軽量・快適・格好良さ、この世のすべてを手に入れた男、UL王・ケーリョーロジャー。彼の死に際に放った一言は人々をファストパッキングに駆り立てた。
「俺のバックパックか? 欲しけりゃくれてやる。探せ!この世の全てをそこにデポってきた!」

男達はロングトレイルを目指し夢を追いつづける。世はまさに大物欲時代!
買い物王に…俺はなるっ!

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航海日誌〜冒険の夜明け〜

・2017年5月10日 晴れ

出港の朝を迎えた。

私はUL王ケーリョーロジャーが残したとされるひとつなぎのファストパック「ワンパック」を手に入れるため、これからこの魅惑の大海原に漕ぎだそうとしている。

その世界は追求するほどに奥深く、迷い出したら二度と帰ってこれぬと言われる「群雄割拠の新世界」。

今まで細分化されていた「本格バックパック」と「ULバックパック」の境界も曖昧になりつつある今、ULという括りにとらわれず「自分に合ったファストパッキング選び」という大航海に飛び出す時が来たのである。

 

ロジャーが残したポーネグリフを読み解くと、ワンパックに到達できる条件は以下の通り。

  • テントをinした1,2泊程度のハイクを想定したものね
  • 軽量重視しすぎたストイックで背負い心地悪いのはイヤよ
  • でも1kgオーバーしすぎてもイヤだからね
  • 背負い心地重視で背面はフレームかパッドありでよろしくね
  • 荷物重量15kg程度までは快適に背負いたいんだぜ
  • もちろんカッコよくなきゃダメダメよ
  • ULだからって生地の強度は妥協しないよ
  • 防水性もあったらウレシーねー

 

全くとんだわがままなUL王だ。

しかも彼は最後にこう付け足している。

「会社の経費は使うんじゃねえぞ。完全自腹で本気で選べ!」と。

 

こうして私はミジンコの涙程度のお小遣いを握りしめ、絶対に失敗の許されない過酷な航海に飛び出した。

次に戻ってくる時はワンパックを手に入れて買い物王になってから。

さあ、我が迷走の航海が今始まるのである。

イーストブルー編

・2017年5月11日 曇り

イーストブルーに漕ぎ出した私は、まず最初に「モンテイン島」という小島に到達いた。

そこで出会ったウルトラなお宝の名は「ウルトラツアー40パック」だ。

出典:montane ※画像クリックでメーカーサイトへ

Treasure SPEC
容量:40L
重量:約734g
素材:RAPTOR Zero
価格:17,280円(税込)

なんだかんだ言いながら一発目からだいぶ「ランに寄った」お宝にぶち当たった。

トレイルレース用のものの余裕のあるオーバーナイト版といった感じで、「ハイクって言ったって結構走っちゃうぜ系」のファスト野郎には持ってこいのお宝。

何よりラン系のものは体へのフィット感が素晴らしいから、荷物が軽量なら結構快適なはず。

RAPTOR Zero生地も耐久性と撥水性があり、ロールトップ式でレインカバー要らず。

背面の「コンフォートベントバックパッド」ってやつは、メッシュ素材でそこそこの通気性と背負い心地を提供してくれるだろう。

出典:montane ※画像クリックでメーカーサイトへ

お値段的にも手を出しやすかったが、単純にこのイケイケ系のカラーリングが地味顔の私には合わせられる気がしなくて断念。

重量的にもロジャーの言う15kgの荷重には耐えられそうにない。

まあ、まだ冒険の旅は始まったばかりだ。次行こう。

MONTANE(モンテイン)「Ultra Tour 40(ウルトラツアー40パック)」

グランドライン突入編

・2017年5月12日 雷雨

その後イーストブルーを抜けた私は、ついにグランドラインの航路へと突入した。

そこに待ち受けていた超大国の名は「ザ・ノース・フェイス王国」。

そしてその王国内で発見したのがこのイカす「カイルス35」なのである。

出典:the northface ※画像クリックでメーカーサイトへ

Treasure SPEC
容量:35L
重量:M/1,105g
素材:70Dジオリップストップナイロン(表:シリコンコーティング/裏:PUコーティング)、ボトム:210Dリップストップナイロン、ポリエステル
価格:25,920円(税込)

