人禁制とされていた「男塾」に、一人の酔っぱら…

か弱い山ガールが足を踏み入れる物語である。

女はアルプス大縦走の次くらいに大好物である夜の飲み屋街の縦走中だった。

いつものように生中ジョッキを片手に”山と高原地図”を眺めていたせいで、地図にフライドポテトの油をベタベタと付けながらぼやいていた。

「ウィィ。チャッピーだか柿ピーだか知んないけど、ユーコンさんの破れたハードシェルの尻の穴を眺めながらタラタラ登るのなんてもうゴメンだわ。ヒック。」

ヒーヒー登ってクッタクタに疲れてから、野郎の尻じゃなくて爽やかなアルプスの青空を眺めながらビール飲みたいのよ。

「そうだ。自分を追い込みたい時こそ、今まで憧れていた男塾の門を叩き割る時だわ。

男塾一号生筆頭、泣く子がさらに号泣するというその名も ”歩荷鬼六” アツシオガワ先輩の所へ行こうっと。」

ーーー岐阜県某所 BBGオフィスーーー

鬼ころしS

押忍、先輩。私もっと自分を追い込んでヒーヒー言わされる山に行きたいです!ユーコンおじいちゃんの介護に疲れたんです!

アツシオガワ

なにぃ?ヒーヒー言いたいだと?ふんっ、生意気な小娘だ。ちょうどいい、新入塾生歓迎会を開いてやる。

鬼ころしS

し、新入塾生歓迎パーリナイ♡?

アツシオガワ

男塾名物「厳冬期甲斐駒ケ岳黒戸尾根直進行軍急登乱世留漢藝会」を執り行う!!

鬼ころしS

か、甲斐駒ヶ岳…く、黒戸尾根…ですって?!

 

そう。あれは忘れもしない一年前、私は冬の黒戸尾根で志半ばに行き倒れすでに辛酸を舐めまくっていたのだ。

マジで死ぬかと思った去年の冬。常に半分死にかけながらのラッセルで敗退。
鬼ころしS

せ、先輩。未熟な私にはまだ心の準備が…

アツシオガワ

なんだ、行かねーのか。今年の七丈小屋には、噂のイケメン小屋番さんが居るはずなんだが残念だな…。

鬼ころしS

一日も早く行きましょう。小屋の予約&酒歩荷お願いします!

アツシオガワ

・・・。

鬼ころしS

自分、大吟醸しか体に合わないワガママBODYなんで、そこんとこ よろしくメカドッグ ワンワン!

アツシオガワ

・・・。

 

男塾二合目 〜武道館〜

黒戸尾根は南アルプスの代表的な山「甲斐駒ヶ岳」へ上がる、歴史と伝統のある登山道。

日本三大急登のひとつに数えられる屈指のロングルートは、その標高差なんと2,200m!

夏のコースタイムでも15時間ほどの長丁場です。

北杜市にある二つの駒ヶ岳神社が登山口で、今回は標高770mの竹宇駒ヶ岳神社からスタート。

登山口ではモデル体型の「甲斐子」がお見送り。残念ながら一緒には行けないとのことで、顔マネでお別れ。

ルート上にはハシゴや鎖場、ナイフリッジなどの危険な箇所がたくさんあります。

気を引き締めてしっかりと安全祈願。

ユーコンの呪いが届きませんように…。

しかし祈願もむなしく出発後10秒で早速ズッコけカリカリのアイスバーン道路でヒザを強打!

早くもユーコンさんの呪い・・・いや黒戸尾根の洗礼なのだろうか・・・先が思いやられる。

でも、天気予報は晴れ晴れだもんね!晴れ女の看板、再び掲げさせていただこうじゃないか。

さて、気を取り直して今回は”イケメンに会いに行く”という裏テーマがあるため、ここからはアツシオガワ氏のイケメン度を私、鬼ころしSが独断と偏見による減点方式で採点して行こうと思います。

それではレッツチェケラっ!!

スタート直後はつづら折りのゆるやかな登山道が続く。雪もしまっていて、非常に歩きやすい!

朝日差し込む樹林帯を気持ちよく良く歩いていると、急に思い出したのか「小屋の予約をし忘れた!」と電話を掛け始めるアツシオガワ。

2名の小川です。・・・あっ。お、が、わ です。お、が、わ!

