BBG編集部がとうとう「九州」へと殴り込みをかけた。
我らの戦いの場は何も山や川だけではない。
これは大分県のとある一軒家の中で繰り広げられた、BBG編集部とBBGシステムチームとの血みどろの激闘の一部始終の記録。
相変わらずアウトドアギアとは全く関係ないが、これは今後のBBGにおいては重要な分岐点。
次回から「九重連山(くじゅうれんざん)男塾」という名の拷問登山が始まるが、今回はその戦いが始まるまでの、情熱溢れる男たちの熱きプロローグなのである。

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第1章 大分襲撃

我々は怒り狂っていた。

BEST BUY GEARのシステム制作が始まって約4ヶ月。

なかなか思うように事が進まないからだ。

 

と言うのもこのBEST BUY GEARは、編集部が「岐阜県」で、システムを作ってる実働部隊が遥か遠方の「大分県」。

当初は別にどんなに遠方だろうと、チャットツール使ったりビデオ会議すれば事はスムーズに運ぶと目論んでいた。

しかし岐阜と大分は距離が遠すぎるのか、こちらがどんなに質問・要望のメッセージを送ってもなかなか返答が来ない。

どうも道後温泉あたりで電波の勢いが失速し、そのまま豊後水道に水没して九州までメッセージが届いていないようなのである。

一方でシステムチームもなんとか岐阜に想いを伝えようとするが、途中で伊吹山に阻まれてそのまま関ヶ原にメッセージが埋没してこっちまで届かない。

そんなこんなで、意見のすれ違いばかりを繰り返すBBG編集部とBBGシステムチーム。

 

やがてしびれを切らした我々編集部は、怒りのままに「電波が届かぬなら本体を届けてくれるわ!」と鼻息荒く新幹線に飛び乗った。

その意気込みたるや、フライデー襲撃時の軍団気分そのものなのである。

敏腕社長は九州に潜伏するゲリラ仲間にPCで援軍要請のメッセージを送り、私は瞳孔を開きながら「どうやってあの九州野郎どもをギャフンと言わせるか」だけを考えながら怒りをチャージ。

そして彼らをギャフンと言わせた後は、そのまま彼ら自慢の「九重連山」を蹂躙して大分県民の誇りを踏みにじってやろうと画策。

「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」

でお馴染みの、信長公のお膝元である岐阜県民を怒らせるとどういうことになるか。

大分人たちに目にものを見せてくれるのである。

 

第2章 九州の迎撃

やがて小倉に到着した我々は、レンタカーを借りていざ敵の本軍がいる大分へと車を走らせた。

我々の調べでは、今日の殴り込み&月曜火曜の九重連山縦走の3日間は「晴れ予報」。

まさに襲撃日和、縦走日和で、この時点で我々は勝ったも同然だった。

しかし奴さんたちもさすがに打つ手が早い。

どうやら彼らは事前に天気予報サイトをハッキングして、我らに偽の晴れ情報を流していた模様。

でなければ、九州上陸とともに襲いかかってきたこの土砂降りの意味がわからないのである。

もう一度言うが、今日は降水確率10%の晴れ予報だ。

明日から楽しい大縦走が待ってるってのに、早くも九州からの「こっち来んな」と言わんばかりの宣戦布告。

しかも大分に近づくにつれ、なぜか「みぞれ」が降って来るというまさかな状況に。

こっちは晴れるもんだとばかり思っているから、この目まぐるしい天変地異に全く気持ちが追いつかない。

九州のくせにやたら寒いし、土砂降りで台風のような突風状況の中での謎のみぞれ乱舞。

確かに私はギネスに載るほどの極度の悪天候男だが、まだ何も始まってない状態でここまで追い込まれるものなのか。

サービスエリアでちょっとトイレ行って帰ってきただけで、もはや全身は川に落ちた人みたいにずぶ濡れだ。

なかなかやるじゃないか大分県。

明日からの縦走路、たとえ晴れたとしても絶対に足元グッチャグチャのゲリ道間違いなしではないか。

さすがは自前の唐揚げが好きすぎるあまり、県内からことごとくケンタッキーフライドチキンの店舗を追い出した県だけのことはある。

このまま我らも追い出されて撤退を余儀なくされるのだろうか?