はっきり言ってこれ見た時は、「あ、もうこの旅終わった。ワンパックみっけ。」という気分だった。

さすが天下のノースフェイス王国、トップブランドが本気出してファストパック作ったらこうなるんだぜ!って言われてるかのような隙のなさ。

しかもこのカイルス35は、あの「スタスタの実を食べたスタミナ人間」のアドベンチャーレーサー田中陽希さんがグレートトラバースで使用したもののアップデート版。

陽希さんの過酷な挑戦と細かな要望を、わずか約1.1kgという軽量さの中に詰め込んだ究極のお宝だ。

背面にはこのようにしっかりしたフレームがあり、隙間も作って蒸れを軽減。

出典:the northface ※画像クリックでメーカーサイトへ

他にも使い勝手のいい各所のポケットだったり、レインカバー内蔵、サイドから内部にアクセス可能など軽量パックとは思えない使いやすさで欠点が見当たらない。

あえていうならば生地が薄くて強度的に心配ってことくらい。

 

しかし私の冒険はまだここでは終わらない。

なぜなら私は極度の「アマノジャク野郎」であるばかりか、もうノースのパックたくさん持ってるってのもあっていまいち手が伸びないからだ。

ノースにしたら「そりゃねえぜ」って理由だが、自腹購入なだけにそこは譲れない。

ほんと、申し訳ない。何気にちょっとだけ1kg超えちゃってるし。

ただリアルに最高のファストパックだったことは間違い無いだろう。

The North Face(ザ・ノース・フェイス)「Caelus35(カイルス35)」

ちなみに抜かりのないノース王国は、このカイルスよりもより機能を絞った1キロ以下のお宝も出している。

それがこの「エフピーハイブリッド40」である。

出典:the northface ※画像クリックでメーカーサイトへ

Treasure SPEC
容量:40L
重量:M/870g
素材:70Dジオリップストップナイロン(表:シリコンコーティング/裏:PUコーティング)、ボトム:210Dリップストップナイロン/ポリエステル
価格:25,920円(税込)

価格や素材はカイルスと同じだが、雨蓋が無くなってロールトップ式になり、よりランニングも想定内に入れたシンプルな作りになっている。

ちなみに私と共に「最悪の世代」の一人として名を挙げた海賊「黒肌」ことBBGアツシオガワはこのモデルである。

The North Face(ザ・ノース・フェイス)「FP Hybrid40(エフピーハイブリッド40)」

空島編

・2017年5月13日 雪

グランドラインを順調に進んでいた私は、突き上げる海流に乗って船ごと空に飛ばされた。

そしてそこには空島と呼ばれる天空の世界が存在していて、そこからは月が6つに見える不思議な体験をした。

その空島の名は「シックスムーンデザインズ」。

その奥地のジャングルの中で、私はこの空飛ぶ「フライト40」というお宝に遭遇したのである。

出典:sixmoondesigns ※画像クリックでメーカーサイトへ

Treasure SPEC
容量:44.2L
重量:1,270g
素材:420 Nylon robictm 背面素材/3D Mesh サイドパネル/210 Nylon robictm ポケット/4 Way stretch
価格:38,880円(税込)

この下界にはあまり存在しそうにない、変わり種でレアな感じがたまらない。

ただ物珍しいだけでなく、ロングハイカー&100マイルレーサー目線でしっかり作り込まれており、フレームの構造や荷重分散がよく考えつくされた背負い心地に優れた一品。

15kgくらいの重量でも十分負担なく運ぶことができるから、まだ中身の軽量化が進んでない人にとってはたまらないお宝だ。

しかもファストパックなのに背面調節可能という素敵さ。

出典:sixmoondesigns ※画像クリックでメーカーサイトへ

さらにショルダーはベストタイプが選択されてより、フィット感はもちろん前面にポケットが豊富で何かと便利。

まさにランとハイクザックの良いとこを混在させて、背負いやすさも利便性も一切手を抜かずに仕上げた名品。

コンプレッション機能もしっかりしてて、荷物が少ない時も絞り込んで揺れや偏りを防ぐこともできる。

 

