年が明けて2018年到来!大晦日では「歌姫の自損事故」という壮絶な滑り納めを決めたBBGスパイチーム。そんな負の記憶は全て忘れて、新たなる希望の一年に向けて動き出した!目指すは「日本で一番ゴージャスな初日の出」。果たして厄にまみれたユーコン擁するBBGチームにご来光の光は差し込むのか?それとも今年も白にまみれてしまうのか?今年一年の吉兆を占う勝負がいま始まろうとしている!

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こもれびDAYS.3 〜2018/01/01〜

第6章 吉兆ご来光決戦

元日3:30。

こもれび山荘内にて、1人の疲れ果てた老人の姿が確認された。

彼は前日の大晦日に自作自演の壮絶な大事故を起こしてしまっており、未だその後遺症から立ち直れていない様子。

しかもその時の記憶を無理に無くそうとしたあまり、昨夜は夜遅くまで痛飲をぶちかまして2日連続の二日酔い。

この時点の彼のコンディションは「風邪+口内火傷+下痢+腰痛+疲労+胃もたれ+二日酔い+寝不足+事故後遺症+頭痛+軽い吐き気+自責の念」という12連コンボを達成中。

素人の人から見ると「そんな状態で山行っちゃうの?」となるだろうが、彼は特別な訓練を受けたプロのマゾヒスト。

彼のような本厄悪天候野郎が「ご来光」などという奇跡の状況を巻き起こすには、最低でも12連コンボは必要なのである。

 

しかも彼は「しまった!靴履いてゲイターまでつけた段階で部屋に水筒忘れてるの思い出した!」と言って靴を脱いだ時点で…

「しまった!水筒、腰のサコッシュの中に入ってた!」と言って再び靴を吐き直すスポンジさ。

この男の新年初スポンジ脳のせいでどんどん出発時間が遅れていく。

しかしこの日、そんな彼に力強い援軍が駆けつけてくれていた。

前日からお客さんとしてこもれび山荘に泊まっていた、同じスポンジ仲間の「低血圧Mちゃん」である。

かつて写真撮影をお願いしたのにカメラを忘れてきたりするスポガール。

今回は何も忘れてなかったが、彼女も昨日の時点で石で足を滑らせて「川に落ちる」というロンリー自損事故を炸裂させてここまで来た模様。

しかもユーコン同様道に迷いまくり、川原の道なのになぜか藪漕ぎ三昧だったという驚きのマゾさ。

彼女も初日の出に備えてしっかりと事前代償を支払ってきている。

さらに彼女は「肝心な時に霧を発生させたら右に出る者なし」と言われる浮かれ系フォグガール。

確実に初日の出を見るため、BBGスパイチームはユーコンのマイナスに低血圧のマイナスをぶつけてプラスに転じさせる作戦をとったのである。

 

こうして「12連コンボの本厄悪天候男ユーコンカワイ」、「セルフマゾ系フォグガールの低血圧Mちゃん」、「宇宙企画黒光り系AV男優のアツシオガワ」の3名のエージェント達が、初日の出を求めて小仙丈ヶ岳に向けて動き出した。

そしてここで早くも低血圧Mちゃんが動く。

「確実に晴れにするためにはまだセルフマゾが足りない!」と判断した彼女は、まず己の髪の毛をパキパキに凍らせるという一手に打って出た。

凍った薔薇のように触れれば壊れて一気にショートカットにイメチェン可能。この時点では-10度。

さらに「うう…なぜか鼻血が止まりません。」と突然の鼻血を炸裂させた。

初日の出を想像してフライング気味の浮かれ鼻血。

まだ2合目なのに早くも流血者を出してしまったBBGスパイチーム。

もちろんユーコンも「負けてられるか!」とばかりに腹を下して朝っぱらからゲリ街道まっしぐら。

しかもこの日は珍しくアツシオガワまでも「胃もたれが…うう…昨日肉食い過ぎた…気持ち悪い…」と窮状を訴える。

 

こうしてお互いに事前代償を払いながら、夢に向かって一歩一歩突き進んでいく。

やがて樹林帯を抜け始め、うっすらと夜が明け始めた。

そこで一旦、日の出が上がる方向を見てみる。

すると雲ひとつない快晴ではないか!!