 

しかし「天下布武」で世に鳴らした我ら岐阜県民が、この程度の天変地異で臆していては豊後者たちに鼻で笑われてしまう。

いつまでも日韓W杯の時にカメルーン代表が合宿はったネタを引っ張ってる者たちに負けるわけにはいかないのである。

 

第3章 アジト襲撃

やがてついに我らはシステムチームが潜伏するアジトに到達した。

普通の一軒家に見えるが、この中にBBGシステムチームの面々がトキワ荘の住人のように働いているのである。

そして我々は到着するなりドアを蹴り破って玄関から侵入し、「これでも喰らえ!」と叫んでお土産の鮎パイを投げつけてやった。

しかし相手も今回の襲撃を事前に察知していたようで、玄関には大量の「軍隊」が我らに対して迎撃態勢を敷いていたのだ。

しかもその軍隊の背後には悪魔まで配置されており、「蝋人形にしてやろうか!」と激しく威嚇してくる。

しかしアルプスで根性を鍛えた我々にそんな脅しは通用しない。

そのまま土足でドカドカと部屋に上がり込み、相手の喉元にピッケルを突き立てて「おう!今日こそは色々とハッキリさせようじゃねえか!」とまくし立てる。

だが相手も敵に背を見せない九州男児たち。

ここで初対面となるシステム実働部隊の「ラッシィー板前さん」が登場し、怒り狂いながら激しくカシワ肉をこね始めた。

やがて我らに向かって、「わがんらはほんとくされじゃ!むげねーお人たちっちゃ!とりあえずしんけん美味しいけんこれでも食らうばい!」と何事かの呪文を唱えたかと思うと、このような一品をサクッと揚げてきたのだ。

ラッシィー板前さんは、初手から大分名物の「とり天」を繰り出してくるという大技で攻めの迎撃態勢。

これには我々も「バカヤロー!下味がしっかりしていているだけじゃなく、すげえ柔らかいじゃないか!箸が止まらないじゃないか!」と怒りを露わにする。

おそらくダイエット企画を立ち上げてから油物を控えている我々への精神攻撃である。

 

そして我らがとり天で怯んだことを確認すると、矢継ぎ早に次の一手に動き出すラッシィー板前さん。

家の奥の武器庫に姿をくらましたので尾行してみると、なんとマイ包丁でハマチをさばき始めたではないか。

本当にこの人はシステムの人なんだろうか?

やたらガタイもいいし、どう見ても手さばきが浜漁師出身の板長そのものの風体だ。

喧嘩を売りに来たのに、このままでは激しくおもてなしされてしまう。

あんなに色々と無理難題を突きつけてきたのに、ひょっとして彼らは我らのことを恨んではいないんじゃないだろうか?

そう思いそうになった時、私の目に入ってしまったものがある。

やはりこれを見る限り、彼らが我らのことを苦々しく思っていたのは間違いなさそうだ。

おそらく我々から仕様変更や修正の指示が行くたびに、夜な夜なこの場所で恨みの儀式が執り行われていたと思われる。

危ないところだった。

気を引き締めて、改めてここからは殴り合いの話し合いがスタートである。







 

第4章 血みどろの攻防戦

システムチームの波状攻撃が止まらない。

初手からとり天で戦意をくじいてきたかと思うと、いつの間にか背後のストーブ上で何かがコトコトと出撃の合図を待っている。

これはとり天同様、大分県48の必殺技の一つと言われる「だんご汁」ではないか!

「だんご汁」
具沢山のお味噌汁に小麦粉ベースのおだんごを入れたもの。大分県では年間を通して晩ご飯の中心であり、麦ご飯や冷やご飯1杯でだんご汁を3杯ほども食べられていたという。戦国時代では敵軍の突然の迎撃に備えた籠城の際に好んで食べられ、またその汁を敵軍の大将に送りつけることは「お前も団子にして食ってやる」という挑発の意味があったという。現代でも「敵にだんご汁を送る」というIT用語が使われており、当時の名残りとして大分県のシステム屋の間で広く使われている。 ーー『民明書房刊:大分の食文化と大友宗麟〜IT用語奇譚〜より』

 

そしてそんなだんご汁のもとに、先ほどラッシィー板前さんがさばいたハマチの刺身が援軍として投入される。

目の前で次々と展開していく「大分おもてなし連山」の嵐。

やがて息の根を止めてやるとばかりに、ラッシィー板前さんが絶叫してもう一品追加。

「大分48の必殺技のひとーつ!ふわふわ関アジフライをオリジナルドレッシングとともにィーッ!」

この一撃は強烈だった。

外はサクサクで中がふわっふわという恐るべき破壊力。

関サバの破壊力は、ピッコロの魔貫光殺砲のように我ら海なし県民二人の胸を撃ち抜いて行ったのだ。

 

