超軽量シュラフシリーズ第2弾!なんてったって348g !なのに撥水ダウン!不可能を可能にした大谷翔平のような二刀流さで、夏場の単体使用としても秋冬のインナーシュラフとしても大車輪の活躍間違いなしの一品。それがシートゥサミットの最軽量撥水ダウンシュラフ「Sparkシリーズの“SP1”」だ。もう「これ一個持っときゃ色々間違いないでしょ」ってな翔平くんの豪速球、今こそBBGが受け止めてみせる!

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シートゥサミット「スパーク SpⅠ」

軽い!温かい!水に強い!

以前BBGが大注目ブランドとしてピックアップした「SEA TO SUMMIT(シートゥサミット)」。

遊び好きなオージー野郎どもが作り出す「軽いけど遊び心は忘れねえぜ」というプロダクトの数々は、軽さ至上主義の今のジャパンに警鐘を鳴らす素敵アイテムの宝庫だった。

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シートゥサミットの信条は、軽さを求めながらも品質も快適性も犠牲にしないという点。

そんな中でもBBGが発売当初から注目していたのが、この「スパーク(Spark)シリーズ」だ。

白いやつね。左がSp1で、右がSp3。

創業者のティムさんは言う。

「睡眠って大切やん!だからって重いの嫌やん?でも軽くして寒い思いすんのも嫌やん?でもこのスパークシリーズは妥協せんのや!軽いけどあったかいんや!なんちゅうかもうもうスパークなんや!」と。(オージー訛りのまま翻訳しました)

軽さと温かさを両立できた理由を超簡単に書くと…

  1. 上質なダウン使ってるからや!
  2. 高性能な極薄生地なんやで!
  3. 必要最低限なジッパーで軽量化や!

 

で、その軽さ温かさだけでなく、もひとつ注目したいのが「撥水ダウン」を使用してるってこと。

それは「=シュラフカバー要らず」を意味し、大幅な荷物の軽量化につながるという素晴らしさ。

超軽い!上質ダウンであったかい!しかも水にも強い!

「おいおい、本当にそんな奴いるのかよ?」と言いたくなるような、まさに大谷翔平のようなダウンシュラフがスパークシリーズだ。

 

そんなスパークシリーズの中でBBGがチョイスしたのが、わずか348gの最軽量モデル「Sp1」

もちろんSp2、Sp3と数字が大きくなるにつれ温かくなって行くわけだが、このモデルこそ「今の日本のシーンに合っている」と判断した。

夏のアルプス登山はもちろん、ファストハイク、沢泊、パックラフトやSUPなどの川旅、サイクルツーリング、そしてアドベンチャーレースから車中泊まで。

春秋冬は、既存のシュラフの保温性をアップ・調整するためのインナーとして。

 

今最もアウトドア好き達に持っててほしい(BBGも欲しかった!)「スパークSp1」

それではそんなSp1を観察し、実際にいろんな現場で使用した時の使用感も織り交ぜつつ振り返っていこう。

 

小粋な付属品たち!

このシュラフの素敵さは、注文して家に到着した時から始まってしまう。

ワクワクしながらダンボール箱を開けると、Sp1は「ハロー!グッダイ!」とこの状態で登場するのである。

よくあるスタッフサックに収納された状態で出てくると思ったんで、一瞬「あれ?なんか間違って注文しちゃった?」って思ってしまったほど。

実はこれ付属品のバッグで、ダウンのロフトを維持させるための「保管用メッシュセル」。

もうこの時点で「俺たちはただシュラフを売るだけじゃねえ。その先のあんたとシュラフのストーリーまで見据えてるんだぜ!」と宣言されたような気分に。

ここからすでにシートゥサミットの小粋なご挨拶が始まっているのである。

 

で、そいつをペロンと開けると、

真っ先に飛び出てくるのがこの「ご挨拶文」。

英語なんで内容はさっぱりだが、おそらく「こいつで良い夢見ろよ、マイト(友よ)!」とでも書いてあるのだろう。

しかもその挨拶文とともに出てくるのが、この「Final Test Report」。

なんだかよく分からないが、とにかくこれが入ってるだけで「しっかり最終チェックもしてあるぜ!良〜い状態だ。安心して使ってくれよな、マイト!」という思いがビシビシ伝わってくるではないか。

このたった二通のメッセージによって見事に日本人的な心を刺激され、一気に「マイト…やるじゃねえか…」と信頼感が芽生えてしまうのである。

しかもふとシュラフ本体を見てみれば、なんと手書きのID番号まで。

この時点で僕は思わず目を閉じ、この数字を書いたダニエルさん(想像)に思いを馳せ、「おお、マイト…この612番、大切に使わせてもらうぜ!」ってな感情になってしまっているのである。

だがしかし、まだオージー達の小粋なご挨拶は止まらない!

