九重連山男塾4〜極楽浄土と激闘大相撲〜

第10話 男塾名物「船上大相撲」

やがて夜が明け、再び二人はモーニング急登タイムに突入。

坊ガツルからのピストンで7番目「大船山」と8番目「北大船山」を朝飯がわりに平らげてやるのである。

実は昨日までは縦走路だったから多少のアップダウンで済んだが、本日は普通にビッグな山を二つ登るという感覚。

残りは4座だが、そのガッツリ度は昨日よりはるかにヘビーだ。

もちろん朝日が昇る前のこの段階で、田沢が早くも廃人顔になっていることは言うまでもない。

ドラクエのようにひと晩寝れば都合よくHP・MPが全回復なんて現実にはありえない。

特に四十を超えてからと言うもの、朝起きてもHPはオレンジ色までしか回復しないばかりか節々がすごく痛い。

で、そんな状態で、起き抜けからいきなりこのような「カチカチツルツルキュートー」という名のボス戦に突入させられるのだ。

片足愛染恭子の田沢には本日も厳しい試練。

それでも昨日まで激戦場だった九重連山の1〜6の山々が、美しい姿で大鐘音のエールを叫んで二人を応援してくれている。

男塾は基本的に一度戦った相手は次回の大会から蘇生して仲間になるシステムなので、まさに昨日の敵は今日の友。

やがて美しく朝日が昇り、今日の修行の始まりを告げる銅鑼の音が九重道場に響き渡る。

はるか遠方には見目麗しき双耳峰「由布岳」のお姿も。

そして眼下に見下ろすは、米窪や段原(だんばる)の火口跡。

いよいよその絶景度に歯止めがかからなくなって来た九重連山。

さすがは九重の東の盟主と言われる300名山からの眺め。

そして今、くじゅう17サミッツ7番目であるその「大船山(だいせんざん)」に到達なのである。

綺麗めな写真をポンポンとお送りしてあっという間に着いた感があるが、朝っぱらからかなりしんどい道のりだった。

さあ、それはそれとして、本日も張り切って奉納の儀式を始めよう。

 

儀式一.「山頂数字寫眞」

2日目の1発目、「7番」大船山。

2日目ともなるとだんだんこの作業が「仕事」みたいに思えて来て、淡々と撮影作業は続く。

二人はほとんど打ち合わせもせずに無言でこのシンクロポーズを決められたほど、この不毛なお仕事に慣れてしまったのだ。

 

儀式二.「山頂表現寫眞」

大船山(だいせんざん)のテーマは、「大船に乗って未来へと漕ぎ出すBBG丸」である。

船役の田沢がやたら切ない顔をしているのは、松尾の重量で腹に岩が食い込んでいるからである。

結構しんどい態勢のようだが、荒ぶる波濤をかき分けてBBG丸が勢いよく大海へと飛び出して行く様子が上手に再現されている。

 

儀式三.「手男死相撲十番勝負」

もうすでに横綱松尾山の勝ち越しは決まっているが、まだまだ彼らの奉納相撲は終わらない。

松尾は全勝優勝を、田沢はせめてもの1勝をかけて挑む二日目の初戦。

 

それでは「第七番 大船山場所」。

いざ、始めィ!

 

昨日のFlyAwayのこともあり、田沢は背後の岩ばっかり気にして取組前から勝敗は決まっていた。

今の田沢なら、バッファローマンに「俺の超人強度は1000万パワーだ!」と言われた時のウォーズマンの気持ちが痛いほど分かることだろう。

差が圧倒的すぎるのである。

しかし次の北大船山で、そのウォーズマン田沢はいつもの2倍のジャンプと3倍の回転で光の矢と化す。

ついに田沢が松尾に一矢報いる時がやってくるのである。

 

で、その北大船山はそこからわりかし近い場所にある。

道中の出来事はサクッと割愛して早速行ってみよう。

 

儀式一.「山頂数字寫眞」

くじゅう17サミッツ「8番」北大船山。

テレフォンショッキングなみの美しいシンクロが決まった。

 

儀式二.「山頂表現寫眞」

名前が「北大船山(きただいせんざん)」ではさすがになす術がない。

ということで、とうとう単純に乗り手と船が逆転しただけのやっつけ仕事となった。

今までで一番アングルも雑で、いよいよ彼らの行き当たりばったりの企画も限界に近い。

しかしそれもまた試練なのである。

 

儀式三.「手男死相撲十番勝負」

そしてついにやってきましたこの一番。

この手男死相撲十番勝負の中で、最大の「大相撲」となった歴史的一戦。

ここまではあっけなさすぎる敗北姿をさらし続けてきた松尾が、ついに1200万パワーの光の矢となって一矢報いる時。

観客も大興奮となった大相撲。

 

さあ、待った無しの「第八番 北大船山場所」。

いざ、始めィ!