この光景を見て、「やった!今日は晴れだ!初日の出が見られる!」「鼻血出した甲斐があった!」とたちまち浮かれてしまったユーコンと低血圧の悪天候兄妹。

これを後方から見ていたアツシオガワが慌てて「やめろ!浮かれるな!お前達は過去の過ちから何も学んでいないのか!浮かれた時が….」とまで言うと、突然後方から「ズオオオオオオッッ」とモクモクさんが大発生。

「だから言ったじゃないか!浮かれた時がマゾリ時なんだよ!あんたらいつもそれ繰り返して…あ、あああッッ!」

「逃げろ!急いでご来光ポイントまで進め!」

しかしアツシオガワの声は虚しく風に乗って消えていく。

そして瞬く間にあたり一面がいつものホワイティーな世界に包まれてしまったのである。

そして幕が閉じるように、ご来光方面の景色が完全にモクモクに飲み込まれていく。

がっくりと肩を落とすアツシオガワ。

「マイナス+マイナス=プラス作戦」の大失敗。

ほんのわずかな浮かれの隙をついて、見事にモクモクは3人のエージェントたちを白の支配下に置くことに成功したのだ。

失意の中、小仙丈ヶ岳直下の展望スペースに到着する3名。

「せっかくあんなに大量の事前代償を払ったのに、一瞬浮かれてしまったばかりにこんな事に…」と2人はがっくりと肩を落とす。

しかしここでこのままご来光が見れなかったら、2018年のBBGの縁起が悪すぎる。

そこで低血圧Mちゃんが「いっそ光を失ってみる」という奇抜な戦法に打って出たのである。

あえて初日の出を見ないぞというスタイル。

これでモクモクの気が緩んだ。

なんと奇跡的にモクモクが後退を始めたのだ。

そして幕が開けるかのように「パアアアア」っとご来光が登場!!

来たあ!

3人合わせて18連コンボの事前代償の努力が実り、ついにご来光発動!

小仙丈ヶ岳もその妖艶な肌をみるみるピンク色に染めていく!

艶めかしく紅潮していく女王の煌めき!

そして今一度ご来光に目をやれば、「ご来光」「標高1位の富士山」「標高2位の北岳」という豪華共演!

そう!これぞ「日本一ゴージャスなご来光」

BBGスパイチームは、見事に噂の真相を突き止めることに成功したのである。

やはり南アの冬は美しかった。

いやさ、美しすぎた。

しかしここでまたしても悪天候兄妹が「ヤッタァ!」などと浮かれてしまったため、突然のハッスル爆風タイムがスタート。

せっかく晴れてんのに前が見えやしないから慌ててバラクラバとゴーグルをはめる。

しかし低血圧Mちゃんに至っては慌てすぎて内部で髪の毛が大渋滞を起こし、すげえ鼻毛の長い人みたいになってしまっている始末。

収まりきらなかった髪の毛が色んな所からはみ出している。

とてつもない暴風となってしまったが、とりあえず形上初日の出が見れたからオールオッケーだ。

新年早々気分はTMレボリューション。前方からすごい風。

こうして見事にミッションをクリアしたBBGスパイチーム。

風強すぎて三脚立てられないから、テロリスト感満載の感じでパシャりと自撮り。

2018年、こんな感じで逆風には晒されるだろうが、とりあえずBBG的には縁起の良い一年になりそうだ。

しかし南アのご来光の縁起の良さはまだまだ終わらない。

こっからがオメデタ尽くしの始まりなのである。

 

第7章 猛き黄金の龍

ご来光は綺麗なんだが、いよいよ爆風スランプ感に歯止めがかからなくなって来た展望現場。

気温は-15度。

止まってるとみるみる手足の指先の感覚がなくなってくる。

本来は小仙丈ヶ岳のピークくらい落としとこうかと話していたが、早々に撤退を決断。

ほぼ真横に吹雪が襲いかかってくる。

しかし後方のアツシオガワは余裕の表情。

彼はこの数倍も激しいブリザードの中を生き抜いて来た経験がある。

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この程度の吹雪は、彼にとってはそよ風にすぎない。

 

そしてこういう厳しい環境の時のこそ、真の美しさに巡り会えるチャンスやってくる。

ただでさえ縁起の良い初日の出にプラスして、今回はさらに奇跡的なオメデタい光景が炸裂。

これはモクモクがちょうどいい感じで発生し、そしてちょうどいい感じで初日の出と交差した時にのみ現れるという伝説の初日の出。

まるで黄金の龍が富士山を睨みつけてるような、「ドラゴンご来光」がご登場なのである!

炎のような黄金のドラゴン。

なんて縁起の良い光景だろうか。

これはこの場所で、この条件が重ならなければ現れない現象。

まさにBBGが黄金の昇り竜となって日本一を飲み込もうとしているかのような暗喩感。

今までは「真っ白い風景」や「おじいちゃん」とかを無理やりフォトジェニックだと言い張って来たが、BBGで初めてインスタ映えする写真が撮れた気がする。

 

しかも縁起物はそれだけでは終わらない。

ホクホク気分で下山を続けると、

今度は太陽の周りに虹の輪っかができるハロ現象が勃発。

さらに反対方向を見れば三重の虹を抱えたブロッケン現象。

黄金龍、ハロ現象、ブロッケン現象の夢の共演。

まるでラーメンマン(龍)とウォーズマン(パロスペシャルね)とブロッケンJr.がいっぺんに現れたかのようなゴージャスさだ。

 

さらにまだまだおめでたい現象は続く。

トドメはこれだ!

