北アルプスの山並みを眺めながらコーヒーをすする島崎三歩。漫画「岳」のあのシーンを見て「くぅ〜、いいなぁ」なんて思っちゃった人は多いだろう。ただあくまでも贅沢品なので、荷物制限のある山行であれだけのものを担いで行く気にはならない。そんな中、山への持ち運びに便利なポーレックス社の「セラミック コーヒーミル ミニ」の存在を知り、早速BBGはそれを買って試してみた。誰も救助できないが、気持ちだけはレッツ島崎三歩なのである!
[toc]
山で味わうロマンの味わい
まずそもそも論だが、僕はそこまでコーヒーの味にはうるさくない。
もちろん美味しいコーヒーであるに越したことはないが、大好きな山にいるだけで幸せなのでスティックコーヒーでも余裕で楽しめてしまう。
しかしである。
山でコーヒーを飲むということは「ロマンを味わう」ことに他ならない。(方向性違ってたらごめんなさい)
大自然に包まれ、周りの空気と一緒にコーヒーミルで豆を挽く時の香りを楽しみ、その山の湧き水を沸かしたお湯を沸騰させ、そして静かに焦らず、ゆっくりじっくり蒸らしながらお湯を注いで行く。
もはやそれはただコーヒーを入れるという作業ではなく、精神的なアクティビティ。
日常生活や激しい運動でカッカした交感神経は副交感神経へと徐々に変遷し、気持ちはもはや千利休。
目で景色を楽しみ、トンビの声と沢のせせらぎを耳で受け止め、芳醇な香りを鼻に受け入れる。
そして口でその褐色の「ロマン」をすすり、一発美木良介ばりのロングブレスを「ぷふぅ〜〜」って吐いてごらんなさいよ。
あれほど早かった時間の流れは緩やかになり、温まった胃の中で心までもホッコリと穏やかになる。
そして堂々と思っちゃえばいいのだ。
細い目をして遠くを眺めながら思っちゃえばいいのだ。
「ああ、俺って今絵になってるぅぅ。」って。
要するにそこには自己陶酔要素がふんだんに盛り込まれており、焚き火と似た麻薬効果が存在している。
あくせくとタイムアタック登山をする人たちを横目で見つつ、「大人の余裕」を勝手にかましながら悦に浸る。
何やらスタバでMacBook広げてる人的な要素もあるが、そんなものは酔えた者勝ちだ。
もはや酒以上に己に酔えるアイテム。
しかも美味しい。
それが山でのコーヒータイムの妙なのである。
軽量コンパクトなコーヒーミル ミニ!
まずはやっぱり「コーヒーミル」でしょう。
やったことない人は、あのゴリゴリと豆を挽いている姿に漠然とした憧れを抱いている人も多いはず。
正直僕的にはコーヒーを飲むという行為より、「山でゴリゴリしたい!(変な意味じゃないよ)」という欲求の方が強かったりする。
でもあれ結構重いしかさばるしで、正直持って行く気にはならなかった。
そこで登場するのがこのポーレックス社の「コーヒーミル ミニ(PORLEX MINI COFFEE GRINDE)」なのである。
アウトドアへの携行品として作られているため、非常にコンパクトかつ軽量。
容量的には約20g(約2人分)のコーヒー豆を挽くことができる。
重量は実測では246g。
まあ軽量って言っても246gって言ったらそこそこ重い贅沢品なわけだが、毎度のことながらそこは「ロマンの重さ」と割り切って受け入れるのがオツな男というものだ。
何気にこれステンレス製なんでチタンだったらもっと軽くて良いのにって思ってしまったが、どうやらステンレスの方がコーヒー豆に含まれる油分など本来の豆の味をダイレクトに味わえる!…らしい。
シビアな山行には持って行く気にはなれないが、のんびりと山を楽しむような余裕のある時はついつい持って行きたくなる一品だ。
セラミック刃で風味を維持!
コーヒーミルミニは工具無しで超簡単に分解可能。
中身はこのようなパーツで構成されている。
中でも注目したいのが、セラミック製の刃を使用しているということ。
セラミック刃は金属刃に比べて当然金属臭が豆に付着したり、摩擦熱でコーヒー豆が熱せられないため、コーヒーそのものの風味を楽しむことができるんです。
もちろん金属刃に比べたら磨耗も少なく錆びることもないから、お手入れも簡単だし長く使用できるんですね。
で、先端のつまみ部分をカチカチ回すと、豆の粒度調整が可能。
好みに合わせて、調節ネジを緩める(反時計回り)と粗く、締める(時計回り)と細かく豆を挽くことができる。
粗く挽けば薄味で、細かく挽けば濃くなります。
ちなみにこの部分に大きく「made in JAPAN」としっかり書いてあるんだが、どうやら他の中国製のミルより粒度の安定度が優れているみたいなんですよ。
やはりそこは技術のジャパンメイドですな。
とは言えこれも安価なものなので、ちゃんとしたミルと同等の安定感は求めちゃ野暮ですぜ。
お手入れも簡単!