 

惜しい!

僅差で田沢無念の黒星。

しかしこの見応えある大相撲に対し、観客からは惜しみない拍手が田沢に送られた。

とは言え、これで田沢はまさかの8連敗で情けなさMAXである。

 

で、そんな弱り切った田沢に対し、本日も苦渋十七連山の試練が「おはよう」の挨拶がわりに追い打ちをかける。

悔しさいっぱいに花道を出た後、田沢が何気なくトレッキングポールを突き刺した場所がまたしても「岩と岩の狭間」。

で、昨日に引き続き、聞き覚えのある擬音「バキッ」って音が。

 

しばし田沢はプルプル震えながら「う…うそだろう…」と言って動かなかったが、やがてゆっくりとトレッキングポールを持ち上げた。

そこには「二日連続ポッキリポール」という信じがたい光景が展開していたのである。

昨日折ったのとは別の、もう一本の方が美しく折れている。

しばしこのポーズのままフリーズする田沢。

 

これぞ苦渋十七連山の試練第13番「1万円ポッキリ2〜延長料金7000円〜」の悲劇。

「ボッタクリ奉納パブ・KUJU」は、まだまだ田沢から快晴の代償をぼったくろうと本日も意気盛んに営業中なのである。

 

やがて8連敗&ぼったくられ男は、ヘロヘロになりがら坊ガツルに帰ってきた。

失ったものはしょうがない。

とりあえずさっさとテント撤収して、荷物まとめて気を取り直そう。

こんだけ快晴なら、テントも乾いて撤収も楽チンだ。

なんて思っていた田沢の目に飛び込んできたのがこちら。

苦渋十七連山の試練第14番。

「田沢のテントのとこだけずっと日陰だったである。

右側のしっかり乾いた松尾のテントに比べ、左の日陰エリアで倒壊して霜にまみれる田沢テント。

もちろん全く乾いてないどころか、積もった霜が徐々に太陽で溶け出してびちゃびちゃである。

田沢はがっくりと膝をつき、「なぜ…俺のところだけ…」とうなだれる。

もはややることなすことダメな本厄の厄年男。それが田沢慎一郎。

とりあえず彼の場合、これだけ晴れてるのにまだ命があるだけ良しとしておかなければならないのである。

 

さあ、九重連山による田沢殺しもいよいよ最終段階に突入。

彼が乗り越えるべき苦渋十七連山の試練は残すところ「3」

そしてくじゅう17サミッターの称号獲得まで、残りわずか「2座」

 

次回、いよいよ九重連山男塾最終章。

九重の空に彼らの根性が羽ばたいた時、

黒き邪悪の影が、静かにあの男(T)のもとに忍び寄るのである。

 

九重連山5へ 〜つづく〜

 

アイテム紹介

今回は、田沢のようにやることなすことダメな本厄のアルピニストたちにオススメするこの一品。

お祓いセット「榊玉串(さかきたまぐし)」です。

 

本厄だから本当は大人しくしてなきゃいけないけど、それでもどうしても山に行きたいというハイカーの必需品。

これを常時ザックのピッケルホルダーに装着しておけば、一歩一歩歩くたびに左右に揺れて常にお祓い効果が得られます。

しかも田沢のように不意にトレッキングポールが折れた時は、このお祓い棒をポール代わりに使うことも可能。

手押し相撲などで足を負傷しても添え木として使用できるし、自分の厄のせいで仲間が雪崩に巻き込まれた時はゾンデ棒としても活躍します。

 

とにかく本厄の人のマストアイテム。

これを持っていくことはエチケットとも言えますね。

 

それではまたお会いしましょう。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

ユーコンカワイ

低体温・低血圧・低収入というギアレビューにもってこいの人体サンプル。いつも顔色は土色だったり汗冷えのスペシャリストだったりするが、今日も持ち前のマゾん気を武器に山に川にと出没する。 素材がどうとかの専門的な事より、フィーリングやロマン重視のあまり役に立たないギアレビューを得意とする男である。