なんとさらに中から「ランドリーサック」が出てきたではないか!

これならコインランドリーとかに持っていく時も持ち帰る時も便利だ。

 

この心憎いまでの配慮は感動もの。

とかく単体商品による価格競争やスペック競争になりがちなこの世界。

シュラフ単体ならもうちょっと安く提供できたかもしれない。

しかし彼らは、「末長く大事に使ってくれよな。その方がすぐ買い換えることもなく結果的に安く済むからよ。だろ?マイト。」と言って親指をグッと立ててニカッと笑う。

この姿勢、パタゴニアにも共通する点があるが、俺はとっても大好きだぜマイト!

※注:このランドリーバッグが付属されるのは今市場に出回ってるもののみになりそうです。現行品と入れ替わってる場合は付属されてないかもなので、購入の際はご確認くださいませ。

 

そしてしっかりとシュラフ用のシルナイロンスタッフサックも同梱。

しかも律儀に「コンプレッションサック」だからギュンギュンに圧縮可能だ。

手乗りサイズ。このコンパクトさで350mlビール缶1個分程度の重さなのでありますよ。

ただ防水サックではないんで、いくら撥水ダウンでもビチャビチャになったら嫌だから、僕はいつものようにダウンジャケット&パンツとかと着替えとかと一緒にグラナイトギアの防水圧縮袋に入れてまとめて圧縮してます。

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まあ、この辺りは自分のスタイルに合わせて好き好きで。

 

ではせっかくそのコンプレッションサックに入れたんで、Sp1の実測に入りたいと思いますよ。

コンプレッションサックが29.5gだったんで、シュラフ単体の重さは実測369g。

公称値よりかは21g重い。

しかし「21g」とは「魂の重さ」。

きっとオージーたちの熱い魂が乗り移って、この誤差を生んでしまったのだと私は見ている。(単純にただの誤差です)

 

高品質撥水ダウン!

随分と興奮して付属品だけでやたら前置きが長くなってしまったが、ようやくここから本体を見ていくとしよう。

まずは何と言っても注目したいのがこれ。

軽いのに温かく、水にも強い理由となっている「ULTRA-DRY Down」だ。

上質なヨーロピアングースダウンにナノレベルの撥水処理を施したっていうULTRA-DRY Down。

非加工ダウンと比べたら、60%以上ロフトが高く、30%水分吸収が少なく、60%早く乾くのだそう。

 

ここでいつもならBBGらしく、通常ダウンとこの撥水ダウンを実際に比較させたいところだが、さすがに買ったばかりのこいつを引き裂いてダウンを出す勇気はない。

ってことで、折良くちゃあんとダニエルさん(想像)が解説実験してくれてたんでその動画であります。

はい、これ見たら一目瞭然ですね。

雨や結露はもちろん湿気も吸収されにくいから、850+というフィルパワーをしっかり維持して保温性は失われないんですね。

※ちなみにこの見慣れない850+フィルパワーの「+」って表記は「以上」って意味だそうです。

 

なんせご存知の通り、ダウンシュラフは水に濡れると極端に保温力が落ちる

かといって濡れに強い化繊のシュラフは重くてかさばる

そこでここ数年注目を浴びているのが、ダウン自体に撥水処理を加えたこの撥水ダウンの存在。

出た当初は値段が高くてなかなか手が出なかったが、ここ最近ようやく現実的な価格帯で登場してきてくれてお父さんは嬉しいよ。

 

ってことで前述した通り、これでシュラフカバーを持っていかなくてよくなって、全体の軽量化に繋がるわけだ。

北アルプスでシェルター泊した時も壮絶な結露で何度もシュラフに雨が降ってくるような状態だったが、濡れによる保温力の低下は一切感じなかった。

風が吹くたびにこれが小雨となって振り遅いだが、それでも大丈夫!

もちろん今までは濡れが怖くて化繊シュラフを持って行った沢泊も、安心してSp1を使用できた。

沢でダウンが使えるのは荷物の軽減になってほんと助かる。

とはいえ、さっきのダニエルの動画みたいにいつまでもスーパー撥水状態が続くわけではない。

もちろん僕のはまだ全然大丈夫だが、長く使ったり洗濯を繰り返せば撥水効果は落ちてくる。

そんな時はNIKWAXのダウン専用撥水剤「TX.10ダウンプルーフ」などを使って復活させるといいでしょう。

何気にこれ使えばお手元のダウンシュラフやダウンジャケットも、結構撥水ダウン的になったりするんで一度お試しあれ。

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ちなみにスパークシリーズのダウンの封入量は以下の通りでございます。

モデル ダウン量 総重量
Sp1 180g 348g
Sp2 280g 464g
Sp3 400g 625g

 

高性能極薄生地!