電波の調子が悪く、行ったり来たりしながら何度も「お、が、わ」を連呼する様子に−1ポイント。

さらに「聞こえないのでもうとりあえず来てください」と電話を切られる始末に、早くも不安を覚えざるを得ない。

そんな不安に反して、どんどん青空は広がっていく。

昨夜は地上でもマイナス8度まで冷え込んだものの、日が昇りきると暖かく…いや、こりゃ暑いぞ。

汗だくグショ子の私は早くも脱ぐものがなくピンチ!

脇汗世界地図。この辺りがマダガスカルやと思うね。

毛穴という毛穴から汗を垂れ流し続ける私を気遣って休憩をすすめる紳士なアツシ先輩。

いや、紳士だなぁと思ったのもつかの間、まさかのビッグサイズペットボトルポカリスエット「BPP」を取り出し凄い勢いで飲み始めたではないか!

「夏休みの高校生かよ!」と心の中でツッコミ。 −1ポイント。

大きなヒゲ面の子供を横目に、良識ある大人の私はアルコールという名のガソリン注入タイム♪

大好きなブランデーチョコ!体もあったまるし、冬の登山には欠かせない行動食。

希子ちゃんも好きみたいね。

ウヒヒヒ。この量じゃもちろん酔えないから、今回は二箱持参ね☆

アツシオガワの行動食は「こだわりソースの味わ ケパン。」

50円引きのシールで商品名が見えやしない。

チョイス理由は「レジ前でつい・・・。」

さっきからここは高校生の部室かよ! −1ポイント。

ウルトラヘビーなコロッケパンをかじりながら、「無理に不便なULを追求するよりも、男なら担げる体力を付けるべきだ!」「UL男子!お前ら、彼女が倒れた時に担げるのか?」と熱く語るアツシオガワ。

マズいジェル食う為に山登ってんじゃないだろ?と口の中をパサパサさせながら熱く語る一号生筆頭。

だが、ペットボトル開封のたびにプシュプシュ言うのが気になって話の内容が全く入ってこない。

それにしても水以外の飲み物いったい何本持ってるの?

 

そうこうしている間に最初の難所である刃渡りへ。

ルート上で初めて視界が開けるスポットなので、怖さよりもとにかく嬉しい瞬間!

両側は切れ落ちているものの鎖がしっかり打ってあるので、ゆっくり歩けば気持ちいい♪

見事なブルーにしばし酔いしれましょう。

前を見ても振り返っても絶景。

左手にはテンションブチ上げタテノリな鳳凰三山!

アリーナ席〜!SAY! HO〜! Oh〜!鳳凰!!

二階席のやつ〜(八ヶ岳)!お前らの声、もっと俺たちに聞かせてくれよ〜!!

必ずメジャーデビューしてあの日本一の武道館の舞台に立ってやるからな!

ずっとこうして居たいけれど、大勢のファンが次の街で待ってるんだ。

アンコールは1度っきりだけだぜ!







 

男塾五合目 〜違法薬物〜

熱いマウンテンライブの後は再び樹林帯へ。

ステージで完全燃焼してしまったのか、私が歩いた後を踏み抜きまくるアツシオガワ。

「お腹まわりのお肉って富の象徴ですもんね!」と笑顔でフォローしつつ、−1ポイント。

やっぱり重量級なのかな?普段からきっといいもの食べてるんだろうな。

私もビール腹には気をつけなきゃね。

この辺りからだんだんと雪が深く、傾斜のきつい箇所も出てくる。

ロープや鎖や埋もれかけたハシゴが出てくるのでアイゼン装着。

こんな目つきだけど、ナイフみたいに尖ったり15で不良と呼ばれたりなんてしてないからね♡

黒戸山をトラバースしながら巻いていくと、五合目はもうすぐ。

しかし、すこぶる順調に見えた黒戸尾根がここに来ていよいよ牙を剥くのだった。

”それ”は、私がおもむろに右手のグローブで鼻水をぬぐった瞬間に襲いかかった。

「くさっ!くっさ!!変な匂いする!」

一体何が起きたのか、何をされたのかマジで分からなかった。

もうポルナレフ状態。恐る恐るもう一度右手を近づけ確かめる・・・

ぐぇ!!やっぱくせぇぞ私の右手!!!

