竜虎相搏つ!ついに激闘の開幕から3ヶ月。彼らの壮絶な戦いに今終止符が打たれようとしている!果たして初代BBG ダイエット王の座に輝いたのは誰なのか?そして北岳で二人分の荷物を担ぎ上げ、敗者の腑抜け奴隷として君臨するのは誰なのか?血で血を洗う龍虎の激突。死して屍拾う者なし。待った無しの最終測定である!

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第10ラウンド

事の発端は3ヶ月前。

BBG立ち上げの多忙雪崩に巻き込まれた二人は、極度の運動不足によってデブまっしぐら。

このままじゃやべえっつって急遽企画したのが、このBBGダイエット王タイトルマッチだった。

そして負けた方はその根性を叩き直すべく、北岳で3,000mの世界まで二人分の荷物を担ぎ上げ、テント設営から食事の世話まで全てを奴隷としてダイエット王に尽くさねばならなくなったのである。

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そこからの二人は、3ヶ月後の最終計測日に向けて熾烈なデッドヒートを繰り返した。

ある者はトイレ行ってる隙に机にチョコレートを置いたり、常に見える位置にポテチを配置したりと、実に過酷な心理戦が繰り広げられたのだ。

そして迎えた中間計測の日では、戦前の予想に反して「もち肌しまむら社員カワイ」が「黒ひげペンギン社長オガワ」に1.4キロの差をつけてリード。

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3ヶ月間、お互いがトータル何キロ痩せたかの数値で戦うこのBBGダイエット王タイトルマッチ。

完全にアウトドアギアと全く関係ない企画だが、ある意味「己のボディこそが最大のアウトドアギア」と言い張ってやまない二人。

自身のUL化に成功し、晴れて王として北岳に登るのはどちらだ!?

そして奴隷としてその王に尽くし、己の不甲斐ない根性を叩き直されるのはどちらなのか!?

いざ、最終計測である!

 

最終ラウンド

静かな朝だった。

夜半から降り始めた大雨は止み、気だるくもどこか荘厳な雰囲気が朝の街を包み込む。

会場は静まり返り、運命のその瞬間がやって来るのを静かに待っている。

 

固唾を飲んで見守る観客たち。

その静寂を切り裂くかのように、静かに実況中継が始まった。

 

冨樫「みなさん、おはようございます。擬似芝生オフィス会場よりBBGダイエット王タイトルマッチをお送りしてまいります。実況は私富樫源次、解説は虎丸龍二さんです。虎丸さん、よろしくお願いします。」

虎丸「よろしくお願いします。」

富樫「それでは早速両選手の最終計量が始まります。まずは青コーナーより“黒ひげペンギン社長”ことアツシオガワの入場です!」

富樫「相変わらず皆さんが働いてる平日の朝っぱらから脱ぎ出しましたね、虎丸さん。」

虎丸「一応これが彼らの仕事ですからね。3回目ともなるともう慣れたものです。」

富樫「あっと、これは見た感じなかなかいい状態に仕上げてきたんじゃないでしょうか?」

虎丸「そうですね。彼はこの3ヶ月間、朝飯抜き、昼飯普通、夜はサラダという食事制限ダイエットを続けてきましたからね。」

富樫「しかも大無間山や鋸山など、ハードな山行もこなして、しっかり絞ってきた感じがあります。」

虎丸「さらにはダメ社員に悩まされて随分心労も重なったみたいですよ。山登るのに登山靴忘れてきたり、大事な竿を折ってきたり、約束の合流時間に帰って来ず遭難騒ぎを起こしたりなど。そのあたりも影響しているようです。」

富樫「さあ、そしていよいよもはやトレードマークとなってきた彼の“ペンギンパンツ”の登場で….あ…ああっと!」

富樫「ぺ、ペンギンじゃない!ゴリラ、ゴリラだああ!」

※MOKKORI規制のためゴリラに隠していただいております。

富樫「お馴染みのペンギンパンツかと思いきや、まるでライガとフウガのようなゴリラが両サイドから股間をパンチしているパンツに切り替えてきました!これはどういうことでしょう、虎丸さん。」

虎丸「これは彼の並々ならぬ勝負への意気込みでしょう。今日の彼は本気です。」

富樫「さあ!そんな意気込みとゴリラともに、今祈るように体重計の前にセット!」

富樫「ここで一旦おさらいしておきましょう。こちらが3ヶ月前のペンギン時代の彼の写真です。」

富樫「この時の彼の体重は74.6キロ。さあ、果たしてこの3ヶ月で一体何キロ落としてきたのか?いざ!ライドオン!」

富樫「な、70.6キロッーー!ジャスト-4キロの減量に成功だああ!」

虎丸「中間計量の時が-2.2キロでしたからね。実にいいペース配分で痩せられたようですね。」

富樫「この結果に対し、どうだ!と言わんばかりの表情で赤コーナーを睨みつけるヒゲゴリラ!」

虎丸「まるで優勝を決めた直後の朝青龍のような迫力です。これはダイエット王にかなり近づきましたね。」

 