ダウンのお次は、それを包み込む生地を見ていこう。

まずアウターは超軽量の10Dナイロン素材が使用されている。

かなりの極薄素材だが、それなりに引き裂き強度もありそうでハードな仕様でない限りはよっぽど大丈夫そう。

なお、以前のモデルはPERTEX QUANTUMが使用されていたが、現行モデルからはこのUL10Dナイロンに変更になっている。※こちらも現在現行品と入れ替わりの最中なので購入時に確認を。ランドリーサックついてない奴は=UL10Dナイロン。

ちなみに表面に撥水スプレーでもかけておけば、撥水ダウンと相まって濡れに最強のシュラフとなることでしょう。

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で、インナーは15Dのソフトタッチナイロンを使用。

それなりにさらさらとした感覚で、汗ばむような気候でない限りはおおよそ快適に過ごせる(とはいえ当然ナイロン的肌触りではあるけどね)。

この二つの素材を極細の糸で高密度で縫い潰しているから、ダウンが中から出てきたりなんて事もほとんどないです。

 

ちなみに光に透かすと中のダウンが透けるほどの薄さでございます。

こうして見るとダウン量少ないから縫い目のコールドスポットが目立つけどね…






その他の仕様

入り口は柔軟で軽量なYKK#3ジッパーが使用されていて、ジッパーエンドには肌触りが良くて大きめのジッパーガード。

ちなみにこのジッパーは外からでも中からでも1個の同じ持ち手で開閉できるため、何気に便利。

左:外からでもシャー 右:中からでもシャー

ここ結構外と中で別の持ち手になってるシュラフが多く、暗闇の中でもそもそやってると逆側引っ張って生地が噛んで「あーもう!」ってなって閉めるのを諦めたりする事もあったりしたから地味にありがたい。

もちろんわずかばかりの軽量化にも一役買っている。

で、この部分で大きく軽量化に貢献してくるのが、この「1/3の純情な解放」だ。

全開解放ではなく、出入りするのに必要十分な1/3のみ解放という絶妙ライン。

以前紹介したナンガのミニマリストは「攻めすぎたあまり入りにくい」という潔い割り切り仕様だったが、Sp1はノンストレスで出入りが可能だ。※ナンガのは割り切った分軽いのにもっとあったかい!でもお高い…

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この辺りは軽さを求めながらも品質も快適性も犠牲にしないがモットーの、シートゥサミットらしいラインである。

 

フードの絞り込みはシンプルな構造だが、こちらも絞るのも緩めるのもストレスはない。

なにやらパーマ当てたまま寝てしまったおばちゃんみたいだ。

ちなみに頭のところには二箇所、吊し干ししたりする時のループがあるんだが、

それがちょうど「動物の耳」的な様相を呈して、若干可愛く見え…

いや…全然可愛くねえ….。

多分こんなヒゲヅラじゃなくて、可愛らしいガールならより一層可愛く見えてしまうというサブ効果も期待できたりできなかったり。

ちなみに逆サイのフットボックスはこんな感じ。高さは15cmくらいね。

夏場の使用なら必要十分。

女の子並みの極度の末端冷え性の僕でも、9月前半までアルプスで使って一度も足先が冷えたことはなかった。

 

全体的に身体に無駄なくぴったりフィットする構造になっていて、足上げとかは突っ張り気味。

当然モンベルのみたいに中であぐらをかくことはできないが、普通に寝てる分は特に気にならない。

とは言えゆったりめではないんで、寝相が悪くて寝返りを乱発する人にとってはちょっと狭苦しいかも。

朝起きたらこんな感じで「ひねり潰された“いろはすボトル”」みたいになってる事請け合いである。







 

適応温度域

Sp1の温度域は、「快適温度+12℃、下限温度+8℃、極限温度-5℃」

設定はヨーロッパ基準で、以下な感覚。

  • 快適温度=標準的な女性がリラックスした姿勢で快適に眠ることができる温度
  • 下限温度=標準的な男性が丸まった姿勢で8時間、起きることなく眠ることができる温度
  • 極限温度=標準的な女性を基準とした生存可能な温度

 

ほんと、寝袋の基準って難しくて曖昧で、どう考えても人によって違うし着てる物によっても変わってくるから目安の目安でしかない。

BBGとしては「夏のアルプスでの使用を想定し、ダウンジャケット(&パンツ)も持っている」という条件でこのSp1を選出している。

この辺の「シュラフよりも保温着の充実を図った方がいいぜ理論」は前回のOMMのMountainRaid 1.0の記事でアツシオガワが語ってるんでそっちを参考に。

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その上で、「標準的な男性よりも低体温・低血圧・低収入で、女性並みの冷え性」というユーコンカワイの感覚ですごーく曖昧にお伝えすると以下な感じです。