右手から漂う、とんでもないハーブ系の攻撃的な異臭。

何か強烈な樹液を発する木を掴んでしまったのだろうか?

うっかり鼻をぬぐう度に襲いかかるハーブ臭でどんどん加速する吐き気。。

もよおす吐き気で一気にリトルユーコン化

謎の樹液を嗅がされ脱法ハーブで完全にキマってしまった鬼ころしS。

さらに異次元へのトリップで平衡感覚を失ったあげく、よろけた瞬間に「登山道」の標識が右脇腹にクリーンヒット!!

標識すらも武器としダウンするまで殴り合う男塾名物「撲針愚(ボクシング)」のゴングが鳴り響き一瞬で終了!!

しばし立つこともままならずにもだえ苦しむ鬼ころしS!

やはり女の私に男塾なんて無理だったのだろうか。ガッデム!

長いルートでただでさえ体力が削られた上、ついてない出来事の連続でメンタル面まで削られ完全に意気消沈の新入生に、喝を入れる一号生筆頭アツシオガワ。

「これを見ろ。今さっきアイゼンを引っ掛けて破けたパンツの穴を。」

どうやら踏み抜き地獄で被害に遭われた模様。

しかしここまで体を張ってでも伝えたい事があるらしい。

「覚えておくといい。多少の犠牲を払ってでも、男にはやらねばならぬ時があるという事を!」

そう、この穴は大きな目標を達成するためのプロセスの一環なのだ。

「ユーコンみたいな下手くそなリペアをしなければ、空いた穴はちゃんと塞がるんだ。」と言いながら、顔がめちゃくちゃ落ち込んでるよ先輩。

そんな我々を励ますように、爽やかな青空はどこまでも広がり続ける。

アツシ先輩の謎の励ましはさておき、天気がいいってだけで歩く元気が出てくるのが不思議。

「そろそろ大塚製薬のCM来るかな?爽やかイメージまであと一息なんだけどなぁ。」と豪快にBPPを流し込むアツシオガワ。

どんな爽やかな景色ですらも一瞬にして高校の汗くさい部室に変えてしまうBPPの存在感。

一息どころか、三代生まれ変わっても爽やかとはとても・・・と心の中で総ツッコミ。−1ポイント。

 

男塾七合目 〜大脱走〜

アツシオガワの爽やか詐称のお陰で、七丈小屋の爽やかイケメンに会いに行くという目的を思い出した私。

ここはまだ五合目、こんな所でハーブ臭にやられている場合じゃない。

五合目から小屋まではさらに険しさが増す

しかしスタートして6時間半が経過し、急登と踏み抜きが続くロングルートに疲労は蓄積される一方。

体力気力ともに削られ極限状態となった今、究極のドS同士にのみ許された最後の手段があった。

嫁入り前としては出来ればこの方法は取りたくなかったものの、致し方あるまい・・・

先行者をローアングルで追い込むことで羞恥心を煽り、さっさと登らせるその名も”プリケツ対決”だ!!

こうなりゃ腹くくって行くぜ!先行はアタイよ!

真下から!定番の羞恥アングル!

必死な瞬間をナナメから!恥ずかしさよりも必死!

振り向きざまのHip!!

私のココ!大臀筋〜!!