多少バックパック自体が重くてもここまで快適ならアリかと思ったが、1,270gは少々ロジャーの要望からは外れている。

アマノジャク野郎としては相当後ろ髪を引かれたが、私は空島を後にして再びグランドラインの航路に戻った。

ワンパックへの旅はまだまだ続くのだ。

SIX MOON DESIGNS(シックスムーンデザインズ)「FLIGHT40(フライト40)」

四皇編その1〜ワノ国の雄〜

・2017年5月14日 嵐

空島以降、数々の冒険と回り道を繰り返し、私はついにグランドライン後半の海「新世界」に到達した。

その新世界では「四皇」と呼ばれる4つのファストパックが激しく縄張り争いを繰り広げていた。

ロジャーのワンパックが眠るとされている最後の島「ラフッテル」に到達するためには、この四皇を全て撃破しなくてはならない。

 

まず私は四皇の一角で、ワノ国のUL界に君臨していた「山と道海賊団」に喧嘩を売って勝利を得た。

そこで手に入れたお宝が、「U.L.FramePack ONE」なのである。

出典:山と道 ※画像クリックでメーカーサイトへ

Treasure SPEC
容量:背面長45 / 48 / 51cm : 35~47L 背面長54 / 57cm : 40~52L
重量:約511g~約636g(サイズ、仕様によって変動)
素材:3Dメッシュ, 200 Denier Coated Nylon Oxford ボトム/X-Pac VX21 フレーム/カーボン
価格:40,600円(税込)※カスタムオーダー品

まず目を引くのはその見た目の美しさと完成度の高さ。

そしてしっかりしたフレームパックでありながら、今まで出会ってきたお宝の中では最軽量の約600g。

何よりカスタムオーダー品なので「俺は軽量重視」とか「拙者は生地強度重視」とか「あたいはカラー重視」とかの視点で自分好みの仕様にできることも魅力。

そしてULバックパックとは思えない背負い心地を実現しているX状に配置されたカーボンフレーム。

背中に張り付くように荷重を分散させ、かつ状況に応じて背負ったまま荷重バランスをコントロール可能。

そして水筒やジャケットや座布団マットとか、ハイク中に何かと出し入れすることが多い色んなものの収納に関してもよく考えられたポケットたち。

さすがは四皇の一角、隙がないどころか各所に細やかな配慮を感じてしまう魂の一品だ。

 

めちゃめちゃ欲しいし、そのXカーボンフレームの威力を存分に味わってみたかったんだが、なんせカスタムオーダー品なので手元に届くのは数ヶ月先になってしまう。

私は「アマノジャク野郎」とは別に「待てない男」という別名も持っているため今回は断念。

近々使ってレビューが書きたいので、これは今の私のワンパックではないのである。

山と道「U.L.FramePack ONE」

四皇編その2〜T-REXの雷光〜

・2017年5月15日 雷

私が次にターゲットに選んだ四皇の一角は、スイスの異端児集団である「エクスペド海賊団」。

その海賊団には「他とはちょっと違う・でも作りしっかりしてる・あんま使ってる奴がいないレア感」という感じがあって、個人的にとても好感を持っていた。

そんな異端児集団の中で、出会った瞬間に脳内に閃光が走ったお宝がある。

それがこの「Lightning 45」なのである。

出典:exped ※画像クリックでメーカーサイトへ

Treasure SPEC
容量:45L
重量:1,150g
素材:210 D Dyneema gridstop/nylon, PU coated
価格:23,760円(税込)

思わず「嗚呼!我が航海はここで終わった!これが私のワンパックだ!」と唸ってしまったほど。

この計算された裁断と縫製、そしてそのシンプルかつ強靭なダイニーマのボディ。

パックのコンプレッション能力にも優れ、積載量に合わせて荷物の揺れも軽減。

そして特筆すべきは、背面センターにズドンッと存在感を示すこのT字型の「T-Rexサスペンションシステム」。

出典:exped ※画像クリックでメーカーサイトへ

 