 

まず、7月頭の低山ハイクの時(1,200m地点)は寝る時暑し、朝快適。

フロアレスシェルターにて。保温着は着用せず。

7月下旬、アルプス樹林帯(2,000m地点)は雨で15℃くらい。晩朝快適。

結露は凄かったが保温力落ちず。保温着は着用せず。

8月中頃のアルプス樹林帯(1,800m地点)では、晩から朝まで一番快適だった。

これ外で寝たわけじゃないすよ。保温着は着用せず。

同じく高度を上げてアルプス稜線上(2,900m地点)は、上下レインウェア着て晩朝快適。

ダウンジャケットは着ずに上からかぶせる程度で十分だった。

8月末タープでの沢泊(800m地点)は寝る時暑し、朝快適。

濡れることが多い沢泊でも問題なく使用できる。保温着は着用せず。

9月初旬アルプス(2,500m地点)、朝は5℃くらいで冷え込んだ。ダウンは上だけ着た。丁度いいギリギリライン。

猛烈な結露だったがやはり保温力は低下しなかった。

ってことで、8月いっぱいまでアルプスでは余裕で対応してくれた。

ここにダウンの上下を着込み、SOLのエスケープライトビビィなどの保熱カバーを加えれば、寒がりさんでも9月中旬までは行けるだろう。

ってことでユーコンカワイ的には、「保温着持ってる状態で5℃までが快適温度」とでも言っておこう。

で、そこからの季節は、気温に応じてSp1を保温アップインナーとして既存のシュラフの中に入れて使っていくのが良いだろう。(※いずれ実践したらこの記事内で追記していきます)

具体的な数値でベスト環境は伝えられない部分があるけど、Sp1は「シュラフ単体」として意識するのではなく、着るものやカバーなど他装備をうまく利用しながら年間通して使っていけるシュラフだと思います。

 

アンダー400gシュラフ比較

それではここで、前回の第1弾でも書いたアンダー400gのシュラフ比較表も載せておきますね。

ブランド OMM イスカ モンベル ナンガ SEA TO SUMMIT Western Mountaineering
商品名 MountainRaid 1.0 Air 150X アルパインダウンハガー800 #7 MINIMARHYTHM 180 Sp1 セミライト
画像
中綿 プリマロフトGOLD 800FP+(ホワイトグース) 800FP EXダウン 930FP(シルバーグース) 850FP+ ULTRA-DRY Down 850FP+(グース)
撥水
中綿量 150g 180g 180g 225g
下限温度 +14℃ +8℃ +8℃ 0℃(快適) 8℃ 不明
価格 ¥30,000+税 ¥18,500+税 ¥17,900+税 ¥46,500+税 ¥38,000+税 ¥31,000
重量 345g(実測) 375g(実測) 371g 325g 376g 370g
収納サイズ 22×15cm 11×19cm 12×24cm 13×20cm 11×20cm 13×25cm
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※横スクロールできます。

 

まとめ

ってことで、さすがの大谷翔平。これといった欠点が見つかりませんでした。

一つあるとすれば、アウター素材がPERTEX QUANTUMじゃなくなったことかなあ。

PERTEX QUANTUMのが撥水性や透湿性や引き裂き強度が高いような気もするんだけど…。

 

とはいえ夏をメインにしつつ、上手に利用すれば年間通して付き合っていける素晴らしい一本。

軽いけど快適性を犠牲にしないという、シートゥーサミットのコンセプトを代表するモデルでしょう。

寒さに自信のない人はSp2やSp3のモデルも検討してみよう!

 

 

SEA TO SUMMIT(シートゥサミット)「Spark Sp1(スパークSp1)」

モデル Sp1 Sp2 Sp3
温度域 快適12℃・下限8℃・限界-5℃ 快適7℃・下限2℃・限界-12℃ 快適2℃・下限-4℃・限界-20℃
ダウン量 180g 280g 400g
総重量 348g 464g 625g
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※今期から代理店が変わり、まだシートゥサミット日本用サイトがオープンしてないためメーカーへのリンクなし。

 

荷物の軽量化で一番悩ましいのが、やっぱりテントとこのシュラフ問題。

もし今自分が持ってるこの軽さのものにチェンジできたらと思うだけで、もう興奮しちゃいませんか?

持ってて絶対損はないULシュラフ界の大谷翔平くん。

投げる(軽量)のも打つ(撥水)のも高いレベル(保温)で大車輪の活躍間違いなしでございます。

何気にこの白のカラーリングも、お家の布団で寝てる感じで個人的にはグッドでございました。

 

それでは荷物も軽やかに、また山でお会いしましょう。

最近めっきりお肌の撥水性が落ちてきたユーコンカワイでした。