そんな完全に防戦一方の我らに対し、システムチームは追撃の手を緩めない。

その標的にされたのが、今まで散々場当たり的に仕様変更の指示を出してきた私だった。

「もうお腹いっぱいだ」という僕の眼前に、「場当たり的に腹一杯になったとか言わんでください。食べてください。お願いします。」と、庭でわざわざ炭焼きにした豪快な肉が運ばれてきたのである。

僕は「上等じゃねえか!こんなもの一息で噛み砕いてくれるわ!」と大口でかぶりつく。

しかし次の瞬間。

顎が「ガクン」と音が鳴ったと思うと、

激しいダメージ。

敵は私の顎関節症の情報をどこからかキャッチしていたようだ。

しかも頑丈なその肉は、一向に噛み切れないので、着実に私の顎を破壊していく。

これにて完全にBBG編集部の一角が陥落。

敏腕社長に「あとは…頼んだ…」と後を託したかと思うと、私はその場で絶命した。

 

後を託された敏腕社長は、その後も孤軍奮闘でシステムチームと激論を交わした。

ご覧の通り、今にも殴り合いが始まりそうなほどに険悪なムードである。

ちなみに本来ならこの場にもう一人のシステムチームの男「サバイバルSさん」が来る予定だった。

サバゲー好きのサバイバルSさんは、度々オンライン上でも言葉のナパーム弾を直線距離で打ち込んで来るなどの荒くれたシステム屋さん。

そんな彼だが、実はここに来る途中にスクーターで車に突っ込むというまさかすぎるアクシデントを巻き起こしていた模様。

こんな普通の日ですら自らサバイバルに徹する姿勢に感服するBBG編集部。

実際にお会いできた時は、ぜひ左手同士をロープでつなげて右手に持ったナイフで戦ってみたいものである。

 

やがて日が暮れるまで議論は白熱。

システムチームの長であるプラモ狂T郎さんによる「大分県民は文章中に大分(だいぶ)って文字が出て来ると十中八九おおいたって読んでしまいます。」などの講義に真剣に耳を傾ける敏腕社長。

他にも「TOKIWAをトキワと書くと大分では生きていけません。トキハと書いてください。」とか「ある程度の地味さは認めますが佐賀には負けていません。」とか「globeのKeikoの実家はふぐ屋です。」など、今後のBBGに欠かせない重要な情報を惜しげも無く講義してくれる。

やがてこの数時間にも及ぶ激論と血みどろの殴り合いの末、編集部チームとシステムチームの溝は徐々に埋まっていった。

両チームの間には県の垣根を超えた熱い友情と信頼関係が芽生えていた。

部屋の片隅で肉をくわえたまま死んでいた私も、彼らの熱い想いを聞いて目頭を熱くして一筋の涙。

ほんのり塩味の効いたあの肉の味は忘れない。

 

戦略会議は夜の別府温泉まで続き、

大分づくしのおもてなし連山の夜は、すっかり浮かれた状態で更けていったのである。

殴り込みに来たはずが、散々食って飲んで喋って温泉入ってと見事に迎撃されてしまった。

今後もBBGという船は、「敏腕プラモ職人」「おしゃべり料理長」「熱血サバイバル男」という個性的なエンジンを積んで走っていくのである。

 

第5章 旅立ちの時

九重連山に向けての旅立ちの朝がやって来た。

これより別名「苦渋連山」とも言われるか言われてないかの死地に向かう我らに対し、プラモ狂T郎さんは最敬礼。

これには敏腕社長もタコみたいな顔で号泣。

こうして我らの大分一軒家ウルルン滞在記は幕を閉じたのである。

 

天下布武の岐阜県パワーに、とり天布武の大分県パワーを加えた我らに怖いものなし。

別府の街を駆け抜ける我らの頭上は、昨日の嵐が嘘のような大快晴。

車を走らせるほどに、昨日は見れなかった九州独特の山容が広大に展開。

走らせるほどにテンションが上がっていく。

やがて北海道のようなまっすぐな道が現れたか思うと、目の前にズドーンと九重連山が登場!