ユーコンカワイ奥義「セルフ明けましておめでとう」である。

彼はおよそ4時間ほどこのスタイルで戦い続けていた模様。

2018年の初変態。

おそらくこれが彼なりの「己の龍を凍傷で奉納する」という最後の代償大技だったに違いない。

とりあえず切断するまでには至らなかったが、その心意気が評価されての晴れ間だったのかもしれない。

 

やがて大満足でこもれび山荘に帰還する戦士たち。

大晦日は豪勢な料理、元日は猛烈なご来光。

南アの冬はとにかくゴージャスなのであった。

 

第8章 こもれび探訪

3人が小屋に入ると、受付の女性が「お帰りなさい。お疲れ様でした。」と労をねぎらってくれた。

ちょうど手ぬぐいが欲しかった低血圧Mちゃん。

「これください」と手ぬぐいを差し出すと、ちょっと気持ち悪かったけどその女性は優しく応対してくれた。

はにかんだ笑顔がカワイイ。ここのスタッフなのだろうか?

まだまだこの小屋を深く調査したいと思っていたアツシオガワは、この女性に「よかったら小屋を案内してもらえませんか?」と頼んでみた。

するとその女性は快く承諾。

相当ブサイクな顔しながら、「美味しいワインから地酒まで、豊富に取り揃えていますよ。」と紹介してくれた。

顔デカすぎない?

そして小屋自慢の薪ストーブへと我々を誘導。

「ここの炎を見つめてるだけでなんだか心が落ち着くんです。恋愛に疲れた時とかでもとても癒されるんですよ。」と、イラつく情報を添えて説明してくれた。

「彼氏はできないんじゃなくて作らないの。」と語る女性。

アツシオガワは「あの…なんか昨日お会いしたことありませんでしたっけ?」と聞いてみると、彼女は「過去のことは忘れるようにしてるの。昨日の事なんてもう…記憶にないわ。」と、ふと物悲しげな表情で語った。

その後も彼女は「この小屋は本がとても充実してるのよ。」と本棚コーナーを紹介してくれた。

いちいち髪をかきあげる仕草が見る者を苛立たせる。

「ホラ、このPEAKSの2018年1月号見て。私読モもやってるのよ。ここのご主人が栗沢山のこと書いてて、そこに私載ってるのよね。」と自慢して来た。

登山雑誌はもちろん、センスの良い写真集や小説から漫画まで。

山に登らなくてもずっとここに居ても豊かな時間が過ごせるようだ。

浪人生感がすごい。

続いてその女性は、「一階の寝室はさらに快適なのよ。」と寝室へ移動。

「ホラ、普通山小屋って大体雑魚寝じゃない?でもここは違うの。一人分のスペースがこんな感じでカーテンで仕切られているのよ。」

澄ました表情で個室気分を満喫する昭和初期の女。

低血圧Mちゃんも「これならプライベートが保たれるから安心して着替えもできますね♪女性には嬉しいです。」と絶賛。

そんな低血圧Mちゃんに対し「そうよ。カーテン閉めれば生着替えが可能で、こうして顔だけ出してやれば山男たちなんてイチコロよ。」と余計なアドバイス。

「今私は服を着てるでしょーか?」とふざけてくる女性。顔面を殴ってやりたい。

一つ一つのスペースには読書灯まで設置され、心いくまで自分の時間を楽しむことができる。

これなら朝までぐっすり眠ることが出来、翌朝からの登山も体調バッチリだ。

カワイイ寝顔。3日目なのでうっすらヒゲ生えてるね。

さらに低血圧Mちゃんの女性目線で地味に嬉しかったのが、トイレにちゃんと鏡があるっていう点。

「いつだってキレイでいたい。だってガールなんだもん。」と彼女は言う。

しかもちゃんと更衣室まであるから、のびのびと着替えることができるね。

「いや!今変な目で見てたでしょ!」とアツシオガワを警戒する女性。

アツシオガワに対し「この人さっきから私のことをずっと獣の目で見てくるの。先に言っとくけど私羽生結弦みたいなのがタイプだから、あなたみたいな黒光りした筋肉ゴリラはお断り。ついでに外国の方とはお付き合いしないわ。あなたサモア人でしょ?」と言い放つ。