背負い心地が良いことはもちろん、無段階調整も可能で、かつ背中との接地面が少ないことによってムレも軽減。

ファストパックのくせに、メーカー公称の耐荷重はなんと驚きの24kg。

これを15kg以下の荷物で背負えば快適なことは容易に想像できる。

なんせ背中に恐竜(T-Rex)がいるのだから。

アマノジャク魂も満たされ、値段的にもちょうど良い感だったからいよいよ私はポチり寸前にまで追い込まれた。

 

しかしこのバックパックは登場してからそこそこ年数が経っており、BBG的に買ってレビューするには新鮮味に欠けるところもある。

っという、自腹のくせに完全にお仕事の都合上だけの理由で購入を断念した。

おそらくお仕事関係なく個人だけの感覚なら速攻で購入していたことだろう。

買い物王になるのも中々楽じゃないのである。

EXPED(エクスペド)「Lightning 45(ライトニング45)」

四皇編その3〜疾風する円弧〜

・2017年5月15日 霧

「Z」── それはアルファベットの最後の言葉。

それゆえ「Z」とは「最終形」を意味するワードでもある。

そしてその名を冠した「最終形のファストパック」を名乗る海賊団がいる。

それこそが個人的には「マニアックかつ最強」の四皇と認める「Zpacks(ゼットパックス)海賊団」。

私は苦心の末そんな日本では聞き覚えのない最強の四皇を撃破し、そして奪い取ったお宝がこの「Arc Blast Backpack(アークブラスト)」なのである。

出典:zpacks ※画像クリックでメーカーサイトへ

Treasure SPEC
容量:45L
重量:595g
素材:キューベンハイブリッド(キューベンファイバーに50Dのポリエステルをラミネート)
価格:325ドル

見た目のシンプルさとマニアックブランドだからと見くびってはいけない。

特筆すべきはキューベンハイブリッドの強靭なボディで、山と道同様の軽量さだけでなく、耐摩耗性、耐裂性がハイパーに優れてちゃっていることだ。

そして一番注目したいのは背面のカーボンフレーム部分。

その部分は「Arc(円弧する)」「Blast(疾風)」の名の通り、細引きのテンションで湾曲させることが可能で風通しの良いエアスペースを作ることができるのである。

出典:zpacks ※画像クリックでメーカーサイトへ

もちろんこのフレーム構造により500g台のULパックとは思えない安定感と背負い心地なのは間違いない。

軽さだけに依存しないこの質実剛健な強靭さと安定感と快適性。

余計なものは排除し、必要な部分の質を高めたこの「シンプルにこそ最強が宿る」というお手本のようなファストパック。

しかもZpacksは「オプション」が充実しており、このシンプルなパックをベースに自分にあったポケット・ループ・ホルダー・ストラップ・サブバッグなどをアドオン可能なのだ。

はっきり言ってこいつこそ「Z」を名乗るにふさわしい、ファストパックの最終形だと断言できるのである。

 

ただ「Z」と言うだけあってそこに至るまでの道のりは遠く、価格325ドルって書いてあるようにアメリカに直接オーダーするしかないという現状。

そして「サイドにメッシュポケットつけてー、チェストバックつけてー、ポールホルダーつけてー」なんてオプションつけてくと送料含めて軽く5万円オーバー。

物がいいのは間違いなんだが、さすがにちょっと…。

ってことで、「最強」という座は与えたものの、買い物王として「ご購入」までは至らなかった。

アマノジャクとしても最高のお宝だったが…中々厳しい航海は続くのである。

Zpacks(ゼットパックス)「Arc Blast(アークブラスト)」

四皇編その4〜覇王色のゴリラ〜

・2017年5月15日 大嵐

ついに私は新世界最後の王者のもとに到達した。

四皇の王者はUL界の始祖的な存在であり、かつ常に最前線でハイカーを虜にし続ける新世界の覇王。

その名は「ゴッサマーギア海賊団」。

そのゴリラのような強さのゴッサマーとの壮絶な死闘の末、ようやく勝ち取ったお宝の名がその名もずばり「ゴリラ40」である。

出典:Gossamer Gear ※画像クリックでメーカーサイトへ

Treasure SPEC
容量:40〜45L
重量:975g
素材:70 dn Robicリップストップナイロン 補強部/100 dn Robic リップストップナイロン 背面部/70 dn シリコンコーテッドリップストップ
価格:36,180円(税込)