前述の通り簡単に分解できるし、セラミック刃は水洗いが可能。
コーヒー豆のカスはそのままにしておくと酸化してしまって、次回使用した時に新しい豆の味や香りを損なってしまう恐れがあるから、長期使わない場合は小まめに洗って清潔にしておく必要がある。
セラミック刃だから怪我の心配もなく、ブラシなどを使えば簡単に汚れは落ちる。
手入れのしやすさと長く使えるタフさは、「アウトドアギア」として考えた場合非常に重要な要素だ。
美味しいコーヒーの淹れ方!
1杯分のコーヒーに必要なのは10-12gほどの豆、2杯分は20gほどをミルに投入です。
で、こいつをゴリゴリするわけだけど、このコーヒーミルミニにはラバー製のハンドルホルダーがついていて、これが滑り止めの役目をしてくれます。
とは言え、何気にゴリゴリするのには力が入ります。
ただその行為自体が何やらロマン心を満たしてくれるので、ついさっき僕に竿を折られて激怒していたアツシオガワも(参考記事:桃源郷を求めて〜鈴鹿最深部 山釣りファストパッキング〜)ご覧の仏顔に。
そしてそのゴリゴリとともに木漏れ日の森に漂う芳醇なコーヒー豆の香り。
コーヒー豆は挽いた時に香りの半分くらいを放出してしまうらしいんで、やっぱりミルから挽いて楽しむのがベストだ。
悪臭漂う体育会系の中年男達の匂いはたちまちコーヒーの香りでかき消され、穏やかすぎるモーニングタイムがやってくる。
で、豆を挽き終わった時登場するのが、ユニフレームの「コーヒーバネットsierra」。
sierraってついてるのはシェラカップに対応したものだからで、他にカップ用サイズのcute、ビッグサイズのgrandeといった商品展開がある。
これにフィルターセットして、挽いた豆を入れます。
ちなみにこいつの実測重量は49g。
軽量さだけで考えたら、箸や枝を使うことでたった4gに抑えたモンベル「O.D.コンパクトドリッパー2」の方がはるかに軽いけど、ある程度風がある屋外使用を考えたら安定感がある方がいいと判断してこちらを選んだ。
出典:mont-bell
しかもバネ状になってることによって、ドリッパーの隙間から空気を取り込んで余分なガスを放出するため、すっきりした味わいになるとのこと。
まあ正直そこまで細かく考えても特に味にうるさいわけじゃないから、モンベルのでもいいんだけどね。
単純にカスの後処理が楽だなってのと、ウェッティで拭けば綺麗になるからってのがこれ選んだ理由です。
で、入れた粉全体に軽くお湯をかけて30秒ほど蒸らします。
十分蒸らしたら、中心にくぼみを作るように3回くらいに分けて注いでいきます。
あとはじっくり抽出されるのを待てば、美味しいコーヒーの完成であります。
もはや雰囲気だけで美味しいのであります。
ってことでコーヒー素人のユーコンカワイが張り切ってコーヒー作ってきましたんで、参考動画でどうぞ。
このようにどこまで高倉健的な渋い自分(あくまで自分の中の世界)に浸れるかが一番の重要事項になってきます。
飲んでいるのはコーヒーじゃないんです。ロマンなんです。
ロマン心の無い者は大人しくスティックコーヒーを持参して、山で違いのわからない男を貫き通すといいでしょう。
とりあえずコーヒー好きは持ってて損はない一品。
アウトドアに限らず、家でも重宝すること間違いなしですよ!
PORLEX(ポーレックス)「PORLEX MINI COFFEE GRIND(コーヒーミル セラミック ミニ)」
出典:porlex
UNIFLAME(ユニフレーム)「Coffee Banet sierra(コーヒーバネット シェラ)」
出典:uniflame
※リンクはコーヒーバネットで貼ってあるので、自分のカップに合わせてcute、sierra、grandeと選んでください。
mont-bell(モンベル)「O.D.コンパクトドリッパー2」
出典:mont-bell
たまには目的地だけを闇雲に攻めていくのをやめて、じっくり山でコーヒー飲んでみませんか?
そして勝手に高倉健や島崎三歩になってみませんか?
違いのわかる男風にアルプスを眺めてみませんか?
一味違った世界がそこにはありますよ。
それではまたお会いしましょう。
ユーコンカワイでした。