さらに「次は二階を案内するわ。ってちょっと!今スカートの中覗こうとしたでしょ!」と激おこぷんぷん丸だ。

ブサイクほど隠そうとするもの。

アツシオガワはビール瓶を握りしめていよいよ事に及ぼうとしてしまったが、低血圧Mちゃんに制止されて踏みとどまった。

ここで刃傷沙汰を起こしてしまっては塾長に迷惑がかかってしまう。

歯を食いしばりながら二階について行くと「ここが大部屋よ」とアンニュイな表情で紹介してくれた。

さらに奥の部屋へと移動。

そして「ここが個室よ。」と物憂げなポーズを決めてフェロモンを解き放つ。

昭和ロマンポルノのワンシーンのよう。

彼女は誘うような目線でアツシオガワの耳元で囁く。

「あなた私狙いでしょ?チャンスなんて、そうたびたびめぐってくるものではないわ。だから、いざめぐってきたら、とにかく自分のものにすることよ。」と名言めいた事を言った。

 

この数週間後、小屋の裏の林の中で中年女性の変死体が発見される事になるがそれはのちの話。

何度もビール瓶で殴られた痕跡があり、長野県警は容疑者とみられる住所不定のサモア人の追跡を今も続けていると言う。

 

以上で謎の女性による「こもれび探訪」は幕を閉じた。

こうしてこもれび山荘の内情をさらに調査する事に成功し、BBGスパイチームは大きな戦果をあげたのである。


こもれび山荘

通常営業 2018年4月25日~11月上旬(予定)
TEL080-8760-4367
営業期間外連絡先:0265-94-6001(伊那市観光株式会社)
ウェブサイト:https://www.facebook.com/komorebisansou.southernalps







最終章 さらば、こもれびDAYS

濃厚な三日間の潜入捜査もいよいよ終わりの時が近づいている。

BBGの2人がお世話になった屋根裏部屋ともこれでお別れ。

戦友マーヤさんとも、お互いの健闘を讃えあって記念撮影。

ブルゾンマーヤwithBBG

次は是非川原で焚き火でも囲いながら彼女の歌を聴いてみたいものである。

そして塾長たちはお昼寝休憩中だったため、小屋に向かって一発「押忍!三日間お世話になりました!」と敬礼して下山開始。

今回初めてまともに低血圧Mちゃんの顔が写真に映りましたね。

3日にわたる修行を経て、すっかり男度に磨きがかかったBBGの2人。

堂々と胸を張って、意気揚々と下山して行く。

すると蓄積疲労で踏ん張りが効かなかったのか、早くもユーコンカワイが豪快に滑って左肘を強打。

見事に「そこだけ硬い木の枝が出ちゃってるところ」へのエルボードロップとなってしまい、結構な負傷を追ってしまう。

指差してるところにダイレクトにエルボーをかました。

それを見てアツシオガワは「何やってんすか、情けない。それでも男塾の塾生ですか。」とディスってきたが、次の瞬間、しっかり彼も滑ってケツを強打。

やはり2人ともこの数日の疲労が溜まって足に来ているいるようだ。

川原に到達してメシ休憩する頃には、ユーコンはおなじみの「猫背おじいちゃん」になってる始末。

そして動き出したかと思えば、またしてもズギャーンと転倒祭り。

疲労困憊の体を引きずりながらひたすら長い長い川原歩きは続き、

途中で何度か天に召されながらも、

ただただ愚直に進み続け、

まだまだ進み続ける直進行軍。

そして長い長い川原歩きが終わってやっとこさゴール。

セルフタイマーで記念写真を撮ったつもりが、最終的に何も撮れてなかったと言う詰めの甘さ。

何はともあれ、これにて長い長い潜入捜査任務完了である。

 

冬の南アルプス。

噂通りアツい場所だった。

こもれび山荘は相変わらず素晴らしい空間で、暖かくて快適で飯美味くて、スタッフも心やさしき人たちばかり。

それでいてあんなご来光までサクッと見に行けるという素晴らしさ。

本格的な人には、仙丈ヶ岳や甲斐駒ケ岳登山、各所にあるアイスクライミングスポットも楽しいだろう。

 

冬はクリスマス時期から年始までの営業なので、是非皆さんも来シーズンに行ってみてはどうでしょうか?

山頂を目指さず、小屋で泊まる事を目的としたスノーハイクでも素敵な時間を送れますよ。

運が良ければ、小屋に住むカワイイ妖精さん↓にも会えるかもしれません。

それでは来シーズン、冬の南アルプスで会いましょう。

あなたにもきっと素敵な「こもれびDAYS」が訪れる事でしょう。

ディーバカワイ&サモアオガワ&鼻血Mがお送りしました。