ULとは思えないそのネーミングに宿るは、「軽さは二次的なメリットでしかない。ゴリラのような強靭さがあって初めて野性的に攻められるんだ」と言った強い意思が見て取れる。

軽さと背負い心地を維持しつつ、ハードな環境にも耐えうる強靭さと、ポケットの数や配置などの利便性の良さ。

まさに「トータルバランス最強」と言ってもいいファストパックで、このゴリラに対する不満点を今まで聞いたことがない。(強いて言えばデザインが少しだけ…ってとこくらい)

そしてこの現行ゴリラは、改良に改良を重ねて2016年に3回目のフルモデルチェンジを遂げたという進化版で、初代から約10年の時間をかけて到達した最高峰のゴリラ。

背面はカーブしたアルミステーでフィット感があり、取り外してマットに応用可能な背面パッドも付属。

出典:Gossamer Gear ※画像クリックでメーカーサイトへ

なんとなく背中に熱がこもりそうな印象はあるが、凹凸があるからそこまでひどいことにはならないだろう。

ショルダーとウェストハーネスも厚みも広さもしっかりとして、フィット感も申し分ない。

さすがは「UL界のグレゴリー」と言われてるとか言われてないとかの素晴らしい出来栄えだ。

背負い心地で言ったら、おそらく今回登場した全お宝の中でナンバーワンで、トータルバランスで言ってもナンバーワンだと認めざるを得ない。

 

ゴッサマーとの激闘を制し、四皇を撃破した私は「もうここらでこの戦いの螺旋から降りようか」と、一度はこのゴリラを理想のワンパックとしてお買い上げを決意。

もう本当にポチりの「ポ」まで行っていたが、寸前のところで踏みとどまった。

まだ私には最後の島「ラフッテル」が待っている。

そう、

そこにデポってあるファストパックこそ、ケーリョー・ロジャーが認め、そして己の理想に近いバックパック。

さあ、いざ最後の冒険へ。

私が買い物王として選ぶのはどんな一品なのか。

波濤をかき分け、ワンパックを目指して最後の航海である。

Gossamer Gear(ゴッサマーギア)「Gorilla 40(ゴリラ40)」







最後の島ラフッテル編〜風に乗る男〜

・2017年5月16日 快晴

静かな朝だった。

朝靄が晴れ、薄ぼんやりとした島の影はやがてはっきりと我が眼前に雄々しく立ちはだかった。

ついに私は「最後の島ラフッテル」に到達したのである。

 

そしてそこにあった一つの宝箱。

そこにはケーリョー・ロジャーのK.R.の文字が刻み込まれている。

私はその宝箱を恐る恐る開けた。

その中には、私が追い求めた「ハイパー」で「ライト」で「マウンテン」な「ギア」がそっと置かれていた。

その宝を手にした私は、二千四百の風に乗って空高く舞い上がる。

そしてやっとこの長い長い航海に終止符を打つべく、静かに、そして力強く「購入」ボタンを押したのである。

 

もう一度ロジャーのポーネグリフの文章をおさらいしてみよう。

  • テントをinした1,2泊程度のハイクを想定したものね
  • 軽量重視しすぎたストイックで背負い心地悪いのはイヤよ
  • でも1kgオーバーしすぎてもイヤだからね
  • 背負い心地重視で背面はフレームかパッドありでよろしくね
  • 荷物重量15kg程度までは快適に背負いたいんだぜ
  • もちろんカッコよくなきゃダメダメよ
  • ULだからって生地の強度は妥協しないよ
  • 防水性もあったらウレシーねー

 

この全ての条件を満たし、今ここに舞い降りた私の2017年最終ファストパック。

それがこの「Hyperlite Mountain Gear(ハイパーライトマウンテンギア)」の「2400 WINDRIDER」なのである!