富樫「それでは続きまして赤コーナーより“もち肌しまむら社員”ことユーコンカワイの登場です。」

虎丸「中間発表では彼のほうがリードしてましたからね。結果が楽しみです。」

富樫「おおっと!その暫定チャンピオン、この段階で早くも苦悶の表情ですよ、虎丸さん!」

虎丸「四十肩ですね!全然治らなくて、彼は服を脱ぎ着するたびにこのような状態になるようです。最近じゃ寝返り打つたびに痛みで起こされてるようですね。やっと子供の夜泣きから解放されてきたと思った矢先に、今度は自分の夜泣きに苦しんでいるそうですよ。」

富樫「歳はとりたくないものですね。ああっと!そしてこちらもお約束のパンツずり下がりが炸裂だ!」

虎丸「相変わらず物持ちのいい彼は、ゴムがゆるゆるになってもこのパンツを履き続けてるんですね。もうこの光景も見慣れましたね。」

富樫「そして今振り返り..あ、あれ?」

富樫「これ前の中間計測の時より随分腹出てませんか?」

虎丸「しかも中途半端に痩せたためか、自慢のおっぱいもババアみたいに垂れ下がってきてますね。」

富樫「慌てて寄せて上げてますが、相変わらずたわわなおっぱいしてますね、虎丸さん。」

虎丸「これ、痩せたと言っても見た目が変わってなきゃあまり意味がないですよ。」

富樫「とはいえこれはトータルで何キロ痩せたかの勝負。まずは3ヶ月前の彼の状態をおさらいしてみましょう。こちらがその時の写真です。」

富樫「何度見てもこれはヤバいですね。」

虎丸「腹の出具合と、足のムキムキさとのバランスがそのキモさに拍車をかけています。さすがですよ。」

富樫「この時の彼の体重は77.6キロ。かつて15万円かけて3ヶ月間パーソナルジムに通って1キロも痩せなかったこの男。果たして結果を出すことができるのか?さあ、いざ!ライドオン!」

富樫「き、き、キタァッーーー!71.2キロ!なんと-6.4キロの減量達成ーー!!」

虎丸「すごい!」

富樫「会場はスタンディングオベーション!どよめきと拍手が止まらない!ユーコンも歓喜のプラトーンだああ!」

富樫「今ここに第一回BBGダイエット王が決定!初代チャンプはまさかまさかのユーコンカワイ!大方の予想を裏切り、アツシオガワに2.4キロの差をつけてぶっちぎりの優勝です!」

虎丸「四十肩の痛みに耐えてよくがんばった!感動した!おめでとう!」

富樫「一方、敗れたヒゲゴリラ!ショックのあまりピッチの上に倒れたまま身動き一つできません!」

虎丸「まるで2006年W杯終了時の中田英寿選手のようです。これはショックが大きいですよ。」

富樫「やってる本人たちが“ユーコンカワイが負けるのありき”で計画を進めていただけに、このまさかな結果に立ち上がることができません!これにてヒゲゴリラは“北岳奴隷権”を獲得!全荷物を担ぎ上げて全力でユーコンカワイに尽くすことになりました!」

虎丸「まさかここまでユーコンが追い込んでくるとは思ってなかったから裏切られた気持ちでいっぱいでしょう。なんせ後半のユーコンは“昼飯抜き”という今までやったことなかった方法で急激に体重を落としてきましたからね。よっぽど北岳で荷物背負いたくなかったんでしょうね。」

富樫「そんなヒゲゴリラをよそ目に、今1ヶ月ぶりの勝利のお昼ご飯であります!」

虎丸「王者の貫禄すら感じますね。こっからの急激なリバウンドが目に見えるようです。」

富樫「しかしどんなにリバウンドしようがこの3ヶ月の結果が全て。彼は奴隷のゴリラを引き連れ、7月末か8月頭に北岳に王として登ることになります。」

虎丸「意外と荷物背負ってるゴリラよりも、へこへこで登ってる空身のチャンピオンの姿が見られるかもですね。」

 

富樫「それでは長きにわたってお送りしてきたこのBBGダイエット王タイトルマッチもこれにて幕。会場からお別れです。虎丸さん、ありがとうございました。」

虎丸「ありがとうございました。」

富樫「それではみなさんごきげんよう。また北岳でお会いしましょう。さようなら。」

 

 

こうして3ヶ月間に渡る龍虎二人の壮絶な戦いは終わった。

おそらく二人はこの反動でひたすらラーメンなどを食いまくるだろう。

とりあえず7月末か8月頭の北岳で、軽装の男と重装のゴリラがいたらお気軽に声をかけてください。

我が下僕のゴリラにあなたの登山靴の泥を舐めさせます。

 

さあ、今日から食うぞ!