素晴らしい迫力。

なんだかアラスカのハイウェイを走っているような気分になって来るほど、全てが大きくて広大で気分が良い。

しかしである。

今4月の九州な訳だが、なんだかやたらと山が白くない?

のちに地元の人に聞いてわかったことだが、昨日我々が九州に上陸したあたりから例年にはないほどの謎の寒波が大分山間部に大発生した模様。

そして4月なのにガンガンに雪が降って、再び世界は冬に逆戻りしてしまったらしいのである。

完全に想定外だ。

4月の九州なんだから、桜も咲くようなポカポカ陽気の中でのチャッピー登山をイメージしていた。

やはりいつだって快晴には快晴なりの理由がある。

正直今回の行程は通常の状態でもハード気味なので不安でいっぱいである。

 

やがて登山口である牧ノ戸の駐車場に到達。

足元はしっかり凍っていて、トイレに行くだけで滑って転びそうになったほど。

まあ良いさ。

本場日本アルプスのお膝元である岐阜で培った我らの登山魂で、九重連山なぞギャフンと言わせてみせる。

 

そんな我らを迎え撃つは、「くじゅう17サミッツ」と呼ばれる九重連山が誇る名峰群である。

くじゅう17サミッツとは、九重連山の中に10ある1,700mオーバーの山の総称。

もはや「9」なのか「10」なのか「17」なのかよく分からない状況になってるが、要するに「10個の山を大縦走かましてみやがれ」という挑発なのである。

これをクリアした者は“くじゅう17サミッター”を名乗ることができ、大分の女性を口説く時に「俺はくじゅう17サミッターなんだぜ」と言えば大いに効果があるという。

17サミッターになれば、おそらく深津絵里ですら(大分出身)簡単に口説き落とせてしまうのである。

 

さあ、いよいよ始まるBBG編集部による九重連山男塾シリーズ。

今はまだ快晴で浮かれている二人だが、僕に至ってはこの晴れの代償を「17個」も山で払うことになる。

 

二人に待ち受けるは生か死か。

1泊2日、久々にテン泊装備担いでのガッツリ10座の男気大縦走。

自らの男度にさらなる磨きをかけるべく、二人はついにその巨大な連山へと立ち向かう。

 

BBGが始まって以来、やっとまともなアウトドア記事が今始まるのである!

 

アイテム紹介

それでは今回も恒例のアウトドアギアのアイテム紹介です。

まずはこちらのギアから。

聖飢魔IIの「地獄より愛をこめて」です。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

地獄より愛をこめて [ 聖飢魔II ]
価格:1944円(税込、送料別) (2017/4/7時点)

 

 

怒り狂った訪問者を迎撃する際には、ぜひこれを玄関に飾っておきましょう。

もしくはテン場を不在にする際、荷物の盗難防止用にそっとテントの前室に置いておいても効果あり。

珍しい魔界製なのでアマノジャクなあなたの心もきっと満足させてくれます。※非防水

 

そしてテン場での豪華な食事を楽しみたい方はこちら。

「大分おもてなし連山」の皆さんです。

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

新手さげだんご汁/大分 団子汁
価格:540円(税込、送料別) (2017/4/7時点)

 

 

このセットをテン場まで担ぎ上げて調理すれば、他の登山者の視線はあなたに釘付けだ。

これらを“トキハ”の紙袋に包んで持っていけば、ほぼ100%の確率で大分県人から声をかけられること間違いなし。

もし声かけてきた人が美しい女性なら、すかさず「俺、くじゅう17サミッターなんだぜ」と囁くと良い。

きっと忘れられないテン場の夜を送れるはずである。

 

それでは最後にこのギアをご紹介。

探し出すのに苦労した、この「Voodoo包丁スタンド」である。

 

クライアントから場当たり的な仕様変更があった際にストレス発散に使える逸品。

オピネルナイフやモーラナイフなどを突き刺した状態で、こいつを聖飢魔IIの隣に置いておけば盗難防止効果は絶大にアップします。

なかなか別れを切り出せない彼氏や彼女へのプレゼントとしても効果的です。

逆にこれをプレゼントされた人は、早めに身を引くことをお勧めします。

 

以上、明日から使えるアウトドアギアのアイテム紹介コーナーでした。

それではまた、次回から始まる九重連山男塾でお会いしましょう。