羞恥心も突き詰めると開き直れるものかと新しい自分を発見。

ここまで来たら夜の蝶も夢じゃないので、指名ナンバーワンまであと一歩ってところか。

ローアングルからの追い込みを続けるアツシオガワ。

歩荷鬼六の本領発揮で、昔の前科時代を思い出してしまった様子。

繰り返す脱獄で慣れているのか、鎖場だろうと岩と雪のミックスだろうと臆する様子もなく登り続ける。

「暗所と閉所の方がよっぽど怖い」とのことだが、きっと長い間暗く狭い留置所の中で過ごして来たに違いない。

そしてこの目つき、いったい何人を殺めてきたのだろうか。私には想像もつかない過去があるようだ。

看守の目を盗みながら「組織づくりとトンネル掘りが生きがいだった」と手慣れた様子で塀を越えていくアツシオガワ。

二度とクサイ飯は御免だね、と綿密に練られた脱走計画が成功し勝ち誇った様子。

私は右手がまだ死ぬほどクサイんですけど。

と思いきや、突然お茶目な一発ギャグをまさに「命」掛けの橋の上で披露。ネタが古いので−1ポイント。

さて。余談ですが、女子の皆さまへ”アルプスの母”鬼ころしSから、難しいルートについてワンポイントアドバイス。

意中の男性と登山をする時は、間違っても「うへへへ。この高度感とスリルがたまんねぇな。」なんてニヤついてはいけません。

× 間違った例。これでは男性が引いてしまうので絶対にやめましょう。

男性は弱いものを守ってあげたい生き物です。この習性を上手く利用します。

女子たるもの、時にはしおらしく精一杯の上目づかいで「怖いよぉ〜」と甘えましょう。

きっと頑張ったご褒美にビールの一杯ぐらいご馳走してもらえるはず♫

○ 正しい例。私はこれでこの後ビール1缶ゲットしました♡
アツシオガワ

ぜんぜん男という生き物を分かってません。それに引っかかるのは素人チェリーだけです。本当は怖くて、キツくてたまらないのに「大丈夫」と必死に頑張る女子に漢達はズキュンときます。

 

さらにハニートラップを続けましょう。

「怖そうな所が多いので、先にお手本見せてくださぁ〜い」と甘えんぼ攻撃を巧みに使い、先行後攻チェンジ。

アツシオガワ

おい!聞いてんのか!

さて、どんな恥ずかしいポーズをゲットできるかワクワクだね!!

なかなかのスリルそしてパンチの強さ!立派ですね〜。ナイスプリケツ!

アツシオガワ

いいケツしてんな俺。

これまた恥ずかしいッ!さらにローアングルで尻を追い続ける変態。

人の羞恥心を煽るのってこんなに楽しいのね。ウフフ♡

ちなみにここのハシゴはほぼ垂直で、先行者を追い込みつつ自分も追い込めるというダブルドSプレイが楽しめる箇所。

押すなよ!絶対押すなよ!!な高度感。

下に見えるハシゴの後ろは止まりそうにもない急斜面だけど、確実に三点支持で登って行けば大丈夫。

 

ところで「確か、この先もう小屋じゃない?」って言われると期待しちゃいません?あと2、3分かなーって。

期待持たされたあげく、登りきった先に小屋がないと超ガッカリ!

しかもこの場合さらに10分や20分くらい掛かる事がほとんどで、余計長く感じるよね。

「確かこの先もう・・・」出ましたこのセリフ!

何を根拠に小屋があると思うのだろうか?疲れている時の小屋小屋詐欺ほどイラっとくるものってないわ。

もちろんこの先には小屋の影も形もまだ見えませんでした。−1ポイント。

アツシオガワ

男塾では「もうすぐ=約1時間」「すぐそこ=約30分」となっております。予めご了承ください。

案の定15分ほどさらに登る羽目になり、アツシオガワの剃り残しの頬のヒゲにすらも苛立ちを感じるほど身も心もボロボロに疲れきった頃・・・ようやく見えた!!

小屋こや KOYA〜〜〜〜〜!!!

やっとイケメン拝みながら酒が飲めるぞ〜〜〜〜〜!!

あちらに見えますのが、本日お世話になる酒蔵・・・じゃなかった七丈小屋です。

疲労による幻覚症状が現れた!これは早急にアルコールを給油せねば・・・

しかし、我々は小屋に着いた喜びですっかり忘れてしまっていたのだ。

ここが日本三大急登”黒戸尾根”であるという事を・・・

小屋の前でアイゼンを外していたアツシオガワの身に異変が起きる!!

まさかの流血!!

うっかり外したアイゼンの上に思いっきり手をつき、刃先で己の手の平を突き刺すという究極のセルフマゾプレイ!!

「自分の身すらも痛めつけてこそ、真のドSだからね。」と強がるアツシオガワ。

貫くなら、手の平じゃなくて信念にして欲しいよ・・・心配したのでマイナス1ポイント。

アツシオガワ

ユーコンなら「ヘリ呼べ!」って騒いだであろうぐらい ぶっすり刺さったお♡唾つけて直しました。押忍!

一号生の血で一面が血の海と化したこの惨劇は、男塾2・14事件「罵恋汰威運(バレンタイン)」として後輩たちに恐れられ語り継がれるのであった。

後編へ続く!

押忍!