出典:Hyperlite Mountain Gear ※画像クリックでメーカーサイトへ

Treasure SPEC
容量:40〜45L
重量:798g
素材:50D Dyneema®/Poly Hybrid  ボトム/Double reinforced 150D Dyneema®/Poly Hybrid  ポケット/Mesh
価格:43,200円(税込)

ハイパーライトマウンテンギアは、まだ創業して7年くらいしか経ってない新鋭ブランド。

しかしその革新的なデザインと機能性で多くのハイカーを魅了し、ここ数年日本でもよく見かけるようになってきた。

そのHMGのフラッグシップモデルとも言えるのがこの「2400 WINDRIDER」なのである。

 

とにかくタフで軽量で防水性に優れたハイパー素材が使用されており、過酷な環境での長期ハイクでもへっちゃらな安心感。

ベルト部分も水を含まない素材を中心に構成されているから、沢でも川下りでも雪山でも積極的に使えてしまう汎用性。

大きくて余裕のあるポケットと、荷物を圧縮するコンプレッション機能、そして高い密閉防水性を誇りながらもリザーバー用のスリーブまで搭載。

そして背面内部には取り外し可能なアルミステーが内蔵され、背負い心地や耐荷重的(公称18kgまでOK)にもバッチリ。

出典:Hyperlite Mountain Gear ※画像クリックでメーカーサイトへ

そして何よりはこのデザインのかっこよさ。

最近ロゴマークもシュッとしてカッコよくなり、ますます所有欲が掻き立てられた。

さらにはそこそこ浸透して来たとは言え、まだまだHMGのアイテムはアマノジャク的にも満たされる一品。

 

少々…というかかなりお高くて軽く吐血したが、ある程度ラフに扱っても「タフで壊れずいろんな場面で活躍するバックパック」という観点で言えば決して高すぎることはないだろう。と、自分に言い聞かせる。

何よりHMGはこれからもっと日本で浸透して行くのは間違いのないメーカー。

「実際の背負い心地はどうなの?」「背中蒸れないの?」「どの程度の防水性がある?」「本当に穴とか開かない?」など実際に私が気になった部分の使用レビューも求められるはず。

買い物王である前にBBGのクルーとして、そこはしっかりお伝えしていかなければならないのだ。と、自分に言い聞かせるのである。※その後のレビューはこちら↓

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ちなみにロジャーの残した秘宝だけに、日本では入荷したら即完売が続いて中々入手は困難な状況。

取扱ショップで目にしたりネットでSOLD OUTになってなければ、即座に決断するといいだろう。

Hyperlite Mountain Gear(ハイパーライトマウンテンギア)「2400 WINDRIDER(2400ウィンドライダー)」

最終章〜冒険の終わりと始まり〜

こうして私は長い長い航海を終え、「自分に最適」なファストパックに到達して買い物王の称号を手に入れた。

ただ全てを実際に現場でハードに使い込んだ宝物ではないだけに、この航海日誌を読んでいる人はあくまで参考として見てもらうといいだろう。

私は最後に2400 WINDRIDERに到達したが、ここで出会った宝モノ達はどれも最高のファストパックだ。

皆さんも「自分のスタイルに合うもの」目線で、自分だけのワンパックを見つけ出す航海に出て欲しい。

荷物の軽量化が相当進んでる人は背面フレームなんていらないだろうから、もっともっと軽量なパックに目を向けられるし、壮大な航海に埋没して行くことも可能なのだ。

 

そして無事に航海を終え、手に入れた相棒を背負って今度はリアルな旅が始まる。

全く楽しい循環ですね。

お金がいくらあっても足りないや。

でもロマンがあればいいの。

そのための第一歩。

 

荷物も心も貯金も軽くして、

さあ、自然の中に飛び出そう!

 

